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ダレモイナイ コウシンスルナラ イマノウチ(ペ∀゚)ヘ
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[515]短編『Do your best,Kaho!』≫シスプリ&センチ: 武蔵小金井 2005年12月29日 (木) 17時09分

 
 
  
「おはようございまーす!」
 夏の朝は、とってもさわやかで気持ちがいいの。
 花穂がうーんってのびをすると、窓の外で歌っていたスズメさんが、パアッて飛んで……いっちゃったぁ。
「あっ、ごめんなさい……スズメさん。でも……わぁっ!いい天気だねっ!」
 窓を開けたら、すっごく気持ちのいい風が吹いて来たよ。
 空はね……やったぁ!快晴なんだぁ!
 花穂、それを見たら嬉しくって、もう一度バンザイしちゃいました!
「わぁーい!晴れた晴れたぁ!」
 そうしたら、屋根の上にとまってたハトさんたちが、パァァーってみんな飛び出していったの!
 きっと、花穂のおっきな声に驚いたんだ。
 ハトさん、ごめんなさい……


 でもね、今日はそれでも嬉しいんだぁ!
 だってだって、今日はゼッタイ晴れてほしかったんだもん!
 花穂ね、雨っ子だから……いつものてるてる坊主さんだけじゃなくて、もう一つ作ったぐらいなんだよ!
 顔を洗って、着替え終わってから……花穂、てるてる坊主さんたちにお礼をいいました。
 昔からのてるてる坊主さんと、昨日作った……新しいてるてる坊主さん。
 あのね、これはナイショなんだけど……新しいてるてる坊主さんは、ちょっとお兄ちゃまに似てるの!どうしてかわからないけど、作ったらそっくりだって思ったんだぁ!ママに見せたら、そうねっ、てウフフって笑ったんだよ!作ってる時はそんなつもりなかったのに……やっぱり、花穂がいつもお兄ちゃまのこと考えちゃうから、てるてる坊主さんも似ちゃったのかなぁ?
「花穂ちゃーん!パンが焼けましたよー!」
 あーっ!下でママが呼んでる!早く行かなくちゃ!


 あのね、今日は花穂ね、朝からとってもはりきってるの!
 晴れますようにってお願いしたのも、早めにベッドに入ったのも、みんな今日のためだったんだぁ!
 だってね……今日は、今日はね……
 衛ちゃんの出る、かけっこの大会があるんだよ!
 スゴイんだよ、衛ちゃんって!足がピューって早いのは、花穂も知ってたんだけど、学校の代表に選ばれて、大会に出ちゃうんだって!すっごいなぁ……花穂はまだ、チアではへたっぴだから、基礎の練習ばっかりなのに……
 あのね……だからね、先月、その話を聞いた時からね……花穂、決めたの!
 衛ちゃんの応援するんだぁって!
 だって、衛ちゃんはいつも花穂と遊んでくれるし、あのね……花穂が転んだりして、お兄ちゃまがいない時とかは、衛ちゃんが助けてくれるんだよ!いつもね、花穂がコワイな、どうしようかな、って思ってること……衛ちゃんが一緒にやってくれたり、教えてくれたりするんだぁ!
 だから、だから花穂、今日はがんばって衛ちゃんの応援しちゃう!
 あのね、この前そのこと言ったらね、衛ちゃん、真っ赤になって……「いいよ、ボクそんなに早くないから、恥ずかしいもん。」って言ったの。
 でも、花穂が「そんなことないよぉ!お兄ちゃまも、いつも衛ちゃんはかけっこで早いなぁ、そのうち追いつけなくなるかもなぁ、って笑ってたんだぁ!」って、言ったの。
 そうしたら、「そ、そうかな……」って、また赤くなって……「うん、ボクがんばるよ!」って、約束してくれたんだぁ!
 だから花穂、今日はゼッタイがんばって、衛ちゃんの応援するんだもん!

