[38414] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-36『日本解放作戦…中編2』 |
- 健 - 2019年01月17日 (木) 18時31分
フクオカ……
クレアはヴィンセントのMVSを連結させて暁の刀を受け流してそのままコクピットを串刺しにした。更に間髪入れずにもう一機をニードルブレイザーで撃墜する。
「流石にカゴシマが近いからここは戦力が多いわね。」
隣でグラビーナのヴィンセントがランスで海上艦のブリッジを潰して無力化し、ライフルで竜胆の上にいる鋼骸を撃破して一度離脱する。
〈ゼロは確認されなかったそうだな?〉
「ええ、ウィンスレット将軍もエルも気がかりだったわ。」
どうして、ゼロが?ここにもカゴシマにもいない……
「やっぱり、トウキョウ租界?」
〈かもな……私はエルシリア様の援護に向かう。〉
「ええ、お願い。私はセラの方に行くわ。」
イロナは輻射波動弾を海上艦に叩き込んだ。海上艦が膨張し、爆発したがその中からグロースターがランスを手に突っ込んできた。
〈イロナ、下がって!〉
アレクシアのデメルングがシュロッター鋼ソードでグロースターをランスごと斬り裂き、アサドの機体がライフルで援護をする。
〈全員、大丈夫?〉
シュテルンに乗り換えたウェンディが声をかけ、ニコロスも合流する。
〈おう、なんとかな。他の奴らも後方から撃ってきてくれている。〉
流石に『フェンリル隊』に編入された者達は頼りになる。素行には問題があるものが多いが、元々そういう連中の集まり。今更誰も気にしていない。
〈中佐の援護に行くわよ。〉
「了解。」
〈んじゃま、このお邪魔虫共を強行突破と行きますか!?〉
ニコロスのデメルングが両手に持ったライフルを乱射し、更に飛翔滑走翼のミサイルを撃ち出す。
ゼラートはレーヴァテインの一本をたたき折ったシルヴィオのディナダンの動きに思わず高揚する。
E.U.の外人部隊にいてこれほどまでに手応えのある相手はあのシャイング郷と『ブリタニアの吸血鬼』以来だ。
しかし、こちらは軍人でね。悪いが騎士道に付き合う気はないぞ!
シールドのクローを突き出すが、相手はそれをブレイズルミナスで受け流して間合いを詰める。だが、至近距離で右肩の電磁砲を展開した。
討ち取れる、と思ったらディナダンはハーケンで電磁砲を破壊した。
「驚いた…!ここまでやれるとは。」
〈そちらこそ、素晴らしい機体と腕だ。〉
行村はシマネ上陸を試みる部隊の後方にいたが、苛立っていた。一体何をしているのだ、奴らは!さっさとあの程度の守り突破して私の引き立て役の役割を果たせ!!
「全く、使えない奴らだ!」
〈中佐、奴らは所詮はその程度!真の勇士である我々の足下にも及ばないのですよ!〉
そう、ゼロもあの星刻も私の足下にも及ばない!だと言うのに、星刻は『ナイトオブワン』に苦戦しており、他の戦場でもE.U.や中華連邦の奴らは進撃させてくれないという。
「すぐにでも後退できるようにしろ?」
〈承知。〉
まあいい……真の勇士である私はここで死んで良い人間ではない。すぐにでも逃げられるようにしなければな。
この私に良い機体も渡さなかったゼロの愚かさを糾弾するためにもな……
行村は気に入らなかった。ゼロは自分に暁を与えたが、藤堂の腰巾着が使っているものと同じ指揮官機だ。
星刻の神虎や藤堂の斬月、ゼロの蜃気楼といった最上級の機体ではなくたかが指揮官仕様など、どういう神経をしている?池田や海棠、ヴァントレーン、そしてあのピエルス大佐は『ラウンズ』の機体と渡り合える機体だというのに。
まあ、良いさ。あの捕虜になっているブリキまみれの女をものにして、ついでに紅蓮とやらも私のものにするか。
ランスロットに渡り合える高性能機、あれこそこの私に相応しい。そして、この私の寵愛を受ける栄誉程度もあの女に与えても良いだろう。
斬利はそんなことを考えている行村に腹が立っていた。バルディーニやマスカールから悪辣さは聞いていたが、最低限の援護射撃程度しかしない。
いっそのこと、あいつらを盾にして後退するべきか?などと考えたがそんな個人的不満で作戦を崩すわけにはいかない。
「砲台の移動は?」
「あと、十分ほどで!」
「かかりすぎる!」
幸い、敵はこちらが砲台を移動させていることにまだ気付いていない。混戦状態に持ち込み、ECMのおかげか?
