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お気楽極楽なSS発表会

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[38654] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-51『ダモクレス…中編2』
健 - 2019年10月15日 (火) 21時44分

秀作は手当たり次第に暁を斬り刻んだ。脱出したパイロットもコクピットごと潰している。

「魔物共……俺に殺される栄誉をたっぷりプレゼントしてやるよ!地獄で思う存分自慢しろ!!」

脱出用の小型艇を見つけ、それもハーケンで翼を破壊して撃墜する。次の獲物はどこだ?藤堂はやられたという。ならば、紅月カレンか?

目に入ったのは青い紅蓮タイプのKMF……エナジーウィングを装備しているが、蒼天だ。

早速ヴァリスを撃つが、相手も輻射障壁で止める。

「久しぶりだな!」

〈畑方秀作!〉

刀をハルバードで受け止め、押し合う。が、機体のパワーで押し返されるだけでなくハルバードを破壊される。

MVSとルミナスソードを抜き、ルミナスソードを振りかぶる。蒼天は左腕でルミナスソードをつかみ、輻射波動が機体本体に来る前に手放し、蹴りを入れる。

蒼天の体勢が崩れ、好機と至近距離でヴァリスを構える。確実に討ち取れる。

が、崩れた体勢からエナジーウィングでヴァリスを持った右腕を斬られた。

「ぐっ!」

左腕のMVSで反撃するが、刀で刀身を斬られてしまう。そして、左腕のハーケンが頭と右足を破壊した。

「くそっ……!よりにもよって、魔物に!!」

〈悪く思うな。〉

とどめに輻射波動砲が来ると思われたが、後退した。後ろからの砲撃だ………

〈秀作!!〉

「セラ!?」

〈『双剣皇女』の妹姫か!〉

ハドロンブラスターでベイランは蒼天を砲撃するが、あまりのスピードで追い切れない。そのまま肉薄され、ブラスターを左腕で掴まれた。すぐに右腕をパージするが、それよりも先に刀で胴体を斬られた。

〈流石ブリタニア皇女!だが、今の蒼天には敵わぬ!〉

蹴り飛ばされたベイランは今度はベイリンが支える。

〈やれやれ……とんでもないところで君に会ったね。〉

〈海棠大佐………貴方がそちらに着く理由は…………いえ、当ててあげます。部下と、あの若者達の生活ですね?〉

〈ご名答……悪いね、日本にもお前らにも色々含むところがあるが…今はそんなことよりあの子らが人並みに暮らせるのが第一なのよ。どんな世界でも、人並みの家に住んで食っていける生活を。親だからね…〉

親……その言葉は秀作にとっては敵もしくは悪魔と同義語だ。親は自分の親を言い訳に子供を束縛し、虐げる化け物。そう信じて疑わなかった。奴らがそうだったから。

他の親を殺して、憎まれるのも秀作は理解できなかった。感謝されても恨まれる筋合いなんて存在しない。ライルや雛が会ったという『ユーロ・ブリタニア』にいたイレヴンの女もそうだ。親というものに強い憎悪がある……良二だって冷え切っている。

だが、ゲイリーとの出会いが少しずつ違う意味での親を見えた。奴らのところにいた頃に出来なかったことをたくさんしてくれた。ゲイリー自身の息子達とも会って、親子関係の修繕に悩むゲイリーも見た。

ゲイリーにとって秀作の保護者を引き受けたのは、自分や息子へのシンパシーなのも聞いた。何より、ゲイリーは秀作を軍人の孫だから出来て当たり前、等と言ったりせず…職場では部下として、屋敷でも一人の大人として接してくれていた。

これが、親か……そう思い始め、出撃前に父と呼んだのだ。

あの男も……親なのか。奴らとは違う…

セラのベイランを背中でかばうように飛びながら、斬り合うベイりンと蒼天を秀作は見つめながらそれらを考えていた。



ベイリンの剣は蒼天の剣で折られ、フロートの翼と左腕を破壊されそのまま、バランスを崩した。幸い、モーナットに支えられて海に落下することはなかったが、暁隊に囲まれた。

「殺さないのか?裏切り者を…」

海棠が鋭く池田に問うが………

〈貴方は貴方のやり方で国民の生活を、部下達のことを考え今に至る。それに何より……地位を剥奪されたとはいえブリタニア皇族、利用価値がある。〉

「なるほど……ま、お前さんの部下ならいくら美人だからって……てことはないだろうしな。」

〈傷つけては人質の意味がなくなる……〉

それだけいって蒼天は部下達に後を任せて飛んでいった。

〈さあ、お前達も投降して貰おうか。〉

秀作は舌打ちをした。ここで暴れれば、あの軍人はともかく、セラフィナとエルシリアが一緒に殺される。選択の余地はなかった。

「俺はお前達の側に着く気はないぞ。」

〈安心しろ、期待していない。〉



雛は紅蓮を見つけた。圧倒的なスピードでKMF隊を撃墜していくその姿は正にエースだ。

やっと見つけた…!

