 二塁ベースを蹴ってから、さらに加速した。7月に39歳になる桧山のスピードに誰もが驚く。1−0の3回、2二塁。東洋大の後輩になる永井の115キロカーブに反応した打球は、右翼・横川のジャンプをかわしてのタイムリー三塁打だ。
「低めのボールを振らないようにと思っていたら高く来たので思わず手が出た。なにはともあれ、勝って良かった。チームが勝ったのが一番」
4年ぶりの三塁打だった。04年9月10日の横浜戦(横浜スタジアム)で三浦から放って以来、通算22本目。その甘いマスクだけではなく、3つの塁間を一気に駆け抜けられるほど背番号24のボディーはまだ若々しい。
先制のホームを踏んだのも桧山だった。2回に中前打すると、藤本の右越え二塁打で生還。5番打者の一撃がすべて得点につながったからこそ、試合後は勝利のフレーズを何度も口にした。
交流戦というシステムに感謝する。パ・リーグの本拠地という舞台を最大限に利用する。開幕から代打の切り札として猛虎の快進撃に貢献してきた男は、DH出場での5番スタメンの大役に目を輝かせる。「最初にセンターへ打ち返せたから、いい感じで次もいけたね」。複数打席に立てる喜びをかみしめた。
野村IDとの直接対決。前日の試合前に「お前が出てこない展開にしてやるわ」と“口撃”も受けた敵軍の将は、99年からの3年間は阪神の指揮官でもあった。「やっぱりね、お世話になった方だからね…」。三塁打した3回の打席はストレート、フォークボールと来てのカウント1−1からの3球目。スコア、走者の状況、そして永井との力関係…。「カーブは頭にあった」と球種の読み合いにも勝利していた。
あす6日からのソフトバンク、オリックスとの計4連戦は舞台が甲子園のためベンチ待機が濃厚。再び1打席勝負に戻るが、それでも勝敗を決するクライマックスシーンでは、岡田監督は桧山の名前をコールする。
2008年06月05日 (木) 16時55分
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