 
 衛ちゃんは、学校に行く前に、花穂のおうちに迎えに来てくれるはずなんだけど……
 なかなか……来ないの。
 ママはお出かけする時間になっちゃって、花穂、バイバイってしたんだけど……
 そうしたら、何だか心配になってきちゃったんだぁ……
「衛ちゃん、遅いなぁ……どうしたんだろう。あ、もしかしたら……」
 何かあったのかもしれないんだ。たとえば、たとえば……忘れ物……は、花穂じゃないから、しないよね。だったら……学校に用事があるの……かなぁ。
 わからないから、花穂……衛ちゃんのおうちに電話してみました。
「あっ……もしもし。こんにちは、花穂です。あのぅ……衛ちゃん、いますか?」
 そうしたら、おばさんか……
「衛なら、朝早くから出かけましたよ?」
 って言ったの。そして、ウフフッて……
「ご、ごめんなさい!」
 花穂、そう言って電話を切って……どうしようって、考えちゃったんだぁ。
 衛ちゃんは、出かけたって……朝から。そ、それじゃ……まだ来ないのは、どうしてなのかな。
 衛ちゃんは、ゼッタイ約束忘れたりしないし……あ、でも花穂はドジっ子だから、もしかしたら……
 あー!もしかしたら、迎えに来るって約束が、違ったのかもしれないんだぁ!
 花穂ね、そう思ったの。
 もしかしたら、花穂が、花穂の方が、衛ちゃんのおうちに迎えに行くって約束したのかもしれないんだ。そうだったら、衛ちゃんは、花穂のことずーっとおうちで待ってて……「もう、まだ来ないのかなぁ、花穂ちゃんは!」って、プンプン怒った……ことなんてないから、どうなんだろう?でも、でもでも、きっと……きっとそうなんだぁ!
「花穂、行かなくちゃ!」 
 花穂、大慌てで道具を持って、おうちから出かけました!
 早く、大会に行かないと……衛ちゃんのかけっこが始まっちゃう!


 花穂、いっしょうけんめい急ぎました。
 でも……花穂、やっぱりドジっ子なんだぁ。
 あのね、花穂はね……大会がどこで開かれてるのか、知らなかったの。
 だから花穂、道を歩いてるおじさんとか、公園でハトさんに餌をあげてるおばあさんとか、交番でいつも立ってるおまわりさんとかに聞きました。
「かけっこの大会をする場所は、どこなのか教えて下さい!」って。
 あのね、そうしたらみんな、すぐに教えてくれたの!
 でも、花穂はやっぱり教えられた通りに行けなくて……それで、迷っちゃうたびに人に聞いてたんだけど、最後に、すっごいおヒゲのおじいちゃんが、
「ほっほっほ、それはここでやっとるんじゃよ。」
 って、言ってくれたの。それで、花穂が見上げたら……
 あのね、スゴク大きな建物があったの!
 花穂、ずっと、グルグルってその周りを回ってたんだぁ!
 そしたらね、聞こえてくるの。中から、パンパーン!っていうピストルの音が。
「は、はじまってるんだぁ!」
 花穂、おじいちゃんにお礼を言って、また走ったんだ!


