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ダレモイナイ コウシンスルナラ イマノウチ(ペ∀゚)ヘ
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[2]SS『暗転【鷹乃編】』≫メモリーズオフ2: 武蔵小金井 2002年04月01日 (月) 01時15分 Mail

「見さらせー!これが、伊波健の生き様じゃー!」

 ドッパアァァァアアン!

 飛び散る水しぶき。
 我ながら無謀だと思った。
 無茶すぎる。
 でも、どこかで気持ち良さも感じる。
 そうだ。サッカーでマークの隙をついて、シュートする時にも似た感覚。
 失敗したらどうしよう。そう思いながら、ディフェンダーの隙間にボールを蹴り込む。
 全力で。
 そう、これが僕のできる……彼女への、精一杯なんだ。

 ブクブクブクブク。
 
「そ、そんな……伊波くん……!」

 ブクブクブク。

「ダ、ダメ……誰か……」

 ブクブク……

「イ、イヤ……イヤだよ……ママ……!」

 ブク、ブクッ、ゴブッ……
 
 …………。

 ……。


 ひゅるるる〜。


   暗転【鷹乃編】


 あれ……
 僕は、いったい……?

 何が起こったんだ……
 どうなったんだっけ……?

 あ、そうか。
 僕は、プールで寿々奈さんを待って……ずっと待って……
 それで、彼女が来たんだ。
 そして、彼女と話して……
 そうか、説得しようとして……言葉じゃ伝わらない、何かを……
 それを、伝えたくて……
 どうしても……何がなんでも、伝えたくて……
 プールに飛び込んで……

 そうか、意識を失ってたんだな。
 それで、今、起きて……
 あれ?ヘンな感覚だ。
 僕、どうしてるんだろう……あれ?
 あそこにいるのは……ほたる?
 ほたるが……泣いてる?

「ゴメンね……ゴメンね、健ちゃん……」
 黒い服を着て、涙ぐむ……ほたる。
 どうしたんだろう。僕と別れたのに、僕のことで泣いてるなんて……
 あれ?ほたるだけじゃない。みんな……
「健……スマン。俺がもっと……」
 翔太、なに……泣いてるんだよ。だって、翔太は……
「イナケン……俺はな、俺は、お前のことが……クッ……」
 そ、そんな。信くんまで。そんな、泣き笑いみたいな顔で。拳を握られても。
 ち、ちょっと、みんな……
 あれ?声が出ない。あれれ?
 ほ、ほたる、僕はちゃんとここに……
「ごめんね……ごめんね、健ちゃん。ほたるが……ほたるが、あんなにヒドイことを言ったから。みんな、みんな……ほたるのせいだよね。健ちゃん……」
 じっと何かを見つめて……そして、顔を覆って、悲しみをいっぱいにして泣き出すほたる。
 ほたるが見ていたもの。
 それを見て……僕は、唖然とした。
 大きな箱。花がたくさん飾られている。
 その中に……ぼ、ぼ……僕!?
 僕が……僕、僕が……!
「健ちゃん、健ちゃん……!」
 不意に、箱に駆け寄って……ほたるがむせび泣いた。その場にいる人たちが、それに呼応するようにすすり泣く。
 そ、そんな、僕……!
 まさか、ぼ、僕は……
 僕は、あの時に……プールで……えええええ?
「あなたのせいじゃないわ……」
 そこに、低い声。
 僕が……そして、僕の眠る箱……棺に寄り添うほたるが振り向くと、そこに……
「寿々奈さん……」
 涙目のほたるの前に立つ、喪服の寿々奈さん。
 寿々奈さんの瞳も、潤んで……
「あなたのせいじゃない。私の……私のせい。みんな私のせいなの……私のせいで、彼は飛び込んで……私は、助けられなかった……やっぱり、水に入れなかった……彼がドxエもんになるのを……黙って見てるしか……」
 寿々奈さんの肩が震えていた。
 その前で、ほたるが首を振る。激しく。
「違うよ!寿々奈さんじゃない……ほたるが、ほたるが悪いの。ほたるが、あんな思わせぶりなことばっかりして、健ちゃんの気持ちを確かめようとして……別れるフリまでして、それで、健ちゃんがとっても混乱して……だから……だからなの……!」
 嗚咽するほたる……え……?
 え、ええっ?別れるフリ……フリって?ほたる、ねぇ……
「ううん。私の方が悪いわ。私は、白河さんの気持ちを知っていて、それで……それなのに、伊波くんと親しくして……それが、伊波くんを……」
「違う、違うよ……!鷹乃ちゃんは悪くないよ。ほたるが、ほたるが悪いんだよ……」
 互いに涙をためた瞳……それを重ねて、じっと見つめあう二人。
 ……あれ?
「白河さん……」
「鷹乃ちゃん……」
 じーっと、まだまだ見つめあっている二人。
 あ、あれ……あれれ?
 ち、ちょっと……待って!
 二人が、寄り添うようにして……
 う、うわ……

