[38404] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-36『日本解放作戦…前編3』 |
- 健 - 2019年01月11日 (金) 23時50分
ライルはベディヴィエールのカリバーンを抜き、突進する。後方のフェリクス率いるKMF隊が周囲の敵を牽制してくれるからライルは正面に集中できる。
〈『洗脳皇子』が来た!〉
〈人々を解放するぞ!〉
もう、何も言わない。ライルはニードルハーケンで二機を捕らえてそのまま機体のパワーで周囲の暁と衝突させてニードルブレイザーを叩き込む。
叩き込まれた暁の爆発に激突した二機も巻き込まれ、正面にいる残った敵もカリバーンで斬り捨てる。そして、まだ周囲から来る敵にハドロン砲を発射してなぎ払った。
「パイロットの腕は相変わらず、か。」
機体はひいき目に見てもウォードやガレスと良い勝負だ。だが、兵士の熟練度という意味では以前と同じでまるで話にならない。
ライルは海上の竜胆に向かう。艦上のパンツァー・フンメルが迎撃するが、こちらの機体も練度が低いのかまるで相手の動きを追い切れていない。デタラメな射撃だ。
「難儀だな、ゼロ。実力もやる気も無い正規軍人とやる気はあっても実力が無い民兵……どちらが良いのやら。」
艦に取り付き、両脇のパンツァー・フンメルの一機をカリバーンで真っ二つにし、もう一機をクローで斬りながら海に叩き落とす。すぐに水圧で圧壊だろう……そして、艦に向けて両腕のニードルブレイザーを叩き込んで離脱する。
〈ライル・フェ・ブリタニア!〉
一機のKMFが槍を振るってきた。中華連邦の神虎に似ているタイプだ。
「その声…まさか!」
〈ああ、楊藺喂だ!〉
彼女か!中華連邦がゼロと手を組んだのならばそうなるとは分かっていた!しかし、新型のパイロットになっているとは!
「それは君のKMFか!?」
〈ああ、炎鳥と名付けた。〉
中国語で炎の鳥と書いて炎鳥、か。赤いボディに鳥を模した頭部の形状にぴったりの名前だ。
〈捕まってくれれば、以前のできたて胡麻団子のプレゼントが着くよ?〉
「中国の飲茶付きは嬉しいけど……今はそちらよりもこれを優先したいね!」
ライルは唇を上げ、ロンゴミニアトを抜いた。炎鳥も同じく槍を構える。二機は互いに槍を突き出し、つばぜり合う。距離を置いてまた槍を振るうが互いに決められない。
ベディヴィエールがハドロン砲を撃ち、炎鳥がそれを後ろの暁が撃ち落とされる。炎鳥もお返しにとハーケンを振るうがベディヴィエールはシールドでそれを受け流す。
浅海はアラドヴァルでウォードを串刺しにして、ハーケンでヘリを二機撃墜したところでライルのベディヴィエールが出てきたのを知る。
ライルが出てきた影響か、彼の指揮下の部隊は勢いが増してきている。今のところ楊藺喂が抑えているが……
〈美奈川!行って良いぞ!!〉
デルクだ。彼は先程から、ライルが選んだハーフの女性騎士と戦っている。今のところは互角だが……
「隊長!でも…!」
〈頭を叩くのは基本だ!他の奴をお前の方に回す!〉
「……はい!」
クラリスはライルの機体を見つけた。既に中華連邦の女が交戦中だ。
「悪いけど、あれとやりたいから周りの連中お願いできる?」
〈良いよ……正規軍の相手するよりその方がずっと楽だよ。〉
フィリップの軽い返し方にクラリスは微笑する。
「生きて帰ってきたら、一杯奢るわ。」
〈高めのワイン。〉
「あればね!」
ハドロン砲を連射して前のサザーランド隊を撃墜し、更に前に出ていたカールレオン級のフロートをフローレンベルクで破壊する。
長野は『フォーリン・ナイツ』を率いて中央の足止めをしていた。
「ディルの部隊は左翼の援護へ回れ!敵は…!」
頭部が龍を模した形状のKMFが現れ、剣を振り下ろす。
〈俺は趙雷鋒!あんたは『帝国の侍』長野五竜で良いのかな!?〉
「中華連邦にまで知れ渡るか!裏切り者として名が売れたものだな!」
