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お気楽極楽なSS発表会

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[38628] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-49『死地へ赴く者達…前編1』
健 - 2019年08月15日 (木) 19時53分

ライルは涼子と共にベディヴィエールの調整を行っていた。ルーカス軍相手に十分な性能を発揮したとは言え、今度の相手は『黒の騎士団』。その上、シュナイゼルが指揮を執るのだ。

いつもの勘で……否、『黒の騎士団』がシュナイゼルと組むと聞いた時点でライルは既にそうなると確信していた。『黒の騎士団』はルルーシュ打倒以外に各合衆国の代表救出を行わなければならない。しかし、シュナイゼルはそれをする理由もなければ彼らのためにそれをしてやる義理もない。目的に大きな隔たりがある。

私が兄様なら……フレイヤを使わない代わりに指揮権の掌握をはかるな。ルルーシュのことだから、『黒の騎士団』の牽制のためにアヴァロンに代表達を乗せているはず……事実上、二人がそれぞれの形で各国代表を二人に人質にしているんだ。

どちらに転んでも『黒の騎士団』はゲームオーバーだ………ルルーシュに勝てれば、兄様にとっても用済みになる。フレイヤというジョーカーを何枚も持っている時点でだ。

ルルーシュ……君がフレイヤに対抗できるジョーカーを用意していないとは思えないが、どうするんだ?

「殿下、良いですか?」

「なんだ?」

涼子が声をかけると……

「私、前に蓬莱島に行った時に連中のKMFを見せて貰いましたよね?」

「ああ……」

あの後、涼子はKMFの見学を希望した。無論、データの吸い出しなどを禁じてその素振りを見せれば即射殺という条件で。

「少し話したんですけど……あいつら、紅蓮を完全な日本製だなんて寝言ほざいてたんですよ?」

寝言……確か大本の紅蓮壱式が香港でブリタニア騎士にテストされていたという話を聞いたことがある。すぐに『ピースマーク』の介入で破壊されたそうだが……

「初期型がインド製ならば広義で言えば弐式もインド製ひいては中華連邦製、ということか。」

「そうですよ……だというのにあいつらときたら!他所の人が造ってくれたのを自分達の国のだって!!アレじゃあ『虎の威を借る狐』よ!!」

「ブリタニアならば『皇帝の胃を借る腐敗民衆』だな。」

「日本ならば『ゼロの胃を借るイレヴン』!今、つくづく思いますよ。」

「何が?」

「貴方に買われたこと……買われなかったら、ああいう腐敗に気づかないままゼロ寄りの考えのままでした。」

腐敗とは随分と……容赦がない。

「容赦がないね…」

「だって、腐敗じゃないですか!!私と優衣みたいな人を『洗脳』や『裏切り』で片付けたり、都合の良い時だけ『ハーフ』を同胞!これが腐敗でなくなんですか!?常日頃、貴方が嘆いていたことでしょう!?」

確かに……『魂』や『誇り』ばかりを優先して、すぐに何とかして欲しい人をないがしろにしている。ライルにはそう見えていた。

私に買われてから彼女なりにそれを見てきた、ということか。

「あんな連中、もうどうでもいい!どうせシュナイゼル殿下が勝てば『裏切り』扱いで殺されるんだから!!私達のような人を反ブリタニアに都合の良いように解釈する構造の頭が溢れかえる国なんて帰りたくない!!」

つまり、彼女なりの決別表明…ということか。

「しかし、君の両親の墓は?」

「それはそれ!墓参りくらいはしても、もう嫌なの!!それはそうと!!」

涼子が思い切り、ライルを指さした。

「ウチの妹はあげるし、たっぷり可愛がっていいわ!有紗やレイと一緒でもいい!だから、ちゃんと帰ってきて!他所のKMFを自国産だなんて大ボラ吹くあいつらの鼻っ柱をへし折ってから!!」

