[38132] コードギアス 戦場のライル SIDE OF WARFARE『女子会…前編』 |
- 健 - 2018年04月20日 (金) 21時51分
ガルデニア姉弟の入隊が決まって数日後……ライル軍の女子の間で歓迎も兼ねたレクリエーションが行われる。所謂女子会だ。
場所は基地の歓楽街にあるバーを借りていた。費用はレイとクリスタルが持っている。
「ねえ、何か企んでるの?」
セルフィーの邪推にクリスタルが「やあね。」と突っ込みを入れる。
「魂胆なんてないわよ、これから命賭けにいくのよ?今のうちに騒げるときに騒がないと。」
「それは同感だな……出来ればブリタニア人だけが良かったが。」
「それ、ライル様の親衛隊にいるあんたが言っても説得力ないわよ?」
優衣がセヴィーナを睨むと、セヴィーナが微笑した。
「まあ、もう慣れた。無礼講だ…酒でも飲むか。」
「じゃあ私も……」
「私達は未成年でしょ?」
涼子が訂正するが、クリスタルが「良いわよ。」と認める。
「だって、私も貴女達よりちょっと若い頃にはもうワイン飲み始めてたから。」
「私もそうね……嗜みとして少量飲むように言われた。」
貴族出身のレイとクリスタルの発言にテレサが呆れた。
「貴族と庶民一緒にしないで…」
「その前に…ナンバーズの私達まで来て良かったんですか?さっきから……睨まれてるんですけど。」
「良いのよ、費用は私達が持ってるんだから。適当に料理頼んでお酒飲みましょう。」
魚のマリネを一口食べて、有紗は他の女子達の話を見ていた。
「で…これだけ女の子が集まればやっぱり話題は好きな男の子よね?」
クリスタルの話題に有紗は心臓が高鳴った。
「わ、私は…その……」
「お前は分かりきっているだろう…というよりも、このメンバーで半分近くはあの男だろう。」
あの男とは、ここに集まったメンバーの主君だ。
「当たり前じゃない。ルックスでも財産でも圧勝よ。でも…マジの大マジでライル様のこと好きなんだからね、私は。」
優衣が断言する。片手には酒のグラスが入っており、若干酒が入ってるようだ。
「お姉ちゃんはいないの?この際ライル様でも良いからはっきりしてよ。」
「この際って…あんた、姉をなんだと思ってるのよ!」
「良いでしょ、姉妹なんだから!」
「親しき仲にも礼儀って言葉を知らんのか!?」
涼子も酒が入っているのか、このままだと大喧嘩に発展しそうだ。
「貴女達、いい加減にしなさい!たたき出すわよ!?」
レイは怒鳴り、二人を黙らせた。
「で、隊長はどうなんですか?私から見ても隊長は美人だし身体も良いんですから…」
「そのおかげで苦労してるのよ!用があるのは私の家と身体、顔だけ!でなきゃイレヴン混じりの雑種に誰が興味持つっていうのよ!」
全員が怯んだ。だが、レイは収まらなかった。
「騎士になってからだってそうよ!どうせライル様を誘惑したとか、家の名前使ったとかっていうのよ!?エリア11でKMFのパイロットになったのだって家への体裁みたいなものなんだから!!」
「ご、ごめんなさい…」
「ゴメンで済めば警察も軍隊もいらないわよ!」
そう、ここ最近でもそうだ。E.U.でもそれなりの実績を残している自負はある。それでも男達の目当てはライルとの接点としての価値……女性としての価値など微塵も求められていない。
『東洋の美しさを持つ貴女と是非おつきあいを。』
『武士の血も侮れませんな。』
思ってもいない事ばかり持ってきて、母はともかく叔母達は良さそうな家の男達の写真をいくつも持ってきている。ギース・スタッカートが駄目だから、スレイダー家の方でと思っているのだろう。会ってみれば、身体や家のことばかりの男ばかり。
「実際…ライル様くらいしかいないのよ。好きなのを抜きにしても。」
「コローレさんは?」
有紗の質問にレイは別の意味で嫌な顔をする。
「アホだから嫌なの。煩悩むき出しだし、変な魂胆がないってことくらいしか良いところがないわ。」
「……別の意味で変な魂胆むき出しなんじゃないの、あいつらは?」
優衣の指摘にレイはため息をつく。
「そうなのよ……良二は女より枢木卿との友情って感じだし……!」
すると、それに反応してクリスタルが他の男子を持ち出す。
「長野隊長とクレヴィング将軍は既婚者だからノーカウントとして……秀作はセラフィナ様とだし。」
「あの藁皇子様はやめときなさい。純朴すぎて逆に疲れるわ。」
「皇族と知り合いなの?それって、只取られたくないだけじゃないの?」
セルフィーが睨むと、雛が一瞬固まった。
「別に…世話が焼けるだけ。」
「おーおー、照れてる。」
「違うって……テレサはどうなの?」
テレサは返せなくなった。恋愛などあまり考えなかった。姉のルビーがシルヴィオが良いとは言っていたが……どちらかと言えば、一瞬だけライルの顔が出たが………どうもそういう対象に見ることは…
「分からない、今のところいないの。」
「ええ、勿体ない。」
優衣が唸ると、今度はエレーナを見る。
「ねえ、エレーナ。貴女はどう?向こうに彼氏とかいないの?」
「え?私は…その、私も……スレイダー卿と…」
「レイで良いわよ。」
「え?ええ……私も、レイと似たようなもので。ストリートだった頃から…」
「あ、ゴメン。」
セヴィーナがため息をつき、エレーナや優衣の胸を睨み付ける。
「それは乏しい私への嫌みか?と言いたいが、ここまで差がつけられると嫉妬する気すら失せる。」
「私はちょっと分けて欲しいわよ。」
セルフィーの僻みにセヴィーナはまた睨む。
「私から見れば、お前だって充分恵まれている方なんだぞ。あの男の騎士になるはずだったジュリアも胸はかなり薄かった。」
セヴィーナが呆れ、妹のセルフィーが姉のエレーナを僻むのも分かる。あの胸と美貌では無理もない。はっきり言って女の自分でも食いつきそうだ。
「で、実際殿下以外なら良いって思うのいる?」
テレサが再び切り出した質問に……
「良二はさっき言ったように友情よね。喧嘩っ早いけど、真面目で良いんだけど。」
優衣が評価した。
「デビーはそうね……騒ぐとき騒いで真面目なときは真面目のメリハリが聞いてるわ。顔はちょっと殿下やヴェルドに劣るけど。」
涼子がデビーを評価した。今度はクリスタルが持ち出す。
「幸也はルックスは問題ないんだけど……ちょっと性格がね。女の子に弱いところは可愛いんだけど…デリカシーなさ過ぎるのよね。この前太ったんじゃないかって聞かれたのよ。」
「それは無いわね……体型に一番気を遣う年齢じゃない、今の私達。」
「ヴェルドとコローレはどう?」
「論外。」
「ちょっと…あまり悪く言わないでくれる?」
ノエルが文句を言うと、優衣が顔を覗き込む。
「あんたまさか、あの二人のどっちかが良いの?やめときなさいよ…顔はともかく、性格は誰かよりずっとマシだけど下品よ。」
「ほんとね、下品男の家系よ。」
レイが更にけなし、涼子も頷く。
「家の財閥が経営苦しくなったのもきっとあの二人のお父さんが女絡みで何かやらかしたのね。」
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