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[673] 王子様はトラクターにのって
稲葉 恵 - 2004年08月12日 (木) 01時44分

「なんにもないんだな……ほんと……冗談みてぇ」 
窓の外を流れてゆく、あおあおとしたたんぼだらけののどかすぎるぐらい、のどかな景色に遼は思わず呆れと感嘆の声をあげた。
親の転勤という、ありがちな理由で彼、柴崎遼は転校を余儀なくされたのだった。
 二学期始まりからの転校生などワケアリっぽくて嫌だとごね、一人で東京に残ると言い張ったが、もちろんその願いは聞き入れられなかった。
 ほとんど強制送還もいいところで今にいたる。
 で、今日は初めての登校だ。
編入試験は東京で受けたからどんな土地なのか、遼は知らなかった。
 こっちに着いたのは昨日の夜で、景色など全く見えなかったから今見ているものがはじめて見るものだ。
そう、全く見えなかった。
どこも漆黒の闇に包まれていたのだ。
 たかが九時で。
「ハンパじゃねー田舎だな…」
「そう言うな。空気はいいし、食べ物もおいしい。いいことずくめじゃないか」
「そりゃ…親父にしてみればいいだろうよ。昇進するわ、給料上がるわ」
「そう腐るなって。住めば都と言うだろう?」   
にこやかに言ってのける父に、遼は呟く。 だめだこりゃ…。




「さぁ、着いたよ、遼。今日からおまえの通う高校だよ。ほら、降りた降りた」
 父の楽観思考にぶちぶち文句をいっているうちに車は遼の編入先、興譲館高校へと到着していた。
 


「初めまして、柴崎遼くん、だね。私は担任の色部です。よろしく」
 さわやか優男風の担任、色部は遼の前を歩きながら学校説明を始めた。
「この興譲館高校は、藩校を源流とした高校でね。男女共学には違いないんだけど、男女七歳にして席同じゅうせずという教えで、クラスは別々なんだ。校舎は一緒なんだけどね。ああ、クラスは違っても男女交際禁止なんて古くさい校則はないから安心して」
「は……はぁ……」
 空気の抜けたような返事を返す遼に、それでも色部は笑顔を崩さない。
「このへん、なんにもなくてびっくりしたでしょう? そのせいかどうかはわからないけど、校舎がやたら広くて……迷子よくいるんだ。かくいう私も…よく迷子になりました」 確かにこの学校は広い。敷地も広いが(なんてったってグランド三つにテニスコート弓道、柔道、剣道場が武家屋敷よろしく建ってる)そして校舎も五棟ある。
 この調子だと、移動教室のたびに迷子になる可能性は大だ。
「だからね……あー…着いてしまった…まぁ…おいおい説明するよ」
 のんきだ。のんきすぎるくらいに。
 田舎の人間という者はみんなこうなのだろうか……?
一抹の不安を感じる遼を置いて色部はさっさと教室に入ってしまった。
「ホームルーム始めるぞー座れー。
今日は転校生を紹介するぞ。 
柴崎遼くんだ。あー…みんな仲良くしてやるように。そうだな…学級委員の司、席も隣だし、面倒見てやってくれるか? じゃ授業始めるぞー」

「よろしくお願いしマス……」
 色部に示された、インテリジェンスなオーラ発射しまくりな、メタルフレームの学級委員殿の隣に座る。
 で、おっかなびっくり挨拶して。
 きみ、授業中に話しかけないでくれたまえ! なんて言われたらどうしよう、とか思いつつ。
でも、返ってきた返事は無愛想だけれど、つんけんした態度ではなかった。
「はじめまして、柴崎…でいいか? わからないことがあったら遠慮なく聞いてくれ。
おまえ、ここまで何で通うつもりだ? 電車か? じゃあ帰りは一緒に」
 司は、淡々とした口調で、さくさく物事を決めてゆく。
 遼の返事も聞かずに、だ。
「そこまで心配してもらわなくても一人ででも帰れると思う…けど…」
 確かに自分はここには慣れていない。
 けれど、一人で帰れないほど、子供ではない。
 顔にでかでかとクエスチョンマークをはりつけた遼に、司は教師に気を使った小声で応える。
「危ないんだ。出るぞ、ここ」
「えっ!? な…なにが…? お…お化け…?」
 来たばかりでなんだが、即行で東京に帰りたくなってしまった。
 そりゃそうだろう。
 ここは藩校を源流とした学校、鎧武者の一人や二人、出てもおかしくない雰囲気を持っているのだから。
「違う違う。部員欠乏の部による部活勧誘の野郎どもだよ。あと不埒な輩」
 本気で顔色をなくしていた遼に、司が笑いながら否定する。
 ふっと見せた司の笑顔は、冷たいイメージのメタルフレームとはとても釣り合わないくらい人なつっこいもので、失礼にも遼は驚いてしまった。
イメージ的に笑わないか、それでなければ皮肉っぽく冷たく笑うものと思ったから。
「ただし、荒っぽい体育会系の部ばっかりな。間違いなくケガするぞ。一人で帰ると。
俺と一緒の方がまだ、安全だと思うけど」
「そ……そう…か? じゃよろしくお願いします…え……えと……なにくん?」 
思わず遼は指先マイクを司に向けた。
 仲よさげな会話をしておいて、まだ遼は彼の名を知らなかった。
昨日考えた、よろしく××君にっこり、で完璧にさわやか転校生してやろう計画は脆くも崩れ去ったのだった。
別に崩れても大したことはないが。いじめられるわけじゃなし。
「あれ? まだ自己紹介してなかったか。
司桐人です。姓名どちらもファーストネームぽいから好きな方で呼んでくれて構わないから。まだ教科書、もらってないだろう? 
見せてやるからもっとこっち寄れよ」
ちょいちょい、と手招きすると、ずり落ちてもいないシルバーフレームのメガネを押し上げた。
これでいて、実は照れているのかも知れない。遼は心の中で密かにかわいいと思ってしまった。



「このちはやぶるはー…」
黒板前で必死に授業している教師そっちのけで、遼はお隣さん、司の顔を見ていた。
すっと通った鼻筋、メガネの奥に隠された涼しげな目元、黒々としたストレートの髪、どれをとっても若武者みたいでりりしい。
 同姓の目から見てもこれだけかっこいいとすれば、女の子にしてみれば超絶かっこいいことになるだろう。
彼女さんになりたい女の子は引く手あまたで、などと遼は勝手な想像を膨らませてていた。
「柴崎、教師がかわいそうだ、俺のツラじゃなく黒板を見てやれよ」
「えっ? ああ、わりぃ」
指摘されるまでずっと遼は司を見つめ続けていたのだ。
いくら授業に集中しているとはいえ、人の視線というものはあんがい気になるものだ。
 内心、気を悪くしていたとしても頭ごなしではなくやんわりと注意するそのそつの無さに『大人だなー』と遼は感心する。
これが「じろじろ見んじゃねぇよ。やんのかコラ」などといいがちな前のクラスメートとは大きな違いだ。
「ごめん。じろじろ見て。悪気があるわけじゃないんだ。その…かっこいいなぁと思って」
 もちろんこのセリフだってからかってやろうとかそんなつもりは遼には全くない。
本当にそう思ったから言っただけなのに、司は瞬時に顔を赤くして。
「ばかなこというなよなっ」
小声で怒鳴ったつもりでも静まり返った教室にはけっこうなボリュームで響き教師からチョークを飛ばされたのだった。
「くそっいらん恥かかせて…。帰り撒いてやる」
「うわ…そんなつもりじゃ…ごめんっ」 
あせる遼のうしろで平和に授業終了のチャ
イムが鳴った  。








