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お気楽極楽なSS発表会

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[38460] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-41『優しい世界…前編1』
健 - 2019年03月03日 (日) 21時54分

ライル軍はスモークを展開した。随行する艦と艦上のKMFも一斉に煙幕弾を撃つ。艦隊が丸々覆われていった上に夜だ。視界が効きにくい。

「煙幕で逃げるか?」

否、それは無い。一部に反逆容疑が通達される可能性を考慮して逃げようにもどのみち追いつかれるのが目に見えている。

「となれば……」

おそらく、煙幕を隠れ蓑にして砲撃を仕掛けて戦力を削る。となれば、こちらは煙幕に飛び込んで母艦に肉薄して母艦を沈める。そうすれば自ずと相手はジリ貧になる。

「リスクは大きいが、それが一番確実な方法………と普通はそう考えるだろう。」

だが、レイシェフはそれをしない。艦を囮にその周辺へ向けて密集陣形による乱れ撃ちまたは艦の位置を固定して飛び込んできたらその周囲へ向けて煙幕の外へ出ていたKMFによる砲撃。

ならば、こちらは動かずに相手を焦らさせる。煙幕がはれれば正面衝突になる……

「狙いはいい……しかし、通じるでしょうか?」

それまで、レイシェフは『ナイトオブスリー』の頃もこうした相手と戦い、全てを討ち果たした。あの計画に賛同してからも己を磨いており、ビスマルクと渡り合える騎士は亡きマリアンヌとレイシェフのみと謳う者もいる。

負けるわけにはいかない。もう一度、エルザに会うために。

悪く思わないでくださいよ……例え死んでも、貴方は先刻の彼らや例のお嬢さんに会えるのですから。

だが、状況はレイシェフの予想を裏切った。ベディヴィエールが単独で突っ込んできた。両手にアストラットのヴァリスを装備している。よく見ると、ヴァリスにエナジーパックが取り付けられている。急ごしらえの作業でチューブもむき出しで安定していない。

だが、射撃自体は正確だ。旗下のウォードやグロースターを確実に撃墜していく。流石というべきか……

「しかし、その程度は奇策でも何でもありませんよ?」

ベディヴィエールは敵陣に飛び込んでヴァリスを撃ち続ける。

「まさか!?」

気付いた時……ベディヴィエールが上空へ向けて急加速する。パイロットへの負荷などお構いなしの速度だ……

「全機散開!!」

しかし、遅かった。強力なハドロン砲がベディヴィエールが先程までいた空域周辺をなぎ払い、多数のKMFを撃墜する。『セントガーデンズ』旗下のカールレオン級も一隻撃沈し、もう一隻もフロートを損傷する。

「離脱しろ!」

〈イエス・マイ・ロード!!〉

何機かが護衛で随行し、友軍艦が一隻後退していく。

まさか、自身を囮に照準を定めさせるとは!!

あの煙幕は目くらましといえばそうだが、最も初歩的な運用方法の一つ……大火力の砲台を隠すためだったのだ。

相手も若いとはいえ歴戦の騎士。単純な手を使わないと深読みしすぎたか!?



ライルは内心でほっとしていた。ほぼ大博打であった作戦の第一段階は成功した。ライル自身が囮になって敵を引きつけ、ライルの位置を基準にエクセターで砲撃するというものだ。

初歩的すぎる作戦故に懸念されたが、ライルは敢えてこちらを選んだ。軍人としての経験値ではあちらが圧倒的に上。下手に作戦を練り込んでも読まれてしまうのがオチだ。ならば、敢えて博打を選んだ。

その考えにゲイリーや長野も考え直し、読まれた場合も想定していた。とにかく経験値でも戦力でも負けている以上は考えられる手は全て考え、実行できるようにしていた。

「エクセター第一射は成功!次だ、全機砲撃開始!!私の位置は…」

煙の中から今度は別のハドロン砲とバズーカ、そしてミサイルが発射された。ハドロン砲を逃れた機体はバズーカの弾とミサイルに撃墜される。その中には離反した『フォーリン・ナイツ』や親衛隊の機体もあった。更にエクセターの砲撃がKMFを撃墜する。

見たくない。だが、背けてはいけない。首を締め付けられる思いでライルは命令を続ける。

「近接戦闘に移行!熟練度は敵が上だ!一機に対して、必ず二機以上で当たれ!!」

〈イエス・ユア・ハイネス!!〉

近接戦闘の部隊が飛び出し、煙が晴れて艦隊も姿を見せる。

〈エクセターのエナジーと砲身への負荷が限界値に達しようとしています!!〉

涼子の報告を聞き、旗艦のエクセターが火花を散らしている。もはや限界だ。

「雛、エクセターは海に捨てろ!」

〈言われなくても分かってるわよ!!こんな大砲と心中したくないわ!!〉

エクセターは雛のローレンスとサザーランドアイのシステムを接続して照準精度を上げ、ようやく一定の命中率を確保していた。ベディヴィエールのヴァリスに急ごしらえ作業で着けたエナジーパックも含めて涼子が中心に組んだ即席のプログラムだ。

