[38064] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-24『潜入…前編』 |
- 健 - 2018年02月25日 (日) 19時01分
ライルは同じ色、しかしロングヘアのカツラと緑のカラーコンタクト、眼鏡で変装していた。ヴェルドからは「そっちの方が良いじゃん。」とからかわれたが、素顔より変装の方が良いという褒められ方はあまり嬉しくなかった。
当初はホーネット家の警護というつもりだったが、現在本宅から離れて庶民暮らしをしている二人の警護というのは説得力がなかった。そのため、友人役としてライルは入る事になった。
案の定、あっさりと入る事が出来て、ライルは入る。何度かカジノにも招待されたが、ここもまたきらびやかだ。そして……
「嫌な空気…」
「言うなよ。」
よく見れば、見覚えがあるような顔もある。貴族、或いはマフィア……全く、ナイトポリスの導入で本国で活動が苦しくなったかと思えば………『世の中金と権力が全て』とかいうやつか?
だが、それで大体の事が動いてしまうし、ライルもそういった手を使わなかったわけじゃない。それが余計に苛立たせていた。
「まあ、抑えてください。ちゃんとやる事はやりますから、殿下も……ここのカジノ、気に入ったバニーをお持ち帰り出来るんですよ?」
コローレの耳打ちに、ライルは表情を歪めた。
「……この私に、ゲスな男の真似をしろと?」
「他に手がないっしょ…有紗ちゃんとプライド、どっち取るよ?」
…答えるまでもない。有紗だ。
「クリスタルも潜り込んでるから、まあ探しながら楽しみましょう。でないと、疑われます。」
「……努力する。」
考えられる展開も、その備えも用意してある。後は、何事もなく有紗達を見つけられれば言う事なしだ。
有紗は羞恥と恐怖に震えていた。誘拐されたかと思えば、このカジノのバニーをやらされ、しかも買われるかもしれないのだ。IDも抹消され、優衣と涼子、更にノエルまでが同じ扱いだ。
ライル様……
いない人を思いながら、有紗は自分が気に入られない事だけを祈っていた。だが、自分でもある程度自覚がある豊かな身体に男達の欲望は向けられていた。
「今頃、殿下は腸が煮えくりかえっているだろう……」
「賭けにもなりませんね。」
ゲイリーの憂鬱に長野も同意する。エリア11での誘拐事件でライルは政庁で暴走しかけ、実際に暴走したのだ。スイッチが入ったらどうなるか分かった物ではない。
「しかし……どうして、貴女が?」
待機している兵士達の中にはサラが混じっていた。彼女の証言の裏付けがとれたのだが、無論立場と事情のために監視されているのだ。
「あの人に嫌われたくなくて……それに、有紗達にもしもの小田があったら、きっと……泣くから。」
なるほど……好意を寄せる男の涙…そして、ばれれば嫌われる相手だという事を分かっているからこそ、か。
「殿下が好感を持つだけありますね……家だって只ではすまないのに。」
「私にだって跡取りなりの矜恃と美学があります。先代の当主が何か不正をしたのなら、それも正さないといけません。」
若いな……私にもそういう時期があったか?
ゲイリーはそんな回想をしながら、ライル達の様子をハッキングされたカメラ映像で見ていた。
ライルは周囲を見回していた。すると……
「お飲み物はいかがですか?」
震えているような声とその顔で相手が誰かは確信した。
「……だと思った。」
クリスタルだ……礼によってバニーだが、有紗以上に起伏に富んだ豊満な肉体がその衣装で際立っていた。胸などサイズがあっていないのでは、と思うほどだ。
が、ライルはわざと乱暴にその手首を掴んだ。
「ほう、上玉だ……楽しめそうだな。」
意図を察したのか、クリスタルも怯えた表情になる。が…ライルには見え透いていた。
「い、いや…」
「拒否権などないね……そもそも、お前は我がブリタニアの所有物…ひいては私の物なのだよ。」
店の関係者を呼び、クリスタルに手錠をかけた。勿論、鍵はライルが貰っている。
「他にも探したいのだが、良いかな?」
「はい、どうぞごゆっくり。」
自ら手錠の鎖を引くが、ライルは本来の顔に戻る。
「有紗達は?」
「いました……あの子達も可愛いし、スタイル良いですからね。早く見つけましょう。」
「ああ……で、よく私だと分かったな。」
「顔を見れば分かります…嫌らしい男の目じゃないんですもの。」
「そうですか…」
全く、上手く誤魔化しているつもりだったのだが……彼女ほど付き合いが長いと、すぐにばれるものなのか?
|
|