[38557] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-45『沈黙…後編』 |
- 健 - 2019年06月18日 (火) 22時40分
ペンドラゴンから遠く離れた本国……テキサスの基地でルーカスは例によって女達を五人、貪っていた。
「ぁん!や、め…!」
フランスの講和の時にいただいた外人部隊のギリシャ人……年齢はルーカスとほぼ同じだ。今その女の身体を味わっていた。これで五度目……女はルーカスにしがみついてフィリアより豊かな胸を密着させながらルーカスに合わせて動いている。高い声で鳴きながら……
「それ…!俺様のものだという事が幸せだろう!」
「…い、やぁあぁん!やぁめぇ!も、らめぇえぇ!」」
限界がきて、一際高い声で女は手足が落ちた。離れて、二番目に抱いた脇で怯えているイレヴンの女に標的を変えた。こちらはライルと同い年らしく細身だが、出ているところは出て中々に良い。
「さて、今度はお前だ…」
「いやぁ…!も、もう無理…ぁん!」
繋がり、今度は正面から抱き合う。無理などと言いながら、ルーカスが突けばしがみついて喜んでいる。
「良いんだろう?嬉しいだろう?」
女はこうして、男に抱かれることが何よりの喜び。そう周りの男に教えられ、最初は同い年の貴族の娘だった。力の弱い、名ばかりの家…中々に楽しめたがすぐに飽きて一族郎党始末した。
「あぁ、やぁ!ゆるしぃ…いやぁあぁああ!」
徹底的に蹂躙され、イレヴンの娘はうつろな表情で後ろに倒れて今度はロシア人の女だ。後ろから膝に乗せる形で無理矢理繋がり、低めの身長に反比例して大きな胸を後ろから揉んで唇も吸う。
「あん…!や!いぅん!んぅぅ…」
うつろな顔のまま喜ぶこの女は『ユーロ・ブリタニア』から接収した中でこの女は上位だ。この女の最初を連中に奪われたようだが、この女は充分楽しめる。
「ルーカスさまぁ…私も、もっと…」
中華連邦と共同統治していたタイから調達したタイ人の女が大きさも形も良い胸を左腕に押しつけ、反対から『ユーロ・ブリタニア』の下級貴族の娘がもはや貴族の品格など崩れて娼婦に成り下がった様子で豊かな胸で腕を挟む。二人共今では従順だ。
「私もしてぇ?」
「俺の物らしくなったな…」
ロシア人の女を甲高く鳴いた後、一度離れて今度は押し倒して身体を味わいながら、タイ人の女の胸を揉み、貴族の娘がキスをして唇を堪能する。イレヴンとギリシャ人が放心状態だがまあいいだろう…
皇帝の招集にルーカスは応じようとしたが、マクスタインが神根島で消息を絶った皇帝は何者かに殺され、招集がその者の罠と進言したので一応ルーカスは聞き入れた。本当ならばそいつを殺して、自分が英雄として凱旋できるからだ。その後で自分に着かない皇族や貴族は殺して、良さそうな女は全てもらう。
クルークハルトは今頃、例によってお楽しみの連中と違い酒を呷っていた。先方が手を着けずにあてがってきた女達が酒を注いでいる。今も、ラム酒を飲み干してルーマニアから売られた女が酒をグラスに注いだ。
「全く…!適うなら『ウリエル騎士団』に戻りたい!」
庶民出ということで『ウリエル騎士団』内の貴族からも侮辱されて不快になることは多かったが、ここよりは遙かにマシだった。レーモンドは勿論、他の総帥達も自分の能力を買っていたし、一部の大貴族からも期待されていた。
何もかも、あのイレヴンのせいだ!俺の主君を訳の分からん罪状で殺して!!
