【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中

お気楽極楽なSS発表会

(ログ数の節約のため、管理人からの返信はありませんが、全ての作品に眼を通しています)

ホームページへ戻る

名前
メールアドレス
タイトル
本文
URL
削除キー 項目の保存


こちらの関連記事へ返信する場合は上のフォームに書いてください。

[38074] コードギアス 戦場のライルB2 Inside Story 『Past Episode−3 決意する少女』
Ryu - 2018年03月02日 (金) 23時54分

ユーロ・ブリタニアの大貴族軍による急襲を受けたとある軍基地、基地からの緊急要請に応えた周辺の外人部隊が増援に駆け付け一戦交えていたのだが、ようやく明け方になって相手側が撤退して終わった所である。

兵士達が周辺や基地状況の確認や負傷者達の手当、死亡者達の処理を行っている中、司令部があったと思わしき場所にてこの基地に応援として駆け付けた3つの外人部隊の隊長達が、状況の総括や今後の展開についての打ち合わせを行っていた。

「結果だけを見れば連中を追い払ったと言えるのだろうが、本来の目的を考えれば任務としては失敗同然だな」

「ああ。アイツら途中から基地の占領が不可能と判断したのか、基地の破壊に目標を変更しやがったからな…派手にブッ壊しやがって」

「司令部は全壊、各保管所や倉庫の類も破壊、無事なのは無駄に広い豚小屋ぐらい…軍基地としては再起不能だろうな」

「せめてここの連中がもう少しマトモならまだ違っていたけどな」

「言うなって。初手で司令部吹っ飛ばされたんだぞ?戦闘開始早々頭潰された様なもんだろ」

「司令部が射程圏内に入れられるまで気付かなかったというのもどうかと思うぜ?敵が相当出来るのか、ここの基地の連中がカカシか何かだったのか」

「敵の方はどうかは知らないが、味方の方は正解…いや少し違うな。少なくともカカシは逃げたりしないだろ」

彼等3人の内2人は口々に正規軍に対しての悪口を叩きながらも、てきぱきと話を進めている。正規軍の人間が元の基地所属の者どころか、そこまで遠くない場所に展開しているはずの部隊の者達でさえいないのはある意味いつも通りの事である。

「こりゃ爆破して更地にした方が良いんじゃないか?ここまできたら直すよか一から建てた方がまだ楽だろうし」

「そうだな…それが妥当だろうな。上には俺の方から上申しておく。そっちも並行して諸々の準備を続けてくれ」

「了解だ。使えるモンがあれば後でそっちにも回すからよ。んじゃまた後で」

また後程会う事を決め、3人の隊長はそれぞれバラバラの方角に進んでいく。その3人の内、上への上申を買って出た隊長がどうあの連中に伝えたものかと思案している所、懐の通信機から連絡が入った。

「俺だ。…ウェンディか、一体どうした?……何?民間人を保護しただと?」



それから諸々の手配や上への報告等全てを終えたゼラートがある軍用テントを訪れたのは、もう夜になろうかという辺りであった。

そこには折りたたみ式ベッドの上で寝かされているイロナと、その彼女をここに運んできたウェンディがいる。

イロナは静かに寝息を立てて寝ている。ウェンディによればここに運ぶ途中で寝てしまった、いや正しくは緊張の糸が切れたのか気を失ってしまったとの事である。

本来なら療養者用の大型テント辺りに運び込むのが常だろうが、それをせずほぼ個人用のこのテントに彼女を収容したのは発見時の彼女の姿や精神状態を考慮したウェンデイの判断である。

「詳細についてはまだ何も聞いてはいません。聞こうにもまずは彼女が落ち着いてからでは無ければ…」

「そうだな…もっとも、何があったのか大体予想出来てしまうが」

「ッ……!」

ウェンディは爪が掌に食い込むほど強く手を握り締める。保護した時の彼女が男性に向ける眼は完全に怯え切ったものであり、この寒い中衣服も無くシーツで身体を隠す有様……彼の言う通り、何があったのか理解できてしまう。

現に外人部隊の間では避難民への略奪暴行事件が発生している事が噂されており、ブリタニアの連中による仕業だと断定出来る物もあれば、一部の正規軍の連中や同業者達…避難民達を攻撃するのではなく保護する側の者達が起こしたであろう事も確認されている。

「ん……んん………」

するとベッドの上から声が聞こえ、目を向けるとイロナが起き上がろうとしていた。どうやら目が覚めたようである。

「あれ……ここは……っ!?」

しばらくぼんやりした様子で周囲を眺めていたが、その目が『何か』を確認すると途端に顔色が悪くなり、気のせいで無ければ息が荒くなっている。しかもその『何か』を見てからずっと下を向いて肩を細かく震わせている。