「うわぁぁああああああー!」

 ガバッと跳ね起きると……
 ベッドの上だった。
 白づくめの部屋。柵付きのベッドと、棚。タイル敷きの床。
 病院……?
 自分の手を見た。白い袖から……ちゃんと出ている。足もある。
「生きてる……?」
 声が出た。ヘンな響きだったけど。
 よかった。僕……
「生きてるんだ……!」
 夢だったんだ。よかった。
 そうか、僕、あの時にプールに飛び込んで……
 それで、気を失っちゃったんだ。病院に運ばれて……
 ベッドに倒れた。大きく伸びをする。
 よかった……生きてる。
 ついさっき見た夢……それを忘れるように首を振った。
 よかった。凄くドキドキしたけど、夢で。
 と、枕元に小さな人形がぶらさげてあった。
 ホーキを手にした、可愛い人形だった。見覚えがあるような気もする。
 ふっと手をのばして触れてみると……名前が書いてあった。
 ほたる。子供っぽい字で、そう書いてある。
 そうか。ほたるが心配して見舞いに来て……ほたるのやつ。
 何だか、なつかしかった。ほたると別れたのが、まるで何ヶ月も前のような気がする。
 あんな風に別れても、何かあったらすぐ飛んで来てくれるんだな。
 みんなだってそうだ。僕のお葬式で、あんなに悲しそうにしてくれて……
 そうだよ、みんな……僕のことを……