あの反乱のせいで『ウリエル騎士団』だけでなく『ガブリエル騎士団』や『ラファエル騎士団』の生き残り達は散り散りになった。彼らを襲った『ミカエル騎士団』も例外ではない。
『ウリエル』の紋章を汚されたこの上ない屈辱だ。更に奴らは総帥達まで侮辱した。特権に寄生して、堕落した貴族共……あのシャイング郷や彼の旗下である捨て子達にだって遙かに及ばない愚か者共が!!彼らを侮辱しない者はこの中ではせいぜいマクスタインだけだ。
「荒れていますね…」
ベルギー人の少女がおそるおそる問う。他にも何人か、『ユーロ・ブリタニア』の貴族出身もいる。クルークハルトは彼女達を抱かなかった。奴らの同類に堕ちたくないから……求めたのはせいぜい、自分用に当てられた女の何人かに愚痴を聞いてもらうだけだ。たまに勝手に酒を注いだり、中には身体を差し出す女もいたが丁重に断った。
ルーカス軍では余程気に入った女は手を出さず、ルーカス専用の女はルーカスが飽きれば貰えることになっている。それが暗黙のルールだ。そのおかげで、この女達は無事だ………
「あれと第八皇子殿下なら、第八皇子殿下の方がまだマシだ。」
人となりは知らないが……かなり青臭い理想論者だと中傷されたのを聞いているが、それでもあれが皇帝になるよりはまだマシだ。
そう思って、クルークハルトはつまみのチーズをかじった。
ライルはうつむいていた。結局、何しに蓬莱島へ行ったんだ?外交特使という形で渡ってブリタニアの動きを探ると共に、急進派の暴走抑制をも図ろうとしたというのに………
結局、得たものと言えば幸也の母と姉の仇とE.U.の急進派の暴走、そしてシルヴィオとエルシリアが預かっている『ロンスヴォー特別機甲連隊』の幹部クラスだけだ。
「殿下、無礼を承知で申し上げますが……あの時の貴方はらしくなかったです。飯田は勿論、全員の命がかかっているからと躍起になっていたのでは?」
ゲイリーの問いにライルはキョトンとする。
「え、私は指揮官だぞ……私のせいで全員が共犯になりかねないのに。あの女の同類共が聞けば、私を被害者に有紗達を主犯に仕立てることくらい!だから、外部の方からアプローチを!その上で全面戦争による破滅を…」
「殿下、言動が破綻しかけています……」
「………破綻?」
ゲイリーが深いため息をついた。隣にいるレイも……
「ライル様、罪状はシルヴィオ様達が監視に着く形で保留になるように計らってくれていますから、暫く軍務を離れましょう?」
「レイ、君まで…」
「皇帝陛下の招集は誰かの罠と疑っているのは良いですから…まず落ち着いて。貴方が無実なのはみんな分かっていますから。ね?」
ウェルナーの母…トゥーリア・レイ・ブリタニアは息子が気がかりであった。ライルが皇帝への反逆を疑われたという噂が流れ、しかもよりにもよってウェルナーの耳に入ってしまった。
ライルはウェルナーが兄姉では特に慕っており、彼の部下であるイレヴンの少女にも会ったことがある。育ちが悪いことが一目瞭然だが、息子は彼女に心を開いており、人並みに歩けるようになれたのは彼女のおかげだというのも分かる。
以前、彼女の身も考えて無闇に会わないように言っておいたがまさか………そのせいで、またウェルナーは体調を崩してトゥーリア自身もその看病や公務で招集どころではない。幸い、名代を手配できているがトゥーリア自身も何かの間違いではないかと考えていた。
本当に陛下の暗殺を?ライルが?
だとしても動機は……肥大化した貴族の特権意識の根源を陛下と考えて?