剣を受け止め、刀で押し返す。すると、敵は剣を納めて槍を取り出す。すぐに槍からは強力なエネルギーが放出される。
後ろのガレスが援護に砲撃するが、敵の槍はそれを受け止めるだけでなくはじき返した。
〈俺のこの機体の名は羅龍!そして、これが天愕覇王無双戟!〉
雷鋒は長野五竜のヴィンセントを見て汗を垂らす。最初の一撃でとったつもりだったが相手は反応した。流石に潜った修羅場の数が違うようだ。
槍を振るうが、ヴィンセントが長い日本刀で受け止める。刀で受け流すが雷鋒も距離をとり、左手で剣を振るう。それに対して相手も背中から小太刀を抜いてまたに気はつばぜり合う。
もう一度槍にエネルギーを展開して突き出すが、今度は左腕のシールドで受け流してそのまま距離を詰められた。
「なんの!」
柄でなぎ払うが、シールドに防がれてダメージは無い。
「ったく…!星刻と良い勝負だな、この男!」
レイはあの『ハンニバルの亡霊』が運用したアレクサンダとやらのバリエーション機の変則的な動きに翻弄されていた。とにかく、人型と昆虫型を使い分け、動きが掴みにくい。パイロットも手練れだ。
ニードルバックラーのハーケンで空に上がった敵を狙うが、敵はそれをかいくぐって手首の剣を突き出す。だが、レイとて場数は踏んでいる。ニードルブレイザーで受け止めるだけでなくそのまま逸らして敵の横に回る。完全に無防備な側面だ。
シールドを手放してランスを突き出すが、ライフルを盾にされた。ならばと一度距離をとり、相手も左手首の剣と右手の剣で応戦する。
二機は互いに武器をぶつけ合い、激しく斬り結ぶ。だが、終局は早かった。
「くそ!武器の強度が違いすぎるか!」
タングステン鋼合金の剣はルミナスコーンランスのパワーであっさりと破壊されてしまい、今はウルナエッジで踏み止まっている。
〈隊長!〉
後方の艦からパンツァー・フンメルとサザーランドが砲撃をして援護する。ヴィンセントはシールドで防ぐが交代していく。
〈隊長、ご無事ですか!?〉
「ああ、助かった!」
危ないところだった………レイ・コウガ・スレイダー、あの『狂戦士』の騎士になるだけのことはある。正規軍の連中はライルの娼婦騎士などと馬鹿にしていたがお門違いも甚だしい。仮に男女の仲でもそれとこれは違う……手合わせしたわけでもないが、あの『グリンダ騎士団』の筆頭騎士や『帝国の先槍』に匹敵するかもしれない。
恐ろしい女だ。
「ライル!!」
浅海はアラドヴァルでベディヴィエールに斬りかかる。ベディヴィエールが槍で受け止め、押し返す。
〈浅海か!〉
「ええ、あの時のお礼よ!全力で勝負してあげる!」
そう!これが最大の返礼!日本を取り返すためにも彼を…!
〈面白そうね、私も混ぜてくれない!?〉
見覚えのある機体だ……ローランである。
「ピエルス大佐。」
〈ごめんね、彼とはちょっと縁があるのよ。〉
悪戯っぽく笑うクラリスの機体がベディヴィエールを睨む。
〈ねえ、美女三人とトリプルデートと行かない?〉
ライルは苦笑した。
「ダブルデートだってした事もない私がトリプル?いきなり難儀な注文を…」
〈そう、じゃあせめて捕まってくれない!?それで可愛がって欲しいわ!!〉
ローランが剣を振るい、ライルも槍でそれを受け流す。
「嬉しいお誘いだが、遠慮するよ!」
〈他の女に目移りするとは良い趣味だな!〉
炎鳥が剣を振るい、それを躱すが今度はアラドヴァルが来る。
「私とのデートをすっぽかさないで!」
〈それはこちらの台詞だ!〉
全く、何故こうも知りあいが私に群がってくる!?
頭を狙うのは戦争の基本だ。だが、心なしか彼女達は個人的感情でこちらに来ているような気もする。だが……只でやられる気はない。
「三対一では分が悪いが、人生初のトリプルデートをしてあげるよ!!」
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