[38181] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-30『常夏での休息…中編2』 |
- 健 - 2018年05月23日 (水) 18時09分
テレサは姉と会っていた。ルビーがエルシリアとセラフィナの護衛であり、テレサも休暇を利用して会いに来ていた。しかも、宿泊費やその先は父が手配してくれた。養子に出したことが相当後ろめたかったのか、些か父はテレサに甘い。
テレサ本人もそれは困惑していたが、この宿泊でも休暇はまだあるので、孤児院の子供達にお土産でも買って帰る予定だ。
「でも、流石お姉ちゃん。良い水着ね……」
「あら、テレサだってそうじゃない?ライル殿下に見せるため?」
「……なんでそうなるの?」
「なんとなく、かしら?」
エルシリアはダークレッドの三角ビキニでパラソルの下にいた。だが、道行く男の視線が注がれ、恋人らしき女性に睨まれている。クレアは当然だと思う。何しろあれだけの美人でスタイルも抜群……サングラスなのでその下も気になる心理も働いているのかもしれない。
「流石ね……相手が皇女様とも知らずに。」
クレアにも視線は集まっている。そして、もう一人……
「ドリンクをお持ちしました…」
グラビーナが顔を真っ赤にして緊張し、エルシリアをチラチラと見ている。
「どうした、アル?」
当の本人はまるで理解しておらず、何食わぬ顔でドリンクを受け取る。
「い、いえ……その水着………とてもお似合いです。」
「そうか…」
クレアは心底呆れた。あの分かり易い態度でも気付かないとは………全く、秀作に見せるための水着を吟味したセラフィナの方がずっと女らしい。
こんな事言ったら殴られるけど……
クレアは腰に巻いたパレオを取り、海へ向かう。
「じゃ、ごゆっくり。」
有紗とレイはビーチに戻り、ノエルと落ち合ってそのままライルに合流しようとした。
「君達…可愛いね。」
いきなり声をかけられた。しかも、見るからに軽薄そうな男だ。
「イレヴンの血が入っているのかな?東洋の女ってのは初めて直に見るけど良いね。」
馴れ馴れしい上にその視線は有紗の胸やレイの腰に行っている。一目瞭然だ。
「連れがいるの…ご遠慮させていただくわ。」
レイが丁重に断るが、男達は諦めない。
「連れって言ったって大した男じゃないだろ?こう見えても、俺貴族だよ?」
「……貴族だから靡くと思わないでいただける?女を甘く見ないで。」
ノエルの言葉でプライドを刺激されたのか、男達はボロが出た。
「この!たかがイレヴンと庶民の分際で!貴族の俺に従え!!」
有紗の腕を掴み、引き寄せる。
「上玉だな。どうせ貴族の男と寝てるんだろう?だったらお前らもその身体をよこせ。」
「い、いや!放して!」
有紗は抵抗するが、性別の差で適わず、レイも二人がかりで、ノエルも同様だ。
「実は他の女共も見てたんだが……連れの銀髪と赤い髪、青い髪の女共は特に良いな。相当女の趣味が良い中年らしいな。」
「お前達もそんなのより若い俺達の方がっ…」
言葉が続かずに、有紗の腕を掴んだ男が倒された。
「……全く、またか。」
「だ、誰だてっ……ええぇぇぇぇぇ!!」
レイが隙を着いて向こう脛を思い切り蹴った。一人がもだえ、力が緩んだところで腕を振り払って、もう一人をひねる。
「これでも皇族旗下の軍人よ?今引き下がれば胸に留めてあげるわ……」
「こ、皇族……い、イレヴン……ってまさか、あの『白き死神』や第八皇子殿下の関係者!?し、失礼しました!!」
相当低い爵位だったのか、イレヴンで皇族旗下というのが効いたのか、男達はそそくさと逃げ出した。
「ライル様…」
有紗は思い切りライルにしがみついた。
「あ、有紗?」
有紗の豊かな胸が腕に押しつけられ、否……大きさでは優衣とエレーナに届かないが挟まれるだけのボリュームがあるのでライルも硬直する。
「その…サングラス、格好いいです。」
顔を見られるのを避けるためにサングラスだけかけていたが、有紗の赤い顔で心臓が高鳴る。
「ライル様…どうして?」
「少し歩こうと思ったら道行く女性に声をかけられてね。世間で言うナンパをされた。」
「正確には逆ナンパです。」
ノエルが訂正を入れるが、有紗が胸でより強く腕を挟み込んだ。
「え?」
「……戻るまでこのままが良いです。」
上目遣いで懇願する有紗の顔にライルは顔の温度が上がっているような気がした。すると、今度はレイが左腕に胸を押しつけた。水着で分かるが、彼女もかなりスタイルが良い。以前、ヴェルドとコローレが言っていた着痩せするというタイプか?
「私も…!」
「………天然垂らし。」
ノエルが毒づいた。
「わ、分かった……」
だが、有紗にこういう事をされるのを少し喜んでいる自分がいた。
だが、それを遠くでヴェルドとコローレはオペラグラスで見ていた。
「けっ、今度は有紗ちゃんとレイちゃんで両手に花だ。世の中不平等だ。」
「隊長……何故私は駄目なんですか?」
「やっぱり、不平等ってのは悪だぜ、兄者!!」
「ああ、そうだ!やはり皇帝陛下のお考えは間違っている!!」
端から見ればくだらない理由で肯定を否定している。しかもブリタニア人、没落しかけたとは言え貴族がだ。借りたオペラグラスで有紗とレイが両腕に胸を押しつけられて赤くなっているライルの光景に幸也も固まった。そして…咳払いをして……
「もうちょっと、マシな理由で皇帝を否定しろ。」
「こいつらにそれを求めるのは無理だ……しかし、あれはスザクと良い勝負だな。」
「枢木卿も?」
「あいつ、昔から年上の女性に好かれていたんだ。『キャメロット』のセシル・クルーミー少佐なんかに気に入られてたりしてな。元上司なんだから。」
良二はフェリクスと幸也にそんなことを話していた。だが、良二本人はここにスザクがいれば、ビーチバレーか水泳でライルとスザクの勝負が見られた。そんな想像をしていた。
そうしている内に日が沈んでいき、ライル達はホテルへ戻ることにした。
「もし、こいつらが覗きでもしたら私に行ってくれ。どんな汚い手段を使っても慰謝料を払わせる。」
「それないでしょ、大将!?」
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