 撒いてやるなどと司は言ったが、幸いそんなこともなく、無事車中の人間になったのだった。
「うわー。線路一本しか無いっっ。
しかも二両!! すげーなんか、かわいい…」
 がたんごとん、音を立てて野っ原の中を走ってゆく電車内での会話。
怪訝そうに眉間に皺を寄せた司に遼は気分を害したとでも思ったか、慌てて言いつのる。
「あっ別にこれ、バカにしての発言じゃないぜ。こう、なんて言えばいいのかな、風情があるっていうか、趣?があるじゃん」
 そう言って遼は真横に立っていた司を見上げた。
司の方が遼よりも十センチ強、背が高いので、どうしても見上げる形になってしまう。
 勉強バカは身長平均を下回るもの、という先入観を持っていた遼としては、内心ジェラシーでいっぱいだ。
 それでもそのまま感情を露わにするほど、遼は子供じゃない。
 ひゅーやるじゃんオレもー、そう心の中で思ってたとしても。
「司達にとってはさ、見慣れてありふれたものなのかも知れないけど、ビルの乱立する東京砂漠しか知らないオレにとってはきれいだよ。見渡す限り緑の海でー。いいなぁ。
でさ、この緑のぼうぼう生えてんの……豆?」
そんなセリフが遼の口元からこぼれ落ちた瞬間。
電車内の空気が一瞬にして凍りついた。
にぎやかだった車内がしーんと静まり返って、無機質な空調の音だけが響く。
 遼はこのおかしな雰囲気に気付きもしない。 耐えられないのは司である。
「柴崎……もうちょっと声のトーン…落としてくれ……。恥ずかしい」
 周りの乗客の、しらーっとした視線をものともしない遼は鈍いのかド鈍いのか。
「なにがさ? なんかここ雰囲気悪くね?」 やっぱり気付いていない………。
 この空気を作り出したのは自分だというのに、だ。
「柴崎……わざと、か? どこをどう見たら豆に見えるんだ?! 稲だろ、稲! いっつも食ってるだろう!?」
「へぇー…米ってこんななんだぁ…初めて見た。なんか…普通の草なんだな。
てっきり木になると思ってた」
 このセリフにまた周りの空気の温度が下がったのは決して気のせいではない。    「もういい……」
 がくりと肩を落とした端正な顔立ちの青年に周りの視線は、温かかった…。




 
「どうしよう……」
 カンペキに迷ってしまった。
 きょろきょろ辺りを見回すが同じような校舎に似たような階段、現在位置さえもわからない。
 転校してきてからもう一週間。
それでもやっぱり校内の全貌を把握することはできず遼は校内で迷っていた。
 頼みの綱の司も今はいない……。



「どうかしたのか? あと五、六分で授業開始だぜ。あ、迷ったとか?」
「はぁ……」
 途方に暮れる遼に、にこやかに話しかけてくる人がいた。
 学ランのボタンを上三つまでもはずして、頭もひよこ色三歩手前の軟派っぽい雰囲気の人物だ。
 襟元につけられた学年章から三年だというのがわかる。
「あれ? でも二年だろ、その学年章だと。ああこの前の転入生な」
「はぁ。あのー、生物室ってどこすか?」
 人を見かけで判断してはいけないと思うが、
こういったガラ悪めのにいちゃんに深入りしていいことはないと遼は経験上知っていた。
 さっさとこの場を立ち去りたくて話をまとめにかかる。
「生物室な…けっこう遠いぜ。こっからダッシュで行っても間に合うか……口で説明するよか案内した方が早いな。こっちだ」
 すでに案内する気まんまんの彼に、遼は心の中でだけ困った顔をした。
「いやーでも先輩こそ授業遅れますよ」
 気遣うフリして撒こう作戦を発動させるが、ナンパ男は気がついたものが気付かぬものかぬけぬけとこう、言ってのけた。
「サボリ。古文のじーさんの話なんか聞いてたら寝ちまうもん」 
「あはは…そーすか」 
 力無く遼は笑うだけだった。  




