[38160] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-30『常夏での休息…前編2』 |
- 健 - 2018年05月08日 (火) 22時27分
「ラ、ライル…様……」
ようやく優衣とクリスタルを引き離したライルの耳に有紗の声が入ってきた。見た瞬間…ライルは固まった。
スカイブルーのマイクロビキニで、優衣同様かなり面積は狭い。だが、有紗の起伏に富んだ身体をよく引き立たせるし、恥じらっている様子がとてもよかった。
「だ、駄目…?」
「い、いや…そ…の………き、綺麗だから…みと、れてた。」
「ずるい!なんで私達とそんなにリアクションが違うの!?」
「あんたの場合は恥じらいがなさ過ぎるし、ストレートすぎるのよ。」
優衣が後ろから文句を言うが、遅れてきた涼子が肩を叩く。彼女はホルターネックビキニだ。流石に顔がよく似ているから一目で姉妹と分かる上に、あのスタイルだ。既に男達の視線が注目している。加えて、ライルに対する妬みの目もいくつか混じっている。全く、ナンバーズが半数近くいるというのに……こういう時だけ人種の垣根は取り払われる。
「真っ昼間からビーチで良い趣味ね……嘘つき皇子。」
セルフィーが呆れていた。彼女はセパレーツタイプだが、スレンダーな体型によくあっている。問題のエレーナは……本人か、別の誰かのチョイスか知らないがチューブトップビキニというタイプだ。しかも、完全に胸が上下に大きくはみ出している。間違いなく、男達の情欲が向けられる。やりすぎではないか?
「………随分と皆さん大胆なデザインをお好みで?」
流石のライルも少々顔が引きつる。テレサもワイヤービキニと気合いが入っている。
「良いじゃないですか…別に。」
テレサの不服そうな態度にモノキニで来たノエルがため息をつく。
「天然の女たらしのくせに初心……とんだ困ったちゃんですね。」
「ちょっと、ノエル!私のライル様のどこが困ったちゃんなのよ!」
「落ち着いて、優衣!困ったちゃんなところもチャームポイントって捉えるのはどう?」
最後にきたレイは三角ビキニだ。有紗やクリスタルの影に隠れがちであったが、こうして見ると彼女も胸が大きく、腰の細さならおそらく有紗達より上だ。大胆なデザインなので、際立つ。
何故、私の側にこうも女子が集まるんだ?これではとても気が休まらない。
「おい、幸也。セルフィーの水着姿だぞ。」
良二に言われたセルフィーの水着…そう聞いて幸也は見ようとした。だが、そこには有紗やエレーナがいた。とにかく出て引っ込んでいる彼女達の体型の刺激が強すぎて、セルフィーを視界に入れられない。
「だ、駄目だー!!」
それを見ていたヴァルスティードはため息をついた。
「駄目だ、こりゃ。当分無理だな。」
「哀れですね…色々と。」
「少し同情する…」
フェリクスと良二も本気で幸也のことを哀れんでいた。
「いやあ、眼福だぜ。意中の男に見せた気合いの入った水着を着た美女はいつ見ても良い。そうは思わないか、兄者?」
「全く同感だ、弟。こういう時、つくづく男に生まれて良かったと思う。………欲を言えば、一人か二人分けて貰いたいが。」
皆、それぞれに魅力がある。水着のおかげでそれが際立っているが、やはり有紗や優衣、クリスタル、エレーナの四人は飛び抜けている。
雛は露出度を控えめにしたスポーツタイプの水着でウェルナーの泳ぎの練習に付き合っていた。大分歩けるようになり、観光も兼ねて来た。本人の希望で雛を呼んだのだが、流石にイレヴンの雛がブリタニア人のウェルナーの泳ぎの練習に付き合うのは目立っている。今顔を水につけるところから始めているが、なかなかに頑張る。
「ねえ、溺れられたら流石に寝覚め悪いの。ほどほどにしてよ?身体を浮かべる伏し浮きに行くだけでもあんたの体力じゃ大したモンなんだから。」
「え、ええ……でも…やっぱり他の人達のように走ったり泳ぎたいんです。」
全く、強情だ。変なところでこの子は強情で譲ろうとしない。
「んじゃあ、あと十分くらいしたら休憩。良いわね?」
「はい。」
そう答えると、再びウェルナーはビート板を手に伏し浮きの練習を始める。あの病弱がここまでよくきたものだ。たった一年程度で……『病は気から』と言うが、正に『気から』人並みの健康体に突き進んでいる。
少なくとも、雛はウェルナーのそんな努力する姿を見ているのは、好きだった。そんな姿勢を…
「って、んな訳ないでしょ。」
どこの世界にこんな火傷女を良いと思う物好きがいる?大体、この子が健康になって、何かしらの公務を始めればもっと良い女に巡り会う。せいぜい、この子の世話を焼くか、本当に護衛に着いているのが自分には良いところだ。それでも贅沢なのだから。
こうして健康になって泳げるようになれば兄上や雛と一緒に泳いだり出来るんだろうな。
そして……あんなことがなければ多分、ナナリーも。
そんな思いを抱え、ウェルナーはもう一度伏し浮きの練習を始めた。
初めての泳ぎ……昔も湖や海に遊びに行ったが、ライルや他の兄弟達が泳ぐのを遠目に見ているだけだった。いつの間にか泳ぐことも諦めていたが、雛と出会ってから昔のそんな欲求を思い出した。再び顔を出し、ウェルナーは雛に伝える。
「僕は本当に貴女に感謝しているんですよ?昔、何度も思った兄達と一緒に走ったり、泳ぎたいっていう気持ち……貴女が『周りの好意に甘えている』って叱ってくれたから僕はこうしていられるんです。」
雛が一瞬ポカンとした。そして、
「どういたしまして。」
と居心地が悪そうに答えた。
「秀作は泳げるの?」
「ああ…奴らに叩き込まれた。」
ライルとはまた違う区画のビーチで秀作はセラフィナに招待されていた。休暇のためにハワイを訪れたのだが、丁度母方の親戚筋から譲り受けた別荘がハワイにあるからそこへ来ていた。
セラフィナは秀作のためにフリルが着いたビキニだが、まだ感想を聞いていなかった。
「ねえ、秀作。この水着…どう?」
「………似合っている、と言えば満足か?」
案の定、そういう反応しか来ない。だが………
「…………自分でも分からないが、他の男が今のお前に言い寄ったら面白くない気分になるかもな。」
何故こんなことを言ったのだろう?確かに、セラフィナは美人だ。あの水着でも細い腰や大きな胸も強調されている。所謂モデルでも通用するだろう。だが、それを他の男がどんな目で見るのか、それを考えたら無性に腹が立ってきた。
「おかしくなったのか?それとも…これもライルやゲイリーの言う良い傾向なのか?」
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