[37870] コードギアス 追憶のエミリオ intermission 展開 |
- JIN - 2017年11月23日 (木) 14時51分
隣のスイート。
丸テーブルを囲んで、様々な資料に目を通し合ってる三人の男女。
ローランス・ジョージ・ヴァルトシュタイン。
アレウス・アルフォード・アレキサンダー。
そしてエミリオ・バーンスタイン。
やがて資料の一つから目を離し、顔を上げる一人。
「やっと静かになったな。まあ。また激しくなるだろうが」
「いいのか。ローランス?」
「おいおい。またそれか。言ってるだろ。何度も。あいつは確かに『ダチ』としてはそれなりに楽しい奴さ。しかし『女』としては閉口だね。三日でも同棲してみれば嫌でも分かるぞ」
「しかしそろそろ限界じゃないか」
「だろうな。もしポーランドが全面介入となれば、こちらも向かわねばならない。そこまではアハトに頑張って貰おう」
「ウクライナか。まずは?」
「おそらくな」
「…」
いささか沈痛めいた表情のアレウス。
「すまんが。君にはマニゴルドやギベルディと共に、中華方面の動きの見張りを頼む。クロックシュタインやヴァイトランドが気になるだろうが」
「分かった。マニゴルドは厄介だが、ギベルディがいてくれるなら心強い。ところで彼女もリングスの『候補』なのか。やはり?」
「いや。従兄貴によれば断られたらしい。それにギベルディについては、むしろあの位置に留めるのがいろいろと最適らしい」
「バルテルミーみたいにか?」
「そうだ。あと『候補』といえば、例のバミューダの『アカデミア』から、こっちに二人ほど派遣するらしい」
「『アカデミア』? あのリラダン伯爵か?」
「ああ。あのアッシュフォード家の縁戚で、アスプルンド家との縁組も取り持ったという噂の変人だよ。どうやらこないだのウスリーの戦闘を聞いて、従兄貴のところに売り込んで来たらしい」
「どんな人物だ?」
「身の安全のために詳細は教えてもらえなかったが、それぞれ東西に一人ずつだそうだ」
「いまこの時期にブリタニアからとは面倒だな」
「ああ。だからまずはここまで辿り着けるかどうかがテストだな。俺たちが西に向かうまで間に合うかは分からんが、後だったら面倒をよろしく頼む」
「分かった」
「それにしても。この三人だと思い出すな」
「『魔都戦争』か?」
「ああ。あの時はまだリアはいなかったしな。あの盛りの頃は、今の時期など想像も出来なかった」
「俺もだよ。じゃあ。そろそろ」
立ち上がるアレウス。
「おいおい。もう引くのか」
「ああ。これ以上の長居で『こちら』もお邪魔しちゃ悪いしな」
「おいおい」
口元を笑わせながらスイートを出て行くアレウス。
後に残る男女二人。
しばしの無言の後、続いて立ち上りかかるエミリオ。
そこに声を掛けるローランス。
「ちょっと。待ってくれ。すまんがここに居てくれないか。朝まで。今日だけでいい」
「…?」
怪訝な表情のエミリオ。
「まあまあ。別に何か変な事しようってんじゃない。しようったって、おまえの力なら俺をどうするなんて簡単な事だからな」
「…」
「ま。要するにソフィア対策だよ。俺とおまえがあるいはどうなったかなんて事が噂になれば、むしろアイツが少しは落ち着いてくれるかなあって奴さ」
「…」
あくまで無言で無表情のエミリオ。
それに対して大きく方を竦めるローランス。
「ま。それならそれでまだ別の意味で機嫌を悪くするかもしれないがな。ハハハ」
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