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お気楽極楽なSS発表会

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[38658] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-52『レクイエム…前編2』
健 - 2019年11月23日 (土) 21時19分

戻ろうとした雛は暁部隊に包囲された。

〈死にたくなければ投降しろ。〉

「……分かったわよ。さっさと連れてきなさい。」

機体の腕を上げ、暁のハーケンが腕と足を捉えて連行する。

回収されるコクピットで、ウェルナーの祈りを受けた右手を見つめ……そっと唇を触れた。

「まだ、諦めないから。地獄の底からでも、あんたのところに帰るわ。」

そう、まだ諦めていない。帰ると約束したのだ……例え、ローレンスを失ってもチャンスはあるはず。



クリスタルはどうにかゲイリー達に拾えてもらえた。が、情けない自分に苛立っていた。

「情けない女……ジュリアのことを償いたいとか、大口叩いておいて差し違えることさえ出来ないなんて。」

『本当に情けないな……』

セヴィーナの声が聞こえたような気がした。

「……そうね。」

本気でライルを愛し、ジュリアのことも本気で好きだった。だが、結局自分の欲望に負けてありもしない可能性に縋って片棒を担ぎ、この様だ。

「本当に……情けなくて、勝手な女。」



〈君ほどの力があれば、ブリタニアで成り上がることも出来たのに…何故、そちらを選んだ!?〉

ベディヴィエールの剣を蒼天の刀が受け止め、つばぜり合い二機は距離を置く。

「侵略者のやり方に従えと!?私はそれを選べる人間ではない!?」

だから、池田はあらがう道を選んだ。安寧を望む人々のそしりを受けるのも覚悟で。

それで自分達を正義だと言うつもりはない。恭順派の安寧を奪っているのだから。



幸也は戻ろうとしたが、暁部隊の奇襲を受けた。応戦するが、フロートを破壊されて投降せざるを得なかった。相手はE.U.軍……ライルや『ユーロ・ブリタニア』が侮蔑しているような腑抜け共とは雰囲気が違うのは感じ取れる。

だが……

「お前達を認めない……父さんを、母さんと姉さんを殺した『正義』を!」

「な、何のことだ!?」

「俺の父は『正義』を名乗るブリタニア軍人に射撃の的で殺され、母と姉は『正義』を名乗る日本軍人に弄ばれて殺された!!」

その言葉に銃を向けていた兵士も含め、全員が息を飲む。だが……

「それで、俺は『正義』を名乗るもの全てへの復讐を誓った!お前達もだ!ゼロも藤堂もキョウトも『正義』を名乗っている!だから殺す!支持者も皆殺しだ!!アレを支持する時点でお前達はクズだ!生きていること自体が罪だ!!!」

「えぇい、いいかげんにしろ!」

団員数人に押さえつけられるが、幸也は顔を上げる。

「大体、正義ってなんだ!?侵略者にあらがえば正義なのか!?そのためならば、何をしても良いのか!!俺の目の前で父さんを射撃の的にして遊ぶのも、母さんと姉さんを弄んで殺すのも正義か!?」

『黒の騎士団』の一般兵もE.U.からの参加者の誰もそれに対する反論を持っていなかった。

「『正義』を名乗るお前達は俺の敵だ!日本だろうがブリタニアだろうが関係ない!女でも子供でも老人でも全て的だ!殺し尽くしてやる!『正義』を名乗るもの…いや、『正義』こそが俺の敵だ!!この世界を全て滅ぼす!!」

それ以上いわされず、幸也はスタンガンで気を失った。



バルディーニは殴られた少年を見下ろし、哀れんでいた。

「革命政府の政策でどん底を這いつくばる日本人は見てきた………アムステルダムのゲットーも。だが、この少年は…」

敵国に父を奪われたと思いきや、母と姉を自国の軍人に弄ばれて殺された。敵と味方の双方に全てを奪われた者は何を憎んで、何を信じればいい?

私がもしも、あの難民地区をE.U.に奪われたら………私はなんのために戦えただろうか?

戦争におびえる人々が少しでもまともな暮らしを送り、彼らを祖国に帰す。それがバルディーニにとっての戦争だった。そのためにあちらこちらを回り、難民地区の市民に仮ではあるが市民権だって用意できた。

それを、根本から……それこそ、あの連中のくだらない利権目的の言いがかりで滅ぼされでもしたら?