  
「なんか……道、違うくありません?
オレ、行きたいの生物室で体育館じゃないんすけど……」
 いくら遼がこの学校の地理に疎いとはいってもここまで派手に違うとわかる。
 生物室は体育館そばになどはないのだ。
「いいんだよ、こっちで」  
 遼の声に振り向いた三年の顔にはさっきまでのにこやかさはなく、欲望にぎらつく下卑た笑いが張りついていた。
「な………に…ちょっ!!」
 身の危険を感じ逃げようとしたが軟派三年の方が一瞬早かった。
 遼の腕をひっつかみ、部室もどきのような部屋に引きずり込まれた。
 入った瞬間に汗と煙草のいがらっぽい臭いが強く鼻をつく。
「遅かったじゃん、カワシマ。おや、今日はカワイコちゃんと一緒かよ」
 ぎゃはは、と野卑な声が中からかかる。
 明るいところから突如、暗いところに入ったせいで目が慣れず、まだよくものが見えないが、声から察するに数人はいるようだ。
「おまえは落ちてるものなんでも拾うからなぁ、今度は人間かよ」
「ちげーよ、校内で迷ってたから案内してんの」
 ガラの悪い輩が数人、案内された人のこなそうな部室。
 中の様子を見た瞬間に遼の身体から、一気に血の気が引く。
(ヤベ……ボコられる……ッオレ、目立つようなことなにもしてねーのにっ)
 無意識のうちに後ずさるが、戸にぶち当たって終わり。
 逃げようにも戸口には川島、奥に出口はない、絶体絶命の大ピンチだ。
「なーに青くなってるんだぁ? ちょーっとオニィさんたちと遊ぼうかぁ?」
 気持ちの悪い猫なで声で近づいてくる川島たちから身を守るように、生物の教科セットを抱きしめた。 
 遼の全身を恐怖が満たす。
「おい、暴れられねぇようにそっち押さえとけ。口にタオルでもかませてな」
川島は顎をしゃくって舌なめずりせんばかりの仲間に指示を出す。
 それにほかの奴らは無言でうなずき、強い力で遼をほこりまみれの床にひき倒した。
殴り返そうにも腕は頭の上にホールドされ動くことも叶わない。
 もし腕が自由だったとしても、持っていたのは教科書類だけ、それでは小学生の武器にもなりはしない。
 その教科書でさえひき倒された段階でどこかにばらまかれ手元にはない。
「大人しくしてればイーキモチにさせてやるからよ。あばれんじゃねぇぞ」
煙草臭い息をはきながら囁かれ、やっと遼は気付く。
これがただの喧嘩、いちゃもん付けではなかったということ。
自分がそういう、性欲の対象としてみられていることに。
 自分が想像していたのは肉体的暴力で。  だが、実際はボコボコにされるよりも精神的にキツい暴力だった。
のしかかる男共を遼はまなじりが切れるほどに目を見開き、睨みつけた。
なぜ自分がこんな目に遭わなければならないのか、わからない。
なぜ男の自分が男に押し倒され、なおかつこんな辱めを受けなけばならないのか。
 肉体的暴力の方がまだマシだ。
身体の痛みならば我慢すればいい。それに傷だっていつかは治る。
 だが精神的苦痛は…心に大きな傷を残す。 そしてその傷は目に見えないだけにやっかいだ。
抵抗らしい抵抗もできないままワイシャツを開かれて胸元があらわになる。
 暑いから、という理由でTシャツを着てこなかったことを遼は後悔した。しかしこんな状況で布一枚がなんの役に立っただろうか。
 ちぎれたボタンが飛び散るさまがまるでスローモーションのようにみえた。
 ゴツゴツした男の手がワイシャツの合わせから忍び込み胸元をなでまわす。
あまりの気色悪さに口の中が苦い唾でいっぱいになり吐き気がする。
叫ぼうにも口の中にタオルが詰められているため、くぐもった声にしかならなかった。
「叫んでも無駄だよ。疲れるだけだからおとなしくしとけって。オレら、うまいよ」
 わざとらしいくらいに優しげに囁くから、逆にムカつく。     
足の方にいたヤツを蹴飛ばしてやろうとして逆に押さえこまれてしまった。
 万事休す、もうだめだと絶望にも似た思いが身体を満たす。
悔しさと屈辱に涙がこぼれた。
「あらら泣いちゃったー、手荒なことすんなっていっただろ」
「おめーのツラこそ暴力だぜ。あまりにもマズイっつーの」
ぎゃははと野卑な笑いが起こったが、遼はもう抵抗する力さえなかった。
絶望すると力が抜けるものだと身をもって知った。
それをいいことに川島たちは手早くズボンを脱がせにかかる。
と、そのとき。
 突如、激しい音を立てて扉が内側に倒れ込んできた。
 ちなみにこのドアはけっして内開きではない。引いて開けるもので蹴破るものではもちろん、ない。
その場にいた全員が身体を竦ませ、後ろを振り返ると、そこには少し息を乱した司の姿があった。
戸口に仁王立ちになった司は言葉を失っている川島たちをみわたし、ほんの少しだけ目を見開く。
 あからさまではないが、少なからず度肝を抜かれているらしい司に遼は焦った。
 自分で脱いだのでしないにしても、ワイシャツははだけ、ズボンはひざあたりに引っかかっているだけというかなり淫らチックな格好になっていたからだ。  
「つ……かさ……っ」
 弁解しようと口を開くが、出たのはひきつった掠れ声だった。
 そんな弱った声で名を呼ばれた瞬間、司の身体から紅蓮のオーラが立ち上った、ように見えた。
 今まではっきり感情を表すところを見たことのなかった遼はそんな司の様子に目を見張る。
 怒りにらんらんと目を見開き、遼の上にのしかかる川島を鋭く一瞥し、まわりに立っていた外野をも息の根を止められそうな殺人光線で睨みつけた。
「先輩方……こんなところで、なにしてらっしゃるんです? ずいぶんと楽しそうじゃありませんか」
口調も丁寧で声も静かなものだ。だがその静けさが逆に怖い。
「先輩がどんな趣味を持ってようと自由ですが…もちろん、合意の上なんでしょうねぇ?柴崎は半泣きのようですが」
「あっ…あああ当たり前だろ。そっちの方から声かけてきたんだからな…っ」
川島がとんでもないことを言い出す。
遼の方から誘ったなどと、これでは自分が淫乱あばずれみたいではないか。
あわてて遼は腕を高速ワイパーさながらに振って否定する。
「違う! 違うぞ、ただ道聞いただけじゃん。いい加減なこと言うなよ」
かみつく遼に司はまるでわかっているとでもいうようにうなずき、川島の方に向き直った。
「  そう柴崎は言ってますが。
さて僕はどうしたらいいと思います?
一、このまま問答無用でボコボコにする。二、先生を呼んで引き渡す。三、柴崎と同じように辱めを受けてもらう。どれがいいですか?」
穏やかな口調に似合わない非情な内容に遼は哀れんでしまう。が、止めようとは思わない。
「どれも嫌、そうですか。じゃあさっさと僕らの前から消えて下さい!!」
 すさまじいばかりの怒気を滲ませて司は戸口を指さした。
「ちくしょう!! 覚えてろよっ」
負け犬の捨てぜりふを吐いて川島たちは転がるように出ていった。
「そんなことに脳のメモリーさくなんて、もったいないことするか、ばーか」
べろべろべーと舌を出す遼に司は咳払いを一つ。
「それはそうと……ずいぶんと刺激的な格好だな」
頭のてっぺんからつま先まで舐めるように一瞥され、遼は自分が今どんな格好なのか思い出した。
「わぁぁぁっっ」
あわてて襟元をかきあわせてしまうほど、司の視線がいつもと違って思えた。
川島たちが見せた視線とほんのとちょっと、ほんのちょっとだけ似た、熱を帯びた視線。
このとき感じた視線の意味をまだ二人はわからない。
 無意識のうちに遼に目を奪われてしまった司でさえ、未だ気付いていない。
 心の奥にいつの間にか芽生えた、小さな恋心が大きく育とうしていることに。





三時間目も半ばをすぎて、しんと静まり返った廊下を二人並んで歩く。
「よくオレがあそこにいるってわかったなあ。司が助けてくれなきゃ今頃どうなってたか」
正面きって礼を言うのが恥ずかしい遼は足元を見たまま、てくてく。
「保健室の窓からおまえが連れ込まれるとこが見えたんだ。うっかり試験管壊しちゃって、片づけるときに手ぇ切っちゃってさ。
道に迷うのは仕方ないとしても、道を聞くときはもっと人を選んで聞くべきだ」 
たまに一人で移動させるとこれだ……などと小さな舌打ち付きでこぼされる。
「わーかったよ。じゃあさぁ…今度から司がオレ専属のツアコンになってくれる?
移動教室のたびにオレを目的教室まで安全かつ迅速にご案内、してくれるか?」
邪気のない笑みを向けられ、らしくなく司はどぎまぎしてしまう。
「そそそそんな、いいに決まってるだろ。
いちいちおまえのこと探し回るのも面倒だしなっ」
 どもりつつの返事に司は内心舌打ちした。
 近ごろ調子を狂わされる事が多い。
 遼が転校してくる前までは冷静を装うことなど造作もないことだったのに。
 今では遼のちょっとしたしぐさや表情に翻弄され前のように冷静でいられない。
 どことなく据わりの悪い、この気持ちの悪さ、なぜ据わりが悪いのか、その理由もわからぬ気持ちの悪さ。
自分のことが一番わからないのは、誰しも一緒のようだ。




