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お気楽極楽なSS発表会

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[38362] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-34『因縁の地…前編3』
健 - 2018年11月30日 (金) 01時00分

後ろから聞こえたのは雛の声だった。見るからに不機嫌な様子である。

「雛、ナナリーの許可は取っているのか?」

「ない。」

案の定だ……とはいえ、雛がカレンに何を言いたいのかはライルも見当がついている。

「私がそこの女に何言いたいかはもう分かってるでしょ?レイは不愉快になるから、離れてたら?」

だが、レイは首を横に振る。

「貴女が暴走しないように見張るわ。」

「あっそ………さて、初めましてで良いのかしら?紅月カレン……特選名誉騎士団、通称『フォーリン・ナイツ』の川村雛。会いたかったわよ?」

「初対面だし……恨みを買うようなことをした覚えは………名誉ブリタニア人だから、ブリタニアに反抗したってこと?」



雛はやはり、と内心で怒りに震えた。ブリタニアに反抗して、それが恨みを買うようなことだという自覚はあるようだ。だが……

「そうね……あんたらのせいで私みたいな死にたくないって思う人間まで『死ぬのが大好きなイレヴン』なんて言われて、捨て駒扱いされたんだから。あんたらはどうせ、『日本人として死ね』ッてんでしょ?分かってんのよ……」

どいつもこいつも同じに決まっている。イレヴン共はみんなこうだ。死ぬのが立派だと決めつけて、そのくせそういう奴らに限って死なない。死にたくないと思う人間ほどどんどん死んでいく。

「あんたらのせいでシンジュクでも山ほど死んだわ。私もね、この坊ちゃんに雇われるまでに何十回も死にかけたのよ。」

「……どうやって生き延びたの?」

「同僚盾にしたに決まってるでしょ?」

それまで黙っていたカレンの顔が怒りに染まった。

「あんた……同じ名誉ブリタニア人を盾にしたの!?」

「何言ってるの?名誉を裏切り者扱いしてるあんたらには関係ないでしょ?」

「そうじゃない!仮にも同じ日本人を…」

「だから何?私はね……戦争でこんな顔になったのよ!」

怒りに震えながら雛は右の火傷を見せ、これまでと同じくカレンの顔が怯む。

「そ……そんな顔になって、なんで名誉ブリタニア人になるのよ!裏切り者!!」

「ほぅら、ボロが出た。何があっても、すぐに裏切り者だ、売国奴だ……それしか言えないんだから。」



カレンは怒りに我を忘れた。

「じゃあ、あんたはどうやって生きてきたのよ!?」

川村雛の顔が嘲笑に歪んだ。

「そりゃあ、文字通りなんでもやったわ。戦争で家族も親戚も死んだんだもの。あの後…痛くて、熱くて……誰も助けてくれないかった。だからね……私、自分で何とかしたの。医者を殺して薬を奪い、寒ければ他の奴を殺して、その死体や服を燃やして寒さを凌いだ……近寄る奴も殺して、火を独り占めした。子供の食べ物だから盗らないでって縋る親を子供諸共殺して手に入れた……あんたに分かる?分からないわよね……なんでも魂だ、誇りだって言って解決するなんて思い込むクソッタレには。」

カレンは、レイの時以上に言い返せなかった。彼女の話が嘘、ましてライルが洗脳したなどとはもう言わない。だが……

こ、子供を殺した?他の人を殺して、生き延びた?

