[38253] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-33『再び叛乱と始まりの地へ…前編1』 |
- 健 - 2018年08月06日 (月) 22時00分
ライル軍もエリア11へ向かうことになった。既に『ナイトオブラウンズ』からビスマルクとルキアーノが向かい、『グリンダ騎士団』も遅れながら出撃することになっている。
ライル軍、エルシリア軍、シルヴィオ軍、ルーカス軍も出撃が決まっている。
「『ナイトオブラウンズ』が五人に皇族の軍が合計で五つ。この上なく豪華だな。一つ豪華とは言えないけど。」
ヴェルドの発言にライルは「言うな。」とだけ釘を刺す。
「流石に事態が事態だ……おそらく遠からずゼロは中華連邦とE.U.の一部をまとめて新しい国家を作るつもりだろう。」
「ええ、そのお考えは正しいですね。『セントガーデンズ』をよこしたのも、おそらく陛下がそれを見越して…」
ゲイリーの最後の言葉をライルは肯定できなかった。あの男が果たしてそんなことをするか?大体、そうだとしてもより守りを固めるためにエリア11かシュナイゼルの軍に編入した方が良いはず。ライルの勘が不吉なものを感じ取っており、あの男と会う度にとてもそれが拭えない。
だが、因果な土地だ。エリア11……いや、日本。世界最大のサクラダイト産出国にしてクレア・リ・ブリタニアの即位前の戦いでも関わり、サクラダイトの利権を元に戦争を行いブリタニアの領土となる。二人の皇族がそれに巻き込まれたと思えば一人は今やその地の総督………そして二人の皇族が命を落とし、ブリタニアに大打撃を与えた叛乱の地。そこで再び大きな戦いが起きようとしている。
本当に……君は、日本にいるのか?いるのなら、君はどう思う…………ルルーシュ。
サラとナナリーの言葉からライルは義弟が生きていると確信している。だが、どうしているかが分からない。ナナリーのように保護することだって可能のはず……それこそ機情が動けば適うはずなのに。それとも、例のV.V.の契約とやらにルルーシュが巻き込まれている?
皇帝が行方不明なのもそれに関わっているのか………いずれにしても、この戦いに区切りがついたら問い質さなければならないだろう。皇帝……否、あの男を。
ライルは既に父に対して強い不信感を抱いていた。肉親の情など既に期待していない。だが、これだけの情勢になっても尚姿も見せないなど………皇帝として、為政者としてあるまじき行為だ。
シルヴィオ兄様やエルシリア姉様も疑念は抱いているが、果たして味方になってくれるかどうか。
『俗事』については伏せたが、三人も皇帝の行方不明という点と度々玉座を空けることについては疑念を抱いていた。
何を企んでいるんだ、シャルル・ジ・ブリタニア。
ルーカスは貢ぎ物のルーマニアの女の胸を吸っていた。あのスペインとフランスの極上の女共には到底及ばないが、フィリアよりは大きく弾力もあって良い。二十歳ほどで瑞々しい身体だ……
「あ、ああ…」
甘い声でルーカスの頭を抱き、欲望を受け入れている。
皇帝が行方不明なのはルーカスも知っている。これは好機だ……このまま行方不明の状態が続き、シュナイゼルを始末すればブリタニアの貴族共はこちらに靡く。例えライルやマリーベル、シルヴィオとエルシリアが文句を言っても『ラウンズ』もこちらに着く。
そう、この俺様が全てを手に入れるのさ。地位も、女も、世界も、何もかも。全てはこの俺様のために存在する!
