[38411] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-36『日本解放作戦…中編1』 |
- 健 - 2019年01月14日 (月) 14時37分
「守り切れば勝ちだからって、手ぇぬいたら大将にぶった切られるぜ!気を引き締めてぶっ放せ!!」
〈イエス・マイ・ロード!〉
ヴェルドのヴィンセント・サラマンドラはアサルトライフルとガトリングで前衛部隊を援護していた。流石にモルドレッドとまでは行かないが、周囲のウォードやサザーランド、ガレスが共に砲撃をしているので敵の攪乱には向いている。
「やっぱりこういうドカンて撃てるのは爽快…っと、危ない!」
砲撃をくぐり抜けた暁が刀で斬りかかってきた。機動力では劣っているこの状態で正面から戦うのは不利だ。距離を置き、ハーケンを撃つが躱される。だが、今度は至近距離からミサイルを発射した。流石にこれは躱しきれずに爆散する。こんな無茶が出来るのは本気がシュロッター鋼の外装で武装しているからだ。
コローレは中央の前衛部隊に参加していた。前方でレイのヴィンセントが交戦しているのを見つけた。相手はE.U.のアレクサンダタイプだ。
助けに行きたいが、今はそちらを優先するべきではない。だが、それより先に新たな部隊が投入された。
シールドで砲撃を防ぎながらレイが後退し、コローレに合流する。
「隊長、ご無事ですか!?」
〈ええ、何とか。でもまた巻き返してきそうよ…指揮官機は一度下がっているけど………ガレス隊で砲撃して!火力ならこっちが上よ!〉
「その僅かな隙間を突いて崩すつもりですか……よし、隊長に続け!」
ガレスと海上艦隊が砲撃を行い、敵の増援を怯ませその隙を着いてレイとコローレのヴィンセントが突っ込む。レイのマグダラはランスで海上艦を突き破り、コローレのブレイドもシールドの裏から大型のルミナスソードを出してKMF隊を斬り刻む。
孤立した二機を狙おうとするが、後方から親衛隊と一般軍が援護射撃を行う。
「隊長、殿下が敵のエース級三機と交戦中!ここは我々が維持します!」
〈……任せるけど、それで口説いたことにしないでよ?〉
だ、駄目か……
「い、イエス・マイ・ロード…」
ヴァルスティードとセルフィーは後方からの支援砲撃に専念していた。初陣であることもあり、ライルと長野は艦と自分の身を守るように言い聞かせているのだ。
「これが…実戦か……!」
セルフィーは少し震えていた。アンダーグラウンドで銃撃はあったし、何度か死にかけた。だが、あちらは腕や足を撃たれても運が良ければ死なない。こちらは違う……直撃すればほぼ即死だ。何も残らない……実際に流れ弾が何度かとんできている。
〈怖いのは同じだ……俺達も同じだったんだ。〉
艦上で待機する『フォーリン・ナイツ』のグロースターからだ。あちらはミサイルとランスで武装し、艦にKMFが取り付く備えをとっている。
〈殿下ご自身も怖いと告白されたことがあったそうだ。〉
今度は親衛隊のウォードだ。
〈それ、良いのか?指揮官として……〉
ヴァルスティードの問いにゲイリーが割り込む。
〈普通はな……だが、殿下は敢えてご自分が訓練はし終えていると言った。しばらくは頼ることになると…………稚拙な言い方だが、気取らないのが殿下の良さなのだ。〉
気取らない、か。確かにそれらしい振る舞いはすることは見たことがある。しかし……普段からそういう様子はない。雰囲気はともかく、年齢がさほど変わらない男にしか見えない。
ヴァルスティードも何度か話したが、妙に馬が合った。自分を利用しても良いと笑ってもいた。
「まあ、ちゃんと義理立てすればエリア24に帰ることを許して貰えるだろうからな……真面目にやって死なないよう頑張るよ!」
〈本当にそうしてよ?私もいるんだから……〉
エレーナが心配そうにする。そうだ……艦にはエレーナがいる。兵隊という意味以外でも二人にとっては責任重大だ。
「尚のこと責任重大だ!」
〈そうそう、その意気です。〉
同じく後方待機のフェリクスが機体の肩に手を添え、セヴィーナがため息をつく。
〈我々に新米のお守りか?まあ…質だけならばコーネリア殿下の軍より上と目される我が軍ならば、か?〉
