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お気楽極楽なSS発表会

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[38649] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-51『ダモクレス…前編2』
健 - 2019年09月15日 (日) 11時25分

クリスタルは合流しようとしたが、一機のKMFがこちらを狙ってきた。頭部と武器が異なるが、よく知っている。見間違えるはずのない機体……ブラッドフォードとハリファクスの完成型であるトリスタンだ。

〈ハリファクス、ということはウィスティリア郷か!〉

トリスタンが剣を振り、クリスタルもMVSで受け止める。が、機体以上に武器のパワーが桁違いだ。

「ヴァインベルグ郷……その剣、ギャラハッドの!」

〈ああ、そうだ!私はこの剣で守る物がある!!〉

守るもの……それが何かは分からない。だが……!

「貴方は…ペンドラゴンの人々を消し去ったシュナイゼル殿下に着くのですか!?皇帝直属の『ラウンズ』が!」

〈私達はルルーシュを皇帝とは認めない!ライル殿下こそ、何故ルルーシュに着いた!?皇帝陛下を殺めた弟に!?〉

互いにメギドハーケンを撃ち出すが、ルミナスコーンがある分ハリファクスがパワーで勝り、トリスタンのハーケンをはじく。が、トリスタンはフォートレスモードになって機銃を撃つ。クリスタルも同じくフォートレスモードで応戦する。

二機は機銃を撃ちながら空中を飛び交い、再び人型に変型して今度はハリファクスがエストックを突き出し、トリスタンが剣で受け止める。

『再び、罪人の家系の汚名を被るつもりですか!?』

罪人の家系………1800年代後期、クレア・リ・ブリタニアが即位した頃には名門に名を連ねたヴァインベルグ家だが、それより以前の時代では罪人の家系と呼ばれていた。

当代のヴァインベルグ家の後継者がクレア皇帝を守り、汚名を返上したというのに………

「今度は帝都を消した宰相の狗ですか!?」

〈例え、その汚名を背負ってでも守る物があるんだ!!〉

エクスカリバーのパワーで押し切られ、トリスタンがとどめに入った。が、クリスタルはハリファクスをもう一度変型させ、ハドロンスピアーを撃った。

トリスタンも同じくハドロンスピアーで相殺するが、発射が早かった分…ハリファクスが有利だった。トリスタンは吹き飛ばされ、その隙にクリスタルはライルの元へ向かった。



池田は部下達を集め、戦力を立て直していたが……星刻から通信が来た。

「シュナイゼルめ、やはりそうするか!」

最初からその腹づもりだったのだろうが、今はもはや………

しかし、もう自分に非難する資格などない。日本に忠義する価値がないと気づいてしまったから………

ライルとの決着がつけば、後のことなどどうでも良い。全て日本が、自分達が選んだ結末だ。後でシュナイゼルに着いた『黒の騎士団』を非難する声があるのなら、それは身勝手極まりない話だ。

そう、日本人が魂や誇り…独立ばかり叫んでいたのと同じこと。従わないと生きられない人々はどうすれば良い?池田だって答えられない………

あの戦争の時、いや…もっと以前から既に腐っていたのだな…日本も。



浅海はライルの機体を見つけた。

「ライル!!」

アラドヴァルでベディヴィエールに斬りかかる。ベディヴィエールは流石に反応が早く、剣と槍の内槍で受け止める。

〈浅海!〉

会えた……やっと、会えた!!

「ねえ、なんでルルーシュに着いたの!?皇族の地位を保持したいから!ただ、自分の立場が可愛いからなの!?」

しりたい。とにかく、しりたかった。

〈……地位ではないと聞いて、君は信じるのか?ブリタニアの皇子の私を!〉

浅海は……彼を、信じている。信じたい。

「信じているの……信じたいの!貴方が地位目当ての人じゃないって!!」

ベディヴィエールは槍をはじき返し、ハーケンを撃つが浅海はシールドで受け止める。

「教えてよ!!」

〈………当たらずとも遠からずだ。〉

認めた……つまり、結局地位を?

「なんで……なんでよーーーー!!!」

アラドヴァルを振り下ろし、そのまま機体や自分への負荷など無視してベディヴィエールを押し切る。敵艦の上にベディヴィエールをたたきつけ、槍を振りかざす。

信じていた……テジマで、自分が見向きもしなかったものを伝えた彼を。パリで、彼に最初を…抱かれたいと思った。そのまま、彼の女になりたいと…………

「貴方なら…良かったのに……!」

〈浅海……〉

「さようなら……私も、後から逝ってあげるから。」

涙が流れていた……彼を殺して、自分だけのうのうと生きているつもりなんかない。彼が教えてくれたような人を、裏切りとしか言わず…彼らを見ているようで見ておらず、昔の自分みたいに見ようとしない者達の中にいる気にもなれないから。

左腕で剣を抜き、振り下ろした。

が………剣は艦の装甲に直撃した。

「っ……えぐっ………ぅうぇ…ぇえん…!!駄目……出来ない…!…できな、いっ、よぉ…!」

駄目…!出来ない……やっぱり、彼が好き!殺せない…!殺したくない………!