体勢を変えて貢ぎ物の女が跨がり、また泣く。
「やぁん…!」
右にいる庶民の女の唇を吸い、左側のもう一人のドイツ人の少女の形のよい胸を揉む。
「どうぞ、ルーカス様…」
そして、膝枕をさせたオーストリアの19ほどの女があのライルの秘書くらいに大きな胸をルーカスに捧げ、ルーカスはそれに吸い付く。この貢ぎ物共もなかなかに楽しめる。今では殆どの者がルーカスに従順になり、このルーマニアの女みたいに自分で動いてその胸を揺らしてくれる。
ライルやシルヴィオの女共もさぞ楽しめるだろう。今頃は二人も女共を抱いているが、この俺の方がこいつらを満足させられる。女共もそれがすぐに分かるのだ。
ルーマニアの女が力尽きると、今度は膝枕をしながら胸を吸われたオーストリアの女を指で招き、今度は胸に吸い付きながら攻める。
「んやぁぁ…!」
まだ少し怯えた様子もあるが、それも最初……たっぷりと俺の物だと刻み込んでやるよ。まあ、飽きればどこぞの貴族か部下にくれてやる。
エリア24とフランスのあの極上の女、そして中華連邦で捕縛されたあの『黒の騎士団』のエースもこの俺がたっぷりと可愛がってやるよ。エリア11にはロイドとの婚約を蹴ったアッシュフォードの娘もいる。今ではニュースキャスターらしいがあれも相当の上玉だ。この俺の物になればアッシュフォード家も大喜び、正に双方にとって良い結果だ。
都合の良いことだけを考え、ルーカスはオーストリアの女の反対の胸に吸い付いた。残りの女達は恐怖と快楽が混じったうつろな表情でその野獣を見ていた。
シルヴィオは十勇士の一人を投げ飛ばした。柔道の訓練だ。
「シルヴィオ様、ここで休憩にしましょう。」
ミルカが蜂蜜とレモンのドリンクを用意し、木宮を始めとした部下達もそれを飲む。
「気合い入るわね。」
「当たり前だ……ゼロが中華連邦を掌握して満足すると思うか?」
「思わないわ。」
木宮があっさりと答え、普段飄々としているイレネーも表情が重い。
「ブリタニアに恨みがある国は多いですから……E.U.の連中だって流石に…」
「そうだな……」
既にE.U.は崩壊寸前……ゼロが中華連邦を掌握して残ったE.U.加盟国にもコンタクトを取るのは確実。日本を取り返すために。
「ユウキ、お前はどう思う?」
「ゼロが日本を取り返そうとあたしは知らないわ………あたしは貴方の部下として剣を振るう。それだけよ。」
シンプルだが、頼もしい限りだ。シルヴィオは微笑し、ドリンクを飲む。
エルシリアはセラフィナの様子が気になっていた。ハワイでの休暇から何かおかしい……まるで、自分の目を気にしているような。
「セラ、貴方…畑方秀作と何かあった?」
妹の顔が僅かに反応したのを見逃さなかった。
「図星、ね。」
「……少しデートをしただけです。」
「デートならもう何度もしているじゃないの?」
セラフィナは顔を背ける。エルシリアとてセラフィナがあの男をどう想っているかは察しがついている。そして、この反応からして………
「色々と問い詰めたいところだけど、そうは言っていられないわ。」
エルシリアは背中を向けて執務室に戻り、水を飲んだ。出迎えのクレアは察したように問う。
「セラ、彼と行くところまで行ったの?」
「………そうみたい。」
どうすれば良いのだろう?姉としては妹が想い人と結ばれたのは嬉しい限りだ。だが、皇族としては二人に別れてもらいたい。殺すのが最も簡単だが、ライルに知られれば戦争、とまでは行かなくとも真っ先に疑われるしセラフィナがライルに寝返って醜い争いに拍車がかかる。
「あの男を養子にしてくれる物好きがいるかどうか……」
現状、後見人を務めているゲイリー・B・クレヴィングが最有力だが果たしてそこまでしてくれるか。
「私は駄目な女だな…」
「全くね。」
「…………嘘でもそんなことはないって言うのが優しさでしょう?」
「事実じゃない?姉と皇族の自分に板挟みになって結局手をこまねく。駄目じゃなければ何?まあ、私も人のことは言えないけどね。」
セラフィナはエルシリアが背中を向けるのをみて悟った。ばれている。セラフィナが秀作と一線を越えているのを……
姉のことだから秀作に刺客を差し向けるなどということをしないのは分かっている。だが、問題は母や周りの貴族達だ。
イレヴンと皇族が肉体関係を持つなど御法度だ。ライルと飯田有紗も例外ではない。
「どうしよう……秀作や兄さんに相談…」
したところでどうする?ライルはそれほど文句は言わないだろう。秀作がなんて言うのか………別れる?それは嫌だ。魔物共の敵意を煽る口実として…でも良いから関係を続けて欲しい。それがセラフィナの本音だ。
分からない……どうすれば………?
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