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お気楽極楽なSS発表会

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[38615] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-48『シュナイゼル…中編1』
健 - 2019年08月02日 (金) 21時07分

基地から報告を受け、ペンドラゴンの映像をモニターに回して貰う。しかし………

「な!?」

ライルは絶句した。エルシリアとシルヴィオも言葉を失い、セラフィナは口を覆ってしまう。

そして、有紗が……

「ペンドラゴンが……ない?」

そう、そこにはブリタニア宮を中心とした帝都の町並みがあるはずだった。だが、あるのは巨大なクレーターだけ。

呆然としながら、涼子が基地と確認を取り合う。

「こ、これ…まさか……フレイヤ?」

〈お、おそらくそうだと思われる。ただ……〉

ミルカも慌てて確認をとり、ウィンスレットが艦と連絡を取る。

「消失範囲はひゃ、100q?」

「フレイヤ以外に考えられないが、トウキョウ租界の十倍相当の破壊力だぞ。」

トウキョウの租界の十倍?馬鹿な……こんな短期間でフレイヤの改良などできるはずがない!!

「涼子、考えられるとしたらなんだ?」

「す、推測になりますけど……もしトウキョウの同型ならば、リミッターを外した…としか。」

リミッターを…外しただと?では、リミッター付きでトウキョウ租界を死滅させたほどの兵器だと……!

「なんてモノを開発したんだ……我が国は。」

あのニーナ・アインシュタインを殺していれば…否、あの時点で既にもう完成していたことだろう。

エルシリアが今度は発射地点を確認する。

「どこから撃たれたか分かるか?」

〈は……ペンドラゴン上空に巨大な建造物を確認。要塞と思われます。〉

要塞?もし、これがシュナイゼルの仕業だとしたら……まさか!?

「ダモクレス!」

シルヴィオが建造物の名を口にした。そう……カンボジアで開発させていた新兵器、制空権を確保するための要塞を建造させているという噂を聞いたことがあるが……それが、この要塞?

「あの要塞……一体、誰が。まさか!?」

「シュナイゼル兄様しかいない!」

ライルは肘掛けを殴りつけた。何と言うことを!あの街には数万人を超える人々が住んでいたというのに!!それを!

「ルルーシュを止めるため……ブリタニアの内政機能を奪うために?」

セラフィナの分析はおそらく正しい。ルーカス軍からシルヴィオ軍への転属扱いになったマクスタインを含む幕僚たちはうなずいた。

ルルーシュと戦う以上は、ブリタニア本国の内政機能と本国の軍の動きを制限する意味ではペンドラゴンを狙うのは正しい。しかし……ライルは胸騒ぎがした。

別にあの女は死のうが生きようがどうでも良い……死んでくれたのならばすっきりする。だが、あんな醜悪極まりないモノの巻き添えに大勢の民が、と思うと。

「シュナイゼル兄様個人の通信コードは兄様たちもご存じですよね?」

「ああ…」

シルヴィオがうなずき、ライルは………

「別室で、シュナイゼル兄様と通信します…」

胸騒ぎと同時に分かるかもしれない。何故、自分が昔からシュナイゼルを恐れていたのか……そして、今思い出せばマリアンヌも怖かった気がする…………シュナイゼルの方が怖くてマリアンヌの方には気づかなかったのだろうか?



ゼラートはライル達からの報告に絶句した。何と言うことだ……ペンドラゴンには先日、治療のためにイロナの姉たちが運ばれた。その直後に……

イロナは……

「お姉、ちゃんは?」

フラフラと歩いて、ゼラートに縋る。

「お姉ちゃんは……どうなったの?無事なの?」

ゼラートは答えることができず、目をそらすことしかできない。

こんな風に誰かから目をそらしたのは初めてだ……それだけ、イロナの目を見るのが辛かった。どん底で見つけた希望が、いきなり消えてしまった目を…



海棠はエルシリアの部下から聞いた話に言葉を失った。

「おい、シュナイゼルがやったのか?」

「馬鹿を言うな、シュナイゼル殿下がそのようなことを…」

「100%やらないって言えるのか?政治や戦争じゃあ自分にとってやな決断だってしなきゃいけない時があるはずだろう?俺自身、ウチの子を何人か諦めなきゃいけなかったんだ。おたくの姫様達だってそういう決断を強いられたことはあったはずだろう?」

