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Dream On!

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ダレモイナイ コウシンスルナラ イマノウチ(ペ∀゚)ヘ
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[66]短編『消えたおじいさんの杖(前編)』≫シスプリ: 武蔵小金井 2002年06月21日 (金) 23時11分 Mail

 
 
 チリリンって窓の外で音がして、四葉、パーッて目が覚めマシタ!
 いつもは寝スゴシて怒られたりするんだけど……あ、四葉はヨフカシじゃなくて、夜遅くまでタンテイの勉強をしてるからだもん!とにかく、今日はバッチリ目が覚めたんデス!
「Good Morning!」
 四葉、窓を大きく開けて……シティからの風が気持ちいいデス!
 いつもステキな、ロンドンの朝!でもでも今日は、いつもより何倍もステキなんデス!
 なぜかというとデスね、それは……
 ジャジャーン、今日は四葉の誕生日なのデス!
 クフフフゥ、四葉もう待ちきれなくって、昨日の夜からドキドキしちゃいマシタ。だって、セイカクには四葉のバースデーは今日の朝じゃなくて、昨日の夜、時計の針が十二時をボーンって指した時からなんだもん!だから、もしかしたら四葉へのヒミツの贈り物が届くかもしれないって……窓からこっそりとか、ダンロからとか……四葉、夜遅くまでずっと待ってたんデス。もちろん、寮母さんに見つかったら怒られちゃうから、毛布をかぶってネタフリしてました。でも、カチコチいう壁のハト時計をじーっと見ていたら……ウムムゥ、寝てしまったみたいデス。
 あっ、もしかすると四葉が寝てる間に、プレゼントが届いてるかもしれないデス!
 四葉、さっそく部屋の中を調べ始めマシタ。タンテイ道具の虫メガネを取って、部屋のスミズミまで調査デス!怪しい足跡とか、ハンニンの靴の底についた粘土とか……ムムゥ、ありませんデスね。テゴワイ事件デス。でも四葉、ゼッタイ事件を……って、なんの手がかりを捜していたんだっけ……アレレ?
「四葉さん!」
 四葉が考え込んでると、いきなり部屋のドアが開いたんデス。
 そこには、コワーイ顔の寮母さんが立っていて……
「こんなに朝早くから、何をドタバタしているんです!皆さんに迷惑でしょう!」
 アワワ。寮母さん、リンゴみたいに真っ赤な顔デス。
 四葉、あわてて着替えて、顔を洗いに行きマシタ。


 ビッグベンの鐘が鳴って、学校の授業も終わり!
 今日は四葉、宿題を忘れててちょっぴり残されちゃったけど……ナントカ終わらせて、すぐに戻ったんデス。
 だって……だって今日は、四葉の誕生日!
 朝はダメだったけど、でもきっと、ぜったいもう……
 そうデス!兄チャマからのプレゼントが、届いてるはずデス!
 ニッポンの兄チャマが、四葉に贈ってくれたプレゼント……四葉、それが楽しみで楽しみで、もう今日は授業なんてゼンゼン耳に入りませんデシタ。
 ムフフゥ、兄チャマからのプレゼント……今年は何かな?何かなー?
 四葉、ワクワクドキドキしながら寮の玄関に飛び込んで……
「ちょっと、四葉さん!お待ちなさい!」
 階段を一つ飛ばしで駆け上が……ットトトです。四葉を、寮母さんが呼びとめました。
 ワワ!寮母さん、朝とおんなじに恐い顔で……四葉、ブルって震えちゃったデス。
「四葉さん、何度言えばわかるんです!寮の中で走ってはいけません!靴の泥も落としていないし!第一、あなたは……」
 アワワ、またオコゴトが始まったデス。
 早く戻らないと、四葉のプレゼントが……
「ゴ、ゴメンナサイです!四葉、スゴク急いでるから……あとで聞くデス!」
 ドンドンって靴を鳴らして、四葉ダーって走っちゃいました。
「あっ……お、お待ちなさい、四葉さん!」
 耳を塞いで、ピューって自分の部屋に戻ったデス。ドアを開けて、そして……
「兄チャマのプレゼント!」
 言いながら、四葉まっさきにテーブルの上を見たデス。
 でも、何も乗ってません。
 アレレ?いつもだと、必ずここに乗せてあるのに……あ、そうデス!
 四葉、今度は机の上を見ました。四葉の机の上は、いつもいろんな道具が並んでて……みんなはチラカッテルって言うけど、そんなのじゃないもん。
 机の上を調べて……ジケンの手がかりになりそうな小さなエンピツとか、消しゴムの残りとか、拾って来た赤茶色のパイプとか、シンブンの切り抜きとか……アレレ?ないデス……
 あ、それじゃきっと、ベッドの上だ!クフフゥ、きっと兄チャマのプレゼントはすっごく大きくて、テーブルに乗らないぐらいだったデス!だから、ベッドの上にドーンと……
「アレレ……?ないデス……」
 四葉、それから部屋をスミズミまで調べたデス。戸棚の中とか、窓……ひさしの上とか、机の引き出しの奥のヒミツの隠し場所まで……
 でも、どこにも兄チャマのプレゼントはなかったデス。
 アレ、アレレ?兄チャマのプレゼントが……
 どこにもないデス。
 兄チャマ、四葉のこと忘れちゃったデスか?四葉の誕生日、今日だって忘れて……四葉、この前のお手紙にコッソリ暗号で書いておいたのに、兄チャマ……も、もしかして、四葉の暗号がムズカシクて、兄チャマが読めなかったのかな?ワーン、四葉もっと簡単に書いておけばよかったデス……
 四葉、何だかとっても悲しくなっちゃいマシタ。せっかくの誕生日、まちにまった兄チャマのプレゼントが届かないなんて……
 コンコン。
 四葉がワーンって泣きそうになったとき、ドアがノックされたデス。
 四葉、何かなって思って目をふいたら……ドアが開いて、また寮母さんが。
 きっと、さっき四葉が勝手したこと怒ってるデスね。
 ごめんなさいデスって、四葉、頭を下げました。
「どうしたんですか、四葉さん?」
 四葉がペコンって頭を下げたから、ちょっとビックリしたみたいな寮母さん。
 四葉が顔をあげると……何か、差し出したデス。
「四葉さん、あなたにお手紙です。」
 お手紙……あ、きっと……!
「兄チャマからデスね?あ、ありがとうデス……!」
 四葉、それを受け取って……差し出し人は……アレレ?
「あ、兄チャマじゃなくて……」
 違ったデス。でも……それは、バースデー・カードで……