今度は大ボラ吹き……涼子なりに帰ってこい、といってくれるのは嬉しい。

「ああ…それにしても、やはり姉妹だな。言いたいことを無遠慮にいう。」

「どうも。とにかく、もう一つ。この子とは別に、今度こそ一から自分で組み立てたKMFを造って、貴方たちに乗って欲しいの!!」

「………分かった。」



浅海はソレイユを見上げていた。もうすぐ、ダモクレスと合流してルルーシュ軍と戦う。その中にはライルもいる。

私……どうしたらいいの?こうなるなら、貴方に会わなきゃよかった。

『日本のために戦うことこそが使命、誉れ、そのために死ぬことこそ最高の幸せ』、『家族など取るに足らない』、そう決めつけていたままならこんな悩みを抱えなかった。

でも……そうしなければ、気づく物にも気づかなかった。自分達が、傲慢で身勝手なことにも。

枢木スザクや畑方秀作……彼らは極端かもしれないが、ある意味で自分達日本側のエゴの結果だ。『首相の息子』、『将軍の孫』以外の機能を必要とせず、機能しないから『裏切り者』………

そんなことを言う、自分を恥じることも……

「……そうなるきっかけをくれたのは貴方…でも……!」

全力で戦うことこそが礼儀と、せめてもの感謝……そう考えたのに、会えば会うほどライルが自分の中で大きくなって…

あの時……強引にでも身体を差し出して、彼の女になっていればどうなっていたんだろう?

取り戻そうとした国と同胞の腐敗……それを教えてくれた敵国の皇子………E.U.での恩人……

板挟みになったまま、浅海はソレイユの足下で膝を抱えていた。



デルクはそれをメリサンドの側で何も言わずに見守っていた。

「もう、何も言わないが……死ぬことだけはやめてくれよ?」

懐の写真を撮りだし、そっとなでる。

「祐介、香奈……お前達の国どころじゃなくなったよ。何がどこで、こうなったんだろうな?」



リンウェイは稽古用の棒を振るい、いつもの鍛錬を行っていた。しかし、心は晴れなかった。

「星刻様……貴方が天子様をお救いしたいお気持ちも…世界がまとまるためにシュナイゼルと組んだのも分かります。でも……申し訳ございません。私はあの第八皇子に拘っています。」

ライルに恋をしている……それはもう、自覚している。雷峰には見抜かれ、斬利や香凛にも感付かれている。

「ライル、貴方のことをまだそんなに知らないけど……部下やその家族の安全のためなら、貴方がルルーシュに着くのも分かるわ。」

しかし……もし、本当に対峙したら私はライルを殺せるの?

それを考えると、手に力が入らなくなる。いや、ライルと戦わずとも……ルルーシュさえ討ち取ればその必要もない!

そうだ、ルルーシュを狙えば……そう、よね?



池田はエナジーウィング型に改良された蒼天九式を見上げた。爆弾搭載という条件ながら、参戦を許された。

「この期に及んで…といいたいが、ライルを個人的に擁護したのではな。」

爆弾と言っても仕掛けられたのはコクピットブロックのハッチ。そこで充分だ……

しかし、驚いたな。あれほど求めた日本の解放が、もう私にとってはどうでもよいことになっている。

敗戦から、見てきた。職を失って、飢えに苦しむ家族を守るために新たな環境で働く人………名誉ブリタニア人になって家族または自分の生活をよくしようとする人々を『裏切り』の一言で片付ける同僚。

全て…日本が自分で出した膿かもしれない。枢木スザクや畑方秀作も………ある意味で同じかもな。

誰も彼ら自身の意志など聞かなかった。『首相の息子』、『将軍の孫』という独立の道具にすることしか考えず、それが二人の幸せ、挙げ句の果てには言うに事欠いて責任なんて言い出す始末。