「……俺は居ない方が良さそうだな、後は任せる」

それだけ言ってイロナが見た『何か』であるゼラートがテントから去って行き、その場には女性二人だけが残る。

「…さっきの人は?」

「私の上司でいまあなたが保護している部隊の隊長よ」

「部隊って…正規軍の様な?でも軍服の色が?」

「ええ、違うわね。少なくとも貴女が知る正規軍とはまた違う軍隊だから」

そうやって少しずつ彼女の質問に簡単に答えていき、自分からは彼女に対して今は何も聞かなかった。今は彼女の胸中の不安を和らげるのが最優先であって、思い出したくないであろう昨晩の事を穿り返すべきではないからだ。

「あの…このまま私って……」

「…ええ、普通に考えるのなら体力が回復次第、避難民として正規軍に引き渡すべきなのでしょうけど」

「嫌!!」

半ば悲鳴にも近い声でイロナが拒絶する。その態度でやはり正規軍が彼女に、いや避難民に何をしたのかが伺い知れてしまう。

「絶対嫌……!あんな奴らなんかに引き渡されたくない……!」

「でもここにいても命の保障は出来ないわよ?私達は今戦争に参加して戦って殺し合いを行っている。いつまでもここにいたら巻き添えを受けて死んでしまうかもしれない。いくら保護された民間人だと言ってもそんな事は何の助けにもならないのよ?」

「…」

兵士では無くたまたま保護された民間人だからと言って、相手の弾が彼女だけを避ける訳が無い。その点後方にいる正規軍に引き渡した方が安全が確保されるのは間違いでは無いのだ……ただし、連中の実情を考えなければの話だが。

そしてその実情を知った彼女からすれば、寧ろここにいた方がマシだと考えているのかもしれない。どの道今は時間が必要だろう。

「…まずはじっくりと身体と心を休めなさい。話はそれからよ。それと…」

「?」

ウェンディが屈んでイロナのそばに座り、そのまま彼女を優しく抱きしめた。突然の行動に抱きしめられた彼女は少々呆然としている。

「貴女以外の避難民の事も含めて、ごめんなさい。辛い思いをさせてしまって…今更遅いし、許さないかもしれないけど……そしてここにいる間は私だけでも貴女を護るから…正規軍と同じで信用できないかもしれないけど」

絞り出すような彼女の謝罪は抱きしめている彼女だけでなく、正規軍時代にも救えなかった避難民達への物も込められていた。相手からすれば「何を今更」と罵倒される事だとは思っていても。

そしてイロナは本能から信頼して安心できる人間と出会えた事を理解し、加えて故郷を追われてからの事も思い出したのか抑えていた感情を抑えきれず、眼から大粒の涙を流して静かに泣き続けた。



それから数日間、イロナは保護された避難民としてこの部隊と行動を共にした。

体力自体は早々に回復した為、本来ならその時点でウェンディの言う通り安全な場所に送るべきであるが、精神状態に難有りだった為滞在期間が延びたのである。

動けるようになってからの彼女は、いつまでも護ってもらうだけの自分に抵抗があったからか、あるいは今自分が抱えている男性恐怖症をどうにかしようと思ったのか、自分のいる部隊の雑用事を率先して手伝う様になった。

最初こそやや戸惑ったり、複数名の男性に囲まれると喉が潰された様な息苦しさを感じたが、そこはウェンディを始めとする女性隊員のフォローが入ったりして、徐々にこの環境にも慣れていった。

しかし良い事ばかりでも無かった。2回程戦闘行為が発生し、彼女は特に傷つく事も無く終わったものの知った顔、中にはある程度慣れて来た男性隊員の何人かが大怪我して戻って来た。

そして暇なのかどうかは知らないが自分達の部隊にいらぬちょっかいを出し、素人目に見ても危険事は外人部隊に任せて自分達は基本高みの見物な正規軍の態度を見て、元からあった正規軍への蔑視や不信感が更に高まっていった。

そしてある日、前線で連戦続きだったゼラート率いる外人部隊が一旦後方の基地に下がる事となり、撤収準備を行っていた(無論緊急時の為の備えは怠る事は無いが)ある晩の事であった。



「本気か?」

「本気です!」

今晩辺りにでも呼び出してどうするのか聞くかと考えていたゼラートの機先を制して、イロナの方から先に自分の身の振り方をどうするのか伝えに来たのである。

そして彼女は静かながらもはっきりと言った。「この部隊に入れて欲しい」「雑用だけでなく兵士としても戦うから」と。

もし一種の興奮状態のままに喋ったか、生半可な態度や言葉で決めたのであれば問答無用で拒否する所だが、少なくとも目の前の少女は本気も本気、それも答えを促す前にしっかりと自分の言葉で思いを伝えて来た。

「それに民間に戻ったって安心できないし、何よりあんな連中に護ってもらうなんて絶対嫌だし、それに…何も出来ず護られてばかりで、ただ震えるだけの存在になりたくないから…」

確かに避難民の立場の弱さを考えれば、民間に戻れても安心できる訳も無い。まして家族や親戚もおらず事実上の孤児…そういった稼業に精を出す連中からすれば「いなくなっても大丈夫」と見られ後はお察しだ。