 お誕生日おめでとう、四葉ちゃん。
 いつも楽しい四葉ちゃんに、今日はお礼もかねたお祝いをしたいと思って、ホームパーティをしようと思っています。
 よかったら、お店まで遊びに来て下さいね。

 こ、これ……
「キャッホー!」
 四葉、嬉しくて飛び跳ねちゃいマシタ。
 またまたビックリ顔の寮母さんの前で、さっそく部屋から出発デス!
「ちょっと、四葉さん……こ、これ!お待ちなさい!まだ話は……」
「ゴメンなさいデス!四葉、キュウヨウができたデス!行ってきマース!」
 廊下をタタッて走って、そのまま階段の手すりをツルルって滑って、着地!
 寮から出て、ロンドンの町に駆け出しマシタ!


 イーストエンドの、大通りから曲がったところの四つ角。
 そこに、小さな骨董品のお店があるデス。
 おじいさんとおばあさんの二人でやってるお店で……四葉、前から面白そうだなって思ってて。ショーウインドーに飾ってある銀の燭台とか、タリスマンとか、お人形とか、古い地図とか……いっぱーい不思議なものが並んでて、四葉、ガラスにペタンってくっついて、それを見てたデス。
 そうしたらある日、お店のおばあさんが……四葉に、入ってらっしゃいなって。
 四葉、おこづかいはちょっぴりだから……って言ったら、買わなくてもいいのよ、って笑って。
 それで、四葉……お店の中にある、もっとたくさんの骨董品を見せてもらいました。
 そのあとも、たびたびお店に遊びに行って……そしたらある日、お店の奥からムッツリ顔のおじいさんが出てきて……四葉、おばあさんは優しいけど、おじいさんはコワイなって思ってたから、すぐに謝って帰ろうとしたら……
 おじいさんが、こっちに来るんじゃ、って。
 それで、四葉をお店の奥の……おじいさんとおばあさんが住んでる場所に入れてくれて。
 その中の、おじいさんの書斎に……難しい古い本とか、大きな甲胄とかがあって……
 四葉に、好きに見なさいって……ちょっぴりだけ笑って、言ってくれたデス!
 おじいさん、それから何度も四葉をティータイムに招待してくれて。おばあさんと一緒に、面白い話をいっぱいしてくれて……四葉と二人で、ロンドンの町を散歩したりして。タンテイの話もしてくれて。
 四葉、おじいさんもおばあさんも大好きになって、よく遊びに行ってるんデス。
 それで……今日は、そのおじいさんとおばあさんからバースデー・カードが来てビックリ!
 クフフゥ……でも、とっても嬉しいデス!
 四葉は寄宿舎で暮らしてるから、バースデー・パーティは同じ月のみんなで一緒にするんだけど……ムフフゥ、おじいさんとおばあさんのホーム・パーティに出られるデス!キャッホー!


「いらっしゃい、四葉ちゃん!」
「うむ、よく来たのう。」
 カランコロンってお店のカウベルを鳴らしたら、おじいさんとおばあさんが四葉を迎えてくれマシタ。
「およばれありがとうデス!四葉、とっても嬉しいデスよ!」
 四葉がそう言うと、二人ともうなずいてくれたデス。
「うむ。さ、入りなさい。」
「ケーキは準備できてるわよ。ドーナッツもそろそろ揚げ終わるから……ふふ、おじいさんと一緒に、座って待っていてね。」
「はいデス!」
 四葉、お店を通って、おうちの中に入って……わぁ!
 大きなデコレーション・ケーキ!キャラメルの香りがして……ビスケットもいろんなのがたくさんあるデス!
「すごいデス!おいしそうデス!」
 四葉、バンザーイってしちゃいマシタ。おじいさん、めったに笑わないんだけど、今は……クスッて笑ったような顔で、うなずいたデス。
「まあ、座りなさい。」
「はいデス!」
 四葉が座ると、奥からおばあさんがドーナッツのお皿を持って来たデス。
「ふふ、四葉ちゃんの大好きなドーナツ、揚げたてだから……あ!」
 おいしそうなドーナッツ……四葉、もうガマンできなくて、パクっ!
 あ……!
「アチチッ……あついデス!」
 フゥフゥ。ゆげがいっぱい出て……四葉、ホクホクって口の中で転がしました。
 でも、おいしいデス!
「うふふ、まぁ……大丈夫よ、たくさんあるから。」
「そうじゃ。意地をはってはいかんぞ。」
 四葉、笑われちゃいマシタ。エヘヘ。