『責任』と言えば聞こえは良い……だが、それは何も背負わなくて良い物が彼らのあり方を否定し、自分達を正当化する方便ではないか。

潤沢なサクラダイトとそれをも用いた軍や政府のアピール……それらを鵜呑みにして、未だにサクラダイト大国であった過去にしがみつく日本人…………

民のため、等と言いながら実際は『自分達と同じ考えの民』しか考えていないような日本軍人………

全て、日本人が自分で作り出したもの………自業自得にさえ見える。E.U.でも、同じようなことをしている。

池田は痛感した。今の日本に……命を賭けて戦う価値などない。軍人として失格……否、軍人だからこそ気づいた。

「少佐?」

部下に呼ばれ、池田は気づいた。

「すまない……私はお前達の上官として、日本軍人として失格だ。もしかしたら、人としても。」

「しかし…!少佐のお考えは…」

「例えそうでも……私は今、一パイロットとしてライル・フェ・ブリタニアと戦うために行くのだ。お前達を付き合わせる気はない。」

その言葉に、部下達は何かを察したのか……敬礼をして退席した。



クラリスはローラン・ファタリテの武装をチェックしていた。参戦は許された……だが、爆弾付きだ。

当然と言えば、当然だ。しかし、クラリスはそれを意に介していない。

「KMFでもベッドの上でも負かしてあげるわ。」

「随分と気合いが入っているな……世界がかかっているのに。」

フィリップに言われると、クラリスはおそらくこれまでで一番であろうため息をついた。

「だって……勝っても負けても地獄。おまけにE.U.の奴らがどっちでも甘い汁を吸うことしか考えてないだろうからね………もう、どうでも良いわ。男がらみでないとモチベーション保てないわ。」

「………気持ちは分かる。俺の親父まで出張る始末だ。」

「げ……感想は?」

「お前のように消しておけばよかった。勝った暁にはナナリーやコーネリアと結婚しろなんて言ってきやがった。」

なんて連中だ……そこまで自分の利益しか映らないとは。

文字通り、世界の覇者が決まる戦いでそんなことしか頭にない連中………幼い頃から『あれをしろ』、『これをしろ』と言われてきたクラリス。両親が気に入るような子息や令嬢との付き合いを求められ、自分の意志で入隊した軍隊だって、奴らのステータス程度だ……

軍学校の成績は主席だったが、本当に自分の力で取れたのか未だに疑っている。奴らのことだから、自分が主席になるように根回しをしていたと思ってしまう。

唯一、自分らしくいられる戦場にまで奴らの欲望は及んでくる。後方に回され、前線へ出てもイレヴンや外人部隊が最前線で命を張っているのを見ているだけ。周りも戦争をしている意識など泣く、言い寄る男ばかりで、只後方の部隊にいただけでそれを自慢話にする両親。ついに我慢が限界を超えて奴らを始末してようやく解放されたと思ったら……

「今度は親戚やあいつらの知り合い共………何時まで私はかごの鳥でいなきゃいけないのよ。」

彼と出会って、シンパシーを感じた。噂通りの人物で、とてもその母親から生まれたとは思えないほどによく出来ている。

彼はフィリップやヴァン以外で初めて会えたまともな男だった………男なんて、みんな自分の顔や身体…家柄だ。KMFパイロットとしての自分を先に見てくれるのが本当に嬉しかった。

そんな彼をKMFパイロットとしても、女としても本気で落としたくなった。

「もう、私はライルのことでしかモチベーション保てないの。付き合わなくて良いのよ?」

「今更だな……昔から続いた腐れ縁だ。地獄まで付き合うよ。」

親友が紙コップのコーヒーをよこし、それを受け取る。

「実は、こっそり仕入れた良いワインがあってな。五人で死出の杯と行こうか?」

「悪くないわ。」

[38629]
健 - 2019年08月15日 (木) 20時01分

今度はみんなの様子です。

涼子の発言……本当に見方次第ではそうなると思います。日本製なんてコピーの無頼と雷光しかないうえに、本当に骨組みから組んだ機体はありません。それを分かっている人が果たしていたかどうか気になったので。



浅海やリンウェイは悩み、クラリスと池田はほぼ自国を見限り、ライルとの決着でモチベーションを保っています。

はっきり言って、こういうのがいても良いと思いますから。ライルだって世界がどうでもよくなっています。母親の仇討ちなんて論外だし。もっとも、ライルの場合は他に欲しい物が得られかけてもいますが。



元々若いイレヴン組の境遇は本編で日本だけがさも高潔、有名無実、清廉潔白、ブリタニアに蹂躙されて哀れな方々……という面ばかり強調されていたから、考えたのです。悪性が強調されてしまったのは私の性質の問題ですが、『アキト』の先行上映でユキヤの過去を知った時、本当に『これだ!こういうのが欲しかった!!』と思ったのです。あと、本編でイレヴンが閉鎖的且つ至上主義ばかりに見えるのは私の解釈なので。本当は違ってもそこはご了承を。

何とか今年中に終わらせたいところ。



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