良二のヴィンセント・セイカイは機動力にものを言わせ、右翼の部隊を翻弄していた。だが、いくら斬っても敵は減らない。
「俺にだって、譲れないものがあるんだが…!」
ハーケンで艦上の鋼骸を撃破し、航空艦のブリッジにアサルトライフルを撃ち込む。
「エナジーはちょっと苦しくなってきた。飛ばしすぎたか?」
装甲を削って大幅に機動力を上げたが、やはり限界は生ずるものだ。
E.U.の陸上艦からの砲撃をブレイズルミナスで防ぎ、良二は通信をする。
「そろそろエナジーが苦しくなってくる頃だ。我が隊は後退!クレヴィング将軍達に通達!」
左翼でデビーは格闘戦で艦隊への直接攻撃を行っていた。後ろの艦隊やKMF隊の援護射撃を受けながら艦に取り付き、クローで装甲を斬り裂く。
そして離脱する戦法を繰り返していた。今度はアサルトライフルで艦隊の穴を埋めようとする部隊を牽制し、その間に他のサザーランドが艦とKMFを迎撃する。
「息切れをさせれば自ずと陣形が崩れる!攻め急ぐことはないぞ!」
中央でコローレの部隊が交戦している隙を着き、テレサとマルセルのヴィンセントも親衛隊を率いて迎撃する。『四大騎士団』のエース級だっただけあって二人は圧倒的で、次々とKMFを撃破していく。
ニードルブレイザーでテレサが航空艦のブリッジを潰し、マルセルはMVSを連結せずに二刀流で暁を一機斬り、もう一機のコクピットを串刺しにする。二機の活躍で空いた穴にKMF隊が突っ込むが、相手もその穴を埋めようと迎撃している。
「流石に気合いが入ってるわ!」
〈当たり前だ!だが、『ユーロ・ブリタニア』の俺達にしてみても残ったE.U.方面の指揮権くらいはもらわないと示しがつかない!!〉
クリスタルは左舷から回り込んでハリファクスのハドロンスピアーで航空戦力をなぎ払った。すぐさま変型してルミナスソードで海上艦を斬り裂き、更にハーケンでもう一隻のブリッジを潰す。
「もう、次から次へと…!」
息つく間もなく攻めてくるが、クリスタルとてそれは承知。メギドハーケンを暁に突き刺し、パワーで他の機体とぶつけて撃破した。更にもう一機のフロートを破壊してそのままハーケンで引っ張り、海上艦に叩きつけた。
「死ね、正義を名乗るクズ共!!」
幸也はコールブランドを抜いて次から次へとKMFを真っ二つにしていく。その勢いは前衛部隊でも抜きんでており、駐屯軍が怯えていた。
〈お、同じイレヴンがいるのに容赦がない……どういう人間を部下にされたのだ、ライル殿下は?〉
〈く、枢木卿も『ブラック・リベリオン』の時は凄まじかったというが……こちらのイレヴンも…〉
「無駄口を叩く暇があればあんた達もやれ!イレヴンごときに手柄とられたいか!?」
鬼気迫る発言に正気に戻った正規部隊が幸也の後に続く。今度は竜胆を見つけ、竜胆をコールブランドで真っ二つにする。続いて、暁直参仕様が輻射波動弾を撃ってきたがブレイズルミナスで防ぐ。一度コールブランドを納めて間合いを詰め、両腕のMVSで斬りつける。上部ハッチだけだ。
「正義の味方らしく、死んでくれよ!」
〈や、やめ、ぐげぇぇ!!〉
平手でコクピットブロックを人間ごと押しつぶし、無人になった機体を蹴り飛ばして海に叩き落とす。
「いないのか……ゼロはいないのか!!」
ノエルも一緒に出ていたが、呆れてため息をついた。隊列を乱さないだけマシだが、頭に血が上っている。あれではいつ隊列を乱すか分からない。
「前に出すぎて死んだら、セルフィーの顔も見納めよ?」
一瞬、幸也が赤くなった。
〈か、関係ないだろう…!〉
どうやら少しだけ冷静さを取り戻したようだ。襲ってきた暁をMVSで串刺しにし、もう一機を腰のハーケンでコクピットを潰した。
「復讐だって生き延びてこそなんだから……エナジーはどうなの?」
〈ま、まだやれる。〉
「そう……メーテル卿、援護に来られますか?」
親衛隊の隊員に確認を取ると、ガレスとグロースターの編隊が来た。
〈援護射撃だな?〉
「ええ、お願いします。」
幸也が既に海上艦にコールブランドを突き刺し、ノエルもそれに続いてKMFをコールブランドで真っ二つにして指のハーケンで暁を捕まえ、航空艦のブリッジにぶつける。
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