思い当たる節があるらしく、相手も言葉を詰まらせた。

が、人となりは知らないがシュナイゼルに果たしてそんな葛藤があるのだろうか?ライルならば分からないが、シュナイゼルにあるとは到底思えなかった。

「ブリタニアはとんでもない化け物を宰相にしちまったのかもな。」



フレイヤがペンドラゴンへ投下された一日後……ハワイ基地へ一機の航空機がやってきた。皇室専用機だ。

方向からして日本のルルーシュではない……となれば、誰だ?

基地へ着陸した機体から降りてきたのは…ウェルナーだった。

「ウェルナー!?どうして、ここに?それに…トゥーリア様まで。」

現れたのはウェルナーがもし女性として生まれていたらそうなっていたと思われるような中年の、40前後の女性だ。ウェルナーの母、トゥーリアだ。

「貴方のシャルル陛下暗殺容疑が原因でウェルナーは体調を崩したんです。それで、ペンドラゴンからはなれて療養をしていたおかげで巻き込まれずに済みました。」

「…そうだったんですか。」

「それと……反乱防止のためにとルルーシュから。」

トゥーリアはパソコンを開き、映像を見せる。ライルの顔色が変わった。

映像は一度見たが、ライルがお気に入りとしていたオレゴンの農場が軍に監視されていた。航空艦とKMFが見張っており、作物や家畜を奪うようなことはされていないが住民達が不安を抱いているのは一目瞭然だ。

「ルルーシュは…本当に変わってしまったのでしょうか?」

「分かりません。」

トゥーリアとウェルナーも無事であった領民達や親戚筋を人質にされている。従う以外に選択肢はないのだ。



ハワイ基地ではペンドラゴンの生存者を確認していたが、フレイヤが投下される前まで住民が避難する様子はなかった。つまり……

通信がつながり、ライルはシュナイゼルを見る。

「シュナイゼル兄様…」

〈ライルか…無事だったようだね。〉

ねぎらってくれているつもりか?しかし、今のこの男からは何も感じない。

「兄様…単刀直入に伺います。」

〈何かな?〉

「ペンドラゴンの住民は……どうなったのですか?」

〈消えて貰ったよ。〉

あまりにもあっさりと端的に言い切ったシュナイゼルに脇にいたエルシリアも言葉を失った。

「ほ、本当なのですか?」

〈エルシリア……セラとシルヴィオも一緒か。そうだよ、ルルーシュに従わされるよりも幸せじゃないか?〉

ルルーシュに従わされる……確かに、皇族達はそうだがあそこには。

「貴族よりも一般庶民の方が圧倒的に多いのに!」

〈セラ、悲しいことではあってもルルーシュの暴虐を止めるにはこれが最善だ?〉

最善……たしかにそうだが。

「兄上、お言葉ですがこのような暴挙をされてはルルーシュと同じく世界は認めません…」

〈エルシリア…君もセラと同じことを言うのかい?思っていたよりも覚悟が足りないようだ、君もコーネリアも。ナナリーだって罪を背負う気でいるのに…〉

コーネリア!?今、コーネリアと…その上、ナナリー?



シルヴィオが割って入った。

「兄上、どういうことですか?まさかナナリーは…」

〈生きていたよ…あらかじめ手を打っておいたのさ。〉

シルヴィオはもしや、と思った。

「まさか、ナナリーにはペンドラゴンの住民を避難させたなどと嘘をついたのですか?」

〈問題があるのかい?それに、ナナリー自身もルルーシュに立ち向かう決意をしてくれたんだ。それを鈍らせる訳にはいかないだろう。〉

穏やかに、されど淡々と冷酷に告げるシュナイゼル……シルヴィオは次第に目の前の男が恐ろしくなってきた。



ライルはシュナイゼルを睨み付けた。

「では……貴方はダモクレスで何をなそうというのです!?」

〈平和だよ…ルルーシュの悪逆を身をもって知った人々は違うモノを望む。そのためならば、私は神にもなる。〉

ルルーシュの悪逆を経験したから……そういうことか!今まで行動を起こさなかったのは、自分に有利に事を運ぶため!!

