[38172] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-30『常夏での休息…中編1』 |
- 健 - 2018年05月15日 (火) 17時27分
ライル達は一部男子も加えてビーチバレーをしていた。優衣とエレーナに加え、戻ってきたクリスタルも参加する。どうやらクリスタルはナンパとやらをされたらしく、ライルにくっついて撃退したいらしい。
「私のこれは貴方の物なんですから、もっとアピールしてくださいよ?」
豊かな胸を強調するように迫るクリスタルの身体を押しのけ、ライルは「断る。」とだけ返した。一方の幸也はセルフィーと何か話そうとしているが、上手くいっていないようだ。ヴェルドが仲立ちをしている。
「ねえ、私とチーム組みましょう?」
「ええ、じゃあ私も入ります。」
「ここは新入りに花を持たせるという物じゃないの?」
優衣が引っ張った思いきや、クリスタルまでが入り、更にエレーナが後ろから抱きついた。
これで今日、何度目だ?
「いい加減にしないと本当に私はホテルへ戻るぞ?交代で組むから、それで妥協してくれ。」
優衣、クリスタル、エレーナにライルとフェリクスがいるが、それだと奇数になってしまう。そのためにヴァルスティードを加えた。
「まあ、良いか。」
「すまない…」
「謝ることじゃないだろう。つうか、さっきの様子だけ見ればお前なら姉さんも安全だな。」
いきなり、あれだけ突っかかっておいて姉を任せる?
「急な話だな。」
「数日で俺達を下士官扱いで入隊させたお前ほど急じゃないよ。」
レイは有紗と一緒にボートをこいでいた。二人共おぼつかなく、上手くこげずにいたが…今は何とか安定している。チラリと後ろを見るが、やはり有紗はスタイルが良い。エレーナやクリスタルには劣るが、元々ライル軍では背が低い方な上に胸も大きく、腰も細い。こう言っては失礼だが、オークションの商品になるのも頷ける。今回の水着も面積が狭いのも優衣達に対抗する意味でもライルに見せるためなのは一目瞭然だ。
「良いの?その水着、ライル様に見せたかったんでしょう?」
「…あ、貴女こそ…そうじゃないの?」
レイは有紗の指摘に固まった。ば、ばれていた?確かに、レイも自分のスタイルにそこそこの自信がある。気合いの入った水着でライルに見せたかったのも本当だ。だが、どうしても有紗を始めとした他の女子に比べると自分が劣って見えてしまう。あれでは自分に勝ち目はないのでは、と思うこともある。そして……レイは気になっていたことを質問する。
「………ねえ、ライル様のどこを好きになったの?」
レイにとってライルは父と母以外で初めて、自分自身を見て、受け入れてくれた。ハーフという出自に興味を持って声をかけた。きっかけはその程度だし、自分の苦しみを完全に理解してあげられないと正直に言った。だから、この人を支えたいと思って騎士になる話を受けた。そして、仕えて…共に戦っていく内に……彼に惹かれた。
「わ…私の場合………その…オークションで商品にされた時、酷く怯えて……その時、私に手を差し伸べてくれたのがライル様だったの。」
優しくするように見せて、本当は自分の身体を…とも疑った。だが、自分だけでなく他の者達まで丁重に扱った。その頃はまだ疑いがあった。それで…あんな格好をしたが、ライルは断った。
「本当に、私のことを丁寧に扱って…恩を返したいって思ったの。」
だが、出来ることは炊事洗濯など身の回りの世話。しかし……あの時用意した朝食も可能な限り配慮した。それがライルのお気に召し、小間使い同然の形でも仕えないかと誘われた。有紗はあの時、これで恩を返せるのなら、と思い受け入れた。
そうして、側で見てきた。普通の男の子のような純粋な反応……理想と現実のギャップに悩む彼の苦悩、醜悪な欲望と同胞の苦しみから事実上目を背ける敵……そして、妹の死とそれに端を発した部下殺しと………トラウマとして残るかつて想いを寄せた女性の死。
あの時、本当に自分の身体で慰めたいと思った。それでも、ライルは拒んだ。あの時だ……彼を、好きになっていたと本当に自覚したのは。
「でも…私とライル様じゃ、身分が違いすぎるから……お仕えするだけで幸せなの。」
その上でも彼に抱かれるのならば良い。だが、あの誘拐で未だにそれ以上はない。それが少し…有紗には寂しかった。
「…ご馳走様、とだけ言っておくわ。」
ビーチバレーはライルの着いたチームが全て勝った。要するにそれぞれ一勝したという結果だ。
「いやあ、みんな良い物持ってるから眼福だったね。ビーチバレー最高!」
「隊長のも見たかったな。」
「お、俺にとっては……地獄だ。」
幸也はとにかく刺激が強すぎた。とにかく、全員大胆な水着だからボリュームがありすぎて困った。周囲の男達も注目しており、良二とヴァルスティードが睨んでいなければいつまでも集まっていただろう。
「我が姉ながら本当に凄いわ……優衣達も凄い物持ってるし。」
セルフィーは自分の胸を見下ろして、ため息をついていた。
「……む、胸が大きいと良いことあるのか?結局脂肪の塊みたいな物じゃないか?」
直後……空気が冷たくなった。そして……
セルフィーがビンタを喰らわせ、エレーナ、優衣、クリスタル、戻ってきた涼子も喰らわせ、近くを通りかかった女性客の目も痛い。
「……何か起こらせること言ったんでしょうか?」
「言っただろう……」
ライルが心底呆れ果てた。更にヴェルドとコローレも……
「言ったって…」
「遠のいたな。」
遠目に見ていた良二は…
「愚かな。」
セヴィーナは遊びに行かず、基地でのんびりしていた。気分転換も兼ねてとライルも誘ってきた。すると、デビーが声をかけて来た。
「一緒に行かなくてよかったのか?せっかくの機会なのに。」
「あの男とビーチへ行けだと?……いつまでも引きずっているような女々しい男に着いて行けと?」
今でも彼を恨んでいる。だが、あそこまで女々しいともはや呆れてしまう。そして、自分でも不思議だが……あの頃ほど、ライルへの殺意が無い。何故だろうか?
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