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お気楽極楽なSS発表会

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[38092] コードギアス 戦場のライルB2 Inside Story 『Past Episode−4 流れ者の行く末』
Ryu - 2018年03月24日 (土) 11時38分

――俺には「故郷」なんてものは無い。

「故郷」の定義を「自分が生まれた場所」だとするなら、その場所は既に余所様の物になっているし、「自分が育った場所」だと言うなら、間違ってもあの場所を「故郷」だとは思わないし思うつもりも無い。

――俺には「家族」なんてものもいない。

一応人間として生まれた以上親はいるんだろうが、物心ついた頃にはそれらしき人間などいなかった。

後で知った話だが、両親はどうやらアングラな連中の下っ端として働き、何かヘマやらかしたらしく殺されたらしい。

殺された経緯が敵とのイザコザの末か、あるいはヘマやらかした事で味方から「処理」されての結果か、まあそんな事はどうでもいい。

俺がいた場所はE.U.圏外から流れて来た移民や難民達に、E.U.の裏社会の連中が常にうろつく様なまさに「クソの掃き溜め」、何も起こらない日なんて無く、誰かが殺した殺されたなんてのは日常茶飯事、俺の親もその流れで呆気なくくたばった、それだけだ。

ただ同じ避難民達のコミュニティからは、あからさまにのけ者にされて、時にはサンドバックにされた事もあった。

今にして思えば、日頃の溜まった鬱憤晴らしといて標的に選ばれたんだろうが…まあいつまでも黙って殴られてやる義理も無く、12歳の時に特にムカついた連中を半殺しにして、あの場所から逃げる様に出て行った。

それから各地を転々としたが、総じて碌な事は無かった。時にはアングラな連中の下っ端としてその場凌ぎの日々を送った事もあったが、どうも当時から所属団体の巡り合わせが悪かったのか、大体が他の連中との抗争の末に潰れて寄る辺なしになった。

それから何やかんやあって、同じようなはみ出し者達で構成された少年グループの頭に祭り上げられて、気に入らねぇ奴らをボコっては金をせしめて、適当に生きて来たのだが…16の時に転機が訪れた。

どっかの役人か何かが俺達に接触し、打診してきたのだ。何でも自分達は君達の様な勇気ある若者を欲している。その力を国の為に使ってみないか?上手くいけばE.U.市民としての権利だけじゃない、素晴らしい生活が待っている、と。

正直胡散臭い事この上無く断って摘まみ出そうかとも思ったが、このままこんなゴミ溜めの中で粋がって燻ぶり続けるのも良くない、とも思っていた俺は、結局その打診を受ける事にした。

一種の賭けにも近かったと思う、このままでいるよりはいっそ…と。ただほとんどの手下達は金や酒、女に不自由しない生活を夢見て、特に深く考える事も無く俺に付いて来た。正直あまりの楽観視ぶりに俺も内心呆れていた。

――まあ実際俺の世界は色々と変わった。ただし、良いか悪いかで言うと…後者だったが。



「ううっ……痛ぇ……痛ぇよぉ……」

「畜生……正規軍の奴ら……よくも置き去りに……!」

「……ああっ!? お、俺の脚!? 俺の脚はぁぁぁぁ!?」

所狭しと負傷者の呻き声やら絶叫がある種の目覚ましとなって、E.U.ベルギー軍外人部隊所属のアサド・ランゲルグは目を覚ました。

頭には包帯が巻かれ、腕や脚にも所々手当の跡があるが、それでもこのテントにいる負傷者の中では比較的軽症な部類である。

(あ〜……こりゃ解体だなぁ)

目の前に広がる凄惨な光景も彼にとっては慣れた物、おもむろにベッドから降りてテントの外へと歩いて行った。

今回の戦いも酷い物だった。小手調べと言わんばかりに自分達外人部隊の面子が先鋒に出されて進撃、優勢と見た正規軍の連中が我先にと進撃を開始するが、あまり部隊を展開できない場所で正規軍と外人部隊が押し合い圧し合いの状況に陥り逆襲を受けた。

最初から向こうの作戦だったんだろう、身動きが取れないままこっちは一方的に叩かれた。それでも自分達にとっての脱出口に近い正規軍の連中は我先にと逃げた結果そこまでの被害は無かったが…最前線にいた外人部隊の半分は集中砲火を受けた。

死に物狂いでどうにか自分が所属していた部隊も脱出出来たが…隊長は戦死して主だった小隊長も同様、最早隊としては再起不能だ。

近々残った生存者は適当に他の部隊へと振り分けられ、また戦いの日々が続くのだろう。

(…もう、3年にもなるんだっけな。我ながらよくもまあここまで生きたもんだよ)

