[38079] コードギアス 追憶のエミリオ MEMORY−13 前哨戦 V |
- JIN - 2018年03月04日 (日) 23時16分
ベラルーシ。
モギリョフ近郊。
ベラルーシ・ポーランド合同軍事会議。
いかにも苛立たしげな空気の漂う室内。
その中で一人、実に飄々としている一人の男。
やがてその男に対して発せられる言葉の数々。
「なぜあそこで停止した!? ソビエスツキ!?」
「そうだ。あのまま行けばスモレンスクまで行けたはずだぞ!」
それに対し苛立たしげに答える男。ユーゼフ・ソビエスツキ。
「他に付いて来る連中がいなかったからさ。俺たちだけで前進して包囲殲滅でもされたらどうする!?」
その剣幕に押されて言葉を失う一同。
「それにクルスク平原でウクライナの北部軍が大打撃を受けたというじゃないか。そう聞けばそれ以上下手に動けるか。クルスクやブリヤンスクからの内通の話はどうなったんだ?」
「それは…」
「まったく動かん」
「くそ! 何をやってるんだ! あっちの連中は!?」
「それは帰って欲しくないだろうからな」
「なんだと」
「まったく。あのティベリウスという奴は食えない奴だぜ。そもそもユーロ・ブリタニアがあそこまで大きく進出できたのは防衛すべき軍や上の連中がろくに抵抗もしないで逃げ出したからだ」
「…」
「それがどうした」
「知ってるくせに。北ユーラシアを通過地としか考えなかったユーロ・ブリタニアはその統治と経営を一人の男に任せた。それがティベリウス・リチャード・ハイランド。奴の巧妙なところは、我先に逃亡した連中の残した財産を接収すると、鉱山などの最重要部分を除いて、その多くを有償無償で残された連中に譲渡してしまった。分かるだろう。そうなれば現地の連中もその共犯になり、新たな財産を守るため協力せざるを得なくなる。それが嫌ならその財産売却を認めるか? そうすればあるいは内通させられるかも知れん」
「そうはいくか」
「こちらの協力者にはあっちからの脱出者も多くいるんだ。そんなことしたら大変な事になる」
肩を竦めるユーゼフ。
「なら正面からの力押しで圧倒するしかないな。そうすれば中の連中も命惜しさに呼応するかもしれんし。しかしいいか。分かってるのか。これは明らかに罠だ。罠を狙ってる以上、奴らには相当な成算があると見るべきだ。とにかく俺たちはもうベラルーシの全土を解放したんだ。こちらがこれで矛を収めればあちらの連中はこれ以上の再侵攻の理由を失う。やめるわけにはいかんのか?」
重い沈黙。
その中にはどうしても未練が立ち込める。
それに対して吐き捨てるユーゼフ。
「どうしてもやりたいならやれ。ただし現実問題としてスモレンスクを落とすには戦力が足りない。どうしてもウクライナからの助勢が必要だ。そこのところはしっかりやれよ」
「分かってる。現在ウクライナの軍事評議会にその旨を働き掛けているところだ」
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