この少年も言動で名誉ブリタニア人になった理由は察しがついた。復讐だ……そして、そのためにブリタニアを選んだ。世界の三分の一以上を支配するブリタニアの力を使って復讐しようと誓った……

もしかしたら、世界を滅ぼそうとさえ考えていたのかもしれない。

私も……イタリアを売り払えたのだろうか?イタリアの市民を全て殺し尽くすのも承知で…………

分からない。少なくとも、この少年を売国奴と断じることだけはバルディーニは許せない。そこだけは確かだ……

海棠、お前がこの少年に会ったらどんな言葉をかけてやった?

袂を分かちながら、これまで出会った軍人達で最も信頼できる人間だった海棠にあってそれを聞きたかった。



「じゃあ、侵略者に従わないと生きられない人間はどうすれば良いの?」

コクピットからおりた雛は兵士達に問う。

「あの『奇跡』のおっさんが手品みたいに何とかしてくれるから、とでも言うつもり?『人はパンのみに生きるにあらず』とやらを今この時代で振りかざそうってか?あんたらは悪魔みたいに石をパンにして食えって訳だな。」

「そ、そういう意味では…」

「言ってるだろうが!このクソッタレ共!!」

まだ文句を言うと、中華連邦の士官が前に出て刀を向ける。

「不平不満も反対派への文句も理由も充分に分かったから、少し黙れ。」

「雷峰様……」



中華連邦の兵が下がるが、日本人兵はまだ不服そうだ。

「この女の言うことは正しい……中華連邦だって一日の食べ物に事欠く者だっていたんだ。」

大宦官共がもう少し民の信頼を得ていれば、この女みたいなのがブリタニアに走っていたのかもしれんな。

そういう意味では、大宦官は分かりやすい悪役と言うことだったのだろう。そして、この女も中華連邦ならば大宦官にへつらってでも生きようとした部類だろう。

藺喂だってそうなっていたかもしれないし、雷峰の部下の中にもどん底の人間は多い。

「滅びても良かったのだろう、中華連邦も。」

クーデターに荷担してはいたが、星刻も悩んでいたとおりブリタニアに攻められればもっと悲惨な状況になっていた。ならば、いっそのこと中華連邦という国が根本から崩壊してもよかったのではないだろうか?

それで、奴らに媚を売る卑屈な政治家共が少しはマシになり、民にも活力が戻るきっかけになるのならば……

滅びもありだったのかもしれない。



同じ頃、ライルの旗艦でも同じように雛が連行したパイロット達に優衣が質問していた。

「その侵略者の中にいる所謂良識派や少数派に助けられて、その人に恩を感じたり本気で惚れて付き合うのはいけないの?駄目なんて法律、いつ、誰が作ったの?NAC?『日本解放戦線』?ゼロ?」

オランダ人の士官はそれに対して……

「少なくも、俺は作っていないな……」

更に、涼子が詰め寄る。

「私達はね……親を特区で殺された後に後見人に裏切られて、オークションの商品にされたの。その後、殿下が私達を買い取って今こうして、まともに働ける場所までくれた。そうした理由でウチの妹が殿下を好きになるのが悪いのなら、そのまま貴族に玩具にされて、飽きたら捨てられるのが日本人の誇りで、誉れだって言うのね?」

もう一人……ライルが手放したという噂の貢ぎ物の答えは。

「そ、それを誇りっていうのは……少なくとも、傲慢だと思う。私だって……そうなりかけたんだし。」

「そう思うんなら、私達みたいな人間を知った風に否定するな!私達にいわせれば、あんた達の方が遙かに傲慢で横暴よ!!こっちはあんた達みたいな奴らのとばっちりで殺されるんだから!!」

ノエルは優衣と涼子の言い分は正しいと思う。あの二人は日本とブリタニア、双方の犠牲者だ。ブリタニアの貴族主義で全てを失ったノエルも二人の気持ちが分かる。反抗する者の火の粉を被るのはいつも安寧を望む人々だ。平凡な暮らしをする庶民はいつも、貴族のしわ寄せが来る。そういう意味では、それを見向きもしない反対派とブリタニア貴族は同類だろう。

「貴族なんて、自分に都合の良いものしか見ていない……皇族なら尚のことだ。」

そう、決めつけていた。あのフレイヤの開発者でさえ、有紗達のことを『死ぬのが大好きなイレヴンだから放っておけ』、挙げ句の果てに『他のイレヴンの少女をさらって侍女にすれば良い』などと言ってライルに殺されかけたという。

