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お気楽極楽なSS発表会

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[37678] コードギアス 戦場のライルB2 BERSERK-9『復讐者と皇女…中編2』
健 - 2017年09月17日 (日) 01時06分

それから…しばらくは小規模な戦闘が続き、双方に甚大な損害を与えられるようなことはなく、秀作の出番もなかった。エリア18から補給を受けるこちらは特に弾薬や食料には不自由はない。更に、エルシリアとセラフィナの交渉で降伏した周辺都市もこちらに靡いている。

確かに、秀作にとってここは悪い場所ではない。あの男の名を持ち出すことは何度かあるが、トップの二人と側近達は少なくともそれや、それらしいことを期待しない。特に…セラフィナはライルと同じ……いや、それ以上に秀作自身に目を向けている。不満があるとすれば、二つ………魔物共と中々戦わせてくれないこと、そして…砂漠における昼夜の極端な気温差だ。

秀作は持ってきた軍服の上にライルが名誉騎士候となった暁に与えたマントを羽織っていたが…それでも寒い。砂嵐に文句を言っている者もいたが、秀作はむしろこの寒さと暑さの差が堪えていた。

「秀作。」

野営地近くの岩場に座る秀作に声をかけたのはセラフィナだ。彼女も普段の制服の上にマントを羽織っている。

「隣、いい?」

「…好きにしろ。」

確かに、岩場は人二人が座るだけの大きさはある。尻の感触が少し痛いが、マントで和らげることが出来る。

「やっと一緒に星が見られるわね。」

そういえば…着いた時にそんなことを言っていた。何気なく、空を見上げると、そこはまさに満天の星空だった。租界やゲットーで見上げる星空とは段違いだ。

「綺麗ね…明るい都会とは大違い。」

「…ああ、悪くない。」

何気なく、口にした言葉にセラフィナがあっけにとられたような顔でこちらを見た。

「…なんだ?」

「ごめんなさい……まだ会った頃、私の離宮の庭で一緒に星を見たでしょ?……その時は、『くだらない。』の一言だったけど…今は『悪くない。』って言ったから。」

言われてみれば…そうだ……星を見て綺麗だと思ったことなど、幼稚園の頃以来だ………父も母も星を見るくらいなら訓練をしろなどと言う始末…………休日に遊びに連れて行くことなどなかった。幼稚園や小学校の行事すら休ませるほどだ。

「良い傾向よ…それ。貴方が人らしい感情を持っているってことなんだから。」

人らしい?何を言っている?

「おい…俺は生まれていない。日本の魔物共を根絶やしにしないと、俺は生まれない……」

すると、突然セラフィナが表情を厳しくした。その変化に秀作も一瞬、怯んでしまう。すると、セラフィナは秀作の前に出て両膝を突き、両手を秀作の顔に添えた。

「ねえ、秀作。貴方はもう生まれているのよ?」

生まれている?俺が?魔物共を根絶やしにしていない、俺が?

「貴方を縛り付けているお祖父様やご両親が亡くなった時…貴方は本当の意味で生まれているの……」

次第に、セラフィナの目から涙が溢れてきた。

「どうして…そう考えられないの?貴方は復讐を果たして生まれられると言っていた……違うわ。復讐のために生まれたの………復讐のため、というのは悲しいけど…それでも、貴方が『将軍の孫』じゃなくて、『秀作』として生まれたの。」

「俺が…復讐のために、生まれた?俺は…もう、俺?」



それは、セラフィナがずっと抱いていた疑問だ。何故、彼は復讐に拘るのだろう?復讐を果たしても永遠にその呪縛からは逃れられない……本当の意味で呪縛から逃れるためには、秀作が自分が生まれているという意識を持つことなのではないだろうか?

