[38192] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-30『常夏での休息…後編1』 |
- 健 - 2018年06月10日 (日) 01時38分
交流会もお開きとなり、ライル達はそれぞれの宿泊先に戻っていった。
ウェルナーは流石に疲れたらしく、雛が支えていた。
「全く、はしゃぎすぎよ。」
「え、ええ……でも、楽しかったので。」
本当に素直だ……素直すぎる。
「あんたのそういう素直なところは好きよ。でも、素直すぎると泣きを見るからね。」
「あ、ありがとうございます。………その、明日ですけどハワイの自然を一緒に見たいんですが、良いでしょうか?火山とか公園を……」
完全にデートのお誘いだ。果たしてこのお坊ちゃんは分かっているのだろうか?
「ま、デートの真似程度には良いかな?良いわよ。ただし、少しでもしんどかったら言うこと。これ条件よ?」
「はい、約束します。」
幼い子供のような笑顔に雛は胸が高鳴った。
な、何?いや、ないでしょ……相手はかなり下の継承権とはいえ皇族。自分は只のイレヴン……
百歩譲ってそうであっても、この子は只世間知らずなだけ。もっと良い女を見つけて結婚するに決まってるし、許嫁候補だって出てくる。
なのに……なんでこんなにむしゃくしゃするの?
エルシリアとセラフィナはそれぞれ個室になっていた。万が一のことがあってもどちらか一人生き残れるようにするためだ。
グラビーナはエルシリアと酒を飲んでいた。またとないチャンスである。
「あ、あの…姫様………」
「どうした?」
言えない……ずっと、秘めていた気持ちを………せっかくのチャンスなのに……
「の、飲み過ぎないようにしましょう。休暇とはいえ、示しがつきませんし。」
「当たり前だ……」
そう答え、エルシリアは酒をもう一口飲む。
なんで私はこういういいチャンスで言えないんだ!?
セラフィナは秀作を部屋に招待した。エルシリアは勿論、クレアだって知らない。
「あ、あの……秀作…私のこと、どう思う?」
「それはどういう意味でだ?」
素っ気なく答えて紅茶を飲む秀作にセラフィナは手を握る。それより早く………
「俺が魔物の一味ならお前を襲って、魔物の雌共みたいな目に遭わせていた。その程度に良い女だとは思う。」
その言葉が……嬉しかった。
「……後、何故か分からない。俺は……お前を…………他の男に渡したくない……等と理解できない感情がある。」
他の男に…渡したくない?それは………つまり…………
「くだらない……俺は部屋に戻るぞ。」
「待って。」
背を向けた秀作にセラフィナは抱きついた。
「……何の真似だ?」
本当に、何をしているのだ?彼はナンバーズで自分は皇族……ばれれば彼は間違いなく、殺される。それでも………もう、抑えられない。
ごめんなさい、姉さん。私…やっぱり、この人が………
「秀作…私…貴方なら………貴方だけの物になら…なっても、良いから。」
「………それは、お前とよく見た恋愛ものとやらの『愛している』というやつか?」
「うん………」
数秒後、秀作が振り返った。
「……俺はお前への自分の感情が理解できない。映画や俺が見た魔物の雌共への蹂躙の真似でよければ。」
「それでいいから……」
セラフィナは目を閉じて、顔を上げる。少しして…秀作から唇が重ねられた。
秀作は自分のしていることが理解できなかった。何故、こんな事を……これが愛情表現とやらの一つなのはセラフィナやライルから学んだ。だが…この俺がこんな真似を?
離れようとしたら、セラフィナが首に腕を回して放そうとしない。こういう時……以前見た恋愛映画なら…そして、チラリとライルが有紗としていたような場面では……
背中に腕を回して、強く抱きしめた。
これで…よいのだろうか?
本当に離れ、セラフィナがうっとりとした表情で見つめる。
「ねえ……本当に、良いから。」
シルヴィオは酒を飲みながら木宮とチェスをしていた。既にキングを追い込まれており、シルヴィオは絶体絶命。
「ねえ、貴方ミルカと結婚しないの?」
「………こんな時につまらない話を持ち出すな。」
陣形を崩すが、木宮はすぐにフォローに回る。
「つれないわね。長続きしない貴方が三年以上も付き合っているのは彼女だけじゃない………あたしの知る限りじゃ最長記録よ?」
最長記録……確かに、彼女が15の誕生日を迎えてしばらくした後…………離宮の家臣達に新しい女を薦められてあの頃はうんざりしていた。そんな時……何故かふとミルカが浮かんだ。
『ミルカ……今夜、私の部屋に来てくれ。』
『え?シ、シルヴィオ様…それって………』
『駄目ならいい。』
『いえ!で、では…後で…』
彼女は薄いネグリジェでシルヴィオの部屋を訪れ、目の前で全てを脱ぎ捨てて15という年齢にしては良い発育の身体を見せた。
『あの…私、シルヴィオ様が……さい、しょで………』
『分かった……善処する。』
経験がない彼女を優しく抱き、それ以来何度か彼女を招いている。妊娠する様子はないが、関係が知られるのにそれほど時間はかからないが挙式はしようとしなかった。
「ねえ…貴方、ミルカのことも只の遊び?」
「……俺をルーカスと一緒にするな。」
「だったら、はっきりしてあげなさいよ。早くしないと、しびれ切らした家の人が他の男にミルカあげちゃうわよ。チェックメイト。」
「………相変わらず良い腕だ。」
「褒めても何も出ないわよ……負けたんだからあたしの命令。ミルカのこと、いい加減にはっきりなさい。」
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