[38647] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-50『フレイヤ…後編2』 |
- 健 - 2019年09月07日 (土) 22時50分
富士山が噴火した。サクラダイトを爆発させたのだ……
アヴァロンが孤立し、チェックメイトをかけようとした『黒の騎士団』は完全に虚を突かれた。
『ヒポグリフ隊』は躱し続けるが、ガイルのオリヴィエが巻き込まれた。
「ガイル!」
〈な、何とか生きています!!〉
『フェンリル騎士団』はアヴァロンに随行していたために噴火の外だ。
ゼラートはローランやソレイユが噴火を躱すのが見えた。
「流石だな…」
味方を犠牲にするのが前提の策………向こうとてゼロの得意分野は知っていたが、味方を巻き込むのを前提にするとは思っていなかっただろう。
「悪魔になりきる覚悟がある者と、ないものの違いか。」
その悪魔の末路をゼラートは既に知っているが………
「ぐっ……艦の損害は!?」
「ほ、本艦は無事です!随行した艦は一隻撃沈、二隻がフロートを損傷しています!!」
「殿下のKMF隊は全機健在!ただ、損傷までは分かりません!!」
優衣が報告し、涼子もKMF隊の状況を報告する。
「航行が厳しい艦は乗員を退艦させよ!本艦を中心にハワイ基地の部隊は集結、アヴァロンに合流する!!」
「ライル様…!」
エレーナが舵を切り、識別信号を送信する。
有紗はそれを見ることしか出来ない……否、せめて見なければ。
エルシリアは何とか無事だった。敵艦を盾にシールドを展開して機体は無傷ですんだ。
「くっ……味方の犠牲も考慮しないで。本当に将兵を駒としか見なさないのか。」
弟はチェスが得意だったが……九年の間に自分以外は全て駒と見なすまでに心が破綻したか!?
「セラ、無事!?」
〈ええ、私は大丈夫です!!〉
ベイランも無傷のようだ。安心したエルシリアは相手の状況を見る。
丁度主要戦力が火口上空にいたのが災いし、『黒の騎士団』は戦力の殆どを喪失し、斑鳩も撃沈した。これでは指揮系統も壊滅し、まともに動けないだろう。
シルヴィオはモニターでその様子を見て……
「これでルルーシュはダモクレスを叩くだけ……だが。」
富士山の噴火で戦力の過半数を『黒の騎士団』は失ったが、ダモクレス自体は無傷だ。つまり、シュナイゼルにはまだ手が残っている。最悪のジョーカーを何枚も…
「残念だが、チェックをかけられたのは君達だよ。」
噴火で壊滅した『黒の騎士団』に目もくれず、シュナイゼルは勝利宣言をする。
「お兄様の罪は…私が撃ちます!」
ダモクレスの庭園にいるナナリーはフレイヤの発射スイッチ、ダモクレスの鍵を握りしめてスイッチを押した。
閉じられた目には見えないが、多くの命を奪った。ルルーシュがユーフェミアを陥れた力…ギアスで操られていただけの人々を。
これで………人殺し。私も……お兄様と同じ。
「フレイヤ…フレイヤ……フレイヤァァ!」
イロナは憎悪を燃えさせ、突っ込んだ。
〈イロナ!〉
ゼラートが制止するが聞こえず、噴火から逃れながらも動きが取れないKMF隊を見つけた。
「死ねぇ!死ねぇ!死ねえぇ!!!」
ライフルでコクピットを蜂の巣にして、剣で両断する。それだけではない。地表に急降下して地上部隊のKMFから脱出した兵士を踏みつぶした。
お姉ちゃんを殺したフレイヤ!ナナリー!シュナイゼル!!味方した『黒の騎士団』!!皆殺しだ!!世界も滅ぼしてやる!!!
「くっ……無事か!?」
レイの顔がモニターに映る。
〈は、はい!何とか!〉
アヴァロンは後退して、他の部隊に波状攻撃を仕掛けさせる。が、フレイヤの火力を前に一瞬でそれらは消される。戦力の大半を失った『黒の騎士団』にはギアスで猪武者と化したKMF隊が突撃しているが、通常戦闘で勝つことが出来てもフレイヤとダモクレスを何とかしなければ、恐怖政治の完成だ。
「ゲイリー、そちらは?」
〈本艦は無事ですが、やはり無傷ではありません。〉
やはり………アヴァロンに近かったとはいえ火山弾ばかりはどうにもならない。
「全機、私の識別信号を送信する。ケアウェントを目標に集結する。」
シュナイゼルは波状攻撃を仕掛けるルルーシュに冷たい笑みを浮かべる。そして、もう一人の弟がいるのを確認したが歯牙にもかけていない。
「ライル……物わかりが悪い君がルルーシュに着くのは予想できていた。しかし……君でさえ、もうポーンにもならないんだよ?」
もうこの勝負はチェックメイトは目前だ。トランプに例えれば、何度Show downしても同じ手しか出ない。そう、スペードのロイヤルストレートフラッシュ、もしくはジョーカー………こちらはそれだけを出せば勝てるのだ。
君の軍では、君自身がジョーカーと呼べただろう。だが…この局面では君はカード一枚分の強さもない。平和のため、君にも消えて貰うとするかな?
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