ルルーシュという巨悪を討ったシュナイゼルとなれば人々はそれに縋る。

「それは、貴方自身の意志ですか?」

〈いや…人々が平和を望むのならば、私はそれを実現するのさ。システムと力でね……〉

望むから……シュナイゼルの言っていることは筋が通っている。だが…この男からは……

感じない…この人自身の意志を……!

〈ライル、君は誰よりも知っているだろう。それぞれの欲望で世界は願ったようにならない。君が好きだった女性が殺されたのも、君がブリタニアに反抗する人々に恭順する人々の状況をもっと知って欲しいと願っても理解されないのも同じことだ。だから、それをしつける意味でもダモクレスが必要なのさ……平和になればそんな悲劇も起こらない。〉

哲学的で…根源的に見える。しかし、ライルは悟った。幼い頃から、この男の何を恐れていたのか。

この人には自分がない……!いや、正確には自分自身の意志がない。執着するモノがないんだ!!

誰かの役に立ちたい、何かが欲しい……レイシェフでさえ持っていたものがこの男にはない。空っぽだ。

「貴方のやり方でそれが伝わるとは思えない!!恐怖で支配して分からせるなど…!」

〈君は思っていたよりも物わかりが悪いね。君なら分かってくれると思ったのだが……悲しいね?〉

「……我々ごときに無駄弾を使う余裕があるのですか?」

ライルは一か八かの鎌をかけた。ペンドラゴンからハワイでは距離があるし、それではルルーシュがいる日本には間に合わない。かといって、いくらダモクレスでもここまでフレイヤを撃てるほど高度は上がっていないはず。

〈いいよ……確かに、君たちは今取るに足らない相手だ。私がルルーシュに勝てばどのみち、君たちも従わざるを得ないだろうし…これ以上姉弟を手にかけるのは私も本意では無い。〉

嘘にしか聞こえない……ペンドラゴンにいたオデュッセウス達を殺しておいて何を……!

コーネリアの安否が気になるが、今ここでシュナイゼルを刺激するのも得策ではない。彼女が無事でいるのを祈るしかなかった。




[38616]
健 - 2019年08月02日 (金) 21時14分

ぐだぐだしてしまった……一応、本当に脅迫されているという設定にしました。それを伝えに来たというより見張り役のウェルナーと母も同じく……何しろ、貴族制時代の兵士派に、三割程度で他は全部ルルーシュの息がかかった兵隊。見張り役なんて建前だけ。旧体制の異物共を一カ所に押し込めて飼い殺しにする感じです。

要するに見張られている者同士……あと、ハワイごと潰せる戦力も控えているとお思いください。



『白の騎士 紅の夜叉』の漫画版……レドの境遇をライルが聞いたらどんな顔するか。秀作や美恵ならば所詮親なんかそんなだって言いそう。ただ、秀作の場合は『仲間なんて概念に振り回されたお前の自業自得だろう』と裏切られたことは意に介さない気がする。

有紗や優衣も本当にもうちょっと若い年齢でレドみたいになっていた可能性が高いし……ガルデニアは危なかった回数は有紗や優衣の非ではないでしょう。ヴァルは本当にどこぞの令嬢や貴婦人かそっちの…エレーナとセルフィーも醜男に、となっていたかも。

若手のナンバーズ出はレドの一歩手前が多いライル軍……ある種の成り上がりやアウトロー軍団(それ狙いもある)。良二は負け組の中の勝ち組だな。



最後に……個人的にレドとシュネーはあの後も引き続き、知った上で『コノエナイツ』やってほしい。



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