「え? 日給一万のバイト? やるやる!」 一も二もなく立候補する遼に司は密かにうっすらと笑んだ。 
確かにバイトも捜していた。が、それを遼に打診したのは別のところにある本来の目的のためだ。
なぜに遼にだけこんなに心みだされるのか、その理由を一日かけて解明しようという算段である。
 そんな司の裏の思惑など知るよしもない遼は、諭吉さんを思い描いてはニヤついていた。
「立候補ありがとう。日にちはあさって連休の初日。仕事内容は畑作業の補助、作業時間は九時から昼休みをはさみ三時まで。
朝八時におまえんちに迎えに行くからな」
 司はてきぱき連絡事項を伝える。
「げぇ……はちじって…やたら早いな……」
寝起きの悪いらしい遼は時間を聞いて顔を歪めた。
「農家の朝は早いものと相場が決まっている。
そもそも八時は少しも早くない。
ちゃんと起きてろよ」
しっかりとくぎをさされ、遼はまたもや諭吉さんを頭に思い描き大人しくうなずくのだった。



     連休初日の朝  
「おはよう。ちゃんと朝ご飯は食べたか?」
学校の時そのままのさわやかな笑みを浮かべた司はきっかり八時に遼の家に現れた。
 制服を見慣れた遼に私服の司は目新しい。
 まだ目が覚めきっていない遼はぼんやりした視線を司に向け、そして彼の後ろにとまっているものに目を奪われた。
迎えに来るとは聞いていたが、その乗り物が自転車でも軽トラでもなく、ぴかぴかに磨かれた真っ赤なトラクターだとは思いもよらなかった。
しかも半端な大きさではない。
 まるで小山のような立派すぎるボディに遼は度肝を抜かれ、あっという間に眠気が吹っ飛んでしまった、
「なんだよ……それ………」
「トラクターでしょ。消防車に見える?」
「いや、そうじゃなくて……」
 何か言いたげにもごもごしている遼の後ろに立つ人影。朝からパワフルな彼の母親だ。
「まったくこの子はっ。司くんをお待たせするんじゃないのっ」
その後ころりとトーンを変えて「たいして役にはたたないでしょうけど、こき使ってやってね」と微笑まれ送りだされたのだった。



ばばばばば  ……
快調なエンジン音を響かせトラクターは朝の農道を走ってゆく。
「なあ、トラクターってさ、免許必要じゃなかったっけ? 司は免許持ってるのか?」
もともと一人乗りのところにむりやり二人で乗っているため、遼の体勢は多少アクロバティックだ。
身体が半分以上、外に出ている。いうなれば変形ハコ乗りというところだろうか。
そんな乗り方ではいくら免許を持っていても警察に止められるだろう。
「あー、免許? 持ってない。無免だもん。
いいのいいの。忙しい時期は警察も大目に見てくれるから。そもそも校則にもあるだろ。耕運機トラクターなどで登校してはならないって。ま、そんなもんだよ」
「へえ……そういうもんなんだ…。
アバウトなんだね……」
おもわずチャリならぬ耕運機で通学するクラスメートの姿を脳裏に描いてしまい、遼は引きつった笑いを浮かべたのだった。

「はい、到着と。父さん、トラクター持ってきたよ」
こちらに背を向けて何事か作業をしていた男性に司は声をかけた。
「おう、来たか。じゃあトラクタはもっていくぞ。まさかとは思うが…どこかぶつけたり擦ったりしてないだろうな? 高いんだから気をつけてくれよ」
きりりと眉間にしわを寄せ司をにらむ。
司の父親というだけあって顔立ちかよく似ている。

[674] 王子様はトラクターにのって2
稲葉 恵 - 2004年08月12日 (木) 01時47分

農家の人というわりに日焼けをしているわけでもゴツいわけでもない。どちらかといえば、農業化学者のような雰囲気だ。
「残念ながらぶつけても擦ってもいないよ。
こちらが今日手伝ってくれる柴崎遼くん」
「はじめまして。がんばります。よろしくお願いします」
腰を折る遼に司の父親はまるで小さい子供にするようにくしゃくしゃと頭をなでる。
「今日の親方は桐人だからね、わからないことがあったらあいつに聞くんだよ」
にこにこ機嫌良く笑う父親を司は渋柿でも食べたような顔で見つめている。
 おもしろくないらしい。
「父さん、さっさと行けよ。長五郎さんちの畑に助っ人に行くんだろ」
半ば追い出すように父親をせきたて二人だけになると畑には再び静寂が訪れた。
「じゃあ…ぼちぼち始めようか」
仕事の詳しい内容は草むしりと、尿素だのチッ素だのという肥料の袋を運び、必要量まくことだ。
そしてこの肥やし袋、一つが二十キロある。
いくら運搬用一輪車を使っても、上げ下ろしを何度も繰り返すと腕肩腰がつらい。
「司…オレ…もう死にそう…いや、いっそ死にたい…」
袋を担いだものの遼は重みに負けその場につぶれた。
「弱っちぃなぁ…。男だろ」
「いやホラ、オレ都会育ちのもやしっ子だから…。司と違って野山で暴れまわってたワケじゃないし…」 
司にコケにされても遼はぶしぶし、草を引っこ抜きながら泣き言たらたらだ。
「失礼なこと言うなよ。俺は暴れまわったりしてない。せいぜいリンゴをもいだり近所のサクランボの食い比べをしたくらいだぞ」
「泥棒じゃん。品行方正のクラス委員が果物泥棒ねぇ。人は見かけによらないもんだ」
「それとこれは別問題だろ。そもそも小学生の頃の話だし、もう時効だよ。このへんでは果物盗み食いは小学生の娯楽と認められてるの。いいの!」 
口の減らない遼に司は後半キレかけながら対抗する。
それでもまだ何か言いたげににやつく遼に司は疲れもあってかどこかがきれたらしい。
きれいな所作で落ちている肥やし袋を持ち上げ、この場に不似合いな優しげな笑みをうかべて。
「全然元気っぽい遼には、これをお見舞いしてやる! くらえ!!」 
「ぎゃあっっ。お……もいぃぃ」
どさどさっと上に降ってきたのはさっき遼がつぶされた肥やし袋だった。
 一度ならず二度までもつぶされた遼はやはり自業自得だろうか…?
まじめな奴ほどキレると怖い、からかうのも限度が大事、遼は一つ賢くなったのだった。



