[37776] コードギアス 追憶のエミリオ intermission 巡行 |
- JIN - 2017年11月04日 (土) 16時34分
ナホトカ。
北ユーラシアの重要な商港であり、旧帝国の崩壊やユーロ・ブリタニアの解体の後は、ヴェランス大公家の管理下にあり、現地勢力と結び付いたインナーたちの管理下にある。
大総領事館。
ハバロフスクと比べれば規模は小さいが、そこでも軽やかな宴や催しが行われている。
そこでは煌びやかなスーツやドレスを身に着けた紳士淑女が派手やかな姿を見せ、現地入りしたナイトオブリングスの面々を迎えている。
一通りのレセプションも終わって、歓談の時間に入り、緩やかな雰囲気が流れる。
時折において不安気な空気も流れるが、主賓たちの平然たる様子に大した波風は立たない。
その中で壁際のバーのカウンターでくつろぐローランスに近づくイースリット。
横顔を扇で隠し、声を潜める。
(ねえ。ロル。聞いてる。ベラルーシの連中。遂に国境を越えてロシア圏内に入ったらしいわよ)
(らしいな)
(らしいって!? アンタ、よくもそう平気でいられるわね)
新たな杯をまた引っ掛けるローランス。
(従兄貴からは「現状維持」の指示しか出ていない。それに中華の動きがどうなるか分からない以上、俺たちは当分こちらの「睨み」だ。分かってるだろ)
(それは分かってるけど…大丈夫なの?)
(従兄貴としては、俺たちリングスに続いて、今度はGCの存在と戦力を思い切りアピールする好機だ。連中としても望むところだろうが)
(それはそうだろうけど)
(俺たちがバタバタ騒げば、むしろ東方が不安定化する。まあ落ち着け。他の連中が羨む「宝物」も手に入れたんだ。そっちじっくりで楽しんでろよ)
顔色を変えるイースリット。
(「宝物」ですって!? あのけがわらしい「汚物」の事!? 冗談じゃないわよ! いい! この私が鼻を摘んでアレを囲ってるのは…)
(なんだ。まだやってないのか?)
(当たり前でしょ! どうして私があんな「汚物」なんかと!)
(その様子じゃ本当のようだな。じゃあどうだ。久しぶりに俺とでもやってみるか?)
一瞬考え込む表情。そして。
(…よすわ。ジ−ベン贔屓のアンタの妹に睨まれたくないし)
(ははは。お前もアイツが苦手か)
表情を広間に巡らす二人。
そこでは残る三人がそれぞれの風情を見せている。
いずれも平然としているようだが、やはり一人の表情はいくらか暗い。
(流石に心配そうね。ツヴァイだけは)
(ああ。GCにはアイツの関係も多いからな)
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