[37851] コードギアス 追憶のエミリオ intermission 条件 |
- JIN - 2017年11月19日 (日) 12時45分
ワルシャワ市。
某所。
密室の中で語り合う二人の男。
一人は冷静に。
一人は苛立たしげに。
「やはり動かんのか。リトアニアは!」
「まあいろいろと探りは入れてみたが。やはり焦点は交換条件だな」
「ヴィルノか?」
「はっきりとはいわんが。明らかにそれだな。少なくともそれかそれに匹敵する物を要求しているのは間違いない」
「話にならん!」
「駄目か。やはり。考えても見ろ。我が国にもあそこは確かに重要だが、旧首都でもあったリトアニアには及ぶまい。今は譲っても将来に取り返すとか考えてみたらどうだ」
「おいパデレフスキ。おまえ頑固なのは俺一人だと思ってるようだが。議会も含めて指導部、いや国民のほとんども俺と同感だぞ。『一度取り返した領土は誰だろうと絶対譲らん』とな!」
「ならばどうする。リトアニアがこちらに付かねばケーニヒスベルクの攻略だけでなくエストニアやラトヴィアとの連絡にも不都合が生じる。そうなればサンクトペテルブルク攻略など不可能だ。いっそ諦めるか?」
「そうはいくか!」
「ならばまずリトアニアを制圧するか。無理だな。現在でもリトアニアとケーニヒスベルクの旧帝国艦隊勢力は水面下でつながっている。そうなれば旧帝国艦隊はリトアニア救援を大義名分にして我が国の沿岸を攻撃する。あそこに匹敵する海軍力はまだこちらには無い。また超合集国連合の非難はむしろ我が国に向かう」
「…」
「かといって残された時間は少ない。旧ロシア地域の内部蜂起も起こらず、ベラルーシ方面は押し返され、ウクライナの北部方面軍も進撃を止められた。このまま行けばヴェランスの現地覇権は確実。そして新国家樹立となる。そしてそれは既成事実として超合集国連合も受け入れるだろう。それは我が国にとって決して得にはならない」
「そこをなんとかならんか! こちらが譲らずリトアニアを動かす方法は!?」
「『領土』以外なら問題は無いか?」
「ああ。それを持ち出せば他の連中は否は言えんだろうな」
「ならば我が国の全軍を挙げてベラルーシの救援を行うんだな」
「なに!?」
「ベラルーシ軍を押し返しているGCの部隊はおそらく旧国境を越えて防御の容易なドニエプル線まで再進出するだろう。それを名分にしてベラルーシ救援のための全面介入を行うんだ。そうなればリトアニアも孤立を恐れて、むしろ向こうから組みしてくる可能性がある」
「『バスに乗り遅れるな』、か」
「そうだ。しかしそれには我が軍が一気に押し出し、旧国境を越え、そのままスモレンスクを落とせるくらいの勢いを示さねば駄目だ。出来るか?」
「やってみせるさ」
既に様々な戦術構想でも考え始めたような相手に、苦々しげな表情で警告をするパデレフスキ。
「いいか。ベック。俺は可能性のある代案を出せというから答えたんだ。あくまでこれは一種の賭けだぞ。もし敗れればヴィルノだけでは済むまい。そこも忘れるなよ」
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