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クロノとマール〜遠い約束〜 |
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From:かな [/クロノトリガー]
ふう‥。分からない。ラヴォスと戦って、負けたっていうことは分かっている。 ん‥。ラヴォス?なんだ、それ‥??わかんねぇよ・・・。何もかも!! 自分がなんなのか そして何故ここにいるのか 名前さえも‥。 ああ、一つ分かっていることがある。 オレはもう、頑張らなくていいんだ‥。生きてないんだ。何もできない虫ケラから卒業できたんだ。 「クロノーーーーーーーーーッッッッッッッッ」 パアア、と光が射し込んでくる。聞き覚えのある声。でも‥。その声の主が誰なのか、分からない。 「クロノ‥。そんな‥。嘘‥。ねぇ、嘘って言ってよ‥。」 声。でも‥。オレはもう‥。 「それで、いいのか。」 ふとした瞬間―。いろいろな記憶が山のようになだれ込んでくる―。 お祭で出会った少女。家で見守ってくれている母親。幼なじみの天才発明家。その幼なじみの作ったテレポットによって少女が行方不明に。ゲートに飛び込み中世の世界へ。そこで出会った呪いにより姿をかえられた孤独な騎士―。ラヴォスによって滅ばされた、未来の世界。そこで生き続けていく人々。壊たロボット。心優しい鋼鉄の戦士。魔の村の魔物達。中世の勇者。魔王との死闘。原始の世界へ。恐竜人との戦いを決着をつけようとする女酋長。魔法の王国。少女の力。ラヴォスに心を喰われた女王。その女王のいいなりとなる健気な娘。不吉な予言を残す無愛想なガキ。予言者。時の最果て。時を渡る翼。その翼をつくるのに生涯をかけた監視者。嘆きの山に封印された賢者。海底神殿。 そして―。そして―。 「クロノ―。」 涙ぐんでオレに飛び込んでくる、少女・マール。彼女の黄色い髪が微かに揺れる。 「だから―。君は―。」 無邪気に笑っているだけでいいよ―。 そばにいるだけで。 ずっと笑っていてくれるだけで。 オレはいいのかも知れない。 時間とは。何とも優しいものだ。 この時間が。 この一瞬一瞬が。 永久に続けばいいな、と思っている。 「クロノ―。大好きだよぉ‥。」 ギュッとマールが細い腕でオレをだく。 本当に君は・・。 「無邪気に笑っているだけでいいよ」 「‥。え?」 「いや‥。ね」 そうだ―。あの日約束したんだ。遠い遠い約束。思い出す余地すらないけど。 「―。約束」 マールが呟く。 時間は―。二人を祝福するように、優しく優しく流れていった―。 ††††END††††
2005年02月20日 (日) 10時35分
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