ノエルにとって、彼女とあの連中は同類だ。自分に都合の良いようなユーフェミア…自分達に都合の良いような日本人しか見ていない。

あの連中の本質は、自分達に都合の良い日本人だけ救うのと同じ。独立が原因でまた仕事を失う名誉ブリタニア人に対しても、独立が出来たからそれを尊べ……等というのと同類。

『彼は私のための犠牲になったのだ。むしろ、光栄に思い給え。』

兄を陥れたあの貴族はなんの罪悪感もなく、そういった。父がその言葉に殺意を覚えて殺したのはまもなくだった。貴族の本家によって、殺された当人の罪は全てなすり付けられた。警察もそれを鵜呑みにしたか……或いは始めからグルだったか。

そんなのばかりまかり通る世界なら、壊れれば良い。壊してやりたい。

そう思った……そういう意味ではあの人も同類だったのかもね。

少なくとも、ライルだけは違うと思ったのは自分に似た憎悪を感じたからだろう。

結局……一番おかしいのは、あんなのがのさばってばかりの世界なのかしら?



浅海はこの二人の少女の言い分が突き刺さった。いつ以来だろう?そうだ、テジマ鉱山がつぶれてゲットーを渡り歩いた頃だ。

恭順派の人々は浅海が反対派の組織だと知った途端に石を投げ、罵倒してきた。中には軍に通報しようとした人もいた。

同じように一緒にいた仲間はそれを裏切りとして殺した者もいた。親が名誉ブリタニア人という理由で幼い子供さえも。

その時、痛感した……この人達にとって、ブリタニアではなくゼロや自分達こそが厄災であり敵なのだと。

仲間はそうした人々は助けないと公言する者もいた。昔の浅海もそうだった………独立のために死ぬのならばそれこそが誉れだと、信じて疑わなかった。が、ライルから間接的に従う人々の事情を聞き、実際に会って彼らの憎悪も受けるべきでは、と考えるようになった。

この子達は、正に私達の傲慢の象徴なのね。ブリタニア全てを悪だとはもう思わない……むしろ、打倒するべきはそうした体制だと思う。

その体制を中から返る立場と力を持ったライルは浅海にとっては、ゼロ以上の救世主に映ったかもしれない。いや、もしもあの特区が実現してゼロとユーフェミア、そしてライルも手を結べばブリタニアも日本も……平和的な関係になれたかもしれない。

でも……ゼロのギアスがそれを壊して、ライルも『虐殺皇女』の同類扱い。悪いのはゼロ?ギアス?ブリタニア?

違う……多分、世界も私達もみんな悪い。ライルもそれを、分かっているわよね?

あの目は今でも覚えている。矛盾に苛まれた目を……世界への憤りを含んだ、あの目。



「世界がおかしいからって、あいつらを許せなんて言われたら私は絶対に無理です。」

ハワイでルルーシュ旗下の軍によって軟禁状態の美恵はアーネストと紅茶を飲みながら応えた。あの後、やることもなく暇で…話す時間だけは充実していた。

「あいつらは目の前の私より、昔の思い出を選んだ。そのために目の前の子供を捨てた親をなんで許せるんです?」

あの時、罵倒するだけして勝手にのたれ死にすれば良いと思っていたあいつら……だが『ユーロ・ブリタニア』の貴族に仕えていると知った途端に謝罪もなく縋ってきた。

後悔した………あんなのを見る位なら、あの時売人と一緒に消しておくべきだったと。

「私の親はゲットーに送られた時に死んだんです。もしくは、始めからそんなものいなかったんです。」

「……美恵、もし今も両親が生きていて謝ってきたらどうする?」

何を今更…

「今更遅い。もうお前達なんか親じゃない、さようなら…です。」

「………そうか。お前自身が親になったら、そうならないように出来るか?」

私が…親に、なったら?

「………あいつらは反面教師としては最高レベルです。なる位なら、今ここで首を斬りたいです。」

「なら、そうならないように気をつけろ。」

美恵は内心、アーネストのその回答が面白くなかった。

そうならないように手綱を握ってやる……とは言ってくれないのね。

いずれにせよ、美恵にとっては自分のような人間にも魂や誇り、挙げ句の果てには国のためなどという理屈を振り回す人間も世界も憎むべき存在。だったら、消してやりたい。

無理な注文だってのよ……

そして、その果てに得た今目の前にいる人。それより魂や誇りを選べ?傲慢にも限度がある。

「本当に……どうなってるのよ、この世界は。」

[38659]
JIN - 2019年11月26日 (火) 23時11分

むしろここまで言われてもこいつらを撃ち殺さない、日本人兵士たちの寛仁大度ぶりに万歳三唱。



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