[37806] コードギアス 追憶のエミリオ MEMORY−11 大中央騎士団 − Grand Central − W (了) |
- JIN - 2017年11月12日 (日) 13時05分
サンクト・ペテルブルク市から発進して数時間。
移動中のG1ベース。
それに随行する多くの車両軍。
同市担当のGC副騎士団長マルケルス・チャールズ・ハイランドが市に残ったため、その代行として「九本槍」の二人、アーマンド・ド・サン・ジルとマルグリット・ド・ヴィヨンがその指揮を取っている。
共に年は若いが、それぞれかつての旧騎士団長の孫や娘であり、それを支えようとする周囲の意識も高い。
その喧騒の中。
「サン・ジル卿! 密航者です!」
連れて来られた小さい姿を見て驚く、もう一人の「九本槍」。
「シーザー!?」
それを聞いて思わず振り返る艦橋一同。
そして慌てて元に戻り、途端に始まるヒソヒソ話。
(おい。シーザーっていえば)
(確かアーウィング副騎士団長の末っ子だろう?)
(ああ。二番目の兄上も「九本槍」の一人だ)
(そしてヴィヨン卿の婚約者でもあるのよね)
(あんなに小さな子が?)
(確か八つ下とか)
(確か婚約者になれば、無理やり片方をモノにしてもいいのよね)
(あーん。羨ましいわね。ヴィヨン卿って)
そんな様々な憶測を他所に、鋭く対峙する二人と一人。
「シーザー…あんたどうして…」
何を言って良いか分からないといった風情のマギー。
「僕も…戦うんだ!」
今にも噛み付いてきそうな声に、思わず身を引く婚約者。
まるで襲われるのを本能的に恐れるかのように。
それに変わって応対するアム。
「意気は買う。しかしはっきりいって今の未熟な君では足手まといの迷惑だ」
そこにいつもの軽口調は無い。
「そんな!!」
鋭い声に物凄い眼光!
まさに幼くとも「獅子」の気迫があたりに立ち込める!
今までいささか舐めていたかのような、艦橋も一気に引き締まる!
しばしの対峙の後、表情を和らげるアム。
「そんなに居たいのならば、ここに置いてもいい。ただし条件がある」
「なんでも!」
「従卒役だ。それもこの艦橋全員のな。タオルや飲み物を随時交換し、各自の仕事の安定を助けろ」
「そんな!?」
またもの攻撃調をあくまで正面から押えるアム。
「君の父上や兄上だったら、もっと扱いは厳しいぞ。違うかな?」
「…」
「返事は?」
幼い牙を必死で噛み潰すかのような苦衷の表情。
そして最後に搾り出される一言。
「…イエス! マイ・ロード!!」
|
|