[38495] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-44『会談…前編3』 |
- 健 - 2019年04月23日 (火) 22時49分
今回は前もって…………映画なら18歳以下視聴禁止となるほどの惨たらしい場面があります。
テレビ準拠とゼロ不在のリスク言及という形でこちらで非難する形となった扇達の件よりも不快感になることほぼ間違いありませんが、これはある意味で譲れないのでご了承ください。
行村達は警戒に当たっていた団員達に声をかける。星刻の指示で引き継ぐと……ゼロ不在の今、総司令の星刻と事務総長の扇の言葉というだけで団員達を納得させるには充分だった。
警戒に当たる中の兵士もライルの名前と声で上手く騙した。そして、監視カメラの映像もハッキング済みだ。
「ふん……愚か者共は奴の動向自体を気にしている。今すべきは、奴にたぶらかされた者達の救出だ。」
〈首尾は上々です。中佐、獲物を確保したら少しくださいよ?〉
「無論だ……ただし、スペインのダンサーと奴の侍女はこの私がもらう。フランスの大佐と併せてな。」
とはいえ、あの侍女は秘書と共に会談中……今は諦めるしかない。
〈じゃあ、俺は秘書官と…最低でもその姉をもらいましょうか。〉
「お前の働きがあってこそだ……当然の報償だ。」
別の通信が入り、切り替える。
〈行村中佐、獲物の内スペインのダンサーの妹の方を確保。もう一名と一緒にいた男、きょうだいのようですがどうします?〉
「一緒に連れて行け……E.U.の資産家令嬢にでも売りつける。」
〈こちらでも、想定外のモノを確保。ブリキの庶民女ですが、なかなかの上玉です。〉
「ほう、ブリタニアの……それもだ。で、技術者の女は?」
〈は!格納庫で確保!他の者は気絶させております。〉
周りの連中は本当なら、始末してやりたいのだが殺すと後々で騒がれる。只の誘拐にして、後はどこかでじっくりと味わうだけ。
〈もう一人、貴族の女は?奴を確保したという連絡がないが…〉
あの婚約者と並び、奴の妃候補となった女は確保できていないようだ……
「その女は諦めるしかあるまい……頃合いを見て………」
〈どうされるのかしら、泥棒さん?〉
聞き覚えのない女の声がした。
〈ウチの女の子を狙って攫うとは……星刻達の指示?それとも……あんたの独断?まあ、いずれにしてもこの責任を星刻達に追及すれば、こっちにとって少しは有利になるかもね。暴走を未然に防げなかったんだから……〉
「だ、誰だ?」
〈第八皇子親衛隊クリスタル・ウィスティリア……後、早めに逃げた方が良いわよ。あんたも、あんたの一味も殺してやりたい程憎んでいる子がいるの。暴走したら、私達どころか電化でも止められるかどうか……〉
まずい。逃げだそうとして、艦の出入り口に戻ったが…………
「待っていたぞ……行村鷹一少佐?」
長い髪を縛った日本人の少年がいた。返り血をたっぷり浴びて、剣を持っている。
「な、君は日本人ではないか。そうか、洗脳皇子に洗脳されたか。目を覚ませ!私の名を知っているのなら分かるであろう!私こそ日本の、世界の救世主になる男だぞ!!」
幸也は高揚していた。あの男が今、目の前にいる。保護してくれると思った途端にこいつらは幸也を取り押さえ、母と姉の服を裂いて身体を弄んだ。泣き叫び、許しを請う母と姉は次第に快楽に呑まれて、最後は心が壊れて用済みにと殺された。
『君の母と姉は日本を救うこの行村鷹一の正義の戦いのために貢献したのだ。君は母と姉を誇りに思いたまえ。』
正義?只、欲望を満たすために母と姉を弄ぶのが?父を殺したブリタニア軍士官は日本語で同じようなことを言った。名誉ブリタニア人になって、軍の人事部などに確認をしたら既に死んでいたと聞いた。
だから、せめて母と姉を殺した男を捜した。少なくとも名誉ブリタニア人兵の中にあの男はいなかった……なら、テロリストになっている可能性が高いと。
それを探しながら、幸也は殺した。独立を謳いながら民間人を狙うテロや正義だからとブリタニア人の子供を傷つけるイレヴンを。特に……ブリタニア人という理由で女を襲う男は殺した。