 モグモグ、パクパク。
 ミルクティーと、甘ーいキャラメルのかかったビスケットと……
 おじいさんとおばあさんに囲まれて、四葉、いっぱい食べて、いっぱい話をしたデス。
 学校のこと、友達のこと……この前のラクロスの大会のこと!四葉、ダーイ活躍して、何点も入れたんデス!
 とっても楽しく、話をしてたら……
「そういえば、プレゼントがまだじゃったな。何か欲しいものはないか?」
 おじいさんが、四葉に聞いたデス。
 四葉、いきなりだったからビックリして……
「え、エート……」
「ふふ、何でもいいのよ。お店にあるもので、欲しいものはない?壁にかけてあるタペストリーとか、いつも見ているもので……何か、気に入ったものがあるでしょう?」
 おばあさんが、優しく聞いてくれたデス。
 あ、タペストリー……古くて色がくすんでるけど、とってもキレイで……中世の、コンウォールのお城の絵が編んであるの。ナイトがいっぱい並んでて……四葉、ダイスキだけど……
「う、ううん。四葉、プレゼントは欲しいデスけど……」
 でも、大事な売り物だし……それに、四葉……
「四葉、こんなにステキなパーティしてもらったから、プレゼントはいいデス!」
「ふむ、そうかね。」
「そうなの……ありがとう、四葉ちゃん。」
 ちょっぴり残念そうなおじいさんとおばあさん……四葉、もう少し考えて……ヒラメキました!
「そうだ!あのデスね、だったら……プレゼントに、本を読んで下さいデス!」
 四葉、ガタンって立ち上がったデス。
「本……うむ、それでいいなら、安いものじゃ。」
「まぁ……うふふ。」
「四葉、取ってくるデス!」
 四葉、奥にあるおじいさんの書斎に入ったデス。
 おじいさんの書斎には、色々なアンティークが並んでるんデス……あと、壁いっぱいに、古い本が並んでるの!四葉、つづりがムツカシクてちゃんと読めないんだけど……おじいさんがメガネをつけてスラスラって読んでくれると、とってもわかりやすくて……
「エーッと、タンテイの本は……」
 四葉が大好きな、大きくてぶあついタンテイの本……いろんなタンテイの人がカツヤクする、カッコイイお話がいっぱい載ってる本なんデス!
「どうした、四葉ちゃん?本がないか?」
「えっと、タンテイの本を探してるデス。」
「ふむ、それならあそこじゃよ。どれ、わしが取ろうか。」
 おじいさんが、本を取ろうとしている時でシタ。
 四葉、アレって気が付いたデス。
 杖が……置いてないコト。 
「アレレ?おじいさん、杖がかかってないデスけど……どうしたデスか?」
 あ、杖って言うのはデスね、おじいさんが散歩でいつも使っている、ステッキのことデス。
 おじいさん、足が少し悪いから、いつも散歩にそれを使ってるデスよ。すっごく古くて、色とかもハゲてるんだけど、おじいさんはとても気に入ってる杖なんデス。
 とにかく四葉、どこか別の場所にあるのかなって……聞いてみたデス。
 そうしたら、おじいさんが目を丸くして。
「おや?本当だ。わしの杖がなくなっておる。ばあさん、知らんか?」
「い、いいえ。私も知りませんけど……あなた、どこかに置き忘れたんじゃありませんか?」
 リビングから来たおばあさんが、首を振って……おじいさん、首をかしげたデス。
「いや、わしはそんなことしとらんぞ。昨日散歩から帰って来て、いつものようにここにかけといた。」
 おじいさん、ダンコとした感じで言ったデス。おばあさん、困った顔になって……
 ムムゥ、これは……四葉、ピーンと来ちゃいマシタ!
「これは、事件デスね!」
 おじいさんとおばあさん、四葉をビックリした顔で見たデス。
「じ、事件?」
「まさか、盗まれたというのか?」
「そうデス!謎の紛失盗難事件デス!おじいさんの大事な杖を狙った、ドロボウがいたデスよ!怪盗かもしれないデス!」
「か、怪盗!?」
「本当かね?」
「はいデス!でも、安心して下さい!名探偵四葉が、必ず解決してみせマス!」
 四葉、もう何だかスッゴクはりきっちゃいました。
 だって……だって、ホンモノの事件デス!
「盗まれたのは、おじいさんの杖!きっと昨日の夜、おじいさんが杖をしまったあと、ナニモノかがこっそり忍び込んで来たデス!でも、四葉がいるからには悪事もそこまでデス!四葉、必ず犯人をアバいて杖を取り戻してみせるデスよ!」
 四葉がスラスラっと言うと、おじいさんもおばあさんももっとビックリした顔になったデス。
 四葉、もう嬉しく……違いマス!とってもやる気が出てきちゃいマシタ。
 よーし、そうと決まれば、さっそくタンテイ開始デス!
 四葉、ピピッとチェキのポーズをしちゃいマス!


