[38043] コードギアス 戦場のライルB2 SIDE OF WARFARE『貢ぎ物の執念と喜び』 |
- 健 - 2018年02月18日 (日) 16時29分
羽田美恵がアーネスト・N・シェーリンに引き取られて半年ほど……最初は人種と性別の両方で大勢から軽く見られていた。だが…今はそんな文句を言わせないまでに成長しており、シミュレーターとはいえ、『四大騎士団』のエース級を負かした。
それでも………
「全く、シャイング郷といいあの娘といい、イレヴンのくせに生意気な。」
「シェーリン郷もよくあのような娘を……否、中々の娘だ…それで取り入ったのだろうよ。」
すると、聞こえていた美恵は敢えてその貴族達の元へ歩み寄る。
「ええ、半分正解でしてよ?」
たっぷりの侮蔑を込めて、睨み付けて笑う。
「13歳で親に麻薬の代金代わりに売られて、15歳でそちらの貢ぎ物……加えてこの身体ですもの………若くて凜々しい方のお相手で安心しましたわ?」
「ほう?やはり女特有の手を使ったのか?」
「でもね……貴方方にお分かりかしら?親に捨てられ、自分で何でもして生きてきた子供の気持ち……高貴な貴族様には絶対に分からないでしょうね?お恵みを頂いて、取り上げるのが当たり前ですもの。」
「貴様!」
騎士の一人が剣に手を掛けるが、美恵は睨み付ける。
「あら、イレヴン如きの戯言に剣を抜くなんて……本国やユーロピアの俗物共と同じですの?」
本国、更にはE.U.政府と同類扱いされては流石に黙るしかなく……
「イレヴンの戯言だ、聞く必要などない。」
美恵は最後まで見送らず、舌打ちをして去って行った。
今、エリア11ではゼロと名乗るテロリストが暴れており……E.U.のイレヴン達にも少なからず影響を与えている。だが、美恵はどうでも良かった。
興味があるのは、今頃はのたれ死にしているであろう両親を嗤うことだけ。あの時、捨ててくれたおかげで自分は良い暮らしが出来ている。貴族のメイドとして仕え、騎士として剣を振るっている…何より、愛する人と肌を合わせられる。女としても、人としても充足していた。
「死体で転がっていたら、踏みつけるくらいしてあげないとね。」
アーネストはサンクトペテルブルグで『四大騎士団』の総帥の一人、アンドレア・ファルネーゼと対面していた。
「それで…例のイレヴンの娘は?」
「はい、恐ろしい成長速度です。実戦への参加もまだ多くないのに、既に我が軍で指折りの実力となっております。」
本当に、恐ろしい……その根幹もアーネストは知っている。
「………確か、両親に捨てられたのだったな。」
「はい……あのリフレインの代金代わりだったそうです。」
全く、気が滅入る話だ……ブリタニア統治下のエリアでもナンバーズ間であるという話はあまりない。むしろ、彼らは肩を寄せ合ってか細く生きている。アーネストはそう思っていた……だが、まさか………
「実の親に裏切られ、今あの娘は正に行き場のない憎しみを抱いています。」
そう、復讐したい両親は今どうなっているか分からない。だから、E.U.軍や血統主義の『ユーロ・ブリタニア』の貴族を相手に暴言を吐いて八つ当たりをしているような物だ。
「あの娘は我々貴族が想像も出来ないような地獄を生きてきていたのでしょう……だから、今私には彼女の絶望を受け止めることしか出来ません。」
それしかできない……抱かれることを願った彼女を抱いたのもそれがある。が、彼女に何かしらの魅力を感じたのも事実だ。
しばらくして、美恵はアーネストに呼び出された。何だろう?何か怒らせるようなことをした覚えはない。
「美恵…今日が何の日か知っているか?」
「…いいえ?」
すると、アーネストが懐から何か取り出した。
「開けてみろ……」
小さな箱だ……開けてみると、そこには銀装飾の十字架のネックレスがあった。
「16歳の誕生日だろう?少しくらいは飾った方が良い…」
「あ…」
そうだ…今日は誕生日だ………あれ以来、そんなことなかったからすっかり忘れていた。
「ありがとうございます…アーネスト様…!」
美恵はアーネストに抱きつき、そのまま唇を重ねた。が、アーネストは美恵を放す。
「少し慎め…」
「嫌です……アーネスト様以外の男なんか知りません。」
個々にアーネストの部下達がいればどうなっていたことか……だが、美恵はそんなことどうでも良かった。
「分かった……時間は作ってやるから、少し待て。」
その晩……美恵はアーネストにいつも以上に激しく抱かれることを望んだ。15、否16とは思えないほどに大きく形も良い胸を揉み、優しく抱きしめてくれた。美恵もかつて邪魔だった胸にアーネストの顔を埋めてもっと乱暴にされることを願った。
美恵自身に限界が来ても、美恵自身がそれを求め続け……壊れることさえ願い、いつの間にか意識を失っていた。
朝になり、美恵は身体が思うように動かないことに気づいた。そうだった…昨晩、何度も何度もアーネストに抱かれ……いや、自分が求めたのだった。でも、本当に幸せだった………壊れるくらいに抱いてくれて、愛してくれた。
まだ脇でアーネストは眠っている……戦場に立つ凜々しさがどことなく感じられる寝顔に美恵は寄り添った。
幸せだ……こんな風に、誕生日に愛する人に抱かれて…朝を迎えられる。
ああ……この人に貢がれたのは本当に運が良い………あいつらがまだのたれ死んでいないのなら、思い切り自慢して見下してやろう。
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