「ばれれば通常戦闘になる……」
万が一にともう一門控えさせている……だが、それもどこまで通用するか。
海棠はエルシリアの機体と斬り結び、一進一退の攻防を展開していた。
だが、長剣を振るったベイリンの僅かな隙を見つけた。剣を突き出した瞬間に敢えて左腕の装甲とフロートを犠牲にブルートガングで左腕を斬り裂いた。
〈良い腕だな!〉
「肉を切らせて骨を断つ、と言いたいけど一番の獲物は捕れなかったね!」
最大の武器を奪うことは出来なかった上にこちらも空戦能力が低下して、左腕のダメージが大きい。
「『モノケロス隊』は一度後退する!ヘンリーの隊を援護に回せますか!?」
バルディーニが了承し、竜胆とパンツァー・フンメル、鋼骸がベイリンに砲撃を行う。
「裕太、セーラ!お前らも後退だ!」
目の前にはエルシリア旗下のヴィンセントがMVSで斬りかかった。無傷の右腕の剣で受け止めるが、相手は連結させたもう一つの刃で斬りかかる。こちらも左腕の剣で受け止めるが、やはりダメージのせいでパワー負けするしこの状態で勝てる相手ではない。ハーケンでヴィンセントを牽制しながら海棠は旗下のKMF隊と共に一時後退する。
セラフィナは二機の暁直参仕様と互角に戦い、輻射波動弾をハドロンブラスターで撃ち落とし、MVSで応戦する。既に重いガトリングは捨てている。次の戦闘では武器を変えた方が良いかもしれない、等と考えながら二機の暁を相手に応戦するが、エルシリアと交戦していた指揮官機の後退に合わせて二機も一度後退する。
〈セラフィナ様、エルシリア様の機体が損傷しています。一度下がりますので、援護射撃を。〉
いつの間にか出撃していたのか、艦上から携行型ハドロン砲を装備したヴィンセントで遠距離射撃を行うウィンスレットの進言を受け、セラフィナも頷く。
「分かりました、姉さんに合流します。」
しかし、あの二機も指揮官機も強い。動きからして、あの精鋭部隊だろう。特に指揮官は引き際も良く戦線の維持も考えている。
後退するエルシリアも応急修理が終わり次第、再発進する旨を伝えながらも海棠のことを考えた。
「良い指揮官だな……全く、これだけの人材をもっと活かせれば少しは戦線が維持できただろうに。」
ライルではないが、イレヴンでもあれだけの人材は貴重だ。ブリタニアでも間違いなくあのダールトンやシュバルツァーに匹敵する……
一度ライルが逃げられた相手だとは聞いているが、確かにそれだけの能力を持つ。厄介な男だ。
池田はウォードの頭を左腕で掴み、輻射波動で撃破した。それから間髪入れずに叢雨でガレスを両断して内蔵機銃で航空戦力を一掃する。
モニターを見ると、ベディヴィエールを見つけた。今のところ、三対一という圧倒的な不利の状況下でライルは良く持ち応えている。
今もローランの剣を躱して、そこを突いた炎鳥のハーケンをクローではじき、更にソレイユの槍を受け流す。だが、防戦一方だ。
流石に三対一では無理もない、か。
ライルの力量はおそらく既に『ナイトオブラウンズ』の域に達している、だがクラリスも『ラウンズ』に匹敵するし、浅海とあの楊 藺喂の力量も例え『ラウンズ』には及ばずとも親衛隊のエース級だ。
機体も同等ならば、必然的にライルが不利になる。だが、あの男との決着は池田も望むところ。
出来れば、一対一で決めたかったが……
四対一などと言うリンチ同然の勝ち方は不本意だが、ここは戦局を優先したい。
「悪く思うな、ライル。」
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