「ムムゥ、怪しい足跡とかは……ないデスね……」
 四葉、徹底テキにおじいさん書斎の中をチェキしました。
 窓のフチに泥が落ちてたり、カーテンがふくらんで……そこに犯人が隠れていたりする時もあるんデス!ベッドの下に……仕掛けがあって、中にコワーイ遺体がしまわれてたりするデス……ブルブル。
 でも、手がかりは全然見つからなかったデス。
「どうかの?」
 おじいさんが、様子を見に来たデス。四葉、あわてて立ち上がると、ムツカシイ顔で腕を組んだデスよ。
「ウムム、マダちょっとわからないデス……これはよほどニュウネンに計画された犯行デス。間違いなく大事件デスよ。」
「うむむ、そうか。それは大変じゃのう。ところで、少し疲れたじゃろう。ケーキの残りとお茶でもどうかね?」
 四葉、それを聞いたらグーってお腹が鳴っちゃいマシタ。さっき、あんなに食べたのに……エヘッ。
「は、はいデス!ちょっとティータイム……じゃなくて、推理してみるデス!」


 四葉、おじいさんのゆらゆら揺れる椅子を借りたデス。
 パイプはないけど、甘いシナモン・バーをくわえて……プーって息をはいて、考えたデスよ。
「あなた、きっとどこかに忘れてきているだけですよ。明日になれば見つかりますって。」
 心配そうな顔のおばあさんが言ったデス。でも、おじいさんは、
「いいや、わしはそんなにモウロクしておらん!昨日もあの杖を持って散歩に行って、戻って来た後にいつもの場所にかけた。もう何十年もそうしておるんだ。間違いっこない。」
「ムムム……なるホドなるホド。するとやはりこれは、シュウトーに準備されたコクサイ的ダーイ陰謀に間違いないデス!」
「ほ、本当かね!?」
「そうデス!おじいさんの杖には、きっとスゴイ秘密が隠されてるデス!それが実は、イギリスがひっくりかえるような大事件の鍵になってるデスよ!」
「そ、そんな……ねぇ、四葉ちゃん……」
「むむ、だとするとわしの杖は……」
 おじいさんとおばあさんが、なんだかとても困ったような顔になったデス、アワワ、四葉言いすぎマシタか?
「で、でもまだわからないコトが多いデス!だから、何か杖について気になったことはないデスか?あ、杖じゃなくてもいいデス!昨日、お店にアヤシイ客が来たり、不思議なことはなかったデスか?何でもいいので、四葉に教えて欲しいデス!」
 四葉、タンテイ手帳を取り出したデスよ。
「うむ、そうじゃのう。杖は別にないが、昨日の店は……いつものようだったが。トーマスの奴が来て、いつものようにサッカーの話をしたり……ヘンリーの奴とは、馬の話でいつものように口ゲンカをしたり……うむ、そういえば昨日はめずらしく……そう、遠縁のリチャードの奴が来おったな。子供が生まれたのをこれみよがしに自慢しおったから、思いっきり怒鳴りつけてやったが……」
 四葉、それを聞いてピピーって来ちゃいマシタ。
 ひらめいたデス!
「それデス!その話、クワシク聞かせて下さいデス!」
「ん?別に関係なさそうだが……国際的陰謀ではないのか?」
 四葉、ちょっぴり赤くなっちゃいマシタ。
「そ、そうかもしれないデスけど、今の話から聞きたいデス!」
 おじいさん、うなずいて……四葉に話してくれたデス。
 心配顔のおばあさんがいれてくれた紅茶を飲みながら、四葉、一生懸命メモしたデスよ。
  
 


[67]短編『消えたおじいさんの杖(後編)』≫シスプリ: 武蔵小金井 2002年06月21日 (金) 23時12分 Mail

 
 
「Lon-don Bridge is falling down〜♪」
 四葉、石ダタミの道を走っていったデス。
 手がかり発見!ムフフゥ、四葉の推理によると……犯人は三人に絞りこまれたデス!
 パン屋のトーマスさん。
 仕立て屋のヘンリーさん。
 親戚のリチャードさん。
 この三人が、とっても怪しいデス。
 トーマスさんは、おじいさんとサッカーのチームの話をして。二人ともヒイキのチームが違うから、次の試合でどっちが勝つか口論になったそうデス。ドウキはそれに間違いないデスね。
 ヘンリーさんは、お馬のレースの話。この前の大きなレースでおじいさんの好きな馬が勝ったので、マグレだ、そうじゃないって、ケンカになったそうデス。だからきっと、おじいさんを困らせてやろうと計画したデスよ。
 リチャードさんは、しばらくぶりにロンドンに来て……おじいさんたちに生まれた子供を自慢していったデス。きっとおじいさんはそれに腹を立てて……アレレ?
 と、とにかく四葉、おじいさんからそれぞれのアドレスを聞いて、事情を聞きに行くことにしました。そう、昨夜のアリバイを確認するんデス!
 まずは……ムム、あれがトーマスさんのパン屋さんデスね。
「こんにちはデス!」
「おう、いらっしゃい!焼き立てのジャム乗せマフィンはどうだね?」
「あ、それ下さいデス!」
 とっても太ったおじいさんが、四葉に包んでくれたデス。四葉、まだあったかいそれを受け取って……わぁ、いい匂いでおいしそうデス。
「どうだい、お嬢ちゃん。おいしいかい?」
「はいデス!ジャムがとっても甘くて……あ!」
 四葉、すっかり忘れてマシタ。
「おや、どうしたんだい?」
「あ、あのデスね……」
 四葉、パンをかじるのを止めて、真面目に聞きました。
「その、骨董品屋さんのおじいさんのことなんデスけど……」
 四葉、質問したデス。トーマスさん、それを聞いて……