 太陽がちょうど頭の上に来た頃。
 遼と司は昼ご飯の準備最中だった。
 暦の上ではそろそろ秋でも、まだまだ日差しはきびしい。なるべく長時間日陰になっている場所に陣どりゴザを敷く。 
 木々の間からこぼれ見える空はすがすがしく青く、頬をなでてゆく風はやわらかい。
絶好の外ごはん日和というところか。
「水道のところでちゃんと手、洗ったか? 
よし、なにおにぎりがいい?」
おにぎりを手渡したり、茶を注いでやったりと司はなかなかかいがいしい。
「やっぱり労働のあとのご飯は格別うまいな。
しかもハイキング気分も味わえて一石二鳥」
ゆかりおにぎりにかぶりついて遼がまるで子供のようにはしゃいで言う。
「司のちのお母さん、料理うまいんだなぁ…。
この里芋の煮っころがし絶品」
「そうだろそうだろ。たくさん食って午後からもきりきり働けよ」 
 額に汗を光らせいたずらっぽい笑みを浮かべる司がとてもまぶしいものに見えた遼だった。
 毎日学校で会っていても話すことは尽きない。今も話が飛んで農機具の話になったところだ。
「え!? あのトラクター九百万もすんの?! 高くないかい」
高いんだろうなぁとは思っていたが、それほどは思わなかった遼は思わず食べていたシャケおにぎりを噴き出してしまった。
「あーもったいない…。米には八十八の手間がかかっていて一粒に一人の神様が……」
「おまえんちめちゃくちゃ金持ちじゃん!!
今度おごれよ」
「冗談。俺の小遣い月五千だぞ。おまえなんかにおごったら一回でなくなるわい。 
それに俺んちは金持ちじゃない。ローンくんで買ったんだし」
「だからあんなに司のおやじさん心配してたんだ。なるほどな…そりゃ心配だわ…無免だし……」
「やっと今日一人で運転任されたんだ。
やー緊張した……て……遼…?」
さっきからなんだが語尾があやふやだと思っていた司だが、話しかけても返事が返ってこなくなったのを不審に思って遼の方を見ると。
 遼はすっかり眠り込んでしまっていた。
 リンゴの木の下に敷かれたゴザの上に長々と手足を伸ばし、まるで子供みたいな顔して眠っている。
 ときおり頬をなでていく風が遼の前髪を乱し、額を全開にさせていた。
 もともと大人っぽい顔立ちではないのに、ますます子供っぽく見える。
 どんな夢を見ているのか、ときおり微笑むのがおかしい。
 桜色の唇がもぐもぐ、何かを食べるように動きまたにっこり笑う。
 そんな遼のしぐさに司の胸がとくりとふるえる。
顔だけがサウナに入ったときのように熱い。
今のことで司はやっと自分の気持ちに気付いたかもしれない。
 転校してきた当初から遼は気になる存在ではあったが、それがいったいどういう意味をもつのかまだわからなかった。
 だが、今、わかってしまった。
自分は遼のことが好きなのだと。
「……だから……司が……」
どきどきしている司の気持ちも知らず遼はまた微笑む。
うすく開かれた唇からこぼれる名前。
 夢の中の自分にさえ嫉妬してしまいそうになる。
 
 無垢な笑顔につられるように、司は気がつけば遼にキスしていた。
 一瞬触れるだけの幼いキス。
 今時小学生もしないような拙いものだったけれど、それでも司の胸はどきどき大きく鳴っていた。
 
 
 司は気付いてしまった。
 今まで心の奥底に眠っていた気持ちの正体に。
もやもやと胸の奥でくすぶっていたものに気付いてしまった以上、今までと同じではいられない。
 司と遼の関係がこれから少しずつ変わってゆく……。





「柴崎くん今日はお手伝いありがとう。
不肖の息子ですが桐人とこれからも仲良くしてやって下さい。では乾杯!」
司父(本名は直樹さんというらしい)の音頭で宴会が始まる。
畑からこれまた無免の司が軽トラを運転して帰ってくるとすでに風呂が沸いていて問答無用で放り込まれ。
 風呂からあがってみればテーブルの上には所狭しと大皿料理と林立する多種のアルコール類。
 遼の労をねぎらうという名の大宴会の準備はすっかり整っていたのだった。
「これ、わたしが漬けた五年もののかりん酒。遼くん飲んでみて」
「いやいや若い者はやっぱりコークハイとかの方がいいだろう? 日本酒もあるよ。さぁのんでのんで」
 遼も司も未成年だというのに、じゃんじゃん酒を勧められる。
「そうですかぁ? じゃあお言葉に甘えて、いただきまーす」 
遼も場の雰囲気にのまれて勧められるまま、片っ端から飲み干している。
これでは潰れるのも時間の問題で。
そして数時間後。
案の定遼はできあがってしまい、司と遼は一足早く宴会の輪を抜け出したのだった。

「うー……なんか世界がぐるぐるー」
「しっかりしろよ。言われるままに全部のむ奴があるか。この辺の人間はほとんどザルと一緒なんだぞ。もう少しセーブしろよ。
ほれ、ぐにゃぐにゃするな」
 酔っぱらって身体の力ぬけぬけの遼は介抱している司にしなだれかかった。
 それが司をあおっているとも知らずに。
「気分悪くないか? ちょっと服ゆるめるぞ」
シャツのボタンやズボンのスナップをはずす行為に思わずあらぬシチュエーションを想像してしまい、司は一人で赤面する。
昼間、自分の気持ちを自覚してからその想いはとどまることを知らず増長する。
とまらない、とめられない。愛しさは息をするようにかけがえなくて、胸が苦しい。
手に入らないとわかってもなおの事ほしくなってしまう。たとえ無理矢理にでも奪ってしまうことになっても。
「いいのか……おまえがひっついてる奴はいい人のふりしてるだけなんだぞ…」
ふとんに横たえてやって、人の気も知らずすかすか眠る遼に司はひとりつぶやいた。
差し込む青白い月の光がまるで慰めるように司を照らす。
こらえきれなかった激情が遼の首筋に薄赤い跡を付けさせたのを見ていたのも月ばかり。
宴会の騒がしさもここまでは届かず、司の嵐のように乱れる心とは正反対の静かな夜だった。