私は…あの後、お兄ちゃんが僅かな生活費を稼いでくれて…何とか生きてきた。でも…

彼女はまさに、地獄を生き延びてきた。否、地獄を生き延びたからこそ日本のために…

「地獄を見たんだから日本のためって言いたそうね。あんたの地獄がどの程度かは知らないわ………知りたくもないしね。」

「な…なんで?」

「あんた、『ユーロ・ブリタニア』の貴族様の後継者に引き取られたっていうじゃない?」

貴族……カレンは父に対して愛情など抱いたことなどなかった。引き取られても恩恵を受けられるのは自分だけ。兄がいなくなった後の母は使用人扱いで、認知さえして貰えない。

「ちょっとしがらみ我慢すれば、お嬢様として何不自由ない生活環境………寒さで震えることも暑さで死にかけることもない。ブリタニア人の戸籍だから本国と各エリアを出入りできるし、旅行も出来る。学校に行ける……それ放り出して………反ブリタニア活動?」

数秒の沈黙後………

「ふざけるな!!私にとっちゃ、それがどれだけの宝の山だと思ってるんだ!!ゲットーでどれだけ悲惨な生活したか、知りもしないで……他の人達のために反ブリタニアだ!?この偽善の豚猿女!!」

「な……!!そ、それは!お兄ちゃんの意志を…」

「そのお兄ちゃんとやらが反ブリタニアやってくれって言ったか!?私は知らないけどね……恵まれた環境放り投げて独立の勇者様だ!?それだけで、あんたは充分殺してやりたいんだよ!!ふざけやがって!!お前は只の偽善者だ!このクソ女!!」

「ち、ちが…違う…!わ、私は…お母さんと、…」

「そのお母さんさえいない私達どうなるの!?いるだけでもあんた幸せなのよ!!独立のために死んで、それを立派だっていう親だったら私がぶっ殺すよ!!」

「や、やめて…!ちがう…私…日本を……!」

既に、カレンの心は打ちのめされていた。自分でも気付かないほどに涙が流れ続けていた。自分が信じた物が、根本から通じない………他の日本人のために、それが認められないどころかそれが嘘と断じられる……

「大体、あんたの母親がどうなってるか知らないけどね……昔の男に娘引き取ってもらうために頭下げる!!ゲットーの親がどれだけ子供のために骨折ってると思ってる!!ウチの隊長だってそうなのよ!!自分のとこの親だけ良くて、他所の親が駄目ってか!?ええ!?」