「私はお母様のお腹からエル姉さんの妹として生まれて……セラフィナという名前を貰って…兄さんと遊んだりした………自分で軍人になった。貴方は小さい頃から、『将軍の孫』、『親の有能を証明する子供』という道具だった……でも、ご両親もお祖父様も亡くなって、貴方を縛る本人達がもういない。残っているのは貴方が貴方として生まれて、生きるのを認めない人達……その人達に復讐を、貴方が貴方として生きるのを認めない人を滅ぼすために本当の意味で生まれた…貴方の人生………そういうことじゃないの?」

映画や小説でもよく言う、復讐からは何も生まれない。それは現実論だと思う…死んだ者が生き返らないのと同じだ。だが…秀作は違うと思う……復讐のために生まれ、それを遂げた時に秀作は新たな秀作としての人生を歩むことが出来る。

「貴方はもう、自由なの……自分の意志で復讐を決めて、軍人になった。貴方の意志でしょう?」

涙で秀作の顔がかすんで見える…だが、秀作が困惑しているのだけは分かった。

秀作がゆっくりとセラフィナの左手に右手を添える。

「俺にそこまで言ったのは…お前が初めてだ。ライルも俺に奴の名通りの働きを求めないとしか言わなかった。」

「兄さんは優しすぎるから……貴方に遠慮したのかもしれないし…貴方のその執念が怖かったのかもしれないわ。でも……兄さんも貴方をそう見てくれるはずよ?」

「……お前が何故、俺にそこまで入れ込むのか………俺自身…お前のことを考えると、妙に落ち着かない…その意味も理屈も分からない。」

「秀作…」

「だが………そこまで言われたら、俺を雇ったあの男ならこう言うのだろう…『ありがとう』。」



クレアは暗視装置を手に、セラフィナと秀作のやり取りを見ていた。声は聞き取れないが、中々に良い雰囲気だ。

「貴女も見る?」

「プライバシーの侵害よ?」

不快そうな口調でエルシリアが返し、母艦へ戻ろうとする。

「意外ね…あの二人を引き離そうとすると思った。」

「私だって人の子よ?あの子がそういう相手を見つけたのなら嬉しいし複雑よ……」

「皇族としては?」

「……大問題、とだけ答えておく。」

そう言ってエルシリアは去り、クレアも肩を上げた。

「ま、そうでしょうね……でも…映画のラブシーンみたいなことを天然でやるとは………」

もう少し、てこ入れしてやれば結ばれるのは確実かもしれないが……流石にそれはお節介が過ぎるし、無粋だ。何より、二人は勿論、エルシリアとライルにも悪いことが起こる。

胸の内にしまっておいてあげるわ……

[37679]
健 - 2017年09月17日 (日) 01時09分

この辺で言わせようと思ったことを遂にセラが言いました。

復讐からは何も生まれない。というお決まり文句ですが…その理屈が通用しないケースだってあると思い…セラはこう言いました。実際にはそんなケースはフィクションだけにしてほしいですが。



JINさん

まだ、壊れた部分はあるけれど……秀作は少しずつ、確実に人になりつつあります。セラにもしもの事があれば、只の悪魔になりはてるのも確実ですが。

[37680]
JIN - 2017年09月17日 (日) 11時42分

今度の場合どちらかが死ぬとしたら秀作のような気もしますね。

それもいきなり何者かに刺されてといった感じで。

あるいは彼が潜入抹殺をやっていた時の報復かとか。

(それで「思い知ったか。この魔物め」とか言われて)

自分がやるとしたら、セラに花を届けてそのまま絶命といった場面にしそうですが。

とにかく秀作は人間として死にそうですが、あるいはそうなったから死ぬのかも。

[37681]
Ryu - 2017年09月17日 (日) 19時39分

秀作にとってセラフィナの存在がライル以上に大きくなりつつあるのは良い兆候。

その分、彼女に危害が加えられそうになった時は今まで以上の暴れっぷりを発揮しそうで。

それも単に戦闘中で狙われるのは「兵士として出てる以上、敵が殺そうとするのは当然」「まして皇族な分猶更」と判断しそこまで反応しないでしょう。それでも無意識の内に彼女をフォローする動きをする可能性は高いですが。

ただルーカスみたいな人間にそういう対象で狙われていると知った時はその限りでは無いと。

現在イタリタ戦線は小康を保っていますが、このまま特に秀作が必要となる場面が到来せずライル軍に戻るか、あるいは…。

[37683]
JIN - 2017年09月18日 (月) 10時55分


セラが秀作を自分の騎士に貰い受けたいなんて展開もありえそうですね。

ただしそうなれば戦闘機会が減るので秀作から辞退する可能性も。



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