[37945] コードギアス 追憶のエミリオ intermission 紹介 |
- JIN - 2018年01月09日 (火) 23時59分
「ダリア様!」
インターホンと共に、飛び込んでくる一人の士官。
いかにも慌てて急いで来たといった感じで、全身で息を切らせている。
「どうしたの。マティアス?」
訝しげに飛び込んで来た副官の顔をマジマジと見上げるダリア。
「あ。いえ。その…」
じっと見つめられた視線を浴びて、いかにも身の置き所が無いといった感じ。
それでも何とか必死で声を絞り出すように。
「あ…そう、例の『ルブリンの御方』がいらっしゃったと聞きまして…」
「あ。例の『破約』の挨拶みたいな物よ。もうここに顔を出すことは無いでしょうね…」
少し遠くを見るかのような表情。
それに対して、いささか不満げな副官。
「どうして、一緒にいさせてくれなかったんですか?」
それを見て悪戯っぽい表情を浮かべるダリア。
「あくまで個人的な用だからよ。あら。心配なら、貴方が貰ってくれるかしら? この私を?」
「ええ!? あ、あの…その…」
「冗談よ。心配しないで。私はポーランド人もだけど、リトアニア人と結婚する事もないと思うから…」
「え…?」
肩をすくめるダリア。
「昔のユーロピアのあった時代とは違うわ。今のリトアニアは大海に放り出された孤島みたいな物よ。気位ばかり高くても実力の無いポーランドと組んでは捨石にされるのが関の山よ。リトアニアが生き残る道としては、まず小さいレベルから確実に積み重ねていくしかないわ」
「例の『バルト共同体』論ですか。しかし、それだけでは」
「もちろん。それだけでは十分じゃないわ。それでもそれが出発点になるのは間違いないわ。そのためにも…」
「御自身の御身を使われると?」
「ええ。幸いにも我が家はユーロ・ブリタニアも認めてくれた旧大公家。国のためにそれを使わない手は無いわ。それにエストニアとラトヴィアの二国はリヴォニア地域として関係も深い。なんとかそこに食い込む事が出来れば。場合によってはヴィテニスにも協力させる事にもなるかもだけど」
「…」
複雑な表情の副官。
その心境を彼女なりに解釈しながら。
「あ。そうそう。それにも絡んでだけど。実は今、新しい子たちが来てるところなの。いま呼んだわ。ちょっと待ってて」
「…」
やがて正面のドアが開き、外から入ってくる少女と少年。
それぞれに特異な別個の制服をそれぞれに着用している。
「貴方たちの任務の先輩にして教育係のマティアス・エルガー・ラヴィナス少尉よ。ご挨拶なさい」
「はい! ラトヴィアから参りました! アグネス・クールラントです!」
「エストニアから参りました! ハーラル・クロイツヴァルトです! 以後、お見知りおきを!」
「…」
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