「ついた、ついたぁ!」
 花穂、やっとスタンドに出たよ。
 応援の人はどこで着替えればいいですかって聞いたら、優しい先生がいて、更衣室に案内してくれたの!そこで大好きなブルーのユニフォームに着替えて、バトンとボンボンを持って……
「衛ちゃん、どこかなぁ……」
 あのね、スタンドに出たのはいいんだけど……すっごく大きなグラウンドには、人がいっぱいいたの。
 花穂、どれが衛ちゃんか、ゼンゼンわからなかったんだぁ。あちこちで、ハードルさんとか、砂場さんとかがあって……うーんと、どこかなぁ。衛ちゃんは、確か100メートルだって言ってたから……あ、あれかなぁ。うーん、でも遠いから、どれが衛ちゃんかわからない……これじゃ、応援できないよぉ……
 そう思って、花穂がべそをかいたらね。
 よーいドン!ってピストルが鳴って……みんなが走り出したの!
 そしたらね、ピューって走ってるみんなを見てたらね、花穂、思い出しちゃった……
 お兄ちゃまがね、この前、花穂に言ってくれたこと……
「ボク一人を応援してくれるよりも、みんなを応援してる花穂の方が、ずーっと魅力的だよ。」って……
 花穂、その時はね、お兄ちゃまは花穂の応援なんていらないんだぁ……って思って、涙が出ちゃったけど……
 今、その意味がわかった気がしました!
 みんな、みんな、がんばってるんだぁ。
 花穂が、クラブのみんながね、チアの練習するみたいに……みんな、ここでがんばって走ってるんだよ!
 だから、そのみんなを応援できたら、とってもスゴイことだよね!
 お兄ちゃま!うん、花穂がんばる!
「衛ちゃん、がんばれー!」
 どこかで走ってる衛ちゃんに、届け! 
「みんなみんな、がんばれーっ!」
 あっちで走ってる人、そっちで走ってる人、準備体操してる人も……みんながんばれ!
「応援してる人、がんばれー!」
 あ、見られちゃった。恥ずかしいけど……いいんだもん!
「花穂、がんばれー!」
 ピョンっ!あ、だったら……
「お兄ちゃま、がんばれー!」
 えへへ。ゴメンね、お兄ちゃま。
 でも、でも……今の花穂、そ、その……ミリョクテキ、かなぁ……?
 花穂、そのあとも、がんばってずーっと応援しました。
 ボンボンをはずませて、バトンをくるくるって回して!
 失敗しちゃったりもしたけど、でも……応援するのってとっても楽しい!


 そうしてたらね、声が聞こえたの!
「おーい、カホー!」
 グラウンドから呼ばれて、花穂が見たら……目の前の長いコースで、走ろうとしてる人たちだったんだぁ。
 花穂のこと、指さして……みんな、笑ってる。
「カホー、応援しとるでー!」
 ランナーの人と、その周りの人が、こっちを見上げてたの。
 あー!きっと、あれが衛ちゃんなんだぁー!
 やったあ!花穂の応援が聞こえたんだね!
「がんばれー!がんばれー!」
 花穂、もう嬉しくって飛び跳ねちゃった。
 そうしたら、走ろうとしてる衛ちゃんが、照れたみたいに頭をかいて……コースについたの。
 他の選手の人たちも、みんな並んで……わぁ、ドキドキするよぉ!
 それで……それでね、よーいドン!
「衛ちゃーん!がんばれー!がんばれーっ!」
 走ってる衛ちゃん……髪を後ろでとめて、普段と、ちょっと違う髪型にしてたけど……すっごくカッコよく見えて。
 真剣な表情で……すっごいんだぁ!花穂が見た中で、一番早かったんだよ!
 ピューって、どんどん走っていって……あっ、隣の人が……ダメ、おいついちゃう!
「がんばれー!がんばってーっ!」
 花穂、ドキドキして……でも、がんばってジャンプ!
「わ……わぁぁぁっ!」
 そうしたら……そうしたらね、花穂、すっごい勢いで……転んじゃったの。
 ガターンって、頭から下の段におっこちて……
 それで、パンパーンって、どこかで音が鳴りました。
 あーあ。花穂、また失敗しちゃったんだぁ……
 お兄ちゃま、ごめんなさい……


