[38251] コードギアス 戦場のライル SIDE OF WARFARE『結ばれた後の侍女』 |
- 健 - 2018年08月05日 (日) 00時51分
本国へ戻った後……有紗は兵士達に振る舞う新しい料理のレシピを考えていた。ライルの方針故にこの軍の兵士達はナンバーズの料理だからあれこれ文句を言うことはない。
どんな料理が良いだろう?遠征軍故に凝った料理はやたらと作れない。かといって、軍人は他の肉体労働と同様に身体が資本だ。栄養のバランスも取らないと。
「あ、せっかくスペインの人が来たんだから……」
有紗はネットですぐにレシピを検索し、アレンジ方法を考える事にする。
同僚のブリタニア人女性と共にすぐに買い出しに出て試作品を作ることにした。
「貴女、本当に料理とか家事全般に関しては凄い才能ね。」
当初はあれこれ言っていた彼女だが、今は普通の会話をする程度には打ち解けている。スザクのような特異ケースではあるが、まだ危険だと言うことでライルは彼女のようなブリタニア人の侍女またはクリスタルのような軍人と外出するように釘を刺している。
「それしか出来ないから……」
そう、何時死ぬか分からないからこそ彼らには良い物を食べて欲しい。ライルもそう言っていた……自分にできるのは本当にそれしか無い………
買い出しを済ませて戻った有紗は休憩していた。休憩の時はレイや他の同僚達と他愛もない話をしているのだが今回は……
「ねえ、有紗…貴女ハワイで殿下と何かあった?」
クリスタルの質問に有紗は固まった……
「分かり易い反応…」
涼子が半ば呆れ、優衣が詰め寄る。レイやエレーナも何かを気にしている。
「具体的に言って。何があったの?」
「え?ええと……な、何も…」
「嘘ね、顔に書いてある。素直に言いなさい、吐いてしまいなさい。」
優衣がぐいぐいと詰め寄り、クリスタルも詰め寄る。
「怒らないから、お姉さん達に話して?」
「ねえ…まさか、貴女ライル様と?」
レイがおそるおそる問い、エレーナも食いつく。
「やっぱりそうなの?」
そう言われて有紗は自分の顔が更に熱くなるのが分かった。
「図星ね!悔しーーー!!先を越されたーーーーー!!!」
優衣が吠えて、レイとエレーナは真っ赤になる。クリスタルも不機嫌そうだ……
「あの人のためにずっと身持ち堅かったのに……!」
「ねえ、ライル様って経験者だったの!?」
優衣が顔を至近距離で近づけて問い詰める。余りの迫力に有紗は「い、いえ。」と答えてしまった。
「ますます悔しい!!お互い初めてで、なんて美味しい展開を盗られた!!」
これ以上ここにいるのは恥ずかしい……逃げようとしたが、クリスタルが捕まえた。
「ねえ、どうだった?お互いの最初で……殿下に抱かれて…」
「ノ、ノーコメント!!恥ずかしいからそんなの聞かないで!!」
「ええい、見苦しいわ!!こうなったら、ライル様にたっぷりと可愛がってもらったその肌ちょっと触らせて!!」
「いえ、優衣!これは別のチャンスよ!!経験積みの殿下に私達がエスコートしてもらうの!!」
「わ、私も……それは良いかも。」
クリスタルの提案にレイが乗った。何故?彼女もライルに好意を寄せいているのは知っているが、そんなことを言うような性格だったか?
「エレーナ…貴女はどうなの?」
「え、ええと………E.U.の男みたいに下品な目で見てこないし………わ、私は、その……ライル様が、その…経験積みでなくても。」
新参者のエレーナのコメントに優衣が唸る。
「ううん……よし!こうなったら未経験者の私達でライル様にエスコートしてもらいましょう!!こんなナイスバディの美女四人を一度にもらえるんだからライル様だってOKよ!」
そういう不純な動機でライルが女性と関係を持つとは想えない。だが、それ以上に……
「駄目!ライル様は私がいるんだから!」
優衣に組み付いて止めようとしたが、レイとクリスタルが引きはがす。
「ライル様は皇族なのよ!皇位継承ができなくても世継ぎは必要なのよ!騎士の私だって世継ぎ産む権利あるわよ!」
「私だってそうよ!!ウィスティリアの次期後継者産まなきゃいけないし、それにその後継者が好きな人の子なら最高じゃない!!」
「大体あの最悪皇子様と違ってライル様なら私達全員丁寧に扱ってくれるわよ!!」
「一番は貴女にあげるから、私達にもライル様との権利ちょうだい!!」
優衣とエレーナが更に有紗を抑えにかかった。話が聞こえている周囲は既に呆れて物も言えないが、収拾がつかなくなっている。外野にいた涼子はいつものように自分まで付き合わされるのを恐れていち早く逃げていた。
「有紗にあれだけ時間かかったんだから……あの四人とかもらうのにどれだけ時間かかるのかしら?」
雛が雑誌をめくりながらライルを取り合う女子のレベルの低い争いを冷めた目で見ていた。
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