 残念、トーマスさんは犯人じゃなかったデス。
 昨日の夜はずっとパン屋の仕込みをしていて、家族の人とか働いてる人とか、みんなでいたそうデス。
 サッカーの話をしたら、次の試合のチケットが手に入ったから、おじいさんを誘って二人で見に行くんだって言ってました。今度は必ずうちのチームが勝つって。ムム、それだとおじいさんに杖がなくちゃダメだから……犯人じゃないデス。
「ムム、次は……あ、あそこデスね。」
 ミシンの音がするデス。看板に『仕立てのヘンリー』って書いてあるし、間違いないデスね。
「あの、こんにちはデス。」
 四葉が開いてるドアから覗くと、四葉よりちょっと歳上の女の子がミシンを止めて振り向きマシタ。
「あら、何かしら?仕立てのお使い?」
「ち、違うデス。四葉、ヘンリーさんに聞きたいことがあるんデスけど……」
「あ、おじさまなら、昨晩から工場の方に出ているわ。明日にならないと戻らないけど……?」
「そ、そうデスか。ならいいデス。お邪魔したデス。」
 四葉、頭を下げて走り出したデス。
 ムムゥ、昨日から出かけてるんデスか……だとすると、犯行は不可能デス。
 トーマスさんに続いて、ヘンリーさんもヨウギシャから外れマシタ。
 ムムゥ、すると犯人は……リチャードさんデスか!?


「ヌキ足、サシ足……」
 シッ。静かにしないと、気付かれるデスよ。
 アパートの中を、四葉コッソリ歩いてるデス。
 エッヘン。周囲にキキコミをしたところデスね、リチャードさんはおとといからこのアパートを借りているらしいデスよ。
 しかもデスね……何だかイロイロと廊下を走ったり、外出したり、ドタバタ部屋もうるさいって……それに、昨日の夜も何度も出入りしていたって、バッチリ聞きこみできたんデス!
 もう、これは間違いないデス!おじいさんの杖を盗んだ犯人は、リチャードさんデス!
 だから四葉、こっそりアパートの中に入って……二階の一番奥にある、リチャードさんの部屋に向かっているんデス。
 追いつめられた犯人は、何をするかわかりませんから……でも、四葉がシンソウを暴いてチェキのポーズをしたら、きっと降参するデス!
「あ、ここデスね……」
 管理人の太ったおばさんから聞いた、部屋番号……ウン、間違いないデス。
 部屋の中から……ムムッ、音がするデスよ。これは、聞き耳をたてるのが正解デス。
 四葉、ペタンって耳をドアにあてたデス。そうしたら……
「もうダメだ!こんなところじゃ暮らしていけないよ。どうしよう……」
「あなた、お願い。やっぱりおじいさんに……頭を下げましょう。ね?」
「それはダメだ。あの人が今さら、僕たちを許してくれっこない。」
「でも、この……」
 チェキ!
 四葉、もう何だか心臓がドーンって飛び跳ねそうになっちゃいマシタ。
 だ、だって……ホントウに見つけたんデス!
 犯人デス!リチャードさんが犯人だったデス!でも、ママさんはそれを止めようとしてるデス!
 四葉、どうしようかって考えました。おじいさんとおばあさんにしらせに……でも、行っている間に逃げられたら大変デス。ケイサツ……にしらせたら、でも、四葉は警部さんとか刑事さんとかに知り合いもいないし……
 そうしたら、中で……ドン!って大きな音がしたデス!
 あ、もしかして……アワワ!
 四葉、タンテイさんのお話に出てくるシーンを思い出しちゃいました。
 追いつめられた犯人が、説得に応じないで、ピストルを取り出して……オペラみたいなヒゲキになるデス!みんなみんな、クスンって悲しくなって……き、きっと四葉が捜査していることに気付いて、リチャードさんも……!
「だ、だめデス!思いつめたらいけないデスよ!」
 四葉、思わず……ドアを開けて、中に飛びこんじゃいマシタ。
 そしたら……
「えっ……君は?」
「ど、どなた……!あぁ、よしよし。泣かないで……」
 そこに、倒れかけたベビーベッドを囲んで、二人のヒトが……赤い顔のちょびヒゲの旦那さん……きっと、リチャードさんデスね。そして、ママさんが泣いてる子供を抱いて、あやしてるデス。
 ビックリしてる二人……と、泣いてる赤ちゃん。
 四葉、もう必死で……ピピッて指を指して、言ったデス。
「観念するデス!ちゃんと謝ったら、きっとおじいさんもおばあさんも許してくれるデスよ!だから、ゼッタイひどいこと考えたらダメです!そんなこと、四葉が許さないデス!」
 ビックリ顔のリチャードさん……目をむいてこっちを睨んだデス。四葉、何だか恐くなっちゃったけど、でもやっぱり、勇気を出しました。
「よ、四葉が一緒に謝りに行ってもいいデス!きっと、許してくれるデス!おじいさんもおばあさんも、優しいから……だから、取った杖を返すデスよ!」
 目をパチパチさせて、そして、赤ちゃんとママさんと四葉を見たリチャードさん……コワイ表情が消えて、それで……
「わかったよ……」
 うなずいてくれマシタ!そしたら、隣の奇麗なママさんも……
「あなた……」
 目がウルウルしてるデス。四葉も、何だか嬉しくなって……ジーンって来ちゃいマシタ。
 そしたら、リチャードさんが四葉を見て。
「ありがとう。ところで、君は……?見たことのない子だけど……あの人たちの知り合いかい?」
 四葉、何だかハナのトコロがくすんってかゆくなっちゃいマシタ。
 だから、上着をちょっぴりずらして……とびっきりのチェキのポーズをしたデス!
「四葉……タンテイです!おじいさんの杖の盗難事件を依頼されて、タンテイしてたデスよ!」
 そうしたら、また二人ともビックリした顔になって……それで。
「そ、そうなのか……ところで、四葉ちゃん。さっきも言ってたけど……盗まれた杖って、何のことだい?」
 四葉、そこでポーズが固まっちゃいマシタ。