分かっている……母さんと姉さんじゃないことくらい。
どうしても、被ってしまう。只母と姉が犯されて壊れ、殺されるのを見ていることしか出来なかったあの時に………
そして、正義を名乗るテロリストは容赦なく殺した。中には命乞いではなく、早く殺してくれなどと奴もいた。
『やだね………クズはクズらしくじわじわと死ね。』
ブリタニア人の兵士も彼を恐れ、敬遠していた。同じような噂の畑方秀作の存在は聞いていたが、奴は信じなかった。所詮、クズの血縁だから。クズ共の象徴にされる首相の息子である枢木スザクなど論外だ……だが、秀作については少なくとも今は違うと思う……何度か話して分かった。彼は彼で、クズ共の犠牲者だとは思う。
ライルも同じだと思ったが、彼もまたクズの………しかも、よりにもよって母親がクズという筋金入り。少なくとも、幸也は彼らを信じるようになった。クズの一味と決めつけていた長野も含めて……そして、彼らと共に戦えばエリア11の外にいるかもしれない奴を殺せると信じて、遂に見つけた。
奴らを見つけたのは偶然だった………本当ならパラディンで蓬莱島にいるゼロの支持者共も殺してやりたかった。冤罪だというのなら、合衆国日本の暫定首都のここを潰せば本国も許してくれるのではなどと考えて艦内を歩いていた。
そんなとき、妙にキョロキョロしている男がいた。E.U.の軍服を着ていた……案内の兵士もおらず、そもそもそんな連絡が無い。
なんで?
尾行していると、エレーナを見かけた。すると、男はエレーナの後ろから布を当てた。エレーナも抵抗しようと足をけるが、薬が染みこんでいたのか倒れた。
誘拐!?敵艦の中で!?だが……それなら、殿下を直接狙うのに。
「行村中佐、ターゲットを確保。」
行村!?あの、母さんと姉さんを殺した男がケアウェントに入り込んでいる!?何のために……まさか!?
いますぐ行く?いや!
幸也は無線を取り出し、クリスタルに繋ぐ。
「クリスタルさん、幸也です。聞こえますか?」
〈どうしたの?〉
「艦に侵入者……今、エレーナが捕まっています。」
〈侵入者って……そんな!殿下がいないのに、どうして?〉
「俺も分かりません……ただ、首謀者が行村中佐という男で………そいつだけは俺に。」
〈……………お母さんとお姉さんの?〉
「はい。」
〈分かったわ……他の子も見てくる。貴方はそいつを片付けて、艦の出入り口に。〉
「イエス・マイ・ロード。」
「しかし……本当に極上だな。これを味わえる行村中佐が羨ましいぜ……少し、つまみ食いするかな?」
エレーナの制服に手をかけ、その豊満勝つ形の良い胸を触ろうとした。それを見た途端……幸也の頭からあの時の光景が蘇った。
「貴様――――――!!!!!」
幸也は男を殴り飛ばした。
「だ、誰だ……お前!?」
「特選名誉騎士団の哀沢幸也……本艦への不法侵入者を対処する。」
「ま、待て!お…お前日本人だな?」
相手はコローレくらいの日本人だ……大方、奴の同類の一般人というところだろう。
「行村中佐は日本を救う御方……このスペインの女は『洗脳皇子』にたぶらかされているんだ。いや、この女だけじゃない!他の日本人の女は、あのブリキの皇子に身体を弄ばれているんだ!それを清めて…」
幸也は剣を抜く。剣を見て、相手が後ずさる。
「今からでも協力すれば、行村中佐に取りなすぞ!お前が気に入っている女がいれば、そいつだけはお前にやるように俺から中佐に」
左腕を切り飛ばした。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ーーーーーー!!!!!」
男は左腕から血を吹き出し、腰を抜かす。エレーナに少し返り血がかかってしまったのが残念だ。
「あ゛……あ゛あ゛…………」
後ずさり………何か言おうとしている。だが…………
剣を振り下ろし、左足を切り飛ばした。
「い゛や゛ぎゃあああああああああ!!!!!」
更に、残った手と足も切り飛ばした。
「だ、だずげ…だずげで………」
涙と鼻水でみっともなく顔を濡らし、芋虫みたいに這いつくばって逃げる。
「貴様など、生きているのが罪だ。」
「ごぼえうぉあ!!!」
剣を頭に突き刺した。身体がけいれんしている………剣を汚らわしい頭蓋から抜き、踏み砕いた。