「ぅ…んん……」
夏とはいえ朝方は冷える。
夢と現実の狭間をただよいながら、遼は肌寒さに小さく呻いた。
無意識に手近にあったぬくもりに頬を寄せまたひと眠り、と安堵のため息をついたとき。
意識が覚醒の方にかたむく。
この温かいものはなんだろう…。ほんのり温かいがふかふかではないし、そもそも遼はぬいぐるみを抱いて眠る趣味はない。
それにどことなく違う枕のかんじ。
 ここはどこだ!
おそるおそる目を開けてみれば   
至近距離に司の端正な顔。
 メガネなしの素顔をさらして眠る司はみとれるほど綺麗だ。
睫毛が顔に影を落としすっと通った鼻筋に、美術の才能があったならば、デッサンでも彫刻でもして永遠にとどめておきたい美しさだ。
思わずまじまじと見てしまった遼だが内心かなり動揺していた。
なぜに自分は司と同じふとんで寝ているのか、そもそも自分はどこにいるのか疑問は尽きないが、寝起きの頭ではうまく考えがまとまらない。
そうこうしているうちに司も目を覚ましたらしく、一人あたふたしている遼をおもしろそうに眺めていた。
「オハヨ。よく眠れた? 気分が悪いとか頭痛はない? 筋肉痛にはなってるでしょ」
寝起きのせいか、掠れてちょっと低い声が囁く。
 今までなんともなかったのに、言われたとたんに身体じゅうが痛みに爆発した。
身体は油のきれたロボットみたいにあちこちがぎしぎしいうし、頭もずきずき割れるように痛む。
「あだだだだ……ナニゴトだ……」
心臓の鼓動に同調してうずく頭を抱えて、遼は昨日へと記憶を遡らせてゆく。
確か昨日は…司の家の手伝いをして、借りて…そのあと大宴会に突入したんだ…。
でなんだかいろいろと酒をのまされたような……。
「うん。かなりのチャンポンだった。
途中で遼がつぶれたからこっちにひっぱってきたんだけど」
「どうもお手数かけました…。
あーあ無断外泊こいちゃった。母さんツノ生やしてるだろうなぁ」
ふとんの中で未練がましくうだうだしつつ呟く。
いちおうふとんは二人分敷いてあるのだが、なぜか夫婦布団に敷いてあって、もぐりこんだふとんからは司の匂いがした。
「無断じゃないよ。昨日俺が電話しといた。
不肖の息子をよろしく、と頼まれたよ」
なぜかそこで司はわざとつくったみたいな不自然な笑みを浮かべ、姿勢を正した。
「遼の親御さんにも背中押されちゃったし、言ってもいいかな…」
独り言みたいに呟いてニコニコを引っ込めいきなり真顔になる。
まるで一瞬で化粧を変える京劇役者みたいだと遼は思った。
どことなく様子のおかしい司をいぶかしんで遼もふとんから半身を起こす。
 自分が寝ころんでいたときは気付かなかったが、真顔になった司には疲労の色が濃く滲んでいる。
目は充血しているし、周りはクマだらけだ。
 昨日のせいかとも思ったが、九百万もするトラクターの運転を任せられるくらいだ、あれしきでここまで疲れるとは思えない。
「もしかして……さっき起きたみたいなフリして、一睡もしてないだろ」
もしや…と指摘するとまるで逆ギレしたように司が怒鳴り返した。
「そうだよ! 好きなやつが隣で無防備にすやすや寝てて眠れるわけないだろ。
ちぎれそうな理性を根性でつなぎ止めて!
何度このまま…と悪魔がささやいたと思ってんだ!」
一気に言ってから司は我に返ったように自分の口をふさいだ。が、時すでに遅し。
遼はしっかり聞いていたし、だからこそぽかんとした顔で司の顔を見ている。
それをみた司は罪を告白する罪人の如き面もちで、言葉をつむぐ。
「すきなんだ。友達としてじゃなく、恋愛対象として。この気持ちに気付いたのは昨日だけど、初めて会ったときから…好きだった…。
突然こんなこと言われても困るのはわかってる。でももう心の中に閉じこめておくことができないんだ!」
 普段は冷静な司のヒステリックな叫び。
 そんな声を初めてきいた遼はどうしたらいいのかわからなくて、言っている意味が瞬時に理解できなくて呆然と宙を見た。
 誰が誰のことを好きだって……?
 そんな様子の遼に司はどうとったものか、端正な顔を苦しげに歪めうなだれてしまった。
「そう……だよな…。わかってたことだけど、そんな顔されるとは思わなかった…はは…。
わかってたはずなのに胸が痛いや…」
 ゆっくりと、額に落ちた髪をかきあげる。
 やっと遼の脳細胞が正常に働き出す。
「そう、だったんだ…。司もオレのことそういう目で見てたんだ……。ときたまおまえが見せた視線、川島とかいう先輩のと似てる気がしたのはそういう理由だったんだな…」
 信じたくなかった。  
司の言葉が右から入って左から抜けてゆく。
遼は感情を失ってしまったように無表情になり、たった一言独り言のように呟いた。
「帰る」
借りてきていた司の服を脱ぎ捨て、自分の服に着替えると司の方を見ることなく部屋を出る。
廊下で司母が顔を出して帰るのとかなんとか言っていたようだが、おざなり程度のお辞儀とお礼の言葉だけで家を出た。
ずんずん無言のまま帰路につく。
筋肉痛の身体が、なにより心が痛かった。
裏切られてた気分だった。
 ただ、悲しかった。

「ただいま、おやすみ」
自宅についてリビングにいた母親にそれだけ言うと自室に引っ込む。
今の遼にはパワフルすぎる母親と話している気力などないから。
部屋に入るなりベットに倒れ込んで、さっさと寝てしまおうと目を閉じる。
 嫌なことは寝てすべて忘れてしまおう。
だが、こういうときにかぎって眠気は少しも襲ってこず、目はさえる一方だ。
一番落ち着くはずのベットなのに居心地が悪くて、しょぼくれた自分のツラでも見ようと自虐的な気分になり鏡の前に立つ。
鏡の中の自分はかなり憔悴していた。
目に力がない。男前度も六割源だ。
「ヘボいツラ……」
独り言を呟いてふと目をやった首筋には。
小さな薄赤いアザが浮かんでいた。
昨日の農作業中に虫にくわれたのかと想い二、三度掻いてみるが少しも痒くない。
キスマークか……!
昨夜、司がつけたらしきキスマーク。
抑えきれなかった激情の証だ。
正体を知ると遼は顔を真っ赤にしてその場にへたり込んでしまった。
 善人面をして騙していたと、憎んでもいいのに、憎みたいのにできない。
 ふと気付けばさっきのことを、司のことを考えていた。
自分をみつめた、怖いくらいに真剣な眼差し、思い詰めた表情。ヒステリックな叫び。
がく然として顔を凍らせてた。
「つかさ……」
小さく名を呼んで、なぜか胸がつきりと痛んだ  。



 そのころ司といえば。
 いまだ遼の温もりの残るふとんの上で後悔の荒波にもまれていた。
好きだなんて声に出したらこの関係にヒビが入ることは目に見えていたのに。
 そして案の定だ。
 司は友達という居場所さえ失ってしまった。
いくら遼が今まで通り友達でいてくれると微笑んでくれたとしても、司にはなにもなかったフリなんて器用なマネはできない。
もう前までの何事にも心動かされない司の姿はここにはなかった。
ショックすぎて動けずにその場で呆然としていると控えめにドアをノックする音。
顔を出したのは五つ年上の姉、由理だった。
「なにしょぼくれた顔してるのよ。せっかくイケてるのに台無し。さっき遼くんが泣きそうな顔で出てったけど、あんたなにかしたの? したのね!?」
聞いているというより尋問みたいだが、さからうとあとが怖いので素直に認める。
「うっかり勢いで告白したら、怒って出ていった……」
「バカだねぇ…。友達だと思ってたやつ、しかも同性でしょ、告白されたら誰でもびっくりするわよ。でも全然脈なしってわけでもないかも。カンだけどね。実は遼くんも意識してるんじゃないの? さっきの顔は嫌悪って感じじゃなかったし…」
綺麗に整えられた指先を頬に当て考え込む。
「まぁとにかく、もう一度遼くんと話し合ってきなさい。時間がたてばたつほどこんがらがっていくんだから、これ、乗って行きな。自転車より速いでしょ」
由理は微笑んでウィンクと車のキーを投げてよこした。
「うまくいった暁には、ねぇちゃんに話して聞かせなさいよっ」
姉の声に勇気づけられ車に乗り込みエンジンをかけようとする。がキーがはいらない。 よく見ればキーが違うではないか。
「ねぇちゃん、これトラクターの鍵だよ!!」
嘆いても、勢い込んで出てきた以上また戻るのは格好が悪い。
事後承諾で父親のトラクターを拝借することにした。
エンジン音も高らかに遼の家へ最高速度でひた走る。
たとえこのあと父親にこっぴどくしかられることになろうとも、それでも司はよかったのだ。 