『自分がいなくなった時に、泣いてくれる人間がどれだけいるか。
 それが、その人の人生の価値である。』

 そんな話を、思い出した。
 僕は、最近の自分がどれだけ一人よがりだったかに気付き、深く反省した。
 もっと大切にしなきゃ。まわりの人たちを。一人じゃ生きていけないから。
 一人……そうだ、寿々奈さんは。
 寿々奈さんは、どうしただろう。
 驚いただろうな……いきなり、目の前であんなことされて。
 寿々奈さんを試すようなことして。実際、無茶苦茶だ。
 あ、それでも助かってるってことは……寿々奈さんが助けてくれたんだな。
 そうか……よかった。本当によかった……
 僕は、寿々奈さんが来たら謝ろうと思った。ほたるにも、お礼を言わないと。
 それで……よく話し合って。僕の気持ちを整理して……
 それから……
「健ちゃん……?」
 病室のカーテンが揺れて、そこに……特徴的な髪の毛が見えた。
「ほたる……!」
 ほたるだ。僕はニッコリ笑った。
 しかしまぁ、ほたるは相当に驚いた顔をしていた。無理もないか。
 久しぶりに見るほたる……何だか、とても新鮮だった。はじめて逢った時のように。
「け、健……ちゃん……さん?」
「うん。そうだよ……ごめんね、ほたる。驚いたでしょ?でも……来てくれて、嬉しかった。」
 素直に言葉が出た。何だか、ほたるに対する気持ちがあふれてくる。
 好きなんだ、そう思った。
 ほたるに恋したことはないかもしれない。
 でも……ほたるのこと、好きなんだ。
 ほたるは、ぼーっとした顔で……ゆっくり、首を振った。
「ううん……だって、日課で……来てるから。でも、本当に……起きたんだ……?」
 声が震えている。驚きすぎ……えっ?
「日課って……ほたる?まさか、僕……」
 今日じゃないのか、入院したの。
 あっ、もしかして、寿々奈さんみたいに、しばらく意識不明で……
「ほたる……ほたるじゃないよ。」
「……?」
 ほたるが、僕をじっと見つめて……言った。
「私は、蛍子だもん。友達は、みんなほたるって呼ぶけど……」
「え……?」
 意味がわからなかった。ほたる……名?
 と、そこへ。
「よっ、ほたる!今日もご苦労さまだな。」
 入ってくる女の子。元気な……ざっくばらんな感じの、黒の制服。あれ……違う?
 ほたると似て、それで違う二股の髪。
 片目に眼帯をしてる。でも、その顔は……忘れるわけがなかった。
「寿々奈さん……!」
 僕の声に、驚いたようにこっちを見て……そして、覆われてない片目が丸くなる。
「お、おい……!ほ、ほたる、こいつ……」
「う、うん。あのね、今、ほたるが来たら……起きてたの。健ちゃん、さん……」
 二人、見合って、それで……僕を見る。
 妙な目付きで。
 それに……今、ほたる?健ちゃん……『さん』?
「ね、ねぇ。話が読めないんだけど。ほたると……そっちは、鷹乃さんだよね?僕、助けられて……」
「鷹乃……!?ち、違う。あたしは……」
「えっ……?」
「あ、あたしは、鷹乃じゃない。鷹美だよ。鷹乃は、あたしのオフクロで……」
「私も、蛍子だよ。ほたるは、私のママの名前だもん。」
 二人の女の子が、同時に僕に告げた。
 ほた……ほたるこ?鷹……たかみ?
 それに、な、何だって?おふく…………ま、ママ!?
「ち、ちょっと……そ、それじゃ、君たちは……」
 二人が、何かコソコソと話し合っている。混乱する僕の前で。
 そして、ほたる……に似た女の子が、一歩進み出た。
 寿々奈さん……に似た女の子に、押し出されるように。
「ねぇ、健ちゃん、さん……?」
 さん。健ちゃん……さん。
「な、何かな……ほたる……こ、ちゃん。」
 僕はドキドキした。
「あのね、健ちゃんさんが起きたら……必ず、最初にこう言ってやりなさいって……ママが。」
「う、うん……」
 ママ……ほたる?い、今は何年なんだ?
 僕の……僕の顔は?鏡はないのかな?
 心臓が爆発しそうになってきた僕の前で、ほたる……に似た女の子が、モジモジとして……
 そして、僕をじっと見つめた。
「だから、言うね。えーっと、コホン……」
「ほたる、さっさとしろよ。練習したろ?ほら、コクっちゃえ!」
 緊張しているようなほたる……に似た子を、後ろからそそのかす、寿々奈……さんに似た子。
 でも、えっ……コク……?
「う、うん……えーっと、健ちゃん……」
 ほたる……に似た少女が、笑った。
 どこか不自然で、それでいて……可愛らしい笑いだった。
 僕も笑った。いや、微笑んだのかもしれない。何だか、懐かしくて……
「セキニン……取ってね?」
 白い病棟に、紅の夕日が沈み始めていた。


[3]あとがき: 武蔵小金井 2002年04月01日 (月) 01時16分 Mail

 はい、作者の武蔵小金井です。
 本当に……なんというか、Mo2で鷹乃さん編をプレイして直撃したネタで、そのまま右ストレートに一筆してしまいました。
 あうぅ、ゴメンナサイ。本当に……その、何と言うか……(思わず白文字で)

健くんが飛び込んだシーンで、しばらくオナカを抱えて転げまわってしまいました、ボク……(大赤面)。

 ……ううっ、ツミブカイヤツデス。ゴメンナサイゴメンナサイ。

 でもっ!もちろんその後は、ラブラブ鷹乃さんとエンディングまでドキューンでしたよっ!
 そ、それで、思わずこれを。
 ですが……なんというか、

「内容はないよ〜。」 ……ほたる的ぎゃぐ

 な、感じです(笑)。
 い、いえ、とりあえずこれはテスト用のカキコでして、ちゃんとしたSSも用意して……ゴニョゴニョ(汗)
 少なくとも、タグで色分けを多用しているのはテストのためです。私的に、とても抵抗があったり……何だか楽しかったり(笑)。

 本当に、拝読ありがとうございました。
 それでは〜♪

付記:
 何だか読み返すと恥ずかしすぎる内容&あとがきです。
 気付かれないように少しだけ修正(笑)。
 鷹乃さんについてはまた何か書きたいなぁと思っています。
 家庭とか仕事とか食事とか、ネタ豊富な娘さんなので(笑)。
 でも、その前に他のキャラさんをコンプリートしないと……



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