「エレーナさんを助けました。そっちは?」
「私を狙った奴がいて、返り討ちにしたわ。セルフィーや涼子も捕まったみたい……腐っても軍人ね。」
セルフィーまで!?幸也の仲で怒りと憎しみが煮えたぎり、限界を超えようとしていた。
「エレーナさんを攫ったクズを一匹殺しておいた。」
〈………斬り刻んだ?〉
「当たり前だ……出入り口を固めるよ。」
艦の構造はこちらが上だが、こいつの相手に少々時間をかけた。幸也は走って艦の出入り口に向かう。そして……遂に、会った。
「貴様は覚えていないだろうが………俺は忘れていない。貴様の名前も、貴様のした事も。」
ゆっくりと歩み寄り、剣を振る。
「君は……おお、そうか!あの時の……なんと、嘆かわしい!」
嘆かわしい?何がだ?
「君の母と姉のおかげで私は今、こうしてブリタニアを打倒する場にいる!つまり、君の母と姉は世界を救う勇士に多大な貢献をした!それを分からず、ブリタニアに洗脳されるとは!!!」
母と姉を覚えていたとは意外だが……何の後ろめたさも抱かないどころか、さも当然のように母と姉が功労者だ等と言う。
一体、こいつの頭の中はどうなっているのだ?
「君とこうして出会うのは運命だ!さあ、奴に唆された女達を共に解放するのだ!!君が気に入っている女がいれば、君に好きなだけ与えようじゃないか!」
「やだね……俺は正義を名乗るクズ共を滅ぼすためにブリタニア軍に入った。そして……貴様を殺すために今日まで生きてきたんだ。」
「クズ?この私が?何を言っている…この私こそ日本を、世界をブリタニアから…」
「中佐!この裏切り者がぁ!!」
別の声がした。日本軍人だ…………刀を振りかぶるがが。
「邪魔だぁ!!」
先頭の奴の首をはねて、後ろから来たもう一人も蹴りを入れて壁に叩きつけ、最初の奴が持っていた刀で顔面を刺した。口を貫通し、相手がゴボゴボ言っている。そして、そいつを撃ち殺した。
行村は流石に怯えた。しかし………
「す、素晴らしい…!流石は皇族の直属部隊だ。だが、惜しい…君ほどの才能がブリタニアのものとは。今から私の部下になりたまえ、E.U.の政府に私の協力がいる。」
だが、幸也の答えは………
広げた右腕を手首から斬った。
「え?…………う…!う゛あああああああ!!!!」
次は右腕を肘から。
「あ゛あ゛あ゛ああああああああああ!!!!」
今度は左腕を。
「でぇぇぇぇえええ!!腕がぁぁえぇぇあああ!!!私の腕えええううぅえぅえぇぇええ!!!!!」
周りをキョロキョロ見回し、誰もいない。すると……
「な、何を!?わ、私の腕を!?今からでも…!私の部下に…!!」
まだ、言うか。
今度は足を斬った。右足首、右膝、左足首、左膝。
「ぎぃぃやぁぁぁぁああああああ!!!!あじぃ!!あじいがぁぉえあああ!!!うでぇぇええええ!!!」
腹に剣を刺した。
「げぼぁああああああ!!!」
「まだ足りない……母さんの…姉さんの………恐怖…………そして、貴様のことだ。エリア11でも、E.U.でもやりたい放題だったんだろう?その人達の苦しみを、俺の復讐の方便に利用させてもらうさ。彼らに変わって、貴様を殺してやるよ。」
剣を横に振り、腹から血が噴き出す。
「ま゛ま゛ぢだばべ………ま゛っで、ぐだざい゛………わ゛だじがぎびう゛ぉぶがに゛…だが、ら…」
なんて言っているのか、おおよそ分かった。『部下になるから助けてくれ。』と……
「貴様なんぞ、殿下の眼鏡に適うものか……俺の直属部下でもゴメンだ。」
もっと。もっとだ………命乞いが介錯に変わるような苦しみを与えてやる。
無くなった手足でぐねぐね動くものを掴み、壁に叩きつけた。そして側の刀を抜き、腹に刺した。それはそのまま壁に刺さり、更に部下の二本で行村を壁に固定した。
口をぱくぱくさせ、かすかにまだ自分を英雄だのなんだのと言っているのが分かる。
「うおおおおおおお!!!」
剣で下半身を斬り、足を失った下半身が床に落ちた。
「う゛ぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああああああ!!」
まだ!まだ足りない!!もっと!もっと苦しめてやる!!