俺の最初の所属はフランスの外人部隊だったが、その時に付いて来た手下共はもういない。俺が2回程実戦を繰り返した後で、隊そのものが解体されて皆バラバラの隊へと編入されたからだ。

まあ2回も戦闘をこなす頃には殆どが死体と化した――いや、まだ遺体が残っている奴はマシか、戦車砲が直撃して文字通り消し飛んだ奴もいるのだから。

俺が別の隊へと移った時点でまだ生きていた奴もいた分、探したら1人か2人は今もどこかで戦っているのかもしれないが、そこまでして探したいヤツかと言われたらそうでも無い。

所詮適当につるんでいただけの間柄でもう顔と名前もあやふや、俺にとってその程度の連中だったって事だ。向こうも同じだろう、俺に従っていたのはただ単に俺が一番腕が立っていたから、それだけだ。

(さぁて、次のボスはどんな奴かねぇ?)

願わくば最初に所属していたフランスの外人部隊に居た頃の、あのクソ野郎の様な人間で無い事を望む。アレは本当に酷かった。出来ればもう思い出したくも無いが、如何せん最初の上官だった分今でも記憶に残っている。

最期は味方のフレンドリーファイアで即死、撃った奴もその戦場で戦死した為真実は不明だが、確実に言える。アレは故意だと。奴が死んだ時悲しむ奴は皆無でせいせいした奴が殆どだったからだ。

そいつ以降の上官も色々いたが、大体同じような結末――正規軍の無茶振りの煽りを受けて戦死、といった感じだった。まあまあ出来る奴もいたが、結局はお決まりのパターンに呑み込まれて終わっていった。

次のボスは何ヶ月になるのか…アサドはそんな事を考えながら自分がいる隊、いや間もなく無くなる隊に宛がわれた場所へと歩いて行った。



(とまあ適当な付き合いになるハズが、もう随分と長くなったよなぁ…)

ポーランド州のある軍基地にて、暇を持て余しアサドは独り言ちていた。この隊に移ってから既に1年半程にもなる。

今までの最長記録が3カ月ぐらいだった事を考えれば驚きの長さである。ここまで長くなれば自然とこの隊にも愛着の様な物も湧いている。

今この基地には同じ外人部隊の連中しかいない為、皆心無しか明るい。今まで正規軍の連中がいると考えるだけで気が滅入り、案の定ロクな事も無かったから猶更である。

勿論全ての正規軍の連中がクソだと言う気は無い。フランスの美人大佐や、イタリアの将軍の様にまあマシな奴らもいるが、それでもそういった連中は圧倒的少数派だ。大体はこちらの神経逆撫でするばかりの連中しかいない。

いや正直言うとマシと述べた連中とも、今まで生きて来た世界が違う分価値観も大きくズレて、内心合わないなと思う事も多い。

例えば大佐殿はどうも池田少佐共々「狂戦士」にご執心であり、そして両名とも「祖国」を取り戻す事もまだ諦めていない節もある。まあ後者はこんな所まで流れてもなおその目的を捨ててないから今更だろうが。

けど俺からすれば「狂戦士」は「よくわからん行動をとるがまあ強い敵」であってそれ以上でも以下でも無い存在(俺らの隊の連中も同様だろう…イロナの場合そこに個人的感情も絡んで来るが)、そして俺にとって「祖国」なんざ心底どうでもいいのだ。

別に帰りたい場所でも無いし、恩がある訳でも無い。というか良い記憶も無い。だから正直「国の為に戦う」事がそんなに大切な事なのかと思う事がある。尽くした所で自分が報われるなんて事はまずないと言うのに?

まあ仮にフランスをブリタニアから開放できれば、文字通りあの大佐殿は「救国の聖女」とか何とかと誉めそやされるのだろうが…まあそういった自分の名声の為に戦っているのならまだ理解できる、ただしそれに俺達が付き合う義理は無いが。

だから別にあの「狂戦士」と決着を付けたがる姿勢がどうも理解できない。別に奴を仕留めた所でブリタニアに大ダメージ与えれる訳でも無いし、わざわざ1対1に拘るのもどうかと思う。俺なら囲んで袋叩きにして終いだ…ただし、それが出来ればの話だが。

それともアレか?割と真剣に恋してKMFでの対決だけでなく、生身で組んず解れつの対決も望んでいるのか?…いかん、ニコロスのおっさん(おっさん呼ばわりすると奴さん不機嫌になるが知った事か)みたいな事考えちまった。