 花穂が目を開けると、そこは……保健室でした。
 どうしたのかな……なんで、寝てるのかな?って、花穂が思ったら……
「なんや、ようやっと起きたんかいな……」
 って、声がしたの。
 それで、花穂が起きたら……
 目の前に、体操服の女の人がいたの。背が高い、知らない女の人で……
「大丈夫なん?どこぞ痛ぅない?派手に転んだって聞いたで?」
 その……その人がね、花穂のことを、心配そうに覗き込んだの。
 ちょっと不思議な話し方だったけど、花穂、ブンブンって首を振りました。
「は、はい。花穂、大丈夫です……」
 そうしたら、女の人が……
「はぁ?今なんて言うたん?」
 って、恐い顔して……ど、どうしよう、花穂、何か悪いこと言ったかなぁ……
「ご、ごめんなさい。花穂、花穂は、どこも痛くないから、大丈夫です。ありがとうございました。」
 って、ペコンって頭を下げたの。
 そうしたら……
「な、なんや?アンタも、カホ言うんかいな?あはは!そりゃケッサクや!」
 って……お腹を抱えて、大笑いして……
 花穂、何か悪いことしてるのかなって、なんだか……涙が出てきちゃったの。
「あぁ、スマンスマン。アンタを笑ぅたんやないんや。ウチな、カホ言うんや。森井夏穂。アンタもカホ言うんやろ?なんや同じ名前やって、もうおっかしくてな。笑ってしもうた。」
 あのね、そう言って……女の人、自分の頭をポリポリってかいたの。
「カホ……?」
「そうや。ウチもアンタも、名前、カホいうんやな。そうやろ?そいで、アンタはウチのことよう知らん。そうやろ?」
 花穂、よくわからなかったけど……ウンって。
「ナハハハハ!みんな、なに言うとんねん!ウチ、かつがれてしもうたわ!」
 また、その……女の人がね、大笑いしたの。花穂、やっぱりよくわからなかったけど……
「ああ、スマン。アンタに関係ないことや。あのな、アンタ、すっごい目立って応援しとったろ?」
 笑いながら、花穂の頭を……ポンって。
「やからな、ウチの友達が間違えとうて。アンタが、はるばるウチの応援しにきた後輩や、とかフキ込んで。ウチ、すっかりそれ信じてしもうたんや。そいで、なんやチカラ入れて走ってもうて……ナハハ!」
 また、大笑い。女の人、お兄ちゃまみたいなすごいチカラだったから、花穂、ギューッて首とかが痛くなったの。
「あぁ、スマン。でもな、アンタ……おおきに。」
 親指をぐっと立てて、花穂に笑ってくれたの。
 花穂が不思議そうな顔をしてると、また笑って……
「アンタの応援のおかげで、ウチ勝てたんや!走って、4コースに追いつかれそうになってな……そないな時、いつもやったらなぁんも聞こえへんのに……アンタのよう透る声が、ガンバレーって声が聞こえたんや。次の瞬間、ゴールしとった。」
 あのね、花穂のこと……撫でてくれたの。大きな手で、とっても優しく。
「一等賞やで!一番や!やっと、やっと……勝てた!おおきに、どうもアリガトな、カホちゃん!そいでもってウチもカホちゃん、こりゃおそまつはんで!アハハハハ!」
 ゆさゆさって、撫でながら大笑い。
 花穂、花穂ね、やっぱり首が痛かったけど……
 こ、これって、花穂の応援で、勝てたって……
「カホー!あの子、大丈夫やった?」
「夏穂先輩!おめでとうございますー!」
 その時ね、ドアが開いて……おそろいのジャージを着た女の人たちが、たくさん部屋に入ってきたの!
 みんな、カホ……?女の人を、囲んで……
「そうや!この子や!あのな、この子もカホいうんやて!ウチを応援してくれたんとちゃうんやけど、でも、誤解してしもうたオカゲで勝てたんや!おおきにな、カホちゃん!」
「えーっ!そうやったの?」
「あなた、カホちゃんって言うんだ!カワイイ……」
「ホント、すっごく可愛いね!」
「ありがと、森井先輩を勝たせてくれて!」
「あーん、ウチもカホちゃんみたいにカワイク応援したいわ!」
「やめとき、アンタにそないなことされたら、男子部員が怪我続出やで!」
 そのね、みんなで……大騒ぎになっちゃったの。
 花穂、女の人たちに囲まれて、それで……どうしようって思ったら、その……カホ、っていう女の人が……
 花穂にね、ウインクしてくれたの。


 おうちに戻ってきたのは、夕方でした。
 みんなの大騒ぎはずーっと続いて、花穂も来ないかってさそわれたんだけど、花穂、まだちっちゃいからって断って……
 そうなの。あのね、衛ちゃんのこと思い出して、探そうとしたんだけど……そうしたら。
 あそこは、大きい人の……上の学校の人たちが大会をしてる場所だって、その……もう一人の、カホさんが教えてくれたの。
 あーあ、やっぱり……花穂がドジだったんだぁ。
 会場、間違えちゃうなんて。
 でも、考えたらね、朝からずっとそうだったの。
 みんな、花穂のせいなんだぁ……


