[38563] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-46『新皇帝誕生…前編3』 |
- 健 - 2019年06月27日 (木) 23時22分
ライルはエルシリアとシルヴィオから呼び出された。
「何でしょうか?父の暗殺容疑ならば…」
「いや、そうではない。お前の侍女から相談があった。」
シル医う゛ぉの答えを聞いて、ライルは思わず有紗を見た。
「……ライル様、皇帝即位の時からずっと顔色が悪いから…………シルヴィオ様達にと思ったんです。」
「ルルーシュの即位について、何か知っていることがあるのなら話して欲しい。兄上の方も部下から聞いているそうなんだ。」
シルヴィオも?一体、何を……
「兄さん、私達も変だと思っているんです。何故、オデュッセウス兄さん達がいきなりルルーシュの支持に回ったのか。」
ライルは答えるべきか、悩んでいた。だが、レイに……
「ライル様、もう隠せませんよ。理解を得られなくても話すしかないと思います…」
「同意見です…殿下、こうなったからには。」
ゲイリーにもいわれ、ライルは覚悟を決めた。確かに、あんな不自然な光景を見てはもう…隠すことは出来ない。
「………分かりました。只……私も未だ半信半疑ですので、ご理解をお願いします。」
ルーカス・ズ・ブリタニアはルルーシュに謁見をしていた。
「久しぶりだな、ルルーシュ。」
「ええ……兄上はどういったご用件で?」
暫く見ないウチに随分と偉そうな態度を取るようになったモノだ。庶民の子の分際で………
「ライルが父上を殺そうとした容疑がかかっていた、というのを知っているか?」
「ええ……しかし、私があの男を殺した以上はその罪状は成立しませんよ?」
それは分かっている。だからこそ………
「だから、お前を殺そうとする可能性もあるだろう?いくら昔仲が良くたって、あいつはブリタニアに反抗的だ。お前だって、せっかく返り咲いて皇帝になったのに追い落とされたくないだろう?俺がお前の手助けをしてやろうというんだ。」
だが、ルーカスは同時に脇に控えている拘束衣の女が目に入っていた。人種は分からないが、相当な上玉だ。ルルーシュの女ならば、自分の方が満足させられることを教えてやらねば。
ルルーシュはルーカスの魂胆を見抜いた。読みやすさという意味ではクロヴィスより上だ。噂には聞いていたとおり、本当に分かり易いまでの権力欲の固まりだ………昔と何一つ変わっていない。
大方、横のこいつにも目を付けているのだろうな。
「では、弟としてお願いできますか?ライルが何か企てているのであれば……拘束或いは殺害を。」
「ああ……で、その暁には俺に皇族の地位を返してくれないか?同時に『ラウンズ』あたりを。」
「ええ……ではこの国のナンバー3を保証します。空席の『ラウンズ』と本国の軍事総責任者の席もお約束しましょう。」
「おお、充分すぎる地位だ。それと、良さそうな女を…」
「探しておきますよ。」
「では…早速。」
ルーカスが退室し、控えていた緑の髪の少女……C.C.が声をかける。
「あの男、信用して良いのか?どう見ても、お前が大嫌いな貴族というタイプだが?」
「あいつがライルに勝つ可能性など……戦術的にも戦略的にも0に等しい。何かしらの不条理で勝ったとしても、奴が取る行動など見え透いている。」
幼い頃から、ルルーシュはあの男が大嫌いだった。クロヴィスの母と同じくらいに………
「シルヴィオやエルシリアの動きは?」
ギアスで従順にした兵士に問うと……
「は、両名ともライル・フェ・ブリタニアと共にハワイにおられるようですが、それ以外は!」
なるほど……シュナイゼルの出方をうかがっているか、それとも………
「信じがたい話だ……」
「私もそう思いますよ。」
一連の話をし終え、エルシリアの感想に対してライルも自分の意志を伝える。だが……
「でも、そう考えればオデュッセウス兄さん達が支持に回ったのも…ルルーシュがここまで暴走するのを容認するのも頷けますよね。」
セラフィナも仲が良かった義弟の暴走に複雑な感情を抱いている。そして……
「父上もそのギアスとやらを持っているとするならば……『ユーロ・ブリタニア』に派遣された軍師がルルーシュだというアーネストの考えも頷ける。」
『ユーロ・ブリタニア』に派遣された軍師ジュリアス・キングスレイの個人情報は一切なく、記録で手に入れた顔写真くらいしかなかった。だが、もしもルルーシュであるとするならばそれも頷けた。
「別人の記憶を与えられたルルーシュ本人……」
「そして、そのルルーシュとナナリーは生きていて…アッシュフォード学園に通っていた。
