[38243] コードギアス 戦場のライル SIDE OF WARFARE『復讐者と皇女の翌日』 |
- 健 - 2018年07月18日 (水) 18時29分
秀作は目を覚ました……ふと、顔に柔らかい感触がした。それがセラフィナの胸だと認識すると、秀作は昨晩のことを思い出す。
そうだったな……昨日の夜、俺は。
昨晩、秀作はセラフィナと結ばれた。男性経験がなかったセラフィナは緊張していたが、秀作も珍しく緊張していた。ブリタニアの男達がイレヴンの女を犯すところは散々見て、知識として持っていたのに……
あの頃、見下して嗤うだけだったからか?ふん、最初に魔物を殺した頃は逃げるのに必死で、後は食い物とか奪うのに殺して腕を上げたと思えば、この方面ではぎこちないとはな。
結ばれた二人は互いに求め合い、秀作はセラフィナの白い肌を、大きく形もよい胸に吸い付き荒々しくも丹念に愛した。愛される度にセラフィナは甘い声を出して秀作にしがみついた。上に跨がって身体を踊らせて泣いた。最後……秀作も疲れ切ったところで、恍惚の表情のセラフィナが力の入らない腕で秀作の顔を大きく上下する胸に抱き寄せた。
心地よさと女性特有の甘い香りというやつに疲労感も手伝ったのか、すぐに睡魔に襲われた。
『可愛い寝顔……秀作、好きよ。』
意識を失う寸前にそう言っていたのが聞こえた。ゆっくりと離れて、寝顔を見ると昨晩の涙も交えた妖艶な表情とはかけ離れた安らかな寝顔だ。
「……人のこと言えるか。」
セラフィナの頬を軽く撫でて秀作は立ち上がり、シャワーを浴びて服を着る。
「しゅう…さく?」
だるさの残る身体を起こしてセラフィナは秀作の姿を探した。昨晩……自分の身体を愛する秀作の童顔がとても凜々しく見えた。それと同時に昨晩の激しさを思い出して、少し顔が熱くなった。
「お目覚めか、姫様。」
既に着替えていた秀作は髪を整えていた。
「朝食はルームサービスを頼んだ。で、姉姫様にはどう言い訳するんだ?」
そうだ…イレヴンと皇族が関係を持つなど御法度。万が一、姉やライルはともかくあのカリーヌやギネヴィアもしくは他の貴族に知られたら………
「ご、ごまかし方は一緒に考えて。」
「全く……お互いに考え無しか?とにかく、シャワーでも浴びておけ。」
シャワーを浴びながら、セラフィナは自分の胸元を見た。昨晩、秀作に胸から腰、背中と少々荒っぽく抱かれ、愛された痕がまだある。
「どうしよう、服……」
朝食を一緒に済ませた秀作とセラフィナは別行動を取ることにした。流石にばれればどうなるか分からない。今は二人だけの秘密にしておいた方が良い。
「じゃあ…後で。」
「ああ……」
秀作は部屋に戻って横になった。今日は護衛任務から外されており、暇であった。
何故だ……魔物共を殺す方法などを考えたり、殺しの訓練をして魔物の老いぼれ共で試して……入隊して魔物共を殺して充実していたはずなのに、何故今は他の事を考える?
ゲイリーの屋敷で住むようになってからは軍での公務以外で戦争の話題や訓練に関わるのを制限され、乗馬や読書、他のスポーツを勧められた。読書も軍事教本や各国の軍師の戦術論・武術関連ではない、童話や文学小説、漫画などを中心に読むように釘を刺された。
セラフィナとも彼女のお忍びの休暇で付き添い、音楽や映画の鑑賞を行い食事もした。昨日も一緒にボートに乗ったりした。そう……楽しかった。あの後の交流でもセラフィナと飲み食いして、ヴェルドとコローレ…突然変異種の同僚と話しているのがとても心地良かった。
「魔物共に囲まれていた頃とまるで違う……何故あんな訳のわからないことをして楽しいと思うんだ、今?」
わからない……俺はどうなってしまったんだ?そもそも、ライルやセラと会ってから何かおかしい。
セラフィナは肌の露出を控えめにした服を身につけながら昨晩のことを思い出した。
自分の容姿にはそれなりの自負は持っているつもりだ。少なくともユーフェミアとマリーベルの次くらいには良い程度と……体つきも姉に似たのか胸も大きく育ち、腰や尻も良い具合だ。戦場が不似合いな美貌で貴族の子息達に言い寄られることが何度もあり、経験がありそうな男もいた。
しかし、セラフィナは彼らには肌を許さなかった。まるで自分が皇族に釣り合って当然と言わんばかりの口ぶりと態度………それなりの戦果を挙げたことがありこれ見よがしに自慢する騎士……
セラフィナは初恋でもあったライルが男性の基準になっていた。昔から女性に優しく、公正な勝負を好んでいたライル……負けも素直に負けて自分を磨いた。ルルーシュやシュナイゼルにチェスで負けたら離宮の人と対戦して腕を磨いたという。
彼らとて努力は重ねているだろう。だが…成果がついて当たり前の様に聞こえた。そんな中で会った秀作は今までの男とも、ライルともかけ離れていた。
自慢できる姉が自分にいるように秀作も胸を張れる祖父がいた。だが、その祖父の高名さ故に秀作は日本人の道具、ひいては人形であった。愛情を注いでくれる両親からもモノとして扱われ、幼い身で日本独立という難題をこなして当たり前と決めつけられ、拒めば殺される………そんな人生で同胞を人ではなく魔物と蔑み滅亡を求めるようになった秀作。
自分が生まれていないと定義づけるあの孤独な顔が焼き付いた。周りにいたのが彼の求めるものを何一つ与えずにむしろ彼が与えると決めつける…悪意しか知らない子供……そんな彼があまりにも可愛そうだった。
そう思っていた。だから、自分が弟妹と重ねてきた触れ合いを教え…少しずつ心がほぐれていった。それが理解できずにいた彼を…気がつけば愛していた。
『……お前のその裸、そういうのを綺麗だというのだろう?』
互いに脱ぎ捨てて秀作が押し倒した時に言った言葉……
『秀作…その、綺麗な身体を……あげます。』
『……魔物共が縋る悪魔らしく乱暴にいかせて貰うぞ。』
言葉通り、乱暴に胸を揉み、吸い付き…肌を吸い唇を吸った。初めて繋がった痛みに泣くセラフィナにも…
『悪いが、手荒にさせて貰うぞ。』
乱暴に求められるが、気持ちよかった。一息ついたら秀作とキスをして、今度は自分が東洋人特有の肌に吸い付いた。若干見られた反応が少し可愛かった……
そして、今度はセラフィナが跨がって求めた。互いに何度も愛し合って…眠りについた秀作の額にキスをしてセラフィナはその顔を自分の胸に埋めた。
とても可愛く、心地良くそのままセラフィナも眠った。
「姉さん……認めてくれるかしら?」
否、認めて欲しい。彼を愛している……彼自身も優れた騎士だ。人格面に問題はあるがそれは彼の周囲の環境のせいだ。今は少しずつ、普通の人間らしい感情を持ちつつあるし特例だが皇族の直属隊だ。枢木スザクに続いて正式な騎士候になれる人材だ。
後見人だって代々続く軍人家系の貴族……問題などない。下腹部に手を当て、昨晩の事を思い出す。
「もし…そうなっても絶対に産むからね。」
セラフィナはもはや畑方秀作以外の男が目に入らなくなっていた。世間で言う、『恋は盲目』というやつかは彼女にもわからないだろう。
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