[37844] コードギアス 戦場のライルB2 SIDE OF WARFARE『終わりの序曲』 |
- 健 - 2017年11月19日 (日) 00時14分
『ロンスヴォー特別機甲連隊』ではブリタニア本国から皇族達が間もなく戻るという報告が入っていた。ならば、することは一つ。首都防衛への備えだ。しかし………
「『ヒポグリフ隊』は後ろぞなえ!?」
クラリスが机を叩いて立ち上がり、通達に来たマスカールも頷く。
「ああ…君達は本陣近くに備える案が検討されている。」
「あのクソ親父…この期に及んで!!」
後ろにいたゼラートや海棠も流石にため息をついていた。
「外人部隊や日本人が最前線で各国正規軍は後ろ、何のための精鋭部隊よ!?」
「安定しているけどね。」
海棠の冷ややかな回答をクラリスは睨み付けた。
「こっちは真面目に悩んでるの!?」
「……父に進言してみてはどうだ?」
池田の提案をクラリスは聞くか悩んだ。
「前線に出してって頼んで聞くと思うの?」
「大佐がブリタニア皇子と互角に戦う女傑で革命に賛同した貴族の末裔、それがポイントだ。」
待てよ…それはつまり。
「なるほど、普段偉そうに言ってるくせにあいつ自身はやらない『ノブレス・オブリージュ』を私がやって生き残れば良い。」
「そうだ、博打ではあるがな。多少の命令違反もあの上層部なら見逃すだろう。郷に入っては郷に従えだ。」
なるほど、どうせ腐った正規軍だ。今更何があったってお咎めなしだろう。
「良いわね、そういうの…」
「……開き直りましたか、大佐?」
ドリーセンの問いに「ええ。」と答える。
「私としてもあの第八皇子様ともう一度戦えるなら願ったり叶ったりよ。」
大体、相手は第八皇子に加えて『侍皇子』と『双剣皇女』もいる。対処しきれない分がこちらになだれ込むこともある。それは最悪の状況なので、後は運と現場の判断ということになる。
ブリーフィングは行ったが、もういつも通りだ。真面目に聞いたと思ったらすぐさま外出か基地のバースペースだ。
「ふん、ようやくこの日本解放の勇士の力を示すことが出来る。」
中佐に昇進した行村はイタリアの准将と共に酒を飲んでいた。側には連れてきたイレヴンの少女が寄り添っている。
「あのような愚か者共の手などいりません、准将。」
「心強いな、行村中佐。それで…万が一の場合は?」
「ふん、その時は速やかに我々は後退するのです。我々はここで死んで良い存在ではない。あの総隊長も欲しいものなのですがね。」
だが、ルーマニアの少佐が「無理ですよ。」と酒のグラスを片手に言う。
「あの女は何人もの男を振っているんですよ?いくら中佐でも無理ですって。それより、どうせならば『双剣皇女』や『洗脳皇子』の女共ならどうです?」
「ほう、確かに『双剣皇女』の姉も妹もなかなかの物だ。情報では妹の方が畑方秀作と懇意だと聞く。色目でも使われたかな?」
『洗脳皇子』以外に理由があるとすれば、それしかないだろう。
「第五皇子もかなりの女を手込めにしているが、真の勇士にこそあの総隊長や第八皇子の女達は相応しい。」
そう、全てはこの私の物だ。私はブリタニアから日本を救う勇者。枢木スザクや畑方秀作のような裏切り者や、以前報道で名前が出た長野とかいう売国奴を始末し、そしてゼロをも葬って世界の英雄になるのだ。
時は少し進み……E.U.との戦争がほぼ大勢を決し、情勢が変わった中華連邦とゼロの動向に本国が注目していた頃。
「ほう、これは……正に極上だ。」
貴族の一人が眺めていたのは二人の人間……一人は二十歳程、もう一人は17か8という少女だ。二人共、銀髪と赤い瞳が印象的だが何よりも美しかった。一流の女優やモデルといっても通用するだろう。情報で姉妹ということも分かっている。
姉の方は髪が肩まで伸びているが、とにかくその豊満な胸に細い腰と全てがそそられる。今この場で堪能したいが、それは駄目だ。大事な商品とはいえ殺生だ。
かたや妹は髪を背中まで伸ばし、こちらを睨み付ける目が良い。だが、それを従順にしたいという欲望が渦巻く。胸は劣るとはいえ大きさも形もよく身体も細い。こちらも充分によい商品だ。
「これほどの商品はそうそうお目にかかれないだろうな。」
「ええ、E.U.で最高の人気を誇ったダンサーです。エリア24成立後も貴族達が買いたがっていたほどですよ。」
なるほど、これほど美しい姉妹ならば二人共買い取りたくなる。だが、この二人がいた劇場のオーナーは植民地政策に協力的な姿勢を取り、なかなか手が出せなかった。
「マリーベル様がテロ殲滅にご執心なされているからその隙を着いたのです。」
「ほう……で、あの小僧は?」
端にいる銀髪の少年を見る。こちらも大変に美しく、あの年頃が好きな貴婦人に受けが良さそうだ。
「あの2匹の兄弟です。どうでしょう、あれも?」
うむ……普通の従業員にすると同時に貴婦人に売り込むことが出来る。こちらの女共は言うまでもない………最上の見世物だし、五十万ポンドは入るだろう。
そういえば……ある貴族からどうしてもこちらで対処して欲しい件があると言われた。あれほどの名家が一体何を?
ルーカスは舌なめずりをしていた。先程情報で見たE.U.が設立した精鋭部隊、その総隊長が正に極上と呼ぶに相応しい女だ。
この俺様に相応しい……
あれが手に入れば、ここにいる女共も用済みになる。
今背中を向け、逃げたくても腰を掴まれて逃げられないイレヴンの少女を見下ろした。
「俺様がたっぷりと可愛がってやるよ……飽きるまでは。」
「ライル様…大丈夫かしら?」
サラはライルを案じていた。彼の実戦を見たわけではないが、E.U.には思った以上に手強いパイロットもいるという。いくら『狂戦士』や『青き戦神』と呼ばれる彼でも心配だ。婚約者だし、それ以前に……彼を…
ふと、サラは父がここのところ妙な行動をしていることを思い出す。使用人の話によれば、会社でも何かあり、度々来客がある。一体、何をしているのだろう?
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