右肩と左肩を付け根から切り飛ばした。
「がだああああ!!あじいぃぃぃぃ!!う゛ぁら゛あぁぁぁ!!がだあぁ…でえぇぇえ……うでぇぇぇ…あじいぇえぃいい…」
切断面から血が勢いよくどくどくと吹き出す。どうせ、放っておいても死ぬが……それでは幸也の気が収まらない。八年分の恨みをたっぷりと晴らしてやる。
「貴様を殺したって、母さんと姉さんは帰ってこないし……貴様らに弄ばれた女の人達の体も心も元に戻らない。だが………貴様だけは絶対に殺してやる!!!!」
眼を掴み、抉った。
「め゛ぇぇええええぇぇええ!!」
耳を切り落とした。
「いぎゅいあぅゆぅえぇうぇおあ!!!!め゛う゛ぇええええ!!み゛み゛いいぃぃぃ…!!めぇえぇぇ……みぃえぅみいえいぅえ………うでえええ……あじいぃぃ……」
もう、どうせ何も見えないし聞こえない。だが……
剣で喉を斬った………これだけやってまだ死なないとは。失血死なりショック死しても良いのに……
「が…わ゛、だ……ッボン…う゛ぇ…ゆう……じヌ……ニ、ン……な……」
耳元を当てて聞いた。こんな状態にもなって、まだ自分が日本の英雄だと?もう…我慢の限界だった。
幸也は刀を三本とも抜いた。手足を失った、人に似た何かが床に落ちた。そして……
「消えてなくなれえええええええええええええええええええ!!!!!」
「ごぼぐぇげがぼべぐばぼあげぐっぼおう゛ぉ!!」
人のものとは思えない断末魔が響いたがすぐに消えた。
斬った。斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って斬って……斬りまくった。斬り落とした腕も斬った。足も、眼も、眼球も耳も。
これの痕跡を徹底的に破壊した。
「こ、幸也……」
気がついたら、幸也は行村だけではなく。先程、彼を助けに来た部下達も破壊していた。
クリスタルが兵士達を連れてきて、警備の兵士もこの惨状をみて思わず床に胃の中のものをぶちまけた。
「な……何をしたの?」
「母さんと姉さんを殺したクズを……消した。」
「……そ、それにしても!これじゃあ…………背後関係を…」
「貴女達がやらないわけないでしょう?」
「……確かに、貴方が殺した連中以外は大体逮捕したわ。雛を狙った男も雛が殺して、秀作の方も殺したそうよ。行村という男が主犯と聞いた…………でも、そいつを殺しても…」
「ああ、こいつを殺したって、母さんと姉さんは帰ってこないさ。父さんを殺したブリタニア軍の兵士はもう死んでるし、父さんも…」
だが、それでも……
「それでも……俺はこいつを殺すことだけは譲らない!こいつはセルフィーを!貴女だって攫って、母さんと姉さんと同じ目に遭わせようとしたんだ!!こいつらのせいで、母さんと姉さんみたいにされて…父さんのように殺された人が大勢いるんだ!!!分かるか!?他ならぬ、同じイレヴンが!!」
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