経験こそまだ浅いが、ロイドさんの下で鍛えれば凄腕の技術者になるだろう。

涼子の技量を素直に賞賛して、ライルはヴァリスを手放した。レイシェフのユーウェインが相手ではヴァリスはあるだけ邪魔だ。

「貴方の相手は私ですよ!」

カリバーンでユーウェインに斬りかかり、ユーウェインもアロンダイトを抜いた。二機の剣が激突し、つばぜり合うがユーウェインがパワー勝ちして押し返す。

〈正直驚きましたよ……こんな初歩的な作戦に後れを取る自分の緩さにも。〉

「ええ、私もこんなに簡単に貴方の虚を着けるとは思っていなかったのですが……」



本当にビスマルクが言うとおり、ここのところらしくない。ライルに相当手心があるのだろうか?

否、間違いなく手心がある。愛する人を陰謀によって奪われ、それからも心ない者共に群がられて疲弊する姿とそれを支えてくれた人々……

親を憎み、唾棄している……同時に世界に絶望している。

不思議だ……シャルルやビスマルク以上に彼にはシンパシーを感じる。境遇が似ているからか、それとも?

〈ヴァリエール郷……父は………あの男は何のために神根島に留まっているのですか?貴方や…おそらくヴァルトシュタイン様も絡んでいるのでしょう。V.V.が言っていた神を殺す契約に………〉

ほう、切り込んできた。なるほど、契約を持ちかけられたが断ったのか。

「全ては優しい世界のためです。ナナリー様やシャルル、ひいては貴方のためにもなるのです。」



レイはクレスのヴィンセントにランスを突き出す。ルミナスコーンが回転して並の武器以上の破壊力を生み出すが、クレスの機体も右手に持ったMVSの一本でそれを受け流して左腕でライフルを向ける。
バックラーのニードルブレイザーでそれを防ぎ、レイはクレスに問う。

「貴方はヴァリエール郷と皇帝の計画を知っているの?」

返ってくるか、と思ったが返答が本当に来た。

〈ああ……全て知っている。君の主君が知ってしまった力の存在も、それによって成される計画も…〉

知っている?つまり、打ち明けたライル自身でさえまだ半信半疑であるギアスという力とクロヴィスが個人で研究していたコードRも!?彼らは全て知った上で荷担しているというのか!

「貴方達は……国の運営を俗事だなんて言う男を主君と仰いで、それを正そうとした人を濡れ衣で殺すの!?」

そんなことのためにライルは謂われのない汚名を着せられて、フェリクスとセヴィーナは死んだのか!?

「なんでそこまでして、あんな男に仕えるの!?」



長野もアリア・フローベルに同じ疑問を投げかける。

〈皇帝陛下の計画が適えば、人々の意識が一つになれる!〉

人々の意識が一つ?何を言っているのだ?

〈訳の分からない計画よね?でも、それに縋りたいのよ!!それが適えば、顔も知らないお父さんとお母さんの意識にふれあえる!〉

顔も知らない両親?彼女は孤児だと聞いた。それをレイシェフが引き取っているとも………

〈なんで死んだのかも分からない……顔も分からないなら、せめてどんな人だったかその意識にだけでも触れたいのよ!!〉

彼女の言葉は切実だった。物心ついた頃から孤児だった彼女が求めていた親のぬくもり……突飛なオカルトに縋ってまで求めている。

気持ちは分かる。だが………



ベディヴィエールが剣を納め、槍でユーウェインに斬りかかる。ユーウェインは距離を置き、レイシェフは覚悟を決める。

「普通に戦っては勝てない、か。」

相手の気迫が機体越しでも感じ取れる。先程から一進一退の攻防だが、このままでは押し切られるしこちらとしても負けられない。

レイシェフの左目が赤く輝き、不死鳥のような紋章が浮かび上がる。同時にレイシェフは機体のリミッターをオフにする。

ベディヴィエールが槍を振るうが、ユーウェインがそれより早く動いて剣を振るう。流石にライルは反応が早く、機体を後退させる。更にユーウェインが加速してベディヴィエールに肉薄し、殴り飛ばす。

〈な、何が!?〉

どうやら、ライルは気付いたようだ。この僅かな攻防で気付くとは、流石と言うべきだが現在の『ラウンズ』達でも気付くだろう。

〈ま、まさか………貴方は契約とやらを!?〉

「ええ、私のギアスは己の体感時間を早めます。余談ですが……ビスマルクもギアスを使います。といっても、私とビスマルクの二人がかりでギアスを使ってもマリアンヌ様には及ばなかったのですが。」

そう、正確に言えばレイシェフの体感時間が休息に早まったためにライルの動きが遅く見えるのだ。今のライルの動きはレイシェフから見れば並の騎士以下だ。もっとも、並の相手に使うことなど無かった。

[38461]
健 - 2019年03月03日 (日) 21時56分

リメイク前と違う形でレイシェフは不覚を取りました。有り体に言えば、クロヴィスのように読みが浅かったのではありません。

逆です。ルルーシュ並みに深読みした結果…深読みしすぎてしまいました。いってみれば、優れた指揮官であったが故のミスとお思いください。




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