[38163] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-30『常夏での休息…前編3』 |
- 健 - 2018年05月12日 (土) 10時30分
何とか説得して全員をある程度散らせたライル。既にこれだけで疲れ、ビーチチェアで横になる。脇にあったジュースを一口飲んで、このまま眠りそうになった時。
「ライル様。」
上からエレーナの声がした。だが…
「ひぃ!」
見事な二つの大きなボールを見上げる形になってしまい、思わずライルは怯んだ。
「そんなに、嫌ですか?」
まだ仕えるようになって間がないというのに、いきなりアプローチを掛けてきた?只の交流にしては大胆すぎる……仮にその手のアプローチだとしてもそれほどまでに私が良いのか?
「い、嫌であるない以前に……よく…そんな凄いデザインを。」
全くここまで来ると感心する。服のデザインを手がけるクロヴィスは水着のデザインもしていたが、それでもここまでしなかった。
「ライル様に…見せたかったんです。」
「そ…それにしても……ね。」
とてもではないが、直視できたものではない。
「他の男は無理だけど…ライル様なら、良いです。」
「え?」
いや…落ち着け……こんなことを言って恥じらって見せた浅ましい女を何人見てきた?だが、妹と弟があれだけ攻撃的になるくらいに姉を守ろうとするし、カジノの時の二人の態度を見てもエレーナがそういうタイプでないことは流石に…
「ちょっと!抜け駆けしないで!」
またも優衣がやって来て、今度は押し倒してきた。思いっきり来たのでかなり痛い。だが、
「ライル様!私も見てくれなきゃ放しません!」
胸に顔を押しつけられ、しかも優衣が本当に放そうとしない。何とか放した。
「く、苦しい!」
だが、目の前にエレーナには少々劣るが優衣の大きな胸があり、一瞬硬直した。その隙に優衣がまた顔を埋めてきた。
じょ、冗談じゃない!こんなみっともない死に方は御免被るぞ!
だが、本当に息が苦しい。しかも、何とか顔を引き離して方向を変えたと思ったら今度はまた別の感触が……
「ライル様!私も見て!」
エレーナだ!
「もう!こうなったら挟み撃ちよ!!」
優衣がライルの後頭部に胸を押しつけた。
二人共何を考えているんだ!?これではクリスタルは勿論、有紗も何かやりかねない!一体今日はどうなっているんだ!?
「ちょっと!ライル様の顔私に埋めさせてよ!」
「新入りにちょっと譲りなさい!」
頭の上で優衣とエレーナが言い争っているが、ライルはそれどころではない。本当に窒息しそうだ。これがヴェルドとコローレだったら二人の胸の感触を堪能していたかもしれない。だが、ライルはそうはいかない。只苦しい。そして、二人を突き飛ばしてようやく新鮮な空気を吸える。
「し……死ぬかと思った。」
「ありゃアホだな、ある意味。」
ヴァルスティードは心底呆れた。あそこまで女に対して無防備だとは……一体、どこの誰だ?「第八皇子は女を手込めにする技術は皇族随一」だ等と言ったのは。あれでは「無防備さが随一」ではないか。
「………世間から見ればどうだか分からないが、あれだけ殿下が必死なのを見ると、な。」
そう、良二が言うとおり外野から見ても分かる程ライルは必死だった。
「人は見かけによらないというが、ある意味女に関して奥手そうなのは見た目通りだな。」
いや、女を丁重に断ったりしていたからああいう猛攻をするタイプには弱いのかもしれない。
「畜生、大将め。優衣ちゃんとエレーナのあのバストにサンドイッチされるとは羨ましい。ネタにしておちょくりまくってやる。」
幸也がジュースを飲みながらそれを聞いて、白い目で睨み付けた。少し落ち着いたようだ。
「殺されても知らないぞ。弁護もしてやらないからな。」
「男ならああいう夢を見たいだろう?」
「わからない。」と幸也がコローレに返してジュースを飲み干す。
シルヴィオはダイビングをしていた。やはり、生命の母である海は普通に泳ぐのも良いが、シルヴィオはこうして雄大な自然に触れるのが好きだ。
魚が泳ぎ、軽く海流に身を任せる。子供の頃からシルヴィオはこうして海を漂うのが好きだった。木宮と知り合ってからもこうしたことはある。
ああ…自然と武術はやはり俺の安らぎだ。
顔を出し、久しぶりの日差しと海の流れ、潮騒に身を委ねてシルヴィオは目を閉じた。
シルヴィオの様子を遠目に見ていた木宮はアイスティーを飲んで目を細くする。
「楽しそうね、シルは。ミルカこそ、せっかくそんな良い水着着たんだから、あの子に見せたらいかが?」
豊かなスタイルを強調した水着のミルカにエリアは喜んでいた。アーネストと美恵、ブランドナーも来ているが…美恵は紐のような水着でアーネストにべったりで、ブランドナーが「はしたない」と説教をしていた。だが、本人はアーネストのものだから関係ないと聞く耳を持たない。
「なんだかんだで、あの二人も馴染んでいるのよね。」
『ユーロ・ブリタニア』だった二人も以外とシルヴィオ軍の面々と打ち解けている。シルヴィオの人徳がなせる技だろうか?
「分かった!ちゃんと構ってやるから、さっきみたいなのはやめろ!!」
「ええ?混浴は?」
「駄目だ!」
「同衾は?」
「もっと、駄目だ!」
優衣とクリスタルの質問を畳みかけ、ライルは後悔した。こうなるなら、最初からこうすればよかったと。
「で、有紗は?」
「レイと一緒にボートです。」
優衣の不機嫌そうな回答を聞きながら、少し安心した。彼女が一緒なら大丈夫だろう。
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