「だめぇ…やっぱり、貴方が…好きなのぉっ!」

愛している……このまま、自分が殺されると分かっていても。

〈……馬鹿だよ、君は。〉

「え?」

ベディヴィエールがソレイユを蹴飛ばした。体勢を立て直すより先にそのまま槍で剣を持った左腕を翼ごと貫いた。更に剣で頭部を潰し、ハーケンで胴体と足を破壊する。もう、戦闘不能だ。

「ライ、ル…?」

ベディヴィエールはソレイユをつかみ、友軍機へ投げる。

〈美奈川、大丈夫か!?〉

「たい、ちょう?……は、はい。」

メリサンドがソレイユを受け止めたが、いつの間にか側にいたモルドレッドと同じタイプの重量級KMFがバズーカを構えた。ライル軍のローレンスだ。

〈ウチのお坊ちゃんに免じて命は助けてあげるから、降参なさい?〉

自分とさほど変わらない少女の声だ。ソレイユを抱えているメリサンドはもうソレイユを手放して反撃することも出来ない。

〈分かった……〉

〈お坊ちゃん……こいつら、連行するから。〉

〈ああ…〉

ライルを馴れ馴れしく、否…ぞんざいに呼ぶがライルはそれを咎めない。

そして、ベディヴィエールがこちらを見て……

〈私も馬鹿だ。〉




藺喂はソレイユが大破し、戦線を離脱したことを聞いた。やはり、ライルだろう。

「どこだ…どこにいる?」

探していると、ウォードがライフルを撃ってきた。

「どけ!」

ハーケンを回転させ、先端の刃がウォードを中の人間ごとミンチにする。

「ギアスで操られた兵隊か……いや、我々も似たもの同士か?」



クレスとアリアはライルを探していた。だが、出てくるのルルーシュ軍のKMFばかり。

「どこだ…あの男はどこにいる?」

〈出てきなさいよ……お父さんの仇!〉

修繕されたアロンダイトでアリアはルルーシュ軍のKMFを両断する。

更に次を探すが、今度は別の機体が見つかった。エルシリアのベイランと…確か、海棠龍一という日本軍人の機体だ。

「皇女殿下、どいてください!」

〈その機体…『セント・ガーデンズ』か!〉

「クレス・ローウィングです!お下がりください、貴方と戦う意志はない!!」

〈悪いが……私はお前達に言いたいことがあってな!!〉

ベイリンが長剣でアロンダイトを受け流し、蹴り飛ばす。衝撃で体制が崩れるが、アリアがハーケンを発射してフォローに入る。

「私は覚えがありませんが?」

すると、エルシリアが歯ぎしりをしたような音がした。

〈弟に言われなき汚名を着せて、覚えがない……か。〉

「ライル殿下ですか…貴方にとっては皇位継承権を争う政敵ですが?」

〈私はライルと継承権争いをする気はないさ……それに、セラが懐いている。これで理由は充分だろう?〉

なるほど……妹が懐いている相手、それが弟ならば尚のことと。道理だ……

「しかし、私もあの男に恨みがあるのでね!!」

〈自分達が濡れ衣を着せておいて…と言いたいが、忠義としては妥当だな!!〉

ベイリンがハーケンを撃ちだし、クレスは両腕のショートソードを抜いてはじき返した。

そのままハドロン砲を撃つが、今度はシールドで受け流される。

さすがは『双剣皇女』の一本!簡単にはいかないか!!



海棠はもう一機のロディーヌの長剣を受け止めていた。

〈どきなさい、お父さんの仇以外用はないのよ!〉

「へえ……こっち側に君のお父さんの仇。でも、ね!!ウチの子達にとってはブリタニアは全部親の仇なのよ!?」

〈じゃあ、なんでブリタニアに着いているのよ!〉

全くもって、当然の質問だ。

「俺だってね……あの子らに親の仇に着かせたくなかったさ。でも…俺は占領時、学生だったあの子らにもうこんなドンパチさせたくないんだよ。」

あの時、止められずに銃の撃ち方などを教えて結果として大勢の子供達を死なせ…大人になった子達は血と硝煙の世界に身を置いている。名誉ブリタニア人の事情を想像するように説いたのは、自己満足だろう。

或いは……戦時中にカミカゼを崇高だと持ち上げる連中を見ているようで吐き気がしたのかもしれない。軍人の責務よりも、華々しく死ぬことを優先するあの連中が海棠は憎かった。

まして……『藤堂に続け』などと叫んで『奇跡』と『何の意味もないただの自爆』をはき違える愚か者が。

だから教えたのだろう………『裏切りの一言で片付けるな』、『カミカゼは誉れではなく、ただの愚行だ』と。そして、やはりあの子達には硝煙の世界から距離を置いて欲しい。自分への恩返しとして、その愚行に走った子達の分まで………

「だから、ウチの子達や部下達にブリタニアの一般市民としての生活を保障してもらえるように掛け合いたいの。例え、本当の親の仇でもね。押しつけと分かっていても、悩んでそうするのが親心ってものだと思うよ?」

短剣で斬りかかり、相手がシールドで受け流して長剣を振るうが海棠もまた後退することで相手のパワーを利用して距離を置く。

〈押しつけ、と分かっていても……?〉

「そう……」

〈なら……ペンドラゴンにいたあいつらは死んで当然ね。親失格よ。〉

「ん?」

ロディーヌがハドロン砲を撃ち、海棠はそれを躱した。

〈私のお母さんは貴族のメイドで、そこの後継者と結婚した!!だから、その人の両親に殺された!!〉

つまり、母は父方の祖父母に殺されたと……祖父母と呼ばないあたり、認める気すらないのだろう。

〈しかも、お父さんが悲しんでいるのに次の結婚相手を紹介する始末よ!!死んで当然よ、あんな連中!生きていること…いいえ存在しているだけで罪よ!!〉

これも当然の心理だ……やはり、どこも同じだ。ブリタニアだろうが日本だろうが親の仇を憎む。それは正しいし、当然の心理だ。

が……畑方の坊ちゃんはどうすれば良いんだろうね?

今度はパワーで押し切られ、ハドロン砲でまた狙われるが海棠はシールドの干渉を利用し、その余波を利用して離脱していった。よく見れば、エルシリアも後退していた。

「部隊の再編と合流を最優先にした方が良いかもね!!」

〈ああ、そのようだ。〉




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