もう目の前の少女からすれば、正規軍もE.U.政府も信用できない存在へと成り果てているであろうことは、時折口にする連中への発言からして疑いようもない。

「誰かが死ぬのは日常茶飯事、時には正規軍の連中と嫌でも関わる時もあり、ヘドが出る任務を請け負わされる事も多々、要は今までのお前からすれば理不尽だらけの生活を送る事となる。それでも選ぶのか?」

「選びます!」

敵でも見る様な感じで睨みつけてゼラートはイロナに問い質すも、彼女は負けじと睨み返して答えた。ここで目が泳いだり逸らした様ならどの道長く無いだろうから適当に扱うつもりだったが…こいつは違うな。

「…入隊手続きの方は済ませておく。だがこれだけは忘れるな。半端な気持ちでいたらすぐ死ぬぞ」

「…はい!」

「なら今日はもう休め。明日からは色々と忙しくなるぞ…泣き言は一切聞く気は無いがな」

それだけ言ってゼラートは彼女に背を向けて去って行き、後ろの方で逆方向に向けて走っていく足音が聞こえた。彼はそのまま自分のトレーラーに戻らず、自分達が話していた場所の近くにあった軍用車へと近づいて行った。

「隠れて立ち聞きとは趣味が悪いな」

「…申し訳ありません」

車両の陰にはウェンディがおり、先程の一部始終をしっかりと聞いていたのである。

「あの子…どうでしょうか?」

「今は何一つ期待せんよ。だが時が経てばその限りでは無い、あの強い意志を持ち続けて折れなければ…結構良い線行くだろうな」

もっとも結局は本人の才能や運も絡んで来るが、と最後にゼラートは付け加える。確かに自分を手伝ってくれている間も中々呑み込みが早かったし、反射神経等も悪くはない。それはウェンディも認めている。

だけどやはり正直な気持ちを言えば、彼女には民間に戻って静かに暮らして欲しかった。あの小さい手は少なくとも銃やKMFの操縦桿を握る物じゃない…こんな所に居ていい子じゃない。

でも薄々彼女がどうするか決めているのを察していても、何も言えなかった。そもそも彼女がここにいる原因を作ったのは他でも無い、自分達E.U.なのだから。

しかも正規軍時代には、彼女の様な避難民達を事実上見捨てた事も何回かあった。上からの命令もあったにせよ『国の為』『軍の為』だと自分に言い聞かせながら…その事を思うと、彼女の道を止める資格が自分には無いと、そう思えてしまうのだ。

本当に…私は一体今まで何をしていたのだろうか。何一つ為せず、汚名を被ったままここに来て、今こうしてかつての自分が何をしていたのかをまざまざと見せつけられて…彼女の心の中はどこまでも暗くなっていた。

[38075]
Ryu - 2018年03月03日 (土) 00時00分

前回の続きでイロナ加入回。ちなみにアサド&アレクシアはこの時点ではまだ加入前(アサドは別の外人部隊所属中、アレクシアはまだ正規軍所属中)。

ゼラート&ウェンディも本篇で描写された様な深い仲にまではまだ発展していない状況。彼女視点で彼の事は「何だかんだで良い上司」的な認識。発展していくのは今後の予定。頑張れたらウェンディの過去回で入れておきたいですが。



健さん

まあ小柄ながらも出るとこしっかり出て、メリハリある身体な為ルーカスみたいな連中からすれば垂涎物なのがイロナ。そういう連中に確保されれば間違いなく終わっていただろうなと。

…どうでもいいとは思いますが、(確か)同年代で同じく小柄、でもスタイルの差は歴然なアリアと対面させたらどうなるか気になる所。

少なくとも玉城はゲスな人間ではないでしょうが、如何せんイロナからすれば第一印象は悪いだろうなと。

ただ結局イロナもライルに対しての発言や、ウェンディからも言われた様に「気に入らない相手に対しては攻撃的」という点で、傍から見れば旧日本組とそこまで大差無いと言われてしまえば否定できませんが。

[38077]
健 - 2018年03月03日 (土) 00時25分

正に、イロナにとってはウェンディやゼラートがユキヤにとってのリョウとアヤノだったことが伺える。

それにしても、略奪。ああ……行村がやる展開が目に浮かぶ。全く、日本だけさも高潔に描いて………ああいう独善的で腐った日本軍人欲しかった。

でも、ウェンディがライルに会ったらどうなるんだろう?ベクトルは大分違うが、似たようなもの抱えてるし……男女とは行かなくても気は合いそう。





[38078]
JIN - 2018年03月03日 (土) 23時24分

まさに別バージョンでのアンダー三人組ですよね。

こういうのが世界観を広げるという感じなだけに。

その意味での外伝の新キャラの今後も注目ですが。



Number
Pass

ThinkPadを買おう!
レンタカーの回送ドライバー
【広告】楽天市場にて 母の日向けギフト値引きクーポン配布中
無料で掲示板を作ろう   情報の外部送信について
このページを通報する 管理人へ連絡
SYSTEM BY せっかく掲示板