[38201] コードギアス 戦場のライル B2 BERSERK-30『常夏での休息…後編2』 |
- 健 - 2018年06月18日 (月) 18時23分
アーネストは美恵を抱いた。しかも……酒が入っているのか美恵は先日の、両親を殺した時より積極的だ。既に何度も限界を迎えたのに、もっとと求め………今もアーネストに跨がって、男が欲情するような身体を揺らしている。
「そこまで、私が良いのか?」
「は、はい…!アーネスト、様の…物です!」
今度は唇に吸い付き、更にアーネストを求める。アーネストは一度美恵を離し、今度は美恵に覆い被さる。
何故、彼女にここまで自分も拘るのだろう?彼女以外にも何人か女を抱いた。その女達にも自分が死んだ時の備えをしてあるが、美恵の方が明らかに優遇されている。だが……彼女にここまで入れ込む理由は何だ?大貴族軍時代の部下だった女は家同士の交流同然だ…だが、美恵は?『ユーロ・ブリタニア』の貴族としての矜恃?
確かに良い女だと思う…外見的にも、人間的にも危うさを持った女だ。そこが良いとアーネストは思っている。
「アーネスト様?」
美恵が両足を絡ませ、せがむ。
「いや、考え事だ。」
アーネストは美恵の要望に応え、また育ったような大きな胸を揉み、美恵が甘い声を出した。
ヴェルドとコローレは自軍のメンバーを呼んでバーで飲んでいた。しかも……軍人だというのに法律を無視させて、何人かに酒を飲ませている。女子もいるが、酔わせて……等と疑う者もいる。真面目そうなマルセルがいるのは見張りも兼ねているのかもしれない。
「いやあ、今日は眼福だったね。シルヴィオ様やエルシリア様のところにもいるお姉ちゃん達の水着を見られなかったのがちょいと惜しいが。」
コローレも力を込めて頷き、ビールを飲む。
「エルシリア様とセラフィナ様もだが、『ユーロ・ブリタニア』にいた羽田って子は凄いね。とても17とは思えない見事なバストだった。」
「お前ら……あれだけウチの女子を見ておいてまだ足りないのか?」
良二がホーネット兄弟を蔑視し、幸也は有紗達の水着を思い出したのか、慌ててノンアルコールビールを飲み干した。
「かあぁ!良二、分かってないだろう!美人の水着ってのはどれだけ見ても良い物なの!お前、彼女いないのか?」
「悪いがいない。今は枢木スザクと殿下で頭がいっぱいだ。」
「友情と忠義かよ!それも良いが、花がねえな!」
「年がら年中騒げる性格のお前らが羨ましいよ。」
ヴァルスティードもビールを片手にため息をつく。そこでデビーが肩を軽く叩く。
「それで良いんだよ。私達は常に命を張っている。君らと同じように……だから騒げる時に騒いで、泣ける時に泣いて、笑える時に笑う。」
ヴァルスティードは何かハッとした。そうか……彼らはそれを理解しているんだ。軍人だから何時死ぬか分からない。外人部隊やイレヴンだけに任せっきりで只の社交のステータス程度としか認識できないE.U.の正規軍と違う。そういう意味では各エリアのレジスタンスを名乗る者達も同じだ。
自分の出世や爵位の獲得、或いは国のために本気で戦っている。名誉ブリタニア人達も家族や自分のために侵略者の靴を舐める選択をした。
「そうか……少なくとも『ユーロ・ブリタニア』や本国がE.U.より優れている点を一つ見つけた。」
「何だ?」
「本気で命張ってる向こうより遙かに多い。」
それを聞き、親衛隊の一人がため息をついた。
「今更何を言う。」
だが、ヴェルドが拳骨をお見舞いした。
「バカだな。せっかく恭順してくれてる貴重な意見に水差すな。」
「恭順してない。自分や身内の安全や立場のためにお前らのボスを利用してるだけ。」
「それ……殿下も多分気付いてますよ。そういうタイプがお好きですから。」
コローレの返答にヴァルスティードは「バカか?」と問う。それに今度はデビーが答える。
「ある意味バカだよ…あの人は。ま、チャームポイントの一つでもあるが。ほら、飲むよ。」
「……幸也はセルフィーのところに行ったら?チャンスかもよ?」
ヴェルドが茶化すと、幸也は追加のビールをふいてむせ混んだ。
「な、何言ってるんだ!?」
「さっきデビーが言ったろう?死ぬかもしれないんだから。」
「……っ、し…死んで墓まで持って行くのも良いだろう!?」
良二がため息をついて「かっこつけすぎ。」と毒づいた。
マルセルが微笑し、「まあまあ。」と窘める。
「哀沢、お前も少しくらい酒を飲め。今の年齢で飲んでも罰は当たらないし、殿下も怒らないよ。」
「じゃ、じゃあ……何かジュースで割ったカクテル。」
「私もそれお願いできる?」
「私はビール。」
二人の少女の発言に周囲が止まった。
「えぇと……どっちが、どっち?」
ヴェルドの問いに、二人の少女がムッとなる。
「テレサよ!私が幸也と同じカクテル!で、お姉ちゃんのルビーがビール!!」
「……普通逆だろ?」
というデビーの問いに「ビールを既に何倍も飲んでるくせに!」とルビーが怒って返すと…周囲が笑った。
この様子をライルが見たら、きっと喜んだだろう。思想的に食い違いや対立のある本国と『ユーロ・ブリタニア』、本来なら敵対するナンバーズ出身者が笑いあっている。
『ユフィが見たら、どんな顔をしたんだろう?』
そう言いそうだとヴェルドは思った。
セルフィーはライルの元へ行った姉を気にかけていた。クリスタルや優衣も一緒で、何か吹き込まれていそうな気がしてならない。
「あの人が悪意のあるタイプじゃないのは分かるわよ。」
まだ一ヶ月にも満たない付き合いだが、今日の交流だけでも分かる事がある。少なくともあの第五皇子や横暴な貴族みたいなタイプではない。それは自分達への計らいだけ見ても分かる。体裁を取り繕うにしても度が過ぎる。
今日だってそうだ。姉も含め、女子の大胆な水着を用いたアプローチに動揺していた。付き合いが長いフェリクスやホーネット兄弟に言わせると、良くも悪くも人の良いお坊ちゃんで、自分への憎悪も受け止めようとする。
「しかも……母親だって容赦しない。まあ、あっちは自業自得か?」
あのカジノの事件の首謀者には彼の母もいたという。だが、まだ軍人として経験が浅いセルフィーでも分かることがある。動機もあまりにくだらないものであった。まして他の皇族の排除まで狙ったのだ。情勢とやらも鑑みずに。
「本人の顔も知らないけど……あの人自身は相当な善人ね。やっぱり。」
少なくとも……彼はまだ信用できるかもしれない。それがセルフィーの本音だ。姉があれだけ惚れ込み、兄も気安く話しかけるほどだ。
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