「……私の許嫁が通っていたアッシュフォード学園の生徒会がルルーシュの妹が別人または弟にすり替わっていた、少なくともそれと『ユーロ・ブリタニア』の軍師についてはあの男が人の記憶を書き換える類のギアスという力を持っていると考えれば説明が付く………それと、シェーリン卿やメイフィールド卿も疑っていたというマンフレディ卿の自決も。」
肝心の最重要容疑者が既にこの世にいないためにいずれも推測の域を出ていない。だが、そう考えればこれらに事例については説明が付く。ユーフェミアの件についても………
しかし、これだけはライルも言い出せなかった。根拠がないし、何より信じたくないからだ。
「オレンジがルルーシュに着いたのもルルーシュが彼をギアスで操っているのか?」
エルシリアの問いに、ライルは唸る。
「分かりません……ジェレミア郷はマリアンヌ様が殺されたあの事件、あそこが初任務だったそうです。全て承知の上で協力し、償おうとしている可能性も。」
「そうか……少なくとも、マリアンヌ様が絡んでいたとなればルルーシュの暴走も………否定しきれないな。」
シルヴィオも複雑な感想だ。騎士家系出身である彼の母は疎んじている皇妃が多い中でマリアンヌとは剣で競ったこともある。シルヴィオ自身もマリアンヌを一介の騎士として目標にしていたともいう。
「人の歴史の裏にあった、とでも言うべき力ギアスとそれを研究していた機関とシャルル・ジ・ブリタニア……ルルーシュ…」
そして、ゼロ…………
一体、何がどう絡んでここまで発展したのだ?
それに……こんな暴走を続けてルルーシュは何を?世界そのものに復讐を?それとも……何か別の意図?考えれば考えるほど、読めない。
ルーカスはライルを討ち取った報告をルルーシュに直接伝える……その場でルルーシュを殺すつもりでいた。
当然、枢木スザクもだ。あのナンバーズ出身等邪魔な存在だ。そして、セシル・クルーミーとあの妙な女をいただく。
同時にルルーシュ討伐を公表して自分が正統な皇帝として即位する。ルルーシュに賛同したオデュッセウス達は殺して、邪魔なシュナイゼルとビスマルク達も始末してやる。
マリーベルは利用価値があるし……エルシリアとセラフィナは部下の幕僚か賛同した貴族を婿入りさせて、取り込む。イレヴンかぶれのシルヴィオなど不要だ。メイドの女を味わう意味でも始末してやる。
さて……ライルの女共も、あのメイドとツーフォーの姉は俺のだ。後はそうだな……庶民のくせに親衛隊になったとかいう女だな。あの火傷女はウェルナーへの手土産にくれてやろう。あの世間知らずはそれで黙る。
そもそも、あんな焼け爛れた顔の女に気を許すとは理解できない感性だ。
フィリアはそろそろ飽きたし、用済みだ。この後に適当な罪で消しておいて良いだろう。
フィリアはルーカスよりもルルーシュに取り入ろうと考えていた。あのわけの分からない女は気がかりだが、所詮は18歳の坊や。ちょっと愛想よくすれば、ホイホイ転ぶ。
夜は良いけど…ねえ。
あの皇帝に取り入る以外には……そうね、ツーフォーの男がいたそうだし、あの髪が長いイレヴンと一緒に可愛がってあげようかしら?
ギースは『ユーロ・ブリタニア』の庶民の女を突き上げていた。豊かな胸を揺らして鳴く女と同時に脇の力のない貴族がキスをして、もう一人…中国人の女の胸を揉んで堪能した。
こいつらも確かに良いが……ルーカス殿下がライル殿下を殺すといいだした以上、あれを手に入れる好機だ。
どうもあの女はライルと関係を持っているが、自分の方が楽しませることが出来るとギースは確信していた。
同時にあの秘書官や『ユーロ・ブリタニア』の女も楽しめそうだ。秘書は十代とは思えないほどにグラマラスで『ユーロ・ブリタニア』の女はバランスが良い。高水準で且つグラマー寄りの従妹と合わせれば極上のディナーになるだろう。
ギースはインドから仕入れた褐色肌の女を堪能していた。豊かな身体で喜ばせ、後ろから同じく豊かな胸をこすらせてポルトガルの女が甘えている。
これにあのウィスティリア家の令嬢と技術者の女、ツーフォーの妹の方が加われば最高だ。
あの第八皇子様にそれを見せられないのが残念だ。
マクスタインは今頃、そんな算段をつけている連中のことを考えるかと思うといっそここで全員死んだ方が良いとさえ思った。
奴らに蹂躙された女達には悪いが、あれだけやられてはもはやまともな状態には戻れまい………
この軍に配属された時点で、運が尽きたということなのだろう。もはや、栄光のために皇帝に反抗するという気概すらマクスタインから失われていた。
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