[38106] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-26『ツーフォー…中編』 |
- 健 - 2018年03月27日 (火) 23時14分
「あ、あの……妹が申し訳ありません。」
エレーナが頭を下げて謝罪するが、未だにバニーの衣装のままな上に有紗やクリスタルを大きく凌ぐ胸が強調されるようになり、頭を上げた瞬間に胸が大きく揺れたのでライルは目を反らす。
「いいから……早く、上着でも何でも着てくれ。有紗も…」
「え?」
思わず有紗は自分の胸元を見下ろし、それがライルに強い刺激を与えていることに気付いた
「み、見ないで!!」
有紗に触発されるように涼子も両腕で胸を隠して「見るな、ケダモノ!」と叫んだ。
「ええ、もっと見たい。」
ヴェルドが文句を言うと、優衣とクリスタルが突然ライルの腕にしがみつき、胸を押しつけた。否…胸で挟んだといった方が良いかもしれない。
「いぃ!?」
「ライル様にしか見せない!」
「貴方達はいやよ。殿下、もっと見てください。」
左腕からクリスタルが右腕から優衣が更に迫り、ライルも緊張してしまう。
「や、やめろ!放せ!」
「言ってる側から何やってるの、嘘つき。」
セルフィーが軽蔑の目を向けた。
「ち、違う!」
が、今度は背中から柔らかい感触がした。振り返ると、有紗がいた。
「あ、有紗!?」
「ラ、ライル様なら……その、好きなだけ…見せ、ます。」
だが…それだけでは終わらなかった。正面からエレーナが抱きついた。
「んな!?」
「あの……私、も…」
「やっぱり姉さん狙いじゃないの……」
「だから、違う!引きはがしてくれ!!」
「やだ。」
ヴェルドがうんざりした口調で答え、フェリクスもため息をついて「責任持ってください。」と告げる。
「ちょっと!いきなりライル様に何アプローチしてるのよ!!」
優衣がエレーナに怒鳴る。だが、エレーナは意に介さない。
「だって、ずっといやらしい目で見られていたのよ!?この人くらいなんだから、そういう目じゃなかったの!!」
「初対面でそう思うのはやるわね…でも、殿下は私のなの。」
クリスタルが更に密着する。すると、優衣も対抗するように密着した。
「ふ…二人共離れて!わ、私侍女なんだから……そ、そう言うのも侍女の……でしょ!?」
「何、ルーカスが言うようなことを言っているんだ君は!?涼子、優衣だけでも何とか引きはがせ!」
「ええ!?お姉ちゃんも消毒してください。」
今度は涼子が真っ赤になった。
「なんで、そうなるのよ!?」」
「だ、大体安全そうな男ならフェリクスや幸也だっているだろう!?」
が、ライルのその意見にコローレは訂正を入れる。
「殿下、幸也がそんな格好の美女をたくさん見て平常心を保てると思いますか?」
何せ、内容を聞いただけで幸也は裏方を志願したのだ。密着でもされたら、本当に鼻血でも吹きかねない。
「隊長、あれとまではいきませんが私にしてくれますか?」
が、レイは平手打ちで回答した。
「絶対に嫌!ライル様なら良いけど、あんた達は絶対に嫌!!」
「殿下、既婚者の我々も遠慮しますよ?不倫だと思われたくありませんから。」
長野が念を押した。結局、ライルしかいないということなのだろう。ここまで女性にもてると感心するが、本人は参っている。そろそろ助けた方が良いだろう。
「まあ、もっとじっくり見たいけど我慢して帰還しましょう。殿下の大嫌いな連中、裁きたいでしょう?」
「あ、ああそうだ。と言うわけだ…放してくれ。」
「はい…」
優衣が不満そうに離れ、全員が離れる。それを遠目で見ていたノエルは「天然たらし。」と毒づいた。
一週間後……ライルはカジノの売上金などは全て接収し、市街の復旧及び怪我人や巻き込まれた市民への慰謝料に回した。無論、そのカジノを経営していたマフィアと癒着のあった貴族、軍、政府の官僚にもそれを突きつけ、本国へ連れてこられた人々の生活費にも充てた。苦労はした。そして、彼らの帰国については他のエリアの総督達は了承してくれた。エリア11はナナリーの融和路線の影響もあってか、そちらから送られてきた人物はいなかった。
一人の例外を除いて……
〈聞けません。今、我がエリア24の情勢はご存じでしょう?〉
そう、オルドリン・ジヴォンが復帰したのだ。しかも、ゼロの動向を警戒してエリア11へ向かうという情報もある。
〈そのような状況下でテロリストをエリア24へ送れと?〉
「まだ、テロリストと断定されたわけではない。大体、彼らは君が統治するエリアの市民だぞ。」
〈ツーフォーは市民ではありません。〉
「エリア24は元々スペイン、彼らはそこに住んでいたスペイン人だ。」
〈スペイン人などという人種はこの世に存在しません。〉
ふざけるな……そんなもの、ブリタニアが勝手に決めたことだ。自分達は神でなければ世界の中心でもない。
「………君はスペイン人を、ツーフォーだけでなく全てのナンバーズはテロリストと断じて根絶やしにするつもりか?」
〈必要とあらば。〉
「………ッ、分かった。彼らは私が預かる。ただし、このことは本国の方でも議題にさせて貰うぞ。」
ライルは通信を切り、ため息をつく。
「ライル様……」
有紗がアイスティーを置いた。あの後、彼女達のIDも無事に回復し、改竄をした士官は軍法会議にかけた。罪状は皇族権限への侵害だ……皇族の親衛隊所属のノエルがいたのが効いた。家の方にも責任を追及しているので、下手な報復はさせない。
そして……これが片付いたら最後の問題。今回の黒幕だ……
「大丈夫だ、有紗……思い知らせてやるよ。奴に…!」
もう、容赦しない。ライルはそう誓ったのだ。
ライルは気付かなかった。有紗がライルのことを不安げな表情で見つめていたことを。
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