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クロノトリガー 〜時の心〜 第五話 |
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From:ますた〜 [/クロノトリガー]
今夜は綺麗な満月が浮かび上がっていた。雲ひとつない空にぽっかりと浮かんでいる。風も心地よい感じで吹いている。 夜は危険だ。昼間はおとなしくしていた、獰猛な獣やそれ以上に恐ろしい魔物たち。それらが蠢く死の世界・・。それが夜の森や山・・人が訪れることのない場所の実態・・・。ひとたびでも、弱き者が奴等の縄張りに足を踏み入れれば、その命は一瞬にして散る。 そんな彼らの縄張りに・・・今夜、『何か』が舞い降りた。姿も音も無く、何ものにも気付かれること無く・・・。一つではない。複数だった。そこに現れたのは複数の影。四つか五つか・・・とにかく一つではない・・。 「・・・・フン、やはりな・・。数え切れんほどの知的生命体が生き残っている。」 「ほーんとだ!こりゃあ、結構手間がかかりそーだね☆」 「・・・・・。」 「・・・こりゃあ予想外の結果だな。」 「予想外?ククク・・・まさか。むしろ逆だヨ。予想通りの結果だネ。それに、今回のは単なる調査にすぎんのだヨ。この星の生命体のネ・・。」 「ちょうさ??」 「そう。調査だヨ。おかげでいい結果が得られたヨ。それに・・・所詮『ゼルアー』は・・・アァ、いや。この惑星では・・・えーと・・・何といったかネ?」 「・・・・・ラヴォス・・・。」 「アァ、それだ。『ラヴォス』は所詮二流の『惑星寄生生命体』に過ぎんのだヨ。あの程度のものなら、いくらでも量産可能だし、もっと強力なものも創ることができる。」 「だが、二流といっても他の惑星にとっては脅威になるだろ?」 「まぁ何にせよ・・・。この惑星に、我々の技術を打ち崩すほどの科学技術か・・・もしくは生命体がいることは確かだな。」 「その通りだヨ。アァ、はやく調べてみたいネ。この星の全てヲ。二流とはいっても、ワタシの作品を破壊するほどの力を!それに、この星を支配している生命体は、今までに見たことがない構造をしているようでネェ・・。ククク・・・アァ、早く調べたい。隅から隅までネ。ドロドロのグチャグチャになるまで調べつくしたいヨ・・・。」 「それはいつでも好きなときにできるでしょー!?今はそれどこじゃ無いじゃん!」 「その通り。我々が今すべきことは、この星を支配している知的生命体の、正確な数の調査。それから動植物の調査を行う。いいな。勝手な行動をとるんじゃないぞ。」 「分かっているヨ。アァ、待ち遠しいネェ・・。・・・ンン?」 その時、一匹の魔物が影達の前に現れた。よだれをダラダラ垂らし、いかにも凶暴そうな奴だった。 「ホォ!これは願ってもない展開だヨ!!こいつをサンプルにとってもいいかネ?ン?」 「駄目だ。今やるべきことを優先しろ。」 その時、魔物が影の一つに襲い掛かった。 「・・・・フゥ・・分かったヨ。」 そう言った瞬間、魔物は一瞬にして消滅した・・。 「アァ・・惜しかったナ・・。だが・・数の確認が終わったら、ワタシはワタシのやるべきことをするヨ。その時は、邪魔しないでくれ給えヨ。」 「ああ・・。解った・・。」
また風が吹く・・。静かにさわさわと・・・。魔物と獣の気配はない。危険を察して逃げてしまったから・・。黒き漆黒の闇に浮かび上がる満月。月はすべてを見ていた。今、自分の真下で起こった出来事を。しかし月は語ることができない。だからたたずむ。誰かに気付いてもらうために・・・。
二度あることは三度ある・・。
悪夢は再び繰り返そうとしていた・・・。
続く
2004年03月06日 (土) 22時17分
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