――おっと考えがだんだんと逸れて行ったが、まあこの部隊に移って長くなり居心地の良さも感じ始めている。

勿論戦闘は絶えず先日には仲良く話していた奴が、翌日には永遠に喋れなくなる事もあるが、それでも今までに比べれば遥かにマシと思える様な環境にいる。

最初「何か冷たそうな奴」ぐらいにしか思って無かった中佐も、付き合う内に時折手合わせをしたり(大抵伸されてしまうが)一緒に酒飲んだり(意外と強い)と、個人的な付き合いもあったりして(言い方はアレだが)気に入っている。

ウェンディやイロナ程入れ込んでいると言うか、ゾッコンと言うかそこまでじゃあ無いが、まあ従ってやってもいいかと言った具合だ。

どの道今の俺の居場所はここで、帰る場所もここだ。んで俺は中佐にどこまでも付いて行く、それが今の俺だ。

勿論中佐が俺が嫌う様なクソ野郎に成り下がったりでもすればその限りじゃ無いが、そうでなけでば中佐の下から離れるだけの理由も無い…そして中佐はそういった所にまで堕ちる事も無い、そう信じている。

――っと、何か柄にも無い事思ったな。「信じる」なんて今までの俺の人生において使う事のない言葉だと思ってたんだが…まあでも悪くない、そういう言葉を使いたい、そして死なせたくない「仲間」がいるってのは。

「アサド〜! 中佐が何か呼んでるよ〜!」

気付けば向こうからアレクシアが声を掛けながらこっちに向かって走って来た。どうも急ぎの要件らしいな。

「おう解った。KMFの確認頼む! 無いとは思うが念の為ってな」

「オッケー! 任せなさいな!」

それだけ言うと俺のグロースターがすぐにでも出れる様な準備を彼女に任せ、目的地へと俺は走る事にした。

[38093]
Ryu - 2018年03月24日 (土) 11時45分

久々に、ええ本当に久々の投稿。ちょっと色々ありましたので。

今回はアサド回で外人部隊に入るまでの回想から、時系列的に現在の状況まで。この次当たりに入れるであろうアレクシア回と含め、正直そこまで投稿しなければならない回想か?と言われると苦しいですが。



健さん

その後ですが、調べた結果イロナの両親は死亡が確認取れて、はぐれた姉はどうやら捕まって「貢物」にされた可能性が大という事で。

そういう事情もあって、より一層彼女の「新しい身内」に対する想いが深まって、無意識の内にゼラートに「父親」、ウェンディに「母親」、はぐれた姉と同い年であり若干雰囲気も似ている(本人談)アレクシアに「姉」の影を重ねていると。

無論彼等個人の事もちゃんと見ている訳ではありますが。あ、勿論アサドやそれ以外の面々の事も彼女は大事に思っていますよ。合流したばかりで第一印象は宜しくないニコロスの事は対象外ですが。

ライルとウェンディは…まあ合わない事は無いでしょう。あくまでライルに対しては「そういう人」と見て、クラリスの様に入れ込む事も無ければ、イロナの様に嫌う事も無いと。



JINさん

まあこのご時世、色々な人間もいるという事で。

色んな奴がいて、色んな見方(今回のアサドによるクラリス評とか)があってもいいでしょう。それが当たっているか、完全な的外れかどうかはともかく。

実際クラリスや池田が「軍人」ないし「騎士」「侍」なのに対し、ゼラートは「傭兵」と言った方がしっくりくる分、ロンズウォーでの様に歩調を合わせてはいても、内心で互いに「コイツとはどうも合わない」と感じていたり…といった事もあったんじゃなかろうかと。

お互いの力量は認めているし、別に決裂して嫌い合っている訳でも無いが、両者の間にはどこか溝があるといった具合に。

[38101]
JIN - 2018年03月24日 (土) 23時46分


まさに「掃溜」って感じですね。

今回の外伝で白ロシア戦線について語ってましたが、そちらとの今後の兼ね合いとかも注目しております。


[38104]
健 - 2018年03月26日 (月) 18時28分

イロナは案の定、そんな具合で見てるのか。

しかし、姉が貢ぎ物になったとしたらその相手……これは相手がルーカスとまではいかなくても最悪の相手に貢がれ、最後は捨てられると相場が決まっている。

海棠に会ったら、多分最初はアレクシアやゼラートの後ろに隠れそう。で……海棠は自分が初対面で嫌われたのを気にしそうだ。



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