 夕日の暮れた、タワー・ブリッジ。
 四葉、川辺をトボトボ歩いてたデス。
「あーあ……」
 後ろでとめてる髪を押さえて、思わず小石を蹴っちゃいました。
 テームズ河に、ポチャン。
 四葉、色々あって……落ちこんじゃったデス。
 その……あのデスね。
 リチャードさん、犯人じゃ……なかったデス。
 あのあと、四葉クワシク話を聞きマシタ。
 リチャードさんが、昔おじいさん夫婦と大ゲンカをしたこと。それでロンドンを離れて、ずっとバーミンガムで暮らしてたこと。
 実はリチャードさん……おじいさんとおばあさんの、子供だったんデス。それで、ケンカして飛び出したけど、ずっとそのことを後悔して、謝りたくて……それで、色々あったけど、今は仕事もちゃんとして、奥さんと結婚して、赤ちゃんも生まれたから、十何年ぶりかで、おじいさんたちに会いに……ロンドンまで、謝りに来たデス。
 でも、おじいさんは許してくれなくて……ケンカになりそうだったから、これからどうしようかって。あと、赤ちゃん……おじいちゃんとおばあちゃんのお孫さんデスね。赤ちゃんが、ロンドンに来てからお腹の調子が悪くて、それで夜もお医者さんに行ったり大変だったこと……
 だから、四葉がタンテイしたこと、みんな外れだったデス。
 四葉、リチャードさんにそれを話して、謝りました。でも、リチャードさんもママさんも、そんなこといいよ、って笑ってくれて。それより、飛びこんで来た四葉の話を聞いて……四葉、おじいさんとおばあさんの話もいっぱいしたデス。それで、もう一度謝りに行こうと決心したって。
 四葉、ママさんにお願いして、赤ちゃんを抱かせてもらいました。四葉がピッて片目を閉じたら、赤ちゃんが笑ってくれて……クフフゥ、とっても可愛かったんデス!
 それで、ペコンっておじぎして、アパートを出て来たんだけど……
 でも、それで思い出したデス。杖のこと。
 結局、杖を盗んだ犯人は見つからなくて……リチャードさんのわけ、ないデスから……
 だから、四葉、あーあって思って。やっぱり四葉、タンテイのお仕事は無理なのかなって……川辺に腰掛けて、行き来するお船を眺めてたデス。
「あっ……四葉ちゃん?」
 四葉、呼ばれて振り向いたら……そこに、おばあさんがいたデス。買い物かな?大きな袋を持ってて……四葉、役に立たなかったから、何だか悲しくなっちゃいマシタ。
「あの、あのデスね、ごめんなさい。」
「四葉ちゃん……?」
「四葉、タンテイできなくて……おじいさんの杖、見つからなかったデス……」
 そうしたら、おばあさんが四葉の頭を優しく撫でて……それで、ギュッて抱き締めてくれマシタ。
 四葉、何だか赤ちゃんみたいな気分になって……
「あのね、四葉ちゃん……謝らなくちゃならないのは、私の方なの。ごめんなさい……」
 四葉が顔をあげると、おばあさんが……すまなそうな顔で、四葉にうなずきマシタ。
「エッ……?」
 どうして、おばあさんが謝るデスか……?
「あのね、四葉ちゃん。杖を盗んだ犯人はね……私なの。」
 四葉、意味がわからなかったデス。
 おばあさん、四葉の目尻を、キュッて……ふいてくれたデス。
「本当に、ごめんなさいね。言い出せなくって……ごめんなさい。」
 それで、四葉をそっと放して……それで、置いてあった袋を開けたデス。
 そうしたら……
「杖……!」
 杖が……四葉もよく知ってる、おじいさんの杖が、そこから……おばあさんの袋から、出て来たんデス……!
「ど、どうして……どうしてデスか?おばあさんが……」
「うん。あのね、四葉ちゃん……」


