[38080] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-25『守る狂戦士…前編』 |
- 健 - 2018年03月07日 (水) 11時00分
ライル達のいるブースは人が少なく、幸いにもはぐれる心配がない。だが、ボスは有紗達を連れて逃げようとした。そんなことをさせるわけがない。
「優衣!涼子!思い切り蹴ってやれ!」
二人共すぐに反応して、自分の首輪を持った黒服にヒールの踵を叩き込んだ。あれは痛い。ヒールの踵が見事に突き刺さった。黒服が怯み、銀髪の姉妹の妹の方が涼子が蹴った黒服を蹴り倒し、同じように連れて行かれようとした姉の方も黒服を蹴った。怯んだ他の男にクリスタルがトレイを拾って殴りつけ、ノエルも顔面を蹴り、ライルもボスの顔面に拳を叩き込み、有紗を抑えていた黒服に踵落としを喰らわせた。
「もう、変装の必要はないな。」
カツラとアイコンタクト、眼鏡を取ったその顔を見たボスとオーナーの顔が青ざめた。
「だ、第八皇子殿下?」
「正解…さて、部下達を随分といい目で見てくれたな?たっぷりと礼をさせて貰おうか。そこでコソコソしているオーナーにもな。」
後ろのオーナーが逃げようとするが、ヴェルドに顔面を殴られて押さえられた。
「悪いね、そこのセクシーなバニーはウチの大将のなのよ。」
「誤解を招くだろう…」
「殆ど同じでしょう?出身地も調べ上げ、後同じ時期に本国に極秘便が届いた記録洗い直したら、色々出てきましたよ。」
コローレが全てを伝え、オーナーは生気が抜けたような顔になった。これだけやったのだ。本国の五月蠅い奴らも文句は言えまい。
鍵を奪い、全員の首輪と手錠を外す。
「ライル様…」
有紗が泣きそうな顔で見つめてきた……だが。
「ライル様!」
優衣が抱きつき、この場にいる者の中では間違いなく2番目に大きな胸を押しつけた。
「怖かったんですから!」
「分かったから、今は離れろ。ヴェルド、コローレ。そこの二人も連れて逃げろ。」
「姉さんと妹を放せ!」
後ろからの声に振り向くと、銀髪の少年がトレイを投げた。それをライルは逆に受け取り、向けられた拳を受け止めた。トレイがへこむが、そのままトレイで殴り返す。だが、性根はそれを屈んで躱し、目を狙ってきた。首を逸らしてよけたところで…
「待って!その人は違うから!」
姉の方が止めに入り、少年は手を止めた。
「………本当なのか?」
「あ、ああ……」
ライルは内心で冷や汗をかいた。驚いた……只の素人ではない。そういえば、先程黒服を蹴り倒したあの二人も………軍隊の者ではない自己流だが、鍛えられた蹴りだった。
「まあ、良い。身内なら君も来い。」
「あ、ああ……!」
固まると目立つので、ライルは有紗を連れて別ルートで逃げることにした。幸い、客はまだ残っており、ごった返している。ライルは有紗の手をしっかり握って離さないようにしている。が、振り返ってみると、有紗のバニーの衣装は刺激的であった。胸も同年代の優衣と涼子には少々劣るがかなり大きい。いや、あの二人がおかしいだけだ。あの二人と同等のサイズの成人女性はライルの知る限りではクリスタルやクラリス、そして先程の銀髪の女性くらいだ。
が、そんなことは今はどうでも良い。耳のインカムから妙な話が聞こえる。
〈後でいくらでも言い訳がつく!とにかく、主犯の男を殺せ!犯人は後で用意する!〉
どうやら、ばれたようだ。恐らく、敵はこちらを探すだろう。まずいな……本音を言えばこんなところでナンバーズ同士の駆け試合や女性を買う等という下劣なことを喜々とする輩などどうなってもいい。だが、ヴェルド達が巻き込まれないかが心配だ。
「ゲイリー、トレーラーかKMFで私の機体を近くまで運べないか?」
〈無茶なことを仰る!〉
「無茶でもやってくれ……向こうは私を殺して適当な犯人を用意する気だ。」
すると、今度はフェリクスが出てきた。
〈そう言うと思って…用意してますよ?気を隠すなら森の中……連中のKMFコンテナに紛れ込ませてます。〉
驚いた……KMFは最後の手だったというのに、だが……
「何故、私に黙っていた?」
〈敵を欺くにはまず味方から、ですよ?〉
「………相変わらず良い性格だね。」
ライルは腕を掴んでいた有紗の肩を抱き、引き寄せた。
「有紗、離れるなよ?」
「は、はい!」
懐からKMFの起動キーを出そうとした時…先程の女性がいた。
「何故、ここにいる!?」
「ご、ごめんなさい!人混みではぐれてしまって…!」
「ああ、もう!ヴェルド、コローレ!聞こえるか!?」
〈大将!すまねえ、あの銀髪バニーのお姉ちゃん…〉
「それなら私のところで見つけた!そのまま二人は外へ出て合流しろ!」
〈申し訳ありません!〉
コローレが詫びて、ライルは改めて起動キーを押す。
十数秒後、壁を破ってベディヴィエールがやって来た。ライルはベディヴィエールに飛び乗り、すぐに起動キーを差し込む。KMFが起動し、ライルは有紗達に手を伸ばす。
「早く!狭いが、二人共コクピットに!」
有紗と銀髪の女性を手に乗せ、シートがまた後ろに出る。
「有紗は私の膝の上に!そちらの君は体勢が悪いが、シートの後ろに!」
「え?」
「大丈夫…絶対に守る!」
そうだ!ここまでやったんだ!絶対に守る!あの女の思惑通りになどさせるか!!
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