「遼、出てこいよ。遼!」 
カーテンに映った人影、遼の部屋だ。
中にいるのがわかるとさらに声を大きくして叫ぶ。
「遼っ、遼。そこにいるのはわかってるんだ」
「バカヤロー立て籠もり犯じゃないんだぞ!!恥ずかしいからやめろ!」
司の大声に根負けしたのか遼は怒鳴り声と共に顔を出した。
「やっと顔を出した。出てこいよ、ちょっと話がある」
「オレはない」
「おまえがなくても俺はあるの。聞いてくれなきゃ帰らない」
がんとして動かなそうな司に遼は小さく
ため息をつくと自分の方が折れる。
「わかった。そこで待ってろよ」
 ほどなく現れた遼は司の真ん前に立つと、これから決闘をする仇のように司を睨み付けた。
「ハナシってなんだよ。くだらないことだったらぶん殴るぞ」
剣呑なオーラを発する遼を司は、まっすぐに見つめた。
「友達だと思っていたのに恋愛対象としてみられていたのが不愉快だというのはわかる。だから怒ったのか? 嫌いだったら、そうはっきり言ってくれ。そっちの方がよっぽどいい。蛇の生殺しよりもな」
司はいつになく弱気な態度で、深いため息をついた。
落とした肩のラインが頼りなげで、クラス内で絶大な信頼と権力をほしいままにしている司とは別人のようだ。
そんな姿に遼の胸がまたずきりと痛む。
少し前からそうだった。
司のことを思うとなぜか胸が痛い。
司に好きだと言われて、複雑なだったけど、本当は嫌ではなかった。
川島とかいう奴と同じであるはずがないことはわかっていたのだ。
部室もどきにラチられた時、助けに来てくれた司はスーパーマンなんかめじゃないくらいかっこよかった。
気付いていなかったけど、いつの間にか自分の中で司の存在が大きなものになっていたのだ。
今頃といってはなんだが、遼もやっと自分の気持ちに気付いたのだ。
 そんなにも自分の中に司がいたことに。司がいつも遼のそばにいてくれたことに。
「嫌いなはず……ないだろ…っ。
本当に嫌いだったらこんなふうに話したりしないし…っ。嫌いだったらどれだけ楽かと思うけどな。
司をおもうと胸が痛いんだ。どうにかしろよっ。責任とれよ!!」
きゃんきゃん子犬のように捲したてた遼をうなだれたまま上目遣いに見ていた司の顔。
最後まで聞き終わった頃にはさっきまでとは別人のようだった。
 さっきまでが善人ホワイトなら、今は鬼畜グレーだ。
背負っていたオーラが土留め色だったら今は空色だ。
「まぁ……そう言うならば……ここじゃなんだから、俺の家にいこう。
自分ちに帰ったばかりでまた出かけるのはアレだろうけど」
そういって司はトラクターの荷台(耕すロータリーの部分を取って荷台に付け替えたらしい)に遼を乗せた。初めて乗ったときよりも格段に楽だ。
 責任とれ、とんでもないことを口走ってしまった遼だが、それをまもなく後悔することになる。
司は遼が思っているよりずっと悪人だったからだ。

「責任とれっていわれたから、とるよ。
もちろん、カラダでね」
今ごろ顔を引きつらせても、もう遅い。
すでに遼は司の張ったあみの中だ。




司がメガネをはずして机の上に置いた。
それがまるで今から始まる事への合図のようで、へんに意識してしまう。
 恥ずかしさのあまり司の顔がまともに見れなくて、遼は下をむいてまう。
「どうして下向いてんの? 恥ずかしい?
でも俺はそんな遼もみたいな」
 ますます恥ずかしくなってしまうようなことを言いながら司は遼の頬を手で包むとそっと上向かせた。
 彷徨いがちな視線を正面から捕らえられ、居たたまれなくなった遼は目を閉じた。
 それは無意識の行動だったが、困ったように微かにしかめられた眉、軽く引き結ばれた唇がまるで魅惑の果実の如く司を誘う。
 小さく唾を飲み込んだ司は誘われるまま、遼の唇に自分の唇を重ねた。
 ふんわりとまるで羽根のように軽いキス。
 たったそれだけなのに遼は驚いたように目を見開いた。
 ちょっとそれはマナー違反といえるだろう。
「もうちょっとだけ目を閉じててもらえるとありがたいんだけど」
 はっとして顔を上げれば、またもや司とばっちり視線があってしまった。
 間近にある司の顔、ほんの少しつり気味のとび色がかった瞳に自分の顔が映っている。
 腰に腕をまわされて下半身密着なのが恥ずかしくて、司から少しでも離れようと身をよじるが逆に司の胸の中に抱き込まれてしまった。   
「どちらかといえば俺は我慢強い方だけど、我慢にも限界があるんだよ……?」 
耳に流し込まれる今まで聞いたことのないセクシャルなにおいのする熱を帯びた司の声。
「遼は僕のこと、好きだろう……? 
だったら大人しく、してるんだ」
 唇が触れるほどの近さで囁かれ、遼は本当に大人しくなってしまった。
 司の甘い声という催眠術にでもかかってしまったような素直さだ。
「ベットに行こうか」
 潤んだ瞳に困惑を滲ませつつも、遼はかすかに首を縦に振った。
 司は小さく笑って遼の手をとってベットへと招く。
 遼はほんの少し躊躇するそぶりを見せたが、
観念したようにベットに腰かけた。 
司の普段の一人称は「僕」だけど、自分と一緒の時だけ「俺」になることを遼は知っている。
学校では品行方正、生徒の代表でも真面目一辺倒だけの人間じゃないことも知っている。
「嫌だったらそう言ってかまわないんだぞ?今だったら素直にやめてあげる」
情欲に潤んだ瞳に見おろされて、もう拒絶なんかできない。
 遼は小さくかぶりをふった。
 
 シャツのボタンを手際よくはずされて鎖骨から胸までがあらわになる。 
肉の薄い、男にしては華奢な身体だ。
 首に口づけられて遼の背筋に震えが走る。
もちろん嫌悪にではなく、くすぐったいような限りなく快感に近いものだ。
「首、キレイだよね。白くて長くて。
前から思ってたんだ。ドラキュラみたいに噛みついたら、さぞきれいに跡がつくだろうなって」
 いいざま司の白い歯が遼の首にくい込む。
 軽い苦痛に逃げをうつ遼の身体を、まるで飢えた肉食獣のようなしぐさで押さえつけ動きを封じる。
 はだけた胸にくちびるを寄せ、そこに実る小さな果実を口に含む。  
淫らな水音をたてて舐めあげれば、つんと立ち上がり自己主張をする。
しびれるような快感が熱を伴って下半身へと集まり、ソレの成長を促す。
 わき腹を撫でた手が戯れのようにトランクスの中に差し込まれ遼自身へ直に触れた。
「ぁっっ!! 司…っ」
 必死に制しても司はいたずらをやめることはなく、煽るようにその手に力をこめる。
 ひとから刺激をあたえられることに慣れていない遼の身体は素直に反応し、司の手の中でますます体積を増した。
「遼は素直じゃないけど、ここは正直だね。窮屈そうだし、脱がせてあげようか?」 
語尾こそ疑問形だが、遼の返事をきく気はなかったらしく、さくさくズボンを脱がせた。
明るい部屋の中で無防備にむかれてしまい、遼はどうしようもない羞恥心に浸っている。
が、その恥ずかしさもまだまだ序の口だったのだ。
 とんでもないところに司の舌をかんじ、遼は焦った声をあげた。
「やぁ…っ なんでそんなとこ…っっ」
「なんでって、ほぐさないと大変なことになるよ? 大丈夫、俺に任せてくれれば。
学科はばっちりだから。実技はこれからだけどね」
遼自身のそのまた奥、誰にも見せたことがないし、触らせたことのない未開の地に司の舌が。
 舐めていたかたちのまま、司はしばし固まり、にっこり笑んで遼を見返す。
 遼の動揺にも気付かなかったように司は行為に没頭する。
ぴちゃぴちゃと水音をたてて、襞のいちまいいちまいをほぐすように舐められ、しだいに遼の呼吸も乱れはじめる。