 そーっとドアを開けて、四葉……こっそり、玄関に入ったデス。
「ただいま……デス。」
 ちっちゃく言うと、靴の泥をそーっと落として、寮母さんの部屋の前を抜けて……
 階段を、ソロリソロリ。
 ホッ……部屋のある階についたら、四葉やっと息をつけました。
 もう、すっごく暗くなってるデス。夕食の時間もすぎてるし……見つかったら、四葉間違いなくコワーイおしおきをされるデスよ。
 四葉、部屋の前に来て……ドアを開けて、中に入りました。
 明かりをつけて……上着をポイして、ベッドにバタン。
 それで……四葉、考えちゃいました。
 これで……これで、よかったのかな、って。
 あのデスね……あのあと、四葉、おばあさんの話を聞いたデス。
 あのね、本当に……おばあさんが、犯人だったデス。
 ううん、でも……それも違うデス。おばあさんは、悪いことをしたんじゃなくて……
 あのデスね、前も話したデスけど……おじいさんは毎日あの杖を使って、散歩をしてるデス。必ず、毎日毎日、歩いて……足が悪いから、杖が必要デス。でも、ずーっと使って来て、杖も痛んできたんデス。おばあさん、それに気が付いて……もしも散歩している時に杖が折れたりしたら、おじいさんが怪我をするかもしれないから……だから、修繕に出すようにって、薦めたんだけど。おじいさん、それはいやだって。この杖は何十年もわしと一緒だから、これが壊れるなら、わしも……って、他の杖なんていらんって、言ったそうなんデス。
 おばあさん、それで心配になって……こっそり修理に出すことを考えたんデス。でも、知り合いの修繕屋さんで、どんなに急いでも一日かかるって……
 おじいさんは、必ず毎日散歩に出るから、杖を修理に出す時間はなくて。それで、おばあさんが考えたのが……
 四葉の誕生日に、パーティをして……そのスキに、杖を修理に出すことだったんデス。
 四葉がおよばれしてるから、おじいさんも今日だけは散歩に出かけないデス。そのチャンスに、杖を修理に出して……次の日に、散歩に出るときまでに、杖を戻しておけばって。
 うまくいくって思ったんだけど、でも……四葉が、おじいさんの書斎に入って……それで、杖がないことに気が付いて……
 おばあさん、四葉にいっぱい謝りました。ごめんね、って。
 でも、四葉……首を振ったデス。
 おばあさんは、全然悪くないデス。だって、おばあさんはおじいさんを心配して……杖が折れたら、怪我をしたらって考えて……それで、気付かないうちに杖をなおしておこうって。そうすれば、おじいさんも安全に散歩に行けて、おばあさんも安心で……
 だから……だから、本当に悪いのは、四葉だったんデス。
 四葉が気が付かなかったら、うまくいってたのに……
 でも、四葉がそう言ったら、おばあさんは首を振って。
 私があの人に内緒で修理に出そうとしたことが、やっぱり悪いことだったの、って。杖は知らないって嘘をついたから、って。四葉ちゃんは悪くない、本当にごめんなさい……って。
 それで、杖を四葉に渡して……お店に帰りましょうって。
 だから、四葉……おばあさんと二人で、骨董品のお店に帰ったデス。
 そうしたら、店の前に、おじいさんと……リチャードさんたちがいて。
 リチャードさんたち、今までのこと謝っていて……おじいさん、許してくれたデス。
 それで、リチャードさんのママさんから、赤ちゃんを抱かせてもらって……おじいさん、とっても嬉しそうで。
 それを見てたおばあさんも、目が細くなって。四葉も、何だかジンってきちゃいマシタ。
 そしたら、おじいさんたちが、四葉とおばあさんに気が付いて。
「おう、四葉ちゃんか。お、それはわしの杖じゃな?見つかったのか?」
 四葉、ウ、ウンってうなずいて……おじいさんに。
「あ、あの……でも、四葉……」
「いや、嬉しいのう。杖も戻ってきたし、孫も抱けた。ありがとう、四葉ちゃん。ほら、お前もどこに行っとんたんじゃ。こいつらに、お茶でも出してやれ。」
 わははっておばあさんに笑って、おじいさん……四葉にそれ以上何も聞かずに、お店に入ったデス。
 リチャードさんたちも入って……四葉もまた、およばれして。
 みんなで、お茶を飲んで、それで、ケーキとか色々食べて、パーティのやり直しをしたデス。
 四葉の誕生日と……リチャードさんたちと、おじいさん夫婦の仲直りの、ダブル・パーティ。
 四葉、パーッて騒いじゃったけど……
 今は、なんだかフクザツです。
 タンテイのこと、おじいさんとおばあさんのこと、リチャードさんたちのこと、杖のこと……
 結局、四葉は何ができたのかなって。