 気が付くと、花穂……おうちを通り過ぎて、衛ちゃんのおうちの近くまで来てました。
 ゴメンね、衛ちゃん。花穂、応援できなかったね。約束を破っちゃったね。
 衛ちゃん……花穂のこと、許してくれるかなぁ……
「あれぇ!花穂ちゃんだ!どうしたの?チアの練習の帰り?」
 そうしたらね……突然、衛ちゃんのおうちを見上げてた花穂の、後ろから……
 衛ちゃんの声がしたの!
 花穂、ビックリして振り向いたら……
「あ……衛ちゃん……!お、お兄ちゃま!」
 衛ちゃんと……お兄ちゃまが、手をつないでそこにいたの!
 衛ちゃん、いつもの格好とちょっと違う、可愛いチェックのワンピースを着て……お兄ちゃまの手を、ギュッて握ってて……
 お兄ちゃまも、花穂がここにいることに驚いてた。
 それでね、そうしたら花穂、もっと恥ずかしくなって。
 どうしよう、お兄ちゃまも一緒なんて。お兄ちゃまに、花穂が約束破った話を聞かれたら……花穂、花穂、きっと、衛ちゃんだけじゃなくて……お兄ちゃまにも嫌われちゃう。
 でも……でも、花穂……花穂……
「ごめんなさい、衛ちゃん……花穂、約束破っちゃった……ごめんね!」
 花穂、ギュッて目を閉じて頭を下げたの。
 そうしたら……
「約束?なんのこと……ボ、ボク、何か約束してたっけ?」
 って……
「か、花穂が……衛ちゃんのかけっこの大会、応援するって約束したのに……今日、行けなかったの。花穂、花穂ね、場所を間違えちゃって……」
「大会?あ、あれって……来週だよ?」
 ……!
 ポカンって口を開けてる衛ちゃんの前で……
「え、えぇー!?」
 花穂も、ポカーンって口を開けて……
 あのね、笑い声がしたの。
 それは、お兄ちゃまの……
 それでね、花穂の前に来たお兄ちゃま、優しく頭を撫でて……
「ドジだなぁ、花穂は……」
 って。笑って、言ってくれたの。
 花穂、やっぱりまた、涙が出ちゃった。
 でもね……でもね、それが……とっても嬉しかったの。


 それから、花穂も衛ちゃんのおうちにおよばれして……
 あのね、衛ちゃん、今日は「お兄ちゃんの日」だったんだぁ。朝からずーっと、お兄ちゃまと色々な場所を探検してたんだって。衛ちゃん、とっても嬉しそうで……それを見てたら、花穂も嬉しくなっちゃった!
 それでね、三人で仲良くごはんを食べて……遅くなる前に、衛ちゃんのおうちから帰りました。
 お兄ちゃま、花穂を送ってあげるよって……ちょっと暗くなってきたから、手をつないで……一緒に、歩いたんだ。
 歩きながらね、花穂……今日のことを、お兄ちゃまにお話したの。
 花穂と同じ名前の、カホって人のこと。お兄ちゃまと同じぐらいの学校じゃないかなぁ。とってもカッコよくて、でもちょっとコワくて、お話が面白かった人のこと……
 その人が、花穂の応援で一等賞になれたって言ってくれた、って話したら……
「すごいなぁ、花穂は。よーし、今度はボクのことも応援してもらおうかな。」
 って……お兄ちゃまがね、お兄ちゃまが……言ってくれたんだぁ!
 だからね、花穂、思いきって……お兄ちゃまにお願いしました。
 来週の、今度はホントにホントの……衛ちゃんの大会に、一緒に応援に来てくれませんか、って。
 そうしたら、お兄ちゃまは花穂に、
「当り前じゃないか……」
 って言って。花穂のこと、また撫でてくれたの。それで、
「一緒に応援しような。」
 って。あのね……笑顔で、言ってくれたんだぁ!
 花穂ね、花穂……とっても嬉しくって……えへへ、お兄ちゃまに抱きついちゃった!
 うんっ!お兄ちゃま……花穂、がんばる!
 
 

 
      fin.
 
 
 
[Do your best,Kaho!]2002/01/07,TaleArea投稿作品
 
 



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