「会いたかったわよ、クソ女!!」

オールレンジボマーを発射した。ありったけの弾丸で普通は逃げられないはずであった。しかし、紅蓮は並外れたスピードを発揮して全てのミサイルを躱してローレンスを掴もうとするが、右腕を掴んで輻射波動が来るのを止め、更に剣でMVSを止める。

〈あんた……戦う理由がないくせに何で戦場に出てくるのよ!!〉

「あるわよ!あんたも藤堂もあのお子様議長もぶっ殺してやるんだよ!特にあんたは、是が非でもぶっ殺してやる!!」

パワーだけならばこちらに分がある。ローレンスのパワーで紅蓮を押し切り、頭突きを食らわせる。

紅蓮は怯み、至近距離でハンドガンを撃つ。しかし、輻射障壁で阻まれてしまった。

〈政庁で会った時、私が学校に行けることで恨んでたけど、あんたは自分だけ行ければ良いっての!?他は行けなくて良いって言うの!?〉

一瞬だけ詰まったが……

「じゃあ、みんなで不幸になろうってか!?みんなで仲良くカミカゼしろってことか!!そんなに日本のために戦って■にたいのなら、あんた達だけで勝手に■んでろってんだよ!!!」

ハドロンバズーカの砲撃と輻射波動砲がぶつかり合い、衝撃波が二機と周囲のKMFを吹き飛ばす。

大体、それが前提からして違うだろう。自分だけ行けるのならば、それを噛みしめるべきだ。兄の意志だとか言っていたが、学校に行くことが兄の意志であるのは政庁で話して分かった。それを自分で踏みにじって………何を言うか。

「あんたが占領後にどんな暮らししたか知らないけどね……私は毎日痛くて熱かったの!収まるまでどれだけかかったと思ってる!?それをあんた達は裏切りだの魂だのそればっかり!!!傲慢なのはお前らだ!!戦えるから私らみたいな人間を否定できるんだろうが!!!そうしないと生きられない人間なんざ見てないんだ!!だから地獄でたっぷりそいつらに可愛がって貰え!!!!」

こいつらも、キョウトの老いぼれ共も、あのガキ議長も所詮は自分のようなどん底で這いずり回る人間のことなど分かっていないのだ。考えているようで本当は考えていない。考えるのなら、何で政庁からKMFやバズーカを買える金をゲットーの人間に回さない?所詮は一線の値打ちもない者にしか興味のない奴ら…いつ出来るか分からないものしか見ておらず、今目の前で飢え■にや病■している人間もさも誉れか何かのように美化しているクズ共だ。

あげく、多くのイレヴンの子供が手にすることが出来ない平凡な学生生活を捨てて等………雛にとってはそれが何よりも傲慢だった。

だから、根絶やしにしてやる。幸也の気持ちがよく分かる……それが正義なら、自分は喜んで悪になる。

「正義の味方だってんなら、それらしく悪役に殺されろーーーー!!!!

もう一度ハドロンバズーカを撃った。が、紅蓮はそれを躱して肉薄して右腕でハドロンバズーカごと左腕を破壊した。すぐにパージして右腕に剣を持つが、エナジーウィングで剣を破壊されてとどめにMVSで頭部とフロートを破壊され、ローレンスは徐々に落下していった。

〈私があんたより恵まれて、それを捨てたのが傲慢だってのは分かったわ。恨みだけは買ってあげる。〉

紅蓮はダモクレスに飛んでいき……雛はそれを睨み付けた。



クリスタルはハドロンスピアーで航空艦を撃沈し、トリスタンを見つけた。再び剣を抜き、トリスタンと斬り結ぶ。

〈今は君にかまっている余裕はないんだ!〉

「今の貴方は殿下の敵!それで十分ではなくって!?」

フォートレスモードに変形して機関銃を撃ちかけ、トリスタンも変型してそれを躱して機関銃で撃ち返す。二機はさながら戦闘機のドッグファイトを繰り広げながら、ダモクレスへ近づいていた。

〈いくら君がライル殿下の軍で指折りでも『ラウンズ』の私には敵わない!〉

「矜持だけで勝てるほど戦は甘くなくってよ!」

二機は再びKMFモードに変形して剣で打ち合う。二合、三合と撃ち合って距離を置き、再びハリファクスがフォートレスモードになり距離を置き、トリスタンはハドロンスピアーを撃ち、ハリファクスも撃ち返す。

衝撃波が機体を揺らすが、クリスタルはここしか隙がないと考えた。KMFモードになって、ランスタイプMVSとルミナスソードを抜いて突進する。トリスタンが体勢を立て直し、剣で迎え撃つ。

二機が交差した時、ハリファクスは右腕と右足を斬り落とされていた。

〈危なかったですよ、今のは…でも。ここまでです。〉

とどめに剣を振り下ろそうとするが…

「私は殿下のご命令で勝手に■ないんですよ!」

ルミナスコーンを展開した左腕のハーケンで殴りかかり、剣の直撃を避けることは出来た。だが、左腕とフロートが破壊されてハリファクスはバランスを崩し、そのまま海に落下していった。

着水の衝撃で頭を打ち付け、血の出る頭を抑えながらクリスタルは上を見上げる。

「殿下……貴方も■なないでください。■なれたら、私は誰に償えば良いんですか?」

ジュリアの両親にも全てを伝えなければならない。だが、クリスタルにとって一番償いたい相手はライルだ。彼女の分まで守り、支えなければジュリアだけではない。フェリクスとセヴィーナにも顔向けが出来ない。

喜んでしまったのも、負い目を感じて償いたいのも嘘ではない。



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