「四葉さん……?」
 ン……ムニャ?
 四葉、目がさめたら……ベッドの上だったデス。
 それで、横に……ワワワ!
 コワーイ顔の、寮母さん……腕を組んで、四葉を睨んでるデス!
「こ、ごめんなさいデス!おはようございますデス!」
 遅刻しちゃう!四葉、跳ね起きて……謝りマシタ。でも……アレレ?
 外はまだ、まっくらデス。
「おはようではありません!四葉さん、何ですかその格好は!普段着のまま寝るなんて……髪もそのままで!靴だってそろえていない……おやすみの挨拶はどうしたんです!」
 アワワ。四葉、あわててパーッて服を脱ぎました。それで、パジャマを……
「よ、四葉さん、人前ではしたない!それに、ベッドの上でバタバタして、皆に迷惑ですよ!」
 ますます怒られちゃいマシタ。
 四葉が謝ると、寮母さんはもう少しだけオコゴトを言って……
「それで、四葉さん。あなたに届けものです。」
 そう言って、後ろから……大きな包みを、四葉に渡したデス。
「あなたは今日、お誕生日なのね。いいですか、四葉さん。これからは一年歳上のお姉さんなのですから、少しはお行儀よくして……」
 またオココドが続いたケド、でも、でも四葉、その包みをじっと見て……
 包みは、ニッポンから……ニッポンの……!
「あ、兄チャマだー!」
 四葉、おっきな声で叫んじゃいマシタ。
 寮母さんがビックリしたけど、だって、だって……
「兄チャマからのプレゼントです!キャッホー!兄チャマだー!」
 四葉、包みを抱いて、ゴロゴロってベッドを転がって……ドシーン!
「よ、四葉さん!こんな遅くに……他の皆さんの迷惑も考えなさい!」
 エヘヘ、すっごく怒られちゃいマシタ。
 でも、でも……いいんだモン!


 寮母さんと……起きて来ちゃったみんなにもオヤスミを言って、それで四葉、部屋に戻りました。
 壁に……ハンガーにかけてあるのは……兄チャマのくれた、赤いカーディガン!
 真っ赤じゃなくて、薄いベニ色の。コートみたいにたくさんボタンがついてて、でもちっちゃくて可愛くて、袖はそろえて折ってあって、それでそれで、四葉の大好きなポケットもいっぱいあって……すっごく素敵なんデス!
 バースデー・カードが同封してあって……

 日本はもうすぐ夏だけど、ロンドンはまだ寒いって聞きました。四葉はよふかしなんてしてないかな?寒いときはこれを着て、カゼをひかないようにね……

 って、兄チャマが……!
 四葉、カーディガンをギューッて抱き締めて、何だか嬉しくってそのままゴロゴロしちゃいました。だって、兄チャマがくれたものは何でも大好きだけど……服を贈ってくれたのって、はじめてだったんだもん!とっても可愛くて、キレイだし……四葉、さっそくパジャマの上にそれを着て、エヘヘ、兄チャマにお礼のお手紙を書くことにしマシタ!

 どう書こうかな。何を書こうかな。プレゼントのお礼はモチロンだけど……あ、そうだ!今日のこと……
 四葉、今日の……四葉の誕生日のことを、兄チャマに教えようと思って書き始めました。
 兄チャマ、四葉は結局……何ができたのかな?
 タンテイは失敗しちゃったけど……おじいさんとリチャードさんが仲直りできて、よかったデス!
 でも、おばあさんの気持ち、四葉ゼンゼン気付かなくて……四葉も、いっぱい色んな人をウタガって……犯人だ、事件だーって……失敗ばかりしちゃったデス。
 兄チャマは、こんな四葉……どう思うデスか?

 それでね、そのことを書いてたら……四葉、ピーンって思いついたデス!
 そう、やっぱり四葉は……兄チャマをチェキするんだって!
 タンテイをして……失敗したけど、でも、ホントのことを知って……四葉、フクザツでした。キャッホーって、楽しいことばっかりじゃなくて……タンテイって、とっても大変だって。
 でも、でもね……兄チャマのことだったら、きっと、タンテイしても、楽しいことばかりだと思うんデス!
 だから、四葉は……これからもっと徹底テキに、兄チャマのチェキをしちゃうって決めマシタ!
 それで、兄チャマのチェキがたくさんできて、それで、それで、いつか兄チャマに逢えたら……
 そうしたら、四葉もタンテイに……一人マエに、なれるかな?って思って。
 四葉、今はまだコドモかもしれないけど……がんばって兄チャマをチェキして、名探偵になるデス!ムフフゥ、そうしたら兄チャマのヒミツはぜーんぶ、四葉がわかっちゃうから……
 うんっ!四葉のヒミツも、兄チャマにぜーんぶ教えてあげちゃう!
 そうしたら、四葉と兄チャマはヒミツもいっしょの、世界で一番仲良しの兄妹になれるもん!
 うーん……もう今から待ちきれないデス、兄チャマ!
 よーし!明日からまた、兄チャマの秘密をチェキチェキ、チェキっ!
  
 


[68]バースデーなあとがき: 武蔵小金井 2002年06月21日 (金) 23時21分 Mail

 
 四葉、お誕生日おめでとう!

 まにあってよかった……ホント、色々あってギリギリでした(笑)。ゴメンねっ。
 それなりに前から準備していたような……気もするのですが。
 なんだか、ヤハーリ急場なアップだったり(汗)。

 とりあえず、内容はナイヨーというか、ただロンドンで事件だーという感じになってしまいました(笑)。
 相変わらずのシスプリ系列私的解釈が炸裂していますが、どうか御容赦下さい(汗)。
 これを前フリに、妄想……じゃない、構想二ヶ月の「すべチェキ」に取りかかる……かもしれませんが、予定は未定な感じで(笑)。

 とにかく……今日はおめでとう、四葉ちゃん!
 W杯、イングランドは負けちゃったけど……(涙)
  



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