[37733] コードギアス 追憶のエミリオ intermission 傭兵 |
- JIN - 2017年10月14日 (土) 22時24分
ベラルーシ境界近くの旧ロシア領平原。
多くの軍用車両や旧式で雑多なKMFがひしめいている。
そして強い風に煽られた一本の旗。
そこには「盾を抱えた血塗れの獅子」が描かれている。
その中の精悍な男に近寄る若い男。
「バルテルミー隊長。どうやら貴族軍の連中がベラルーシからこちらに向かって引いてくる模様です」
「ティベリウスの読み通りだな。そして調子に乗ったベラルーシの尻軽共も追ってくるか」
「しかし。それにしても俺たちがブリタニア貴族どもに雇われて、元の雇い主相手にやる日が来るなんて。二年前にはとても想像出来ませんでしたよ」
「それが傭兵だ。連中は不払分も含めて俺たちをクビにし、ティベリウスは拾ってくれた。それも当座の分も含めた前渡しの即金でな。まあただそれだけの話だ。不満か?」
「あるはずありません! そもそもユーロピアの連中は、自分たちが起こした『リヨンの虐殺』の責任すら俺たちに押し付けようとした! あの他人を見下し、小馬鹿にしたような連中を思い切り皆殺しに出来るなら、こちらから金を出したいくらいです!」
「おお。怖い怖い」
「それにしてもウスリー方面のギベルディ隊長の方はなかなかの活躍だったみたいですね」
「ほう。おまえもアレに気でもあんのか?」
「いえいえ。下手に目を向けたら思い切り蹴られそうで。それにしても…」
「どうした?」
「今回の規模は相当な物ですね。自分は初めてですが」
「俺もだよ。まったくティベリウスの野郎。どこからこれだけかき集めやがったんだか…」
「一応まとめ役は隊長との事でしたが、大丈夫でしょうか?」
「フン。いくら数を集めようが、傭兵など所詮数合わせの間に合わせだ。正規の連中が頑張ってくれんことにはどうにもならん。まあそれは前の時も分かってるだろうがな」
身軽に台の上に飛び乗り、注目する面々に思い切り声を掛ける男。
「いいか! よく聞け! 俺たちの今度の仕事は! 逃げてくる貴族どもの軍を援護し、スモレンスクから来るGCの連中につなげる事だ! それ以外の余計な『バイト』にかまけるなよ! いいな!」
それに対する様々な反応。
積極的に応じるのもあれば、聞こえないふりをする連中もいる。
それに対し怒る事もなく、ひょいと台から降りるバルテルミー。
走って近づく副官。
「なんです隊長! あの態度は!?」
「怒るな怒るな。チャンドラー。たとえ所帯は小さくとも、連中はそれぞれが一城の主だ。少なくとも同格と思ってるはずの俺の指示なんか喜んで聞きたいもんか。俺が連中でもそうする」
「しかし!」
延々と続く副官の文句。だがそれは全く本意とは関係ない。
(…問題を起こすなら、それはそれでもいい。それを切っ掛けに連中を一気に粛清し、俺の元に強力かつ統一した『傭兵軍』に再編してやる。ま。それこそティベリウスが俺に期待するところだろうしな…)

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