[675] 王子様はトラクターにのって3
稲葉 恵 - 2004年08月12日 (木) 01時48分

最初のうちは違和感ばかりだったのが、むずかゆいような不思議な感覚が生まれていた。
「遼のココ、ヒクついてる。中だって充血してすごく綺麗だ」
 腰にくるような声で耳に流し込まれる、淫らな言葉。
もうなにがなんだかわからなくなりそうだ。
「ほぐれてきたし、大丈夫かな」
独り言のように呟いて、司は指をそっと遼のソコに埋めてゆく。
勝手がわからないので、あちこち動かすうちに弱いポイントに偶然当たってしまったらしく、遼の体が大きくはねた。
そこを司が見逃すはずもなく、ソコを熱心に攻める。
「……はぁ…っ…そこ……っやだ…ぁ…っ」
 生理的な涙をこぼしつつ嘆願すると今まで余裕しゃくしゃくだった司の余裕が消えた。
「お願いがうまいな…。なんか冷静よそおってるのも限界」 
鋭く言った司は自身を取り出すと、遼の秘孔へ押し当て、一気に貫いた。
「ぁああ!! つかさ……っ」
 口から内蔵がはみ出しそうな苦しさに顔を歪め涙で頬を濡らして司の名を呼ぶ。
 自分とは違う温度、堅さ、鼓動に遼は小さく痙攣しただ司の背にすがるだけだ。
「ごめん…っ苦しいよな…もうちょっとの辛抱だから…ごめん」
言っている司の方が辛そうだ。
眉間に深く刻まれたしわ、額にういた汗がぱたり遼の胸におちる。
「司…つかさぁ……っ」
もう頭が混乱してぐちゃぐちゃだ。
慣れるまでじっとしていた司が動きだした瞬間、頭の中が真っ白だ。
痛いとか苦しいとか、それよりもっと愛しさの方が大きい。
言葉にしきれない想いが体温を通じて伝わってくる。
 気付けば口から自然にこぼれていた。
「司が好きだ」と。
 今、想いも身体もすべてが一つになる。


 ナカだけで快感を得るのはまだ難しいらしく、司は遼の蜜に濡れた自身に指を絡め上下に擦りあげた。
遼を高みに導きつつ、自分も腰を使い追い上げてゆく。

「も…ダメ…っ…イ……っ」
「俺も……っ」
遼の悲鳴のような声と司が遼の最奥へ想いを叩きつけたのはほぼ同時だった。
 2人は同時に高みへと達したのだった。
どわぁと襲いかかってくる極彩色のハレーション。
2人混ざり合って溶けてしまうような、無重力状態にも似た感覚と微かにきこえた司の「好きだ」の囁き。
 愛が、極限まで昇りつめる一瞬を感じた。
そののち急速に眠気が襲ってくる。
昼間のはずなのに、まわりが次第にブラックアウト。
 遼の意識は、そこで途切れた  。





「ぅんん………」
 呻いて遼はうっすら目を開けた。
 長い夢を見ていたような、まだ意識は半分眠っている。
「そうだよな……夢…だよな…。
司がオレのことを好きでえっちまでしちゃうなんて、たまってんのかな……」
「夢オチにしたかったの? 俺は、嫌だからね」
「ぎゃあ!!」
 誰もいないと思っていたのに、いつの間にか司が登場していて、遼はかーなーりびっくりした。
 思わずふとんを蹴り飛ばしてしまうほどに。
「遼はなかったことにしたくとも、そうはいかないからな。自分の身体、見てみろよ。
それ見ても夢だと思える? それに今朝じゃないし」
洗面器とタオルという、銭湯の帰りの人みたいな出で立ちの司が言う。
 遼は自分の身体を見てまた大仰な悲鳴をあげた。
 なぜかというと、素っ裸の上に身体中キスマークだの噛み跡だので華盛りだったからだ。
「大変おいしゅうございました。
ごちそうさまでした」
 手のしわとしわを合わせてなーむー、のポーズをしてちょっと微笑む。 
遼は否応なしに昨日のことを思い出させられている。
でろりと白いものが内股を伝ったときは…恥ずかしくて死にたくなった。
「そういえば、俺、遼からはっきり気持ち言われてないな…。なんかすっきりしないんだけど……」 
 言われて遼は思わず渋い顔をした。
確かに、言ってない、
何となくそんな雰囲気になってそのまま流されたからはっきりとは言ってないのである。
 言いたくないのではない。ただ、恥ずかしいのだ。
盛り上がっていたときならいざ知らず、こんな戦い済んで日が暮れての雰囲気の中で言うのは。
 にもかかわらず司は無言の圧力をかけてくる。聞きたい、聞かせろ、と。
メガネの奥で瞬く瞳が、これがまた怖い。
遼もしぶしぶながら観念する。
「もう二度と言わないかもしれないからな。貴重だぞ。……好きだ転校してきたときから気になってたんだ」


 心から好きな人から「好きだ」の一言があれば、農家の息子だって誰もが王子様になれる。
 もちろん、司だって。
 普通の王子さまは白馬に乗ってお姫様を迎えに来るものだろう。
だが、遼を迎えに来た司が乗ってきたのは真っ赤なトラクターで。
 だから司はトラクターに乗った王子様。
ちょっと決まらないけれど、それもすべて愛があれば、オールオッケーです!!

[715] はじめまして(^^)
藤砂李生(猫井伊夜) - 2004年08月28日 (土) 20時05分

稲葉さんの小説、読ませていただきました。
私は小説を書き始めてまだ月日は浅いのですが、感想を少々…。

私はこのストーリー、とても楽しく読ませていただきました。
ただ、中半あたりから視点が遼から司、司から遼へとぐるぐる変わっていき、この言葉は誰の心理なんだろう…?と少々迷う部分がありました。
睦巳さんと同じ意見になってしまうかもしれませんが、セリフ内の改行が多くあり、逆に見難くなっているような気がします。普通の本と違い、文字が横になっているのでそう見えるかもしれませんが…。

遼の純真無垢(無知?)で可愛いところや、司の冷静だけど鬼畜モードはとてもリズミカルで楽しかったです。

これからも頑張ってくださいね。応援しています。



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