貴族出身のトゥーリアは自分達の優雅な暮らしが民の税によって賄われていることを理解していた。それ故に、税を徴収するのを当たり前と思ってはいけないと考えていた。だが、ブリタニア貴族の多くはそうした考えを持たず、搾取するのが当然となっていた。
『貴族として、民に税を払わせるのはそれを持って民により良い暮らしをもたらさねばならない。ナンバーズもそれは例外では無い。』。彼女の貴族としての責任感に基づくこの思想は多くの皇族や貴族からは白眼視され、せいぜい気が合うのは『民を慈しむ』、『貴賤の交わり』を貴ぶマリーベルの母フローラくらいだ。庶民出身のマリアンヌは破天荒すぎて着いて行けなかったが、彼女の子供達はウェルナーも仲が良かったのでよく遊ばせていた。そして、ライルはトゥーリアとフローラを尊敬していたし、トゥーリア自身も教え子のように思っていた。
一時期、二人共死んだと思い込んだウェルナーは落ち込んだものだ。それがようやく持ち直したのに………
ライル、無事な姿を見せてください。あの子のために………
トウキョウ租界でフレイヤが使用された一ヶ月後………帝都ペンドラゴンで皇帝から重要な発表があるとのことで、皇族達はペンドラゴンのブリタニア宮に集まっていた。
しかし、全員ではなかった。宰相のシュナイゼルにエリア24総督のマリーベル、第五皇子ルーカスに第五十皇位継承権者エルシリア、五十一皇位継承権者セラフィナ、五十六皇位継承権者シルヴィオが連絡が取れず、皇帝叛逆の容疑をかけられた第八皇子ライルも真相が分からない上に行方不明……九十一皇位継承権者ウェルナーとその母トゥーリアは療養のためにカンザスの別荘地へ渡り、名代の貴族がいる。
だが、異様でもあった。肝心の皇帝が行方不明に加えてこの招集を伝えたビスマルクも不在、非公式の直属騎士団『セントガーデンズ』も総帥のレイシェフが戦死したとされている。
皆が困惑する中……皇帝が現れる。だが、そこへ現れたのはあのシャルル・ジ・ブリタニアではない。学生服の少年だ。整った容姿だが、放送でそれを見たライルは目を疑った。
『私が99代ブリタニア皇帝、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアです。』
「ルルーシュ、君?」
本国の高校に通うサラ・クラウザーは呆然と、アッシュフォード学園生徒会の副会長の顔を眺めた。
「い、生きていた?」
「でも……なんで、ルルーシュが皇帝に?」
エルシリアとセラフィナも呆然と、生きていた義弟の顔を見つめる。
「何故、今になって…?」
シルヴィオも困惑した。9年ぶりに見る弟は昔の面影を残しながらも目を引く美男子になっていた。
「へえ……お前が皇帝?平民の血が入ってるくせに…」
ルーカスはブリッジでワインを優雅に飲んでほくそ笑む。
「馬鹿な………」
アーネストは彼の顔を見張った。あの顔は間違いない……『方舟の船団』の事件の後、何とかあの軍師の顔写真だけは手に入った。眼帯こそないが、彼の顔はまごうことなき皇帝の使者である軍師だ。
「キングスレイ郷?」
「なんで、ルルーシュが?」
ライルが放送に見入って、ルルーシュはシャルル・ジ・ブリタニアの殺害を公表。更に枢木スザクを『ナイトオブワン』の更に上の存在『ナイトオブゼロ』として迎え入れると表明、皇族達は皆が異議を唱える。しかし………
『我を認めよ!』
突拍子もない命令……しかし。
『オール・ハイル・ルルーシュ!!オール・ハイル・ルルーシュ!!』
窘めようとしたオデュッセウスを始め、皆がルルーシュをあがめた。そして、ライルは………
自分の心臓が異常に早く鼓動しているのが分かった。これによく似た事態を知っている。つまり……彼は……ルルーシュこそが…………
違う違う違う違う違う違う違う違う違う!!!!
しかし、必死に否定した。否定しようとした……だが………間違いない!間違いない!
ギアス?……………ゼロ?
マリーベルはエリア24でこの放送を見ていた。しかし、この異様な光景を見ても彼女は全く動じなかった。
そして、コーネリアと共にカンボジアへ逃れていたシュナイゼルはこの放送を見ても動じずに平静と共に笑い、チェスの駒を取る。
「世界を取るのはルルーシュのギアスか、それとも。」

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