「雛、それくらいにしなさい。」

「やだ、聞けない。全然言い足りない……ねえ、このクソ女五番目様にあげましょ。」

「ナナリーと枢木卿の意向で丁重に扱われているんだ。そもそも私の権限外だ……」

ライルが雛を窘めるが、それも聞こえていない。すると……



「ほう、『黒の騎士団』のエース……話に聞いたとおり若いし、上玉だ。」

ルーカス・ズ・ブリタニアだ……レイはライルと雛の前に立つ。

「いらしていたのですね……」

「あら、久しぶりね……雑種騎士さん?」

フィリアの嘲笑を堪え、レイは質問をする。

「総督の許可は?」

「はあ?あんな役立たずの許可なんざいらないね……だが、おい。」

ルーカスはライルと雛に構わずにカレンを見る。カレンもルーカスに反応したのか、涙を拭って睨む。

「誰?」

「ブリタニアの第五皇子、ルーカス・ズ・ブリタニアだ……さて、女………この俺の物になれば、そこから出してやるぞ?」

カレンの豊かな身体を舐め回すように見下ろし、カレンも不快感を露わにする。

「遠慮するわ…どうせならさっさと処刑して。」

「ふん、いつまでそんな口がきけるか。まあ、楽しみにしていろ……ナナリーから俺様が引き取って面倒を見てやるよ。………ライル、お前の女共と一緒にな。」

「貴様なんぞにくれてやるか。戦争をしてでも守る。」

「は!?この俺様に勝てると思っているとはな…………ブリタニアの皇帝はこの俺が相応しいというのに、それがなんでどいつもこいつも分からないのやら?」

フィリアが腕を絡ませ、ルーカスの耳元で囁く。

「殿下、お気になさらなくても良いですよ。所詮は色目で騎士になった雌ですから。」

その言葉に、レイは怒りを覚えて剣に手をかける。

「そう仰るなら、お試しになります?以前、ライル様の騎士に紹介されたと思えば…他の騎士達を侮辱して断られた誰かさんよりはやれると思いますが?」

フィリアがその言葉に反応し、同じく剣を抜こうとするが……

「よせ、私闘は死罪になる!こんな時にやめろ……双方、剣を引け。」

レイとフィリアはどちらからともなく、剣を下げてルーカスは舌打ちをして去って行く。それを見送って、礼も舌打ちをして再びカレンの方へ行く。

「カレン、雛が言い過ぎてごめんなさい。でも……雛の言うことも理解してあげて。」

「え?」

「彼女だけじゃない……少なくとも、ライル様のところにいるナンバーズ出身の人達は自分の国に失望したり、魂や国より自分や家族を選んだ。」

「言うだけ無駄だからやめときなさいって……じゃあね、自称独立の女勇者様!次に会うことがあれば……絶対にゼロと一緒にぶっ殺してやる!!」

強化ガラスの壁を蹴って、雛は出て行った。



良二はスザクに会っていたが、何故か顔にはいくつか絆創膏が貼られていた。

「どうしたんだ、それ?」

「いや……ちょっとね。」

一体、何があったのか……良二は少し気になったが。

「それで……俺はライル殿下や将軍達が仰るようにゼロが中華連邦とE.U.をひとくくりにして攻めてくると思うんだが、お前はどう思う?」

「僕も同意見だよ……大宦官が討たれた後、ゼロはクーデターを起こした武官達と一緒に中華連邦の反対派の鎮圧にかかった。」

となれば……おそらく中華連邦の国力全ては、やはりゼロの手の中だと思って良いだろう。E.U.の残った国々も流石にここまで来ればゼロに頼ろうとするはず。

「………最大の危機だが、俺やお前にとってはチャンスでもある。」

「チャンス?」

「ああ……ここで、今度こそ化けて出られないようにゼロを潰す。お前がそこでもう一度ゼロを討ち取れば、ヴァルトシュタイン卿がお前を後継者として推薦してくれるかもしれない。俺達なら、ライル殿下の発言力も強くなる……名誉ブリタニア人制度の拡大や改善もできる。」

そう、どちらにしても正に好機であるのだ。だが、どことなくスザクの顔が浮かなかった。

「どうした?ユーフェミア様を殺したゼロだぞ…」

「あ、ああ……そうだね。ユーフェミア様を殺した、ゼロ…」

どうしたんだ……ゼロの話題が入った途端、覇気がなくなったような?



ヴァルターは机にうなだれた。先日の貢ぎ物が何人か、また殺された。もう……疲れた。いくら解放してもキリがなく、『ウリエル騎士団』時代の伝手で協力してくれた者達も苦しいと言っている。

ナンバーズごときにと言うマクスタインなど当てになるはずがない……かといって、他の『四大騎士団』所属だった貴族達とはそれほど付き合いがあったわけでもない。

いっそ、この戦争でルーカスだけでも死んで欲しい………そうなれば、少なくとも奴の玩具にされている女達を解放する事は出来るはずだ。

あの連中とて、どうせルーカスのお零れに預かろうという志の低い奴らだ。

「ああ…それまで、俺が生きていられるかどうか。」

先に自分が死ねば、今後ろのベッドで寝ている女二人……ドイツとオーストリアから連れてこられ、手付かずの状態でヴァルターにあてがわれたが、手付かずと知られれば間違いなくその先に待つのは地獄だ。

死ねるか、そんな無様な形で………死ぬにしても、せめて奴の毒牙が届かなくなってから死にたい物だ。

[38363]
Ryu - 2018年12月02日 (日) 13時39分

やはりと言うか雛とカレンの対峙は荒れた模様に。まあこの2人がどうあっても合いそうにない、と言うか雛がカレンを一方的に敵視するだろうなと相当前の感想で述べた訳ですが。

もうルーカスについてはどこまでもブレないなぁとしか言い様がありませんね。



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