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[819] ミルク キャラメル クリスマス
美城久 - 2005年01月23日 (日) 19時55分

「もうすぐクリスマスか…」
 くしゃくしゃになったベッドの中で、祥一がつぶやく。
 毛布から出た薄い肩に、うっすらと噛み跡がついている。
 さっき抱いたとき、たまらずに甘噛みした跡か。

 祥一と知り合ったのは、ちょうど昨年の今ごろ。
 いや、もっと後だったかもしれない…。

 たまに行っていた映画館で、偶然、目が会った。
 からかう振りして近寄ると、綺麗な顔して、あんたもゲイだろって言いやがった。
 フリーなのかって聞いたら、今だけねとぬかす。
 思いっきり誘う目で。

 じゃ、ご期待通りにとホテルに連れ込んだ。

 見た目細い体から余計な服をはがすと、しっかりしまった食べごろの極上品があらわれた。
 生えている毛すらも見た目を損なわない。
 滑らかなミルク色の肌の触り心地の良さときたら驚くほどだ。

「程好く鍛えた逞しいからだじゃなきゃ抱かれない」
 ベッドに入る前に祥一は言った。
「じゃぁ、俺は?」
 バサッと服を脱いで、審判をあおぐ。
「あんたは、…合格。これもちょうどいい大きさだし」
 ためらわずに口に含み、慣れたような舌がいい感じに這い回る。
 時折見える艶やかな舌と形のいい白い歯。
 こんなモノを咥えてもてあそんでいても少しも淫乱に見えない顔立ち。

「あ……んん…っ」
 口の中で硬く大きくなり過ぎたのか、祥一は咥えこむのをやめ顔を上げた。
 色づいた唇の端に透明な雫がこぼれようとしている。
 それを指で拭おうとする俺の手をとり、目を閉じ、掌に頬を摺り寄せる姿に心を持っていかれた。


 それからずっとこの気まぐれな男の言い成りだ。

 会って欲しいときに時間があれば会ってもいいけど、余計な詮索も干渉もしないでくれと言われた。

 お互いの名前と、少しの略歴、それから携帯の番号程度しか知らない関係。
 一番詳しく知っているのは、互いのからだと感じ方だろう。

 後腐れないつきあい……はじめはそれでもよかったのだが…。


「クリスマスにどこか行かないか?」
「クリスマスなんて…どこもフツーのカップルでいっぱいだろ」
 それはそうだ。
 祥一と出会うまで、毎年クリスマスは仕事をしていた。
 今年は25日が土曜日なんで、休もうと思えば休めると言おうとしたところで、祥一がベッドから降りていった。
 何だと思っていると服を着ながら、こちらを見ずに言った。

「それに用事あるから」

 突き放したような言い方。

 誰とどこに行くんだという情けない言葉がもう少しで出そうになる。
 たぶん祥一の相手は俺だけじゃない。
 まだ学生で遊ぶ相手のたくさんいる祥一を、俺は引きとめておくことができない。
 こうして会って、ベッドで熱く抱きしめあっても。

 ジリジリと胸を焼く嫉妬。

「別れたいのか?」
 服を着終わった祥一の背中に投げつけた言葉。

「どうせ俺じゃ満足できなくなったんだろう?」
 溜まっていた鬱憤を晴らすように祥一にひどいことを言ってしまう。

「新しい男ができたのなら、はっきり言えよ」

 祥一の唇は閉じられたまま。
 眉根を寄せ、冷たい瞳で一瞥すると、コートをつかんで出て行った。

「祥一!」

 なんてザマだ。

 クリスマスにかこつけて誘い損ねたうえに、とんだ醜態をさらした。

「クソッ」
 苛々した気持ちを紛らすために、手っ取り早く煙草をくわえた。

 俺だって、甘いベタベタした関係を望んでいるわけじゃない。

-------そういう関係って、ミルクキャラメルに似てるよね。

 いつか祥一が言っていた。
 子どものころはいくらでも食べれたけれど、もうそんな甘ったるいもの食べれやしない…。
 俺の煙草を横取りして吸いながら、そんなことを口にしていた。


 今ごろになって、俺の小さいころの好物がその甘いミルクキャラメルだったことを思い出す。


 何度連絡しても祥一から返事が返ってこないことに焦り、心当たりの所に祥一のことを聞いてまわった。

 気が抜けるほどあっさりといろんなことがわかった。

 祥一の住んでいる所。
 よく行く所。
 バイト先。
 友人関係。
 実家。
 家族関係。

 大方の人の話では、祥一は人目を惹く外見の他は、ごく普通の大学生にしか見られていない。

 その中で、祥一がゲイなのを知っている男がいた。

 彼のバイト先のレストランバーの店長だ。
 ノッポのヒゲ面店長は、自身もゲイなんだとこっそり告げた。

「でも、私の好みは、江藤くんみたいな綺麗系じゃなくて、ごつくって逞しい野郎系でね。そう、ちょうどあなたみたいなの」
 にっこり微笑まれ、冷や汗の出そうな笑顔にどう対処しようかと焦っていると
「あら、安心してちゃんと相手いるから。そんなことより、江藤くんは、外見の割に地味な子でね。ゲイって言っても不特定多数の人とつきあうような子じゃないわ。私の見たとこ、つきあってるのはあなたとだけでしょうね」
 なぜそんな確証もなしに断言できるのだろう…。
 いぶかしげに思う俺を見て店長はフッと鼻で笑い、
「そんなこと、同類のカンよ」と、こともなげに言った。

 じゃぁ、祥一はクリスマスを誰と過すつもりなのか…。

「クリスマスの賑やかさが嫌いなんだって、他のバイトの子に話していたわね。25日まで実家に帰るって休みをとってるのよ、江藤くん」
 知りうる限りの情報を事細かく教えてくれた店長に礼を言うと、お礼はボトルキープとチュウでオッケイよと言われた。


 俺は、追い返されるのを覚悟で、祥一のもとへ向かった。

 寒々としたクリスマスの朝。

 タクシーで、冬晴れの見知らぬ街を走っていると、こじんまりしたお寺に入って行く見慣れたコートが目に入った。
 間違いない、祥一だ。

 タクシーを停めて、後を追う。

「祥一!」
 静まり返った境内に声が響く。

 綺麗に剪定された椿の木立の中に、祥一は立っていた。
 玉砂利を踏みしめる他は何も音がしない。 

 近寄って声をかけた。

「クリスマスにお寺参りかい?」
「クリスマスに静かな所ってここぐらいでしょ」
「今からなのか?」
「聞いたの?」
「ああ…あのヒゲの店長に」


『25日はね、江藤くんの母親の命日なんですって。父親は再婚しちゃってるんで、墓参りするのは自分だけって言っていたわ。クリスマスが命日じゃ、騒ぐ気にはなれないでしょうね』 


「どうして話してくれなかった?」
「…辛気臭い話なんか聞きたくないかと思って」
 すねた子どものような顔をして祥一はうつむく。

 手離したくないと思った。ここがどこでもかまわない。
 心のままに、祥一を抱きしめた。

「ずっとそばにいてくれ、祥一」
「遊びじゃなかったの?」
「何だって?」
「最初に遊びだって言ったのはそっちだよ。…それで、こっちは深入りしないように気をつけていたのに」
 そうだったのか。そう言えば、誘い言葉でそんなことを言ったかもしれない。

「じゃあ、改めて訂正する。遊びじゃなく本気のつきあいだ。いつもじゃないけどたまにはこういうのもありの」
 俺は、ポケットの中に入っていたものを取り出し、祥一の掌にのせた。

 掌の上の黄色い箱を見て、祥一が笑った。
「かわったクリスマスプレゼントだね」
「メリークリスマス…って雰囲気じゃないけど」

 嬉しいと小さな声で言う祥一を、再びしっかり抱きしめた。
 手にミルクキャラメルの箱を握りしめ、祥一も抱きしめかえす。

 そして、唇が触れ合うだけのキスをそっと交わした。

 残りは、夜にとっておくことにして。

 メリー ミルクキャラメル クリスマス…



     THE END

[820] もうクリスマスは終わってしまいましたけど
美城久 - 2005年01月23日 (日) 20時00分

甘々カップルのお話です。
もっと早くに投稿しようと思っていて、年を越してしまいました。
時期を大きく外していますけど、どうぞよろしくお願いします。

[822] ご感想ありがとうございます。
美城久 - 2005年01月25日 (火) 19時44分

睦巳左菜様、ご感想ありがとうございます。
自分に都合の良い感想を聞きたければ、こちらには投稿していませんので、いろいろなご指摘ありがたく拝聴いたしました。
ちょっとサラッと書きすぎて説明不足のうえ、心理描写も全然書けていないなぁと反省してます。
行間は意図せず開けてました。読みにくくてすみません。

[824] ご感想ありがとうございます
美城久 - 2005年01月25日 (火) 23時33分

PON様、ご感想ありがとうございます。
ご指摘の通り、小道具の使い方と伏線の張り方、まだまだですね。
思いつくまま書いているからだと猛省中です。
自分で書いていながら、ミルクキャラメルと母親のつながりを
まったく考えていませんでした。
そっそう言えば!!とか今ごろ気付いております。(焦)



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