[38154] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-30『常夏での休息…前編1』 |
- 健 - 2018年05月06日 (日) 13時35分
ライル軍はE.U.での戦闘及び先日の誘拐での疲れを癒やすためにハワイへ来ていた。と言っても、正確にはそれぞれ分担した休暇であり、ライル自身はサラがこの前の謝罪も込めてハワイへ行くことを薦められたのだ。旅費も全てクラウザー家の負担だ。宿泊費程度はライルが出すと主張したのだが、サラが譲らなかった。
流石に昨日の今日ということもあって部下達は疑っていたが、ならばと部下達を同行させることにした。だが………
「まさかこんな大所帯になるとは。」
有紗は連れて行くつもりだったのだが、海と聞いてアプローチのチャンスと思ったのか優衣とクリスタルが同行を希望し、その優衣の暴走を止めるためか涼子が、更にクリスタルがガルデニア姉弟三人全員をと言いだし、有紗やエレーナの水着目当てなのかヴェルドとコローレまで同行を希望した。そして、二人の監視をフェリクスが買って出た。正に芋づる式だ。
ビーチの一部を借り切ってはいるが、流石に大勢の客がいる。一足先に出たライルは自分でパラソルやビーチチェアを用意していた。
「んなもの俺らがやってやるのに。」
「こういう事くらい、私がしても罰は当たらないだろう?」
軍学校時代、彼らと一緒に遊びに行った時は最初、分からなくて四苦八苦したことがあるのは、良い思い出ではある。あの頃、他にも何人かいたがクリスタルの水着を見た男子ははしゃいでいたような気がする。そして、あの時より成熟した身体なのでより映えるだろうが、ライルは悪い予感がしていた。
「おい、生きてるか?」
他のメンバーが外れたために幸也が護衛に同行していたが、一般客には当然女性もいる。彼女らの水着姿を見ただけで幸也は既に疲れ切っていた。
「な…なんとか。」
「話には聞いていたが、ここまで弱いとは。」
ヴァルスティードが呆れかえるほど既に幸也は疲労困憊だ。戦闘後の様子より酷い。
「……休みますか?」
「お、泳いで気を紛らわすから…大丈夫。」
が、フェリクスから見てもとても大丈夫には見えない。
「ライル様、お待たせ!」
背中から声をかけられると、随分と露出度が高い水着で優衣がいた。所謂ビキニだが、上下とも大きくはみ出している。
「…随分と、大胆だね。」
「ライル様に見せたかったんですから。」
「そ……そうなのか。」
優衣でこれとなると、クリスタルはもっと悪い予感がした。
「で・ん・か♪」
背中に柔らかい感触がした。声で分かる。
「クリスタル?」
「正解。どうです、この水着?凄いセクシーでしょう?」
クリスタルの水着はスリングショットだった。はっきり言って際どさと色気では優衣を超えている。セクシーどころか刺激が強すぎる。周囲の男達の視線も注がれている。
「や、やめろ!刺激が強すぎる!直視できない!」
慌てて目を反らすが、クリスタルがそれを許さない。顔を掴まれ、豊かな胸を見下ろす状態で固定された。いや、元々身長ではライルの方が高いからそうなるのだが……
「見てくれなきゃ嫌。」
「ねえ、私も見て?」
今度は優衣が腕に胸を挟んできた。こうなったのはこれで二度目だ。
「二人共、放せ!場所を弁えろ!」
そんなやり取りを見ていたヴェルドは……
「場所弁えろって……ここ、ビーチでしょ?いや…まあ、公共のビーチだから色々あるだろうが。」
全く、ライルはこういう方面に関しては奥手だ。軍学校時代もクリスタルや他の女子が迫ったらああいう風に上がっていた。
ま、俺らとしちゃあ眼福だが。有紗ちゃんとエレーナもいるから…今から楽しみだぜ。せめて拝むだけでもしておかないと。いつ死ぬか分からないんだし。
しかし、ライルは本気で困っている。ああやって困らされる事が含まれる日常自体は楽しんでいる、とヴェルドは見ているが、やはり元が不得手だから参っているのも本気だ。
要するに、本人が気付いているかどうかは分からないが、あの手のアプローチには本気で参っている……だが、それ以外ならば他愛もない話をしたり自分や兄を殴る日常を楽しんでいるのだ。
せめて俺や兄者を殴るのは外して欲しいけど。
有紗は周囲の視線に怯えていた。敵意ならもう慣れた。散々向けられてきた。だが、男達の視線は……今日のためにと、露出度が高い水着を選んだ。ライルに見せたいからだ。
ライル様は気分転換をさせたくて連れてきてくれた。それは分かっている。でも……
言わなかった自分のせいだ。男の視線が怖く感じる、と。優衣が羨ましい……あんなことになってもあんな大胆な水着でライルにああしてアプローチをしているあの子が。
本人曰く「ライルにたくさん見て貰って消毒して貰う」らしい。
早くライルの側に行きたい。